« 原発を止めるために国民投票を広めてほしい | トップページ | 過去の巨大地震と津波に学び防災の準備を! »

2012年1月14日 (土)

青山貞一氏が繰り返される津波被害は人災だと問題提起

 東日本大震災で津波が住宅を押し流していく映像を見たとき、津波の大きさと次々に家や田畑が飲み込まれていく様子に息をのみ呆然とした。それと同時に、昔から何度も大津波に襲われている三陸地方なら多くの人が大地震のあと速やかに高台などに避難したのではないか、そうであってほしいと願った。しかし現実は多くの犠牲者が出てしまった。

 震災後には日本中が被災地の復興を願い支援している。しかし・・・被害にあったところをそのまま復興したなら、また百年とか数百年後に同じ被害に遭うだろう。ところが「復興」という声ばかりで、教訓を活かすような指摘はほとんど聞こえてこない。あの被災地を同じように元通りにしたら、将来大津波に襲われたときに街は壊滅状態になり犠牲者と大量の瓦礫を生みだすのではないか。そういうことを考えて復興計画をたてているのだろうか? 私にはそのことが不思議でならなかった。

 これは津波に限ったことではない。たとえば火山噴火でもそうだ。2000年に有珠山が噴火したときも、山麓でさまざまな被害が出て危険地域に住む人々は避難をした。しかし、火山活動が治まるとまたすぐに人が戻って復興をするのだ。いつかまた噴火することが分かっていながら再び危険な地域に住みつづけようとすることに私は大きな疑問を感じた。

 洪水対策なども同じだ。頻繁に洪水被害を受けるようなところは農地にし、人家は高台や川から離れたところに建てるべきだと思うのだが、洪水はダムや堤防で防ごうとしか考えない。自然に逆らうような土木工事ばかり行うのがこの国のやり方だ。だから河川の近くに平気で住宅地を造成し、洪水被害が起きれば「堤防のかさ上げや強化をしろ」「ダムを造れ」ということになってしまう。

 人口密集地はともかくとして、北海道などでは河川の近くでは宅地開発を規制したり、家の建て替えなどをきっかけに高台に移転してもらうなどの対策がとれるのではなかろうか。場所によっては高床式住宅を義務付けるという方法もあるだろう。しかし、そういう話は聞いたことがない。

 災害にあうことが十分予測できるのに、同じところを復興してそこに住み続ける。私にはこの日本人の感覚が分からないし、災害が起きる可能性の高いところに人を平気で住まわせる国や自治体は不可解でしかない。

 青山貞一氏は東日本大震災の津波被災地の現地調査を行い、津波被害の半分は人災だとの指摘をしている。過去の記録から大きな津波に襲われることが分かっているのに、歴史に学ばずに同じような被害を繰り返しているのが日本という国だ。その責任は行政にもあり、半ば人災だというわけだ。これは私が考えていたことと同じだ。以下の動画をご覧いただきたい。

青山貞一:繰り返される津波被害の半分は人災?
http://www.youtube.com/watch?v=ZeVrP2YTxAs 

 以下にこの動画の要約を紹介しておく。

 東日本大震災の被災地である岩手県、宮城県、福島県に7回現地調査に行った。特に甚大な津波被害があったのは岩手県大槌町で死者と行方不明者で1500名近い被害があった。南三陸町と陸前高田市もほとんど壊滅状態になった。

 三陸はリアス式海岸のため地形によって津波被害を受けやすい。リアス式海岸の下の部分は地形上大きな被害を受ける。宮城南部の仙台市より南、福島のほぼ海岸域は平坦な地形がつづいている。このようなところでは海から数キロ離れていても津波が押し寄せる。津波が平野を遡上して被害をもたらした。

 被害の最前線は漁港で、健在な漁港はほとんどない。松島地域の海沿いはかなり被害を免れたが、それ以外は壊滅的だった。市場がこわされ水産加工の工場も壊され復興が予想以上に遅れている。福島北部の新地町漁港は船を沖合に持って行ったので75%の漁船が無事だった。しかし、家に残っていた家族が被災した。

 石巻北部の大川小学校は鉄筋の立派な校舎だった。河口から数キロあったので津波がこないと思って避難しなかった。学校のすぐ裏手に山があったのに小中学生が74名、教員ら10名が亡くなった。

 仙台市山元町の中浜小学校は海からすぐのところにあり、壊滅的被害を受けた。岩手、釜石市の唐丹町の小学校は過去に何度も津波の被害を受けているところだった。

 現地調査や資料によると、明治三陸津波(1896年、死者の数は今回と同じくらい)は今回と同じくらいの津波だった。貞観三陸津波(869年)はかなり規模が大きかった。決して1000年に一度ではなく、もっと頻繁に大津波に襲われていた。1000年に一度というのは東電などの責任逃れのためではないか。

 旧内務省の資料や、吉村昭氏の「三陸海岸大津波」という本を見ても分かるが、同じことを繰り返してしまっている。高台の20メートルくらいのところに家を移せばまず助かっただろう。

 岩手では数十世帯が移転する高台はあるが町ごと高台移転はできない。高齢者は生まれ育った町に執着する。こうしたことが低地に住み続ける要因になっている。しかし、それ以上に問題なのは、国や自治体の責任としてお金をかけてでも危険なところには住まわせないようにすべきだ。なぜ国や自治体は危険なところに建築確認や開発許可を出すのか。安易に許可を出す行政に問題がある。

 グーグルで神社の位置を地図上にプロットしたら、神社は高台にあって残っていることが分かった。津波の教訓が生かされたのに、一般住民には生かされなかった。

 明治三陸津波の頃は巨大堤防はもちろんあり得なかった。そのあとに日本の土木事業の一環として巨大な防波堤、防潮堤が造られた。釜石湾の入り口に1200億円かけて巨大な防潮堤をつくったが、それが壊れた。住民は防潮堤で防げると思ったことも被害の拡大につながった。

 釜石市の唐丹町の小さな漁港は明治三陸地震で大きな犠牲者が出た。そのあと国は高さ12メートル奥行き10メートルの防波堤を造ったが、今回の津波で中央部分が壊れて被害が出た。明治三陸津波で人々はいったんは高台に移ったが、その後どんどん下に降りてしまった。防波堤があるから漁師は下に降りてしまった。

 宮古市の田老地区も明治三陸、昭和三陸でも大きな被害が出たが、今回は防波堤が壊れてしまった。防波堤、防潮堤が役立たなかった。

 国や自治体は人命を重視しなければならない。下は住民が住めないような規制をするなどできたのではないか。行政が対策しなかったことで同じことを繰り返した。これは人災ではないか。

 また新しい堤防を造るといっているが、人的被害がこれだけ出ているのだから、安易に同じことをしてはいけない。土建的に仕事を大きくするということはやってはいけないのではないか。「死んでもいいんだ」ということでは済まされない。

 イタリアのソレント半島では高台に居住地をつくっている。これを見習って高台に家を立てることを模索すべきだ。

 瓦礫のことだが、茨城北部、宮城南部も汚染瓦礫がある。汚染された瓦礫を全国に拡散するのは原理的に間違っている。東京の落ち葉などを燃やしても放射性物質が出るのであり汚染の濃度はあまり関係ない。私は堤防を兼ねた放射性物質を含む瓦礫の処理を提案している。国が責任をもって被災地の汚染の酷い区画を放射性廃棄物の仮置き場にするべき。

 東京などが瓦礫の焼却や埋め立てを強権的にやっているのはおかしい。環境省はほとんど当事者能力がない。こういう人たちに任せていいのか危惧している。

 除染に関しては、原発の建屋をつくったゼネコンが除染でも元請けとなっている。除染はものすごくお金がかかるのだが、一番の元請けは日本原子力研究開発機構で3割ほど取っている。ちゃんとした議論、合意形成がないなかで国がゼネコンに発注しており、一番問題の多いゼネコンが元請けになるなど論外なこと。除染でいったん線量は下がるかもしれないが、また汚染される懸念がある。除染したものをどこにもっていくのか。海に流れ込んでしまうという問題もある。

 日本型の公共事業の種にされてしまっている。日本は民主主義国なのか。子どもたちの将来のためにお金を使わない。日本というのはどうにもならない利権天国であり、それによって国民が苦しめられている。

(要約はここまで)

 青山氏の指摘にはうなずくばかりである。この国は人命より利権がらみの大型公共事業のほうが大事なのだろう。津波被害や原発事故では何よりも人命第一で対策や補償をしなければならないのに、相変わらず利権がらみの土木事業にお金を使おうとしている。狂っているとしか思えない。

« 原発を止めるために国民投票を広めてほしい | トップページ | 過去の巨大地震と津波に学び防災の準備を! »

政治・社会」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1185959/43739226

この記事へのトラックバック一覧です: 青山貞一氏が繰り返される津波被害は人災だと問題提起:

« 原発を止めるために国民投票を広めてほしい | トップページ | 過去の巨大地震と津波に学び防災の準備を! »

フォト

twitter

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

最近のトラックバック

無料ブログはココログ