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2012年3月 5日 (月)

南相馬の黒い物質についての続報

 「南相馬の恐るべき汚染」で、大山弘一市議のブログを紹介して南相馬のあちこちに高線量を発する黒い物質があることを報じたが、ツイッターなどでは「プルトニウムではないのか」「核燃料ではないか」などとの呟きも見受けられた。さすがに、プルトニウムとか核燃料とまで言えるのかについては疑問だったので拡散はしなかったが、「さつき」さんがこの黒い物質のことについて取り上げている。

南相馬の放射能で汚染された「黒い物質」のことなど(メモ:追記あり) (さつきのブログ「科学と認識」

 テレビをほとんど見ないので知らなかったのだが、「さつき」さんの記事で、この物質のことが「報道ステーション」で取り上げられ、その報道に対してNHKのディレクターが「不安を煽る『報道ステーション』」という批判記事を書いていることを知った。

 私はその後大山さんのブログを見ていなかったのだが、「さつき」さんによるとどうやら大山さんはベクレル/kgからベクレル/平米の換算に関して間違いをしていたようだ。情報の発信者であり、ネットで拡散を呼び掛けている方がこのような誤りをしているのであれば由々しきことだ。発言は慎重にしなければ揚げ足取りをされるし、誤った情報発信をすれば原発推進者に潰されかねない。

 ところで、NHKのディレクター氏が書いている以下のことは本当なのだろうか?

神戸大学で108万ベクレル/kgが検出されたのは、実は「黒い物質」ではない。番組で紹介されたのとは全く別の場所、市内の駐車場の排水溝近くにあった土壌である。この事実は20日、共同通信によって配信された記事によって確認される。分析に当たった神戸大学の山内友也教授の「土壌に含まれていた枯れた植物が集まったことによって、濃縮が進んだ可能性」というコメントからも、「黒い物質」=藻ではないことは明らかだ。ところが、「報道ステーション」では、108万ベクレルの放射性物質は、「黒い物質」から検出されたとしか見えない。そのように編集されているからだ。

 ディレクター氏の「20日、共同通信によって配信された記事」を探してみたのだが、見つけることができなかった。すでに削除されているのかも知れない。

 大山氏はディレクター氏の記事を引用して反論を書いており、また黒い物質はあくまでも「藍藻」と主張していて意見が食い違っている。しかしこれだけでは、山内友也教授が計測した108万ベクレルの物質が「黒い物質」なのか、「落ち葉」なのか、あるいは両方なのか分からない。

 なお、この黒い物質のガンマ線の核種分析結果については以下の情報がある。

http://twitpic.com/8kot71 

 NHKのディレクター氏と大山氏は基本的な認識や考え方に大きな違いがありそうだ。ディレクター氏は木村真三氏や今中哲二氏、児玉龍彦氏の意見を持ち出して大山氏のことを「誤った情報によって不安を煽る」と批判している。しかし木村氏、今中氏、児玉氏の意見が正しいと言えるとも限らない。一方、大山氏は御用学者らを批判して避難を主張する。それぞれ基本的な認識が違うから支持する人も違うし、お互いに感情的になっているようだ。

 ところで、福島県の汚染が安心できるものではないことは、ディレクター氏も認識しているのではなかろうか。問題は、健康被害を懸念して避難を主張している人たちが果たしてわざと「デマを言った」のか、あるいは「意図的に不安を煽っているのか」ということではなかろうか。先の大山氏の不適切な計算も、意図的とは思えない。また、ディレクター氏は、108万ベクレルの物質について記者会見した「フクシマの命と未来を守る会」と市議(大山氏のこと)について以下のように批判しているが、勘繰りすぎではなかろうか。

「守る会」とこの市議は、南相馬市から子供たちを全員避難させるべきだと主張し、27日から除染を終えた市内の学校で授業が再開されるのに反対を唱えていることで知られる。去年採取した土壌の汚染を20日になって発表したのは、学校再開のタイミングを狙ったものと勘ぐることも可能だ。「全員避難させるべき」と考えるのは自由だが、プルトニウムなどを持ち出して、「子供を避難させない親」を脅かすのは全くの倒錯であり、はっきり言ってしまえば、悪質なデマだ。

 チェルノブイリの事故のときも、「線量がそれほど高くないから住んでも大丈夫」と言われて住み続けたら後に病気が多発し、避難を余儀なくされたところがある。結局、数年住み続けないとリスク判断ができないというのが放射能汚染だと思う。健康被害が分かったときには取り返しがつかないということだ。だからこそ避難を主張する人たちがいるのだし、そのことが不適切だとは思わない。

 予防原則の立場から言うなら、やはり汚染の酷い地域に住む人は避難するのがベストだと思う。福島はチェルノブイリとまったく同じではないのだから、今後、どんな健康被害が生じるのか、あるいは生じないのかは誰にも分からないのに、避難を主張する人に対して「過剰反応だ」とか「不安を煽る」と批判するのはおかしなことだ。ただし、汚染について公言する以上、誤りや錯誤がないよう十分気をつけなければならないのは言うまでもない。

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