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2012年1月

2012年1月31日 (火)

もう一度原発が過酷事故を起こしたらこの国は終わる

 昨日の北海道新聞夕刊の「論壇」というコラムに、金子勝氏が「なし崩しの容認避けよ」とのタイトルで原発の再稼働問題について書いていた。

 金子氏は、「新潮45」2月号に掲載された添田孝史氏の「全原発54基総点検」という記事と、「世界」2月号に掲載された原子力資料情報室の「原発再稼働は危険だ」という記事で危険であると指摘された原発を挙げ、再稼働に警告を発している。

 危険な原発とは、耐震性に問題のある原発、マークⅠ型原発、老朽化原発、地震に対して危険性が高い原発、3基以上の原発が集中しているところ、組織に問題のある原発・・・。そうやって挙げていくとほとんどの原発が引っかかってきそうだ。それはそうだろう。

 福島第一原発は東北地方太平洋沖地震でいとも簡単に壊れ、4基もが爆発したのだ。あの地震では東海第二原発だってぎりぎりでメルトダウンが回避された。女川原発だって危なかった。日本の原発がいかに地震や津波に無防備だったのか、安全神話がいかに嘘で塗り固められたものかが巨大地震で一瞬のうちに露わになったのだ。もし東海第二原発がメルトダウンしていたら、日本は終わるところだった。そのことを肝に銘じなければならない。

 原発銀座といわれている若狭湾にも津波の記録がある。しかし、これまで関西電力はまともな津波対策をしてこなかった。なのに、原子力安全・保安院はなぜ大飯原発のストレステストを認めてしまうのか。この国の無責任体質には言葉もない。

若狭湾の大津波(伝承)・・関電は知っていた・・(院長の独り言)

 金子氏は最後に、故高木仁三郎氏の遺著「原発事故はなぜくりかえすのか」(岩波新書)の中の一文を紹介している。以下がそれだ。

 根本の問題をおきざりにした日本の原子力行政は、もっとひどいところにいくのではないか。最悪の事故のようなものが避けられないかもしれない。とんでもない事態が起こっているようで、かけ値なしの恐怖感が私にはあるのです。

 高木仁三郎氏は、危険性を知りながら安全神話を振りまいて54基もの原発を造ってしまった日本は、いつか大事故を起こすと予感していたのだろう。そして、そんな大事故が起きたら日本がどのようになるかも見通していたに違いない。この文章には、核の恐ろしさを知っていながら、その暴走をどうすることもできない研究者の苦悩が滲んでいる。

 高木氏に限らず、これまで原発の危険性を訴えつづけてきた研究者や技術者も同じような恐怖感を抱き続けていたに違いない。しかし、彼らの声は多くの国民に届くことはなかった。否、仮に届いたとして誰が原発を止められただろう。そう思うと、どうしても無力感に襲われてしまう。しかし、だからといって投げやりになったらそれこそ終わりだ。

 3.11から10カ月以上経過した。汚染がひどくない地域の人たちはどうも危機感がない人が大半らしい。そして汚染された地域で暮らさざるを得ない人たちは、半ばあきらめムードだとも聞く。関東地方あたりでは、原発のことは話題にしないようにしている人が多いようだ。まだ原発から放射能が放出され、ニュースでは原発のことを聞かない日はないのに、人々から危機感が薄れていくのが恐ろしい。

 福島第一原発の事故は想像を絶するほどの被害をもたらしている。被ばくし避難を余儀なくされた人たちへの補償はもちろんのこと、農地を汚染した被害はこれから何年も続く。漁業被害も計り知れない。観光地も被害を受けた。今後健康被害が出てきたときはどう補償するつもりなのか。食料品の流通やゴミの焼却、汚染瓦礫の処理によって汚染は広がる一方だ。あれだけ海を汚したのだから海外からも賠償請求されるだろう。原発事故というのは国を破綻させるほど大変なことなのだ。しかし、再稼働させたいという人たちにはその責任が微塵も感じられない。

 日本がまた大きな地震に襲われる可能性が高いとの指摘が地震学者によってなされている。ほぼ間違いなく近い将来に日本はまた大きな地震に襲われるだろう。それも複数回来る恐れがある。今度また福島と同じような大事故が起きたなら、本当に日本は終わるだろう。ストレステストで再稼働にゴーサインを出すような連中だって、そんなことは百も承知のはずだ。それなのに何故、原発を止めようという一言が言えないのだろう。

 未だに原発が必要だと思っている人たちに声を大にして言いたい。「日本を終わらせたいのか!」と。

2012年1月26日 (木)

いよいよマスコミが大地震、大津波への警告を発しはじめた

 今日の北海道新聞朝刊のトップ記事は、「東北北部沖にも震源」とのタイトルで、北海道大学の平川一臣教授の新学説についての紹介だった。

 平川さんは、北海道と東北で津波痕跡調査を行い、過去の3500年間に7回以上の巨大津波があったことを確認した。道東沖を襲った巨大津波は17世紀、3~4世紀、2500年前、3500年前の4回で、前回の発生から400年が経過し、次の発生の切迫度は「大きくも小さくもない」という。

 東北北部沖を襲った巨大津波は12~13世紀、紀元前後、3000年前の3回で、前回の発生から800~900年が経過しており、次の発生の切迫度は「極めて高い」そうだ。

 北海道を襲う巨大津波は道東沖と東北北部沖でそれぞれおよそ千年間隔で起きていることになる。そして、どちらが震源であっても北海道の太平洋岸には大津波がくると予測されるのだ。

 東北北部沖といえば、先の3.11の地震で割れ残っているとされている場所だ。そこで近い将来大きな地震が起きる可能性がある。また、道東沖もいつ地震がくるか分からない。いずれにしても警戒が必要だ。

 「現代ビジネス」も、こんな記事を書いている。

地震予知の第一人者・長尾年恭東海大学教授「首都圏直下型M8」「東海地震M9」はまもなく来るものと覚悟してください

「アウターライズ地震」が列島を襲う 「3.11」まで2カ月を切った 官邸と文科省が隠蔽しつつ密かに恐れる「次」の悪夢

前兆現象がこんなに! M8M9大地震いよいよ本当に来そうで怖い

 これらの記事では東北地方太平洋沖地震で大地震の発生時期が早まったことと、3.11の地震で地盤が割れ残っている青森沖と房総沖の大地震を指摘しているほか、首都圏直下型地震や、3.11の震源域の海溝の外側で起きる「アウターライズ地震」、東海地震への警告を発している。

 太平洋沿岸はいつどこで巨大地震がおきてもおかしくないし、震源域が海であれば巨大津波に襲われると考えられるのだ。土佐湾で20メートル、三重県で15メートル、愛知・静岡で10メートルなどという予測もあるという。東京、大阪、名古屋などといった大都市が水浸しになる可能性がある。

 そして、驚くのが「『アウターライズ地震』が列島を襲う」という記事にある官邸に近い民主党の中堅代議士の話。一部引用しよう。

「3・11由来のアウターライズ地震については、本震から1ヵ月以内にも起こる可能性があるとして、官邸は密かに恐れ警戒していた。本震発生当日に宮城県沖の日本海溝の外側で発生した地震はアウターライズ地震だったとされているが、地震の規模がM7.5と小さく、官邸はこれを、想定される巨大アウターライズ地震の前震と捉えていた。
 地震のエネルギーは発生が延びれば延びるほど蓄積されていくため、本震から3ヵ月、6ヵ月、9ヵ月などの節目の時期を経て、官邸は一段と危機感を募らせています」
 この中堅代議士によれば、その一方で官邸が情報の公開を「ひた隠し」にしてきたのは、予想される被害があまりにも甚大であり、かつ、現状では打つ手がないからだという。要は、情報を公開すれば国民から必要な対策の実施を迫られ、必然的に「打つ手なし」の現状が白日の下に晒されて、大批判と大パニックに見舞われることを、官邸が警戒し思考停止に陥った結果だと言うのである。

 政府は3.11直後にアウターライズ地震を想定していながら、予想される被害があまりに甚大で打つ手がないという理由で、国民に隠し続けていたというのだ。原発事故の情報隠蔽と同じ構図がここにもある。これほどまで国民を馬鹿にした政府もなかなかないのではないか。

 また、以下のような記事もある。危険なのは太平洋側ばかりではない。日本海側の断層がずれたらやはり大きな津波に襲われるのだ。

津波:佐渡北方震源、県が予測 西ノ島・国賀港、M7.85で10.46メートル/島根(毎日新聞)

 東京大学地震研究所では、3.11の地震以降、首都圏での地震活動が活発化してきていることから、南関東のM7程度の地震の発生確率を「今後30年で98%」「今後4年で70%」とする試算を発表した。近い将来に首都圏で大地震がある可能性がかなり高いということだ。

2011年東北地方太平洋沖地震による首都圏の地震活動の変化について

 そして、沖縄を除く日本中の海岸に原発がある。これほど恐ろしいことはない。石橋克彦さんなど一部の地震学者が以前から警告してきた危機が現実のものとなりつつあるのだ。一刻も早く原発を止め、安全の確保に最大限の努力をしなければならないのに、やれストレステストだ、再稼働だなどと言っているのはもはや狂気に等しい。

 北大の森谷武男さんの地震エコーのデータは非公開になってしまった。エコーのデータが収束したという情報は入っていないので、当初の12月から1月という予測より大地震の発生は遅くなっていると思われるが、一人ひとりが迫りくる大地震への警戒と対策の強化に努めるしかない。

 3.11から10カ月余り。迫りくる地震や津波への警戒を呼び掛けるのがあまりにも遅い。

2012年1月25日 (水)

広島の細見谷林道の建設中止が決定

 原発事故はいまだ継続中で、放射性物質の放出量は減るどころか増えたとの報道があった。八ッ場ダムも着工に向けて進んでいる。溜め息が出るようなニュースばかりが続いていたが、先日、広島県の大規模林道が中止になったというニュースがあった。久々の朗報だ。

 緑資源機構の廃止によって林道の事業主体は地方自治体へと移行し、北海道の大規模林道は全面的に中止された。しかし広島県では中止決定がされずに自然保護団体などが反対運動を展開し、住民訴訟も起こされていた。しかし、広島県議会は19日に厳しい財政事情などを理由に事業を中止することを決定した。

廿日市の細見谷林道建設:県、事業中止へ 環境保護団体は歓迎、地元戸惑い 厳しい財政事情で /広島(毎日新聞)

 5つの工区のうち細見谷と「庄原・三和区間」は工事をしておらず、貴重な自然が破壊されることなく中止となったことは歓迎したい。ただし、相変わらず中止の理由は財政難であり、自然破壊という観点はほとんどないようだ。この国の自治体の大半は、生物多様性の保全に消極的だし、判断基準が結局は「お金」というのなら何とも情けない。

 住民訴訟については、今年3月21日に判決が言い渡される予定だ。

細見谷渓畔林訴訟結審(細見谷に大規模林道はいらない)

 判決がどのようなものになるか分からないが、広島県は裁判を意識して判決が出される前に中止決定をしたのではなかろうか。まっとうな判決を期待したい。

 日本はこれから原発事故の補償で財政がひっ迫するのは目に見えている。無駄な公共事業などに税金を注いでいる時代ではないだろう。

2012年1月23日 (月)

再度、菊池誠さんの野呂美加さん批判とEM菌について

 菊池誠さんの野呂美加さん批判については以下の記事にも書いているが、この記事で私が最も言いたかったのは、菊池さんが野呂さんの提唱している放射能対策について何ら具体的理由も示さずに「効果がない」と断言したり、東京で被曝によって鼻血や下痢の症状が出ることはあり得ないと断言していることだ。これはとても科学者として責任ある発言とは思えない。

菊池誠さんの野呂美加さん批判は科学的か? 

 私は菊池氏の「ニセ科学批判」自体を批判するつもりはない。世の中には効能や効果がよく分からない健康食品などがいろいろ出回っており、私も基本的にはそのようなものは信じていない。だから、効能もたいしてないのに高価な商品を売り付ける詐欺的商法に注意喚起することはまっとうだと思う。しかし、菊池氏の放射能や被曝に関わる発言はあまりにいい加減でお粗末としか思えない。

 最近になって、また「野呂美加さんと『チェルノブイリへのかけはし』についてもう少しだけ」という記事を書いているが、相変わらず「野呂さんが言っていることや書いていることは基本的におかしい、まあだいたいはでたらめと言っても過言ではないだろう・・・」と、根拠も示さずおよそ科学者とは思えない書き方をしている。野呂さんを貶めているも同然だ。

 飯山一郎氏が盛んに勧めているのが「米のとぎ汁乳酸菌」である。菊池誠氏やお仲間たちはこれも否定しているのだが、以下のような実験結果がある。

乳酸菌噴霧で玄米の放射能が4分の1に減った(吉岡英介氏のホームページ)

 乳酸菌をスプレーした玄米の放射能はスプレーしていない玄米の4分の1になったというのだ。たった一度の実験結果でしかないが、乳酸菌が放射性物質の低減に役立っている可能性を示唆している。現代の科学では解明されていないからといって、安易に否定すべきではないだろう。

 野呂美加さんが推奨しているEM菌も菊池氏は効果がないと断言する。ツイッターでEM菌の効果について書かれていたものを見た記憶があるが、EM菌についてはどの程度研究や実験が行われており、効果があるという結果が出ているのだろうか? そう思っていたら、以下のtogetterを見つけた。まとめ部分だけではなくコメントも参考になる。

EM菌(有用微生物群)と丸山ワクチンの経緯が似てくる可能性 

 このまとめを作られた@Ani2525さんによると、菌がカリウムと勘違いをしてセシウムを取り込むと、人体ではセシウムやカリウムではなく菌が入ってきたと思い、体内に蓄積されないという理論があるようだ。

 また生命体はストロンチウムもカルシウムと勘違いし、カルシウムが好きな菌がストロンチウムを食べるが、人体ではそれを菌と認識する・・・そういうことのようだ。確かバズビー氏も似たようなことを言っていた。バズビー氏は、ストロンチウムを取り込ませないためにカルシウムの摂取が有効なのだと。

 EM菌にはいろいろなタイプがあり、納豆菌、酵母菌、乳酸菌などが入っているという。ならば、飯山一郎氏の提唱する乳酸菌が効果があるというのも頷けるし、味噌なども同じことが言えるだろう。

 またキノコのことにも触れられていて興味深かった。原発事故の当初から、キノコは放射性物質を取り込みやすいことが報じられていたが、キノコはセシウムを吸着しやすい菌類なのだ。菌類が放射能に対して特別な力を持っているというのではなく、単にカリウムと間違えてセシウムを取り込んだり、カルシウムと間違えてストロンチウムを取り込む・・・。こう考えると、なるほどと思えてくる。

 もちろんこれはまだ仮説であり実験途上のようだし、メカニズムも明確になっていない。また、このような情報があるからといって、私は被曝した方たちにEM菌を飲みなさいとか、乳酸菌を利用しなさいと推奨するつもりはない。その判断は各自でやっていただきたい。

 私が言いたいのは、冒頭に書いたように菊池氏のように何の根拠も示さずに「効果がない」と断言するのは不適切であるということだ。現在の科学で証明できないからといって科学者が「根拠がないデマ」と断言し、菊池誠氏を信じる人たちがそれを拡散させている状況はどうかと思う。@Ani2525さんのtogetterにも菊池誠氏の関係者と思われる方たちが誹謗中傷コメントを入れたようだ(削除されているが)。どうしてそこまでムキになって批判や攻撃をするのだろう。実に大人げない。

【1月25日追記】
「さつき」さんから吉岡さんの実験を引用するのは不適切との指摘があり、該当部分に消し線を入れました。詳しくは
「さつき」さんのコメントをお読みください。

2012年1月22日 (日)

国民投票、福島県民集会…批判の矛先が違うのでは?

 ツイッターでは原発の国民投票や3月11日に福島で開催予定の県民集会について、脱原発支持者の人たちから批判の声が聞かれる。

 批判されている国民投票は以下のサイトのものだ。

みんなで決めよう「原発」国民投票 

 この団体が示している「国民投票の実施手続市民案」に「現在ある原子力発電所について、これをどうすべきだと考えますか?」という設問があり、選択肢が「運転、稼働を認める」と「段階的に閉鎖していき、2022年までにすべて閉鎖する」の二つになっている。これについて「即刻廃止するという選択肢がない」、とか「2022年では遅すぎる」「原発を生き延びさせる提案ではないか」「今は再稼働阻止をすべき」などといった批判的意見が出ている。

 「即刻閉鎖」という選択肢がないことについては、「よくあるQ&A」のページで説明している。これについて批判するのなら、この説明についての反論をすべきだろう。

 私ももちろん原発は一刻でも早く閉鎖してほしいと思っているし、原発がなくても電気は足りると考えているので2022年という設定が適切とは到底思わない。しかし、国民投票で問うべきことは「原発を廃止すべきか存続すべきか」ということでしかないだろう。国民一人一人がどちらを支持するのか、ということだ。とにかく原子力ムラの力は強大であり、現状では「即刻廃止」で脱原発を勝ち取るのは難しい。閉鎖の時期にある程度の幅を持たせるとのはやむを得ないと思う。この春にすべての原発が止まり、それでも問題なくやっていけることが分かれば、2022年にこだわる必要もなくなるのではなかろうか。

 それに、そもそもこれは「市民案」でしかなく、仮に国民投票が実施されることになっても、この案通りになるという訳ではない。また、再稼働阻止は国民投票とは別のこととしてやっていかなければならないだろう。

 事務局長である今井一さんが、以下のサイトで原発国民投票について説明しているが、彼のスタンスは、「大事な問題は基本的に一般の選挙ではなく国民投票で決めるべきだ」ということだ。私もこの考え方に基本的に賛成だ。「国策」を覆して国民の声を反映させるためには国民投票の意味は大きいと思う。

~今井一さんに聞いた~「原発国民投票」は、日本で行えるか? 

 原発に反対の人が、なぜ「大事なことは国民が決めよう」という国民投票を批判するのだろう。批判の矛先が違うのではないかと思えてならない。

 もう一つ、同じように感じたのが以下のイベントだ。

3.11福島県民集会(仮称) (原水禁)

 このイベントを紹介した以下のサイトのコメント欄には、反対の意見が多く書き込まれているし、ツイッターでも批判的意見が聞かれる。

3.11福島県民集会の概要 (さよなら原発1000万人アクション)

 批判的意見の主たるものは、3月11日は大震災による犠牲者を悼む日であり、そのような日に福島でパレードやコンサートをするのは無神経で不適切だというものだ。

 このような気持ちは分からなくはない。確かに3月11日は大地震と大津波で大勢の犠牲者が出た。だから静かに追悼したいという人がいるのは当然のことだ。しかし、その大地震と大津波によって原発が壊れ原発震災が現実化した日でもあり、世界を震撼とさせる大事故、大惨事が起きた日でもある。昨年はとりわけ各月の11日にさまざまな反原発の集会やデモが繰り広げられてきた。1年目のこの日に限ってどうして犠牲者を悼むだけの日にしなければならないのだろう。この日に犠牲者を悲しみ悼むのは当然のことだが、世界最悪の原発事故に対する怒りや脱原発を福島で訴えるのもまた自然だと思う。

 コンサートが相応しくないと意見もあるが、追悼のためのコンサートがあってもいいし、怒りのコンサートがあってもいい。そもそも「福島県民」の集会を謳っており、こうした集会を支持している県民がいるのだ。そのことも尊重すべきではなかろうか。

 東京からのバスツアーに対する批判もあるが、こうした批判には原発を受け入れた福島県民と、電気の消費者である首都圏の人々という対立のような構図まで感じられる。しかし、福島の人たちも、首都圏に住む人たちも東電や政府に騙された被害者ではないか。住んでいるところや立場が違っても、決して被害者と加害者のような関係ではないし、どちらかが悪いというわけでもない。

 無神経なイベントと受け止める人がいる一方で、違う考えの人もいる。自分の感覚と合わないイベントは止めろというのは表現の自由、言論の自由の侵害ではなかろうか。賛同できない人は関わらなければいいだけのことだと思う。静かに犠牲者を悼みたいという人は、そうすればいいのだ。

 原発に反対の人たちが、このようなことで脱原発の活動を批判することにどれだけの意味があるのだろう。批判すべきは東京電力であり、政府であり、原子力ムラの人々だ。脱原発ということでは同じ意見の人たちがいがみ合うのは建設的ではないし、原発推進派の思う壺だ。もっと大局的な見方をしてほしい。

2012年1月20日 (金)

「院長さん」こと小野俊一医師の講演会

 ブログやツイッターで精力的に発言している「院長さん」こと小野俊一医師の講演の動画が、院長さんのブログにアップされた。熊本医師会の学習会での話で3部に分かれている。ちょっと長いが、今回の福島第一原発の事故や被ばくに関する情報が要領よくまとめられている。

フクシマの真実と内部被曝 熊本医師会講演会(2012.1.18) 

 小野医師はアイコンの似顔絵から私より年上の方だとばかり思っていたのだが、掲載している新聞記事の情報によると私よりだいぶ若い方だった。福島第一原発に勤務されていたこともあり、原発についても詳しい。

 今は講演会に足を運ばなくても、インターネットで視聴できることが多くなった。ありがたいことだ。小野医師の動画は音声が小さく聞き取りづらいが、ヘッドホンを使うと聞きやすくなる。時間ができたときなどに視聴していただけたらと思う。

 ところで、被ばくに関して過小評価をしている方の中に、放射性カリウムによる被ばくのことを持ち出す方がいる。「ニセ科学批判」の菊池誠氏もその一人だ。人間はカリウム40や炭素14などの放射性物質を体内に持っており食品からも常に取り込んでいることから、低線量の内部被曝では急性症状が出ないと主張している。

野呂美加さんと放射能対策(kikulog)

 上記の小野医師の2番目の動画に放射性カリウムの話が出てくる。人間が体内に放射性カリウムを持っているのは事実だが、食品としてカリウムを摂取しても体内にあるカリウムと順次入れ替わり、体外に排出されていくのだ。生物は長い生命の歴史の中で、生命に欠かすことのできないカリウムを取り入れると同時に順次排出していくというシステムを構築し、内部被ばくによる危険性を低減するよう進化してきたのだ。しかし人工放射能にはこのような適応をしておらず、臓器や骨などに蓄積されてしまう。原発事故で放出された放射性物質を天然の放射性カリウムと同列に扱うのは正しくない。このことは以下の記事からも理解できる。菊池誠氏の主張はかなり危うい。

低線量被曝の真実(4:放射性カリウムの謎) (アルバイシンの丘)

放射性カリウムとその意味を考える[科学検証]  (六号通り診療所所長のブログ)

 インターネット上には実に様々な情報が飛び交っている。何が真実なのか、何を信じるのかは、ご自身で考えていただきたい。

2012年1月19日 (木)

避難するリスクと留まるリスク

 福島の原発事故で日本中が汚染されてしまった。とはいっても、私の住む北海道の汚染は今のところそれほど酷くはない。そういう場所に住みながら、今回の事故の危機的状況について語ると「安全なところから無責任だ」とか、「危険だと言いながら避難しろと言わないのは無責任」という批判も聞こえてきそうだ。

 しかし、被ばくのリスクは住んでいる場所によって違うし、年齢によっても違う。汚染されていない食べ物や水が手に入りやすいかどうかということによっても異なってくるし、アレルギーや持病をもっているか否かによっても違う。被ばくに対する認識や考え方も人それぞれだ。だから他人が「避難しなさい」などと口出しすることではないと思う。たとえ無責任だといわれても、私は他人に「避難しなさい」などとは言えない。

 また、「不安にさせる」「不安を煽る」と言われても、事実は事実として知らなければならないと思う。もし自分の住む地域がそれなりに汚染されたのなら、私は何よりも事実が知りたいと思う。事実を知らなければ的確な判断ができないし、そこに留まる覚悟をするにも、あるいは避難するにも事実を受け止めなければならないからだ。

 体内に入ってしまった放射性物質の排出に効果があるとされているものがいくつかあるが、そういったものを利用するかどうかも基本的には一人一人が情報収集して決めていくことだ。必ず効果があるとは言えないし、摂取の仕方によっては副作用もあり得る。不安につけこんだ詐欺的商法もあるかも知れない。摂取するリスクとしないリスクを考えて個人個人で判断するしかない。

 しかし私が何より心配なのは、今でも汚染された地域に多くの子どもたちや若い人たちが住み続けていることだ。被ばくによる甲状腺ガンや白血病などは数年経たないと発症しない。さらに、福島はもとより関東地方ですら被ばくが原因ではないかと疑われる鼻血、下痢、咳、あざ、等々の症状が多数報告されているし、突然死の情報もある。もちろんそれらの症状と放射能の因果関係は証明できないが、普通のこととも思えない。少なくとも、これらの症状がチェルノブイリの原発事故のあとに見られた症状と重なるということは知っておくべきだ。

チェルノブイリ症候群(チェルノブイリへのかけはし)

 被ばくしたからといって必ず病気になるというわけではない。しかし病気になってしまえば取り返しがつかないことになりかねない。また被ばくによる免疫力の低下によって亡くなる可能性もある。そういうリスクをどう考えるかなのだ。何よりも被ばくの影響を早期にそして大きく受けるのは子どもたちや胎児だ。だからこそ、あとで後悔しないためにも避難について一人一人がよく考えてほしいと思わずにいられない。

 とはいっても、移住するとなれば仕事や家を手放さなければならない人が大半だろうから、簡単に決断できないこともよく分かる。住宅ローンを抱えている人はなおさらだと思う。本来なら東京電力や国が全面的に補償しなければならないことだが、国は国民の命のことなど考えていない。

 数日前、SPEEDIの情報が事故の直後に米軍に提供されていたことが明らかになった。日本政府は国民より米軍を優先したのだ。しかもチェルノブイリ事故では廃村にされたような汚染地帯に避難した住民を戻そうとしているのがこの国だ。政府の言うことを信じていたら殺されかねない。だから、避難をするかどうかも自分で情報収集し、避難するリスクと避難しないリスクを天秤にかけて決めていくしかない。厳しいかもしれないがそれが現実だと思う。

 以下の「猫山家」は、ご自身で情報収集し、ホットスポットである柏市から静岡への移住を決断された。その経緯が資料とともに詳細に説明されている。

猫山家の例。柏市からの移住。放射能からの退避。

 簡単に移住できるほどの財産がある人ならともかく、一般の人の場合はこれくらい綿密なリスク評価をしなければなかなか決められないことなのだろう。

 猫山氏が最後に書いているように、各家庭にはそれぞれ事情があり移住するかどうかの判断も家庭によって異なる。しかし、汚染された地域に住み判断に迷っている方にとって、この猫山家の記録は大変役立つと思う。猫山氏のようにリスクを書き出して細かく検討することで、家族間の意見の違いも理解しあえるかもしれない。

 いずれにしても、これからの時代はすべて(避難のことに限らず)自分で情報収集し、自分の頭で考え判断していかなければならない。安易に人を信じるのではなく、信じられる情報か否かを一つひとつ自分で見極めなければならないのだ。作家の辺見庸氏は「個」のあり方を強調するが、今ほど個人の意識と意志が問われているときもないだろう。それが原発事故の教訓だと私は思う。

2012年1月17日 (火)

過去の巨大地震と津波に学び防災の準備を!

 テレビはほとんど見ないのだが、一昨日は地震に関する番組があるというので「ザ・スクープスペシャル 過去からの警告」を見た。おおよその内容は以下のようなものだ。

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 宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区は東日本大震災で壊滅的な被害を受け、およそ一割の方が犠牲になった。古文書(日本三大実録)に869年に起きた貞観地震の記録があり、およそ千人が亡くなったとされている。現在の人口比で考えると約2万人にあたり、東日本大震災に匹敵する規模だった。防災対策基準では、閖上地区は沿岸部のわずかな部分しか浸水しないと想定されていた。東京大学地震研究所の古村孝志教授は、貞観地震を知っていたが古文書の記述は信ぴょう性がないと思って無視してしまったという。

 産業技術総合研究所の宍倉正展氏によると、今回の地震の浸水域は貞観地震とほぼ同じだという。南相馬市や浪江長でも貞観地震の痕跡が見つかっており、浸水することが分かっていた。東京電力は福島第一原発では、1938年の塩屋崎地震が最大級だとして津波の想定を5.7メートルと過小評価していた。産業技術相貌研究所の岡村行信氏は経産省の審議会で貞観地震について指摘し警告したが、東電は津波の想定を見直さなかった。3.11の津波は想定外ではない。

 東北学院大の松本秀明教授が仙台市若林区で海岸から2.5キロメートルのところで津波の痕跡の調査をし、2千年前の弥生時代にも津波の痕跡があったことを突き止めた。

 東海・東南海・南海地震でも10メートル以上の津波の可能性がある。大阪は4メートル50センチの津波でほぼ水没する。大阪では1854年に安政南海地震で津波が押し寄せ、2千人の犠牲者が出た。浪速区に安政大津波の石碑がある。

 1361年の正平南海地震では、液状化の痕跡が遺跡から見つかっている。宝永地震のシミュレーションによると、地盤が弱い平野部では長周期振動によって高い建物に被害が生じると言われている。大阪歴史博物館の大澤研一学芸員によると、正平地震のとき津波が到達したと言われているところが安居神社だろうと考えている。当時は安居神社は海岸から約2キロメートルのところにあり、大阪のほとんどは湿地帯だったという。太平記によると、津波がくる前の引き波が1時間もあり、魚を拾い集めようと浜に出てきた人たちが犠牲になった。

 東京大学地震研究所の郡司嘉宣准教授は、南海地震がおきると大阪の環状線の海側半分が被害を受ける可能性があるという。南海トラフは90~150年間隔で大地震が起きている。

 北海道大学の平川一臣教授は気仙沼市大谷海岸の地層調査をし、マグニチュード9クラスの地震が6千年に6回起きた痕跡があることを見つけた。1611年(慶長三陸地震)、869年(貞観地震)のほか2200年前、2500年前、3500年前(特に巨大)、5400年前の6回。岩手県宮古市でも昭和三陸津波、明治三陸津波、1739年の寛政三陸津波、1611年の慶長三陸津波、11世紀から12世紀の津波、869年の貞観津波の痕跡を見つけた。東北では何度も巨大津波があった。

 明応地震(1498年)では東海道の橋本地区が壊滅したことが古文書から推測される。浜名湖は巨大津波に襲われていたと考えられている。

 古文書では鎌倉の大仏殿は津波で倒壊したと書かれている。しかし、鎌倉市のハザードマップでは避難場所になっており、見直しを迫られている。鎌倉には1万人が住んでおり、被害が懸念される。

 14基もの原発が林立する若狭湾では過去に津波による被害記録はないとされ、津波調査がなされず、津波の想定は2.5メートルになっている。しかし、古文書には天正地震(1586年)による津波の記録があった。震源地は養老山脈ではないかと言われている。三方五湖でボーリング調査を行い、電力会社は津波の痕跡は認められないとしたが、平川一臣教授は点状のボーリング調査では不十分であり津波が来なかった証明にはならないと言う。

 地震考古学者の寒川旭博士は、巨大地震が襲った平安時代とよく似ていると指摘し、東北日本と西南日本の巨大地震が同じころに起きるのが現在ではないかと言う。日本三大実録には878年の元慶関東地震と887年の仁和西日本地震が記録されている。貞観地震の前に関東直下型地震、東海・東南海・南海地震が起きていた。関東直下型地震と南海トラフ地震が起きると、関東から関西まで被災する可能性がある。

 富士山では地震活動が活発化している。3月15日の富士山直下の地震で火山活動が活発化した可能性がある。活火山である富士山は必ず噴火する。貞観地震の5年前にも貞観大噴火が起きた。このときの溶岩流で青木ヶ原ができた。地下150メートルまで溶岩で覆われており、このときに出たマグマは14億立方メートルという。江戸時代には宝永大噴火があり、大量の火山灰が降った。富士山の噴火で農業被害などが想定される。富士山が山体崩壊するような噴火まで想定されていない。

 今後、関東での直下型地震、東海から南海にかけての大地震、噴火などが懸念される。

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 日本列島は過去に大きな地震や津波に何度も襲われていながら、そのような巨大な地震や津波を想定した防災対策がほとんど取られていなかったということだ。とりわけ原発の建設に関していかに史実を無視した甘い想定がなされていたのかと思うと、今さらながら腹立たしい。「災害は忘れたころにやってくる」とは良く言ったもので、過去の大災害も体験した人が亡くなり何十年、何百年も経つと忘れ去られてしまうのだ。忘れられないようにと刻まれた石碑すら、ビルの谷間に埋もれて忘れ去られている。

 そして忘れ去られた状態で、都市が巨大化して高層ビルが立ち並び人口過密状態になってしまった。マグニチュード8とか9クラスの大地震や大津波が次々と日本列島に襲いかかり、富士山が噴火するようなことが自分の生きている時代に来るかもしれないとは、大方の人が思っていなかっただろう。考えただけでも恐ろしい。

 大地震、大津波、そして原発事故がいつおきてもおかしくないという苛酷な時代に突入したようだ。気を引き締めなければならない。地震や津波を避けることはできないので、あとは被害を少なくするための対策をたて、備えてしていくしかない。

 私は見なかったのだが、同じ日に地震予知に関する番組もあった。以下がその動画。国際地震予知研究会の宇田進一理事長が、3.11にも匹敵する地震の再来について話をしている。宇田氏はさざなみ状の雲である大気重力波に着目し、1年以内にマグニチュード9クラスのアウターライズ地震(海溝の外側で起きる地震)があると予測している。この場合、再び大きな津波が想定される。

スクランブル 謎の雲で地震予知
http://www.youtube.com/watch?nomobile=1&v=Nz860ORaJGQ 

 こうした地震予知を民間に頼らなければならないとは、なんとも情けない国だ。「地震ムラ」があるのだろう。

2012年1月14日 (土)

青山貞一氏が繰り返される津波被害は人災だと問題提起

 東日本大震災で津波が住宅を押し流していく映像を見たとき、津波の大きさと次々に家や田畑が飲み込まれていく様子に息をのみ呆然とした。それと同時に、昔から何度も大津波に襲われている三陸地方なら多くの人が大地震のあと速やかに高台などに避難したのではないか、そうであってほしいと願った。しかし現実は多くの犠牲者が出てしまった。

 震災後には日本中が被災地の復興を願い支援している。しかし・・・被害にあったところをそのまま復興したなら、また百年とか数百年後に同じ被害に遭うだろう。ところが「復興」という声ばかりで、教訓を活かすような指摘はほとんど聞こえてこない。あの被災地を同じように元通りにしたら、将来大津波に襲われたときに街は壊滅状態になり犠牲者と大量の瓦礫を生みだすのではないか。そういうことを考えて復興計画をたてているのだろうか? 私にはそのことが不思議でならなかった。

 これは津波に限ったことではない。たとえば火山噴火でもそうだ。2000年に有珠山が噴火したときも、山麓でさまざまな被害が出て危険地域に住む人々は避難をした。しかし、火山活動が治まるとまたすぐに人が戻って復興をするのだ。いつかまた噴火することが分かっていながら再び危険な地域に住みつづけようとすることに私は大きな疑問を感じた。

 洪水対策なども同じだ。頻繁に洪水被害を受けるようなところは農地にし、人家は高台や川から離れたところに建てるべきだと思うのだが、洪水はダムや堤防で防ごうとしか考えない。自然に逆らうような土木工事ばかり行うのがこの国のやり方だ。だから河川の近くに平気で住宅地を造成し、洪水被害が起きれば「堤防のかさ上げや強化をしろ」「ダムを造れ」ということになってしまう。

 人口密集地はともかくとして、北海道などでは河川の近くでは宅地開発を規制したり、家の建て替えなどをきっかけに高台に移転してもらうなどの対策がとれるのではなかろうか。場所によっては高床式住宅を義務付けるという方法もあるだろう。しかし、そういう話は聞いたことがない。

 災害にあうことが十分予測できるのに、同じところを復興してそこに住み続ける。私にはこの日本人の感覚が分からないし、災害が起きる可能性の高いところに人を平気で住まわせる国や自治体は不可解でしかない。

 青山貞一氏は東日本大震災の津波被災地の現地調査を行い、津波被害の半分は人災だとの指摘をしている。過去の記録から大きな津波に襲われることが分かっているのに、歴史に学ばずに同じような被害を繰り返しているのが日本という国だ。その責任は行政にもあり、半ば人災だというわけだ。これは私が考えていたことと同じだ。以下の動画をご覧いただきたい。

青山貞一:繰り返される津波被害の半分は人災?
http://www.youtube.com/watch?v=ZeVrP2YTxAs 

 以下にこの動画の要約を紹介しておく。

 東日本大震災の被災地である岩手県、宮城県、福島県に7回現地調査に行った。特に甚大な津波被害があったのは岩手県大槌町で死者と行方不明者で1500名近い被害があった。南三陸町と陸前高田市もほとんど壊滅状態になった。

 三陸はリアス式海岸のため地形によって津波被害を受けやすい。リアス式海岸の下の部分は地形上大きな被害を受ける。宮城南部の仙台市より南、福島のほぼ海岸域は平坦な地形がつづいている。このようなところでは海から数キロ離れていても津波が押し寄せる。津波が平野を遡上して被害をもたらした。

 被害の最前線は漁港で、健在な漁港はほとんどない。松島地域の海沿いはかなり被害を免れたが、それ以外は壊滅的だった。市場がこわされ水産加工の工場も壊され復興が予想以上に遅れている。福島北部の新地町漁港は船を沖合に持って行ったので75%の漁船が無事だった。しかし、家に残っていた家族が被災した。

 石巻北部の大川小学校は鉄筋の立派な校舎だった。河口から数キロあったので津波がこないと思って避難しなかった。学校のすぐ裏手に山があったのに小中学生が74名、教員ら10名が亡くなった。

 仙台市山元町の中浜小学校は海からすぐのところにあり、壊滅的被害を受けた。岩手、釜石市の唐丹町の小学校は過去に何度も津波の被害を受けているところだった。

 現地調査や資料によると、明治三陸津波(1896年、死者の数は今回と同じくらい)は今回と同じくらいの津波だった。貞観三陸津波(869年)はかなり規模が大きかった。決して1000年に一度ではなく、もっと頻繁に大津波に襲われていた。1000年に一度というのは東電などの責任逃れのためではないか。

 旧内務省の資料や、吉村昭氏の「三陸海岸大津波」という本を見ても分かるが、同じことを繰り返してしまっている。高台の20メートルくらいのところに家を移せばまず助かっただろう。

 岩手では数十世帯が移転する高台はあるが町ごと高台移転はできない。高齢者は生まれ育った町に執着する。こうしたことが低地に住み続ける要因になっている。しかし、それ以上に問題なのは、国や自治体の責任としてお金をかけてでも危険なところには住まわせないようにすべきだ。なぜ国や自治体は危険なところに建築確認や開発許可を出すのか。安易に許可を出す行政に問題がある。

 グーグルで神社の位置を地図上にプロットしたら、神社は高台にあって残っていることが分かった。津波の教訓が生かされたのに、一般住民には生かされなかった。

 明治三陸津波の頃は巨大堤防はもちろんあり得なかった。そのあとに日本の土木事業の一環として巨大な防波堤、防潮堤が造られた。釜石湾の入り口に1200億円かけて巨大な防潮堤をつくったが、それが壊れた。住民は防潮堤で防げると思ったことも被害の拡大につながった。

 釜石市の唐丹町の小さな漁港は明治三陸地震で大きな犠牲者が出た。そのあと国は高さ12メートル奥行き10メートルの防波堤を造ったが、今回の津波で中央部分が壊れて被害が出た。明治三陸津波で人々はいったんは高台に移ったが、その後どんどん下に降りてしまった。防波堤があるから漁師は下に降りてしまった。

 宮古市の田老地区も明治三陸、昭和三陸でも大きな被害が出たが、今回は防波堤が壊れてしまった。防波堤、防潮堤が役立たなかった。

 国や自治体は人命を重視しなければならない。下は住民が住めないような規制をするなどできたのではないか。行政が対策しなかったことで同じことを繰り返した。これは人災ではないか。

 また新しい堤防を造るといっているが、人的被害がこれだけ出ているのだから、安易に同じことをしてはいけない。土建的に仕事を大きくするということはやってはいけないのではないか。「死んでもいいんだ」ということでは済まされない。

 イタリアのソレント半島では高台に居住地をつくっている。これを見習って高台に家を立てることを模索すべきだ。

 瓦礫のことだが、茨城北部、宮城南部も汚染瓦礫がある。汚染された瓦礫を全国に拡散するのは原理的に間違っている。東京の落ち葉などを燃やしても放射性物質が出るのであり汚染の濃度はあまり関係ない。私は堤防を兼ねた放射性物質を含む瓦礫の処理を提案している。国が責任をもって被災地の汚染の酷い区画を放射性廃棄物の仮置き場にするべき。

 東京などが瓦礫の焼却や埋め立てを強権的にやっているのはおかしい。環境省はほとんど当事者能力がない。こういう人たちに任せていいのか危惧している。

 除染に関しては、原発の建屋をつくったゼネコンが除染でも元請けとなっている。除染はものすごくお金がかかるのだが、一番の元請けは日本原子力研究開発機構で3割ほど取っている。ちゃんとした議論、合意形成がないなかで国がゼネコンに発注しており、一番問題の多いゼネコンが元請けになるなど論外なこと。除染でいったん線量は下がるかもしれないが、また汚染される懸念がある。除染したものをどこにもっていくのか。海に流れ込んでしまうという問題もある。

 日本型の公共事業の種にされてしまっている。日本は民主主義国なのか。子どもたちの将来のためにお金を使わない。日本というのはどうにもならない利権天国であり、それによって国民が苦しめられている。

(要約はここまで)

 青山氏の指摘にはうなずくばかりである。この国は人命より利権がらみの大型公共事業のほうが大事なのだろう。津波被害や原発事故では何よりも人命第一で対策や補償をしなければならないのに、相変わらず利権がらみの土木事業にお金を使おうとしている。狂っているとしか思えない。

2012年1月13日 (金)

原発を止めるために国民投票を広めてほしい

 先日の記事に書いたように、東北や関東から被ばくの影響が疑われる症状が多数報告されている。さらに恐ろしいことに、心筋梗塞などによる突然死が相次いでいるようだ。被ばくによる健康被害といえばガンばかりが持ちだされるが、チェルノブイリではガンだけではなく心臓病や血管系の病気などでも多くの方が亡くなっている。日本でも同じようなことが起こり初めているのと思えてならない。木下黄太さんもご自身のブログで被ばくの疑われる症例や突然死などの情報を公開しているが、ほんとうに事態は深刻だ。

放射能防御プロジェクト 木下黄太のブログ「福島第一原発を考えます」

 ところがそのような症例を公表している方たちは軒並み「工作員」と思われる方たちの攻撃にあっている。ツイッターなどで彼らの言っていることが嘘だと言い触らしたり、ブログに嫌がらせコメントを書き込んだり嫌がらせメールを送るのだ。こういう嫌がらせ自体が原子力ムラの激しい抵抗を示している。未だに原発を維持したい原子力ムラという組織の影響力の大きさ、執念に怒りがこみ上げてくる。

 しかし、地震が活発化している中で原発ほど恐ろしいものはない。何としてでも止めなければならないというのに、実態を知らない人や危機感のない人があまりに多い。ここで諦めたなら私たちはさらなる危機に直面するだろう。

 だから個人個が危機意識をもって声をあげ、できることをやっていくしかない。たとえ署名という小さな行為でも「やる」と「やらない」では大違いだ。また各地で廃炉訴訟が提起されようとしている。すでに浜岡原発、泊原発、玄海原発で裁判が起こされている。自分の住んでいる地域で起こされている廃炉裁判に参加したり協力するのもいいだろう。そういう活動に関わることで、原発の危険性がよく理解できるからだ。

 国民投票に関しては私の知るかぎり二つの市民団体が署名を集めている。ひとつは弁護士が呼びかけ人となっている以下の会。

脱原発の国民投票をめざす会

 この会では国民投票を実施するための法律を制定するための請願署名を集めている。会のホームページから署名用紙をダウンロードして郵送することで署名ができる。昨年の11月末日までに11,780筆の署名が寄せられている。本年の1月末に第6次集約、3月末に第7次集約が予定され、適切な時期に衆参両院議長に請願することになっている。

 もう一つは以下の市民団体だ。

みんなで決めよう「原発」国民投票プロジェクト

 こちらの署名は法律に則ったものではなく、国民投票を求める国民の声を数で示すものなのなのでネット署名もできる。衆参両院議長、内閣総理大臣、内閣党首への提出を想定しているとのこと。本年1月12日現在、45,971筆の署名が寄せられているが目標としている3月末日までに111万人(有権者数の約1%。イタリアの国民投票を参考にして目標数を決めている)にはまだまだ及ばない。

 福島の大惨事を受けて、もう原発はこりごりという人が大半ではなかろうか。それにしては寄せられた署名の数があまりに少ない。こうした署名活動を口コミ、メール、ブログ、ツイッター、フェイスブックなどを利用して多くの人に呼び掛けてほしい。

 原爆の被害をうけ、さらに史上最悪の福島第一原発の事故を起こした国の国民として一人ひとりが自覚をもち、たとえ小さな行動であっても参加してほしいと強く願う。

2012年1月11日 (水)

続々と出ている健康被害をどう考えるか

 昨晩はIWJ(岩上安身さんの主宰するインターネットメディア)による「ぬまゆ」さんこと沼内恵美子さんのインタビューが放映された。

 沼内恵美子さんは以前も紹介したが、南相馬市にお住まいで、ご自身の体調などについてブログで報告されている方だ。以下がそのブログ。最近のアクセス数は目を見張るものがあり、かなり注目されている。

ぬまゆのブログ

 彼女は、昨年の9月ころから倦怠感、体温の上昇、血圧の上昇、発汗、左足大腿部の痛み、目が開けられない、水泡などの症状が現れるようになったそうだ。10月には、歯がポロポロと抜けはじめ、今はあちこちの歯が抜けたり欠けたりしている。また11月には抜け毛が顕著になり、今は短く切ってウイッグを使用している。指の浅い傷から突然大量の出血をしたり、足の爪が外れるなど、自分でも驚くようなことが立てつづけに起きているそうだ。

 また、42歳の友人も髪がどんどん抜けてあまりにも薄くなってしまったためにウイッグを使用し、倦怠感が凄いとのこと。沼内さんの旦那さんは、突然鼻血が大量に出たそうだ。

 沼内さんはいくつもの病院に行ってもいろいろな病名がつけられ、医師も原因が分からないという。彼女は被ばくが原因であると特定できないために、原因についてはブログには書いていない。

 岩上さんのインタビューの途中に、木村真三さんのインタビューが挿入されていた。木村さんは沼内さんの症状について、ストレスによる自己免疫疾患の可能性が高いという見解だ。放射線の影響について否定はしないが、しかし、彼女の場合は夏までのストレスが秋になって現れたのではないか。そのストレスは原発が原因だから、原発事故の被害者であることには違いない、と言われていた。

 しかし、彼女自身は特に不安やストレスは感じていなかったと話しているし、公務員として教師をしていたときは大変なストレスがあり、それと比べたら「1対1京」だという。彼女は、因果関係が分からない以上、その記録を残しておきたいということだった。

 確かに、彼女の症状の原因が被ばくによるものだとは断定はできない。しかし、健康でストレスもほとんど感じていなかった人にこれほどまでの症状が出ている事実を、単に「ストレスによる免疫疾患」と片づけていいものだろうか? 木村真三さんの見解は、どうもしっくりとこない。

 テレビや新聞ではまったく報道されないのだが、インターネット上では原発事故以来、鼻血、下痢、喉の痛み、倦怠感、あざ、爪の異常、抜け毛などなど多数の症状が次々と報告されている。それらは低線量被ばくで現れる症状と共通している。以下のサイトを参照していただきたい。

 こどもと未来をつなぐ会・町田のサイトの【低線量被ばく調査】

関東全域で健康被害広がる~500件の異変報告から(OurPlant-TV)

 それだけではなく、若者の不可解な死亡事例もある。

若年死亡(20歳以下)のまとめ(院長の独り言)

 もちろんこれらの全てが放射能の影響だとは言わないが、しかしこれほど多くの人が「今までに経験のないような症状」を訴えていることからも、原因をすべてストレスにしてしまうのは無理がある。

 私自身も、昨年は3月下旬、7月中旬、11月初旬に東京に行ったのだが、特に7月に行ったときはずっと喉が痛く、北海道に戻ってきたら治まったという経験がある。風邪もひいていない真夏に喉が痛いというのは本当に不可解な体験だった。

 「放射能との因果関係が証明できない」ということは「放射能が原因ではない」とイコールではない。チェルノブイリの事故の後も同じような症状がみられているのであり、疑いを抱くのは当然のことだ。

 木村真三さんが言うように原発事故による放射能汚染が東北や関東に住む人たちのストレスになっていることは否定しない。しかし、体調異変の原因をストレスだと思い込んでしまうのはあまりにも危険だ。本当は被ばくが原因であるのに「ストレスのせいだろう」と高をくくって被ばく対策を怠り、取り返しのつかないことになってしまったらそれこそ悔やんでも悔やみきれないだろう。

 チェルノブイリでは放射線量を測定して「ここはそれほど汚染されていないから大丈夫」だと言われて住み続けた場所で、後になって多数の健康被害が出ているのだ。低線量被ばくによる健康被害は時間がたたないと現れてこない。だからこそ、チェルノブイリに学ばなければならないのだ。あとで後悔しないためにも「ストレス」で片づけてしまっていいわけがない。目をそむけたくても現実を見なければならないと思う。

 チェルノブイリで何が起こったのか、以下の記事をよく読んでほしい。これは必読だ。

ドイツTAZ紙:デルテ・ジーデントプフ医学博士インタビュー

2012年1月10日 (火)

福島第一原発4号機の危険性を認識すべき

 お正月早々、鳥島付近で大きな地震があり、ツイッターではその直後から放射線量が高くなったとの情報が飛び交っていた。私は何とも分からなかったので静観していたのだが、福島第一原発の4号機で問題が生じたようだと認識したのは「ぬまゆ」さんの1月8日のブログ記事だった。

「seさま」からの、『生の情報』・・・

 「ぬまゆ」さんは作業員から生の情報を聞いたようだ。それによると「1月1日のあの地震で4号機の冷却プールの配管が壊れ空焚き状態になった」という。「ぬまゆ」さんが嘘を書いているとは思えない。

 そして「カレイドスコープ」も1月8日に4号機について記事を書いている。

4号機の使用済み燃料プールにいる作業員たち

 この記事にあるように1月2日から3日にかけて、今までの10倍ほどの放射性セシウムが検出されていたのだから、ツイッターでの情報は本当のことだった。

 「ぬまゆ」さんのブログに書かれている作業員の証言と併せて考えると、1月1日の地震で4号機の燃料プールの配管から水漏れが起き、その修復作業をしている間に燃料プールの水がどんどん減っていき燃料棒が一時的に露出した、と考えると辻褄が合う。

 この時のことについて、原発作業員のTSさんはツイッターで以下のように呟いている。

http://twitter.com/#!/sunnysunnynismo/status/155254811657375744
私の公式見解『4号機崩壊は取り急ぎ無い。燃料プールの件も想定内で対処済み。心配無い。ただし、なんだか線量があがっているという話でいまいちよく分からんのでマスクを着用したり子供の外遊びを控えたり、こまめに線量測定をしたりするのは否定しない。心配はしなくていいが、安心はしない事。』

 TSさんは守秘義務があってこの程度のことしか書けないのだろう。このツイートからくみ取れるのは、「4号機は崩壊していないが、燃料プールでは問題が生じ、それは対処した。しかし住民は安心せずに警戒せよ」ということだ。

 そして「ぬまゆ」さんの1月9日のブログ記事を読んでドッキリした。

「Koさま」からの情報・・・(後編)

 この記事のなかほどに「4号機建屋の使用済み燃料プール下のコンクリートが剥がれて、下にドス-ン、ドスーンと落ちている、という東電関係者の話を聞いたという人からの情報も来ている。あと一ヶ月もつかどうか、という。」という記述がある。

 これについては「ぬまゆ」さんもまた聞きであり「確認が取れていない情報」としているので断言はできないのだが、1日の地震で4号機がかなりのダメージを受けた可能性がある。4号機に関してはガンダーセン氏もかなり前から警告を発していた。どうやらほんとうに深刻な状況のように思える。燃料プールの冷却ができなくなって燃料棒の露が続いたり4号機が倒壊したならば、今度こそとんでもない大惨事になる。

 さらに問題なのは、東電が今回のトラブルを一切発表しないということだ。今回は対処によってなんとか大惨事になることは免れたようだが、次に大きな地震がきたときは本当にどうなるか分からない。福一はまだまだ崖っぷちに立っている状態なのだ。それなのに収束宣言をする政府には呆れて物が言えない。

 これではっきりしたのは、もし4号機が倒壊するようなことがあったとき、東電も政府も速やかに事実を公表して住民に避難を呼びかける可能性はそれほど高くないということだ。大きな地震があったら自分で情報収集し、スイス気象局が提供しているサイトで風向きを確認し、建物に閉じこもるとか避難するなどの判断を自分でしなければならないだろう。

 「ぬまゆ」さんのブログには嫌がらせコメントが相次いでいるという。東北や首都圏からの避難を呼び掛けている木下黄太さんも、ツイッターを見ているとかなり嫌がらせをされている様子がわかる。事実を知らせようとする人たちに、いわゆる工作員といわれるような人たちが集中攻撃をしているのだろう。

 ただでさえ原発事故で戦争状態なのに、本当のことを知らせようとする人たちをここまで妨害するというのは戦前の日本を彷彿とさせる。彼らの目的は嫌がらせや脅しによって発信者を委縮あるいは疲弊させ、発信者の信頼を貶めることだろう。

 一般の人たちも、日本はこういう状況であることを肝に銘じ、確かな洞察力と強い精神力を持つことが求められていると思う。そうでなければ、原子力ムラの連中の思う壺にはまってしまう。

2012年1月 7日 (土)

イソコモリグモの分布と大津波

 イソコモリグモは海岸の砂浜に巣穴を掘って生活している大型のコモリグモだ。日本では、北海道と本州に生息している。北海道では広く分布しているのだが、興味深いのは本州の分布だ。

 本州の場合、日本海側と太平洋側ではかなり分布の様相が異なっている。日本海側では富山県と兵庫県を除き、青森県から島根県まで生息が確認されている(とはいっても、自然海岸の消失によってかなりとぎれとぎれになっているのが実態だが)。それに対し、太平洋側では青森県から岩手県の北部に生息するほか、宮城県、福島県をとびこして茨城県に隔離分布しているのだ。

 砂浜のほとんどない三陸海岸に分布していないのはわかるが、なぜ砂浜のある宮城県や福島県には分布していないのか? 日本海側ではかなり西まで分布を広げているのに、なぜ太平洋側は茨城県が南限なのか?

 私は、その理由は津波にあるのではないかと考えている。東北地方がしばしば大津波に襲われたことはよく知られている。日本海側に比べ、太平洋側は圧倒的に大きな地震が多く、海岸はしばしば大津波に洗われてきたのだ。

 仙台の七北田川の河口に広がる蒲生干潟は渡り鳥の渡来地として知られ、かつて東京に住んでいた頃、何回か野鳥の観察にでかけたことがある。ここには「日和山」と呼ばれている標高数メートルほどの小高い丘があり、野鳥の観察にうってつけの場所だった。しかし、あの3.11の大津波でこの日和山は跡形もなく消失してしまったのだ。

蒲生干潟の現状~干潟生態系、徐々に復元~(JAWAN REPORT)

 日和山や松林を飲み込んでしまうほどの大津波が押し寄せたなら、イソコモリグモの生息地などひとたまりもないだろう。茨城県の生息地は、そうした津波被害からなんとか逃れて存続してきたものではなかろうか。

 岩手県北部の生息地も、先日グーグルアースで見たところ、かなり津波の被害を受けているようだった。ここのイソコモリグモは果たして生き延びることができただろうか?

 ここ3、4年ほど北海道の海岸を回ってイソコモリグモの生息調査を行ってきたが、北海道の海岸でもイソコモリグモが「いそうでいない」というところがある。たとえば道東の根室半島の太平洋側だ。生息していてもおかしくないとても雰囲気のいい砂浜がいくつかあるのだが、ここでは生息の確認ができなかった。

 それでふと思ったのが、津波の影響だ。北海道の沖にもプレートの境界がありしばしば大きな地震が起こっている。道東の海岸は過去に何回も大きな津波に襲われたはずだ。その津波によって生息地の砂浜がさらわれてしまったのではなかろうか? その後、また砂が堆積してイソコモリグモの生息適地が復活しても、移動能力の小さいイソコモリグモは簡単に分布を広げられないのだ。

 海浜特有の生物にとって、生息地をそっくりさらってしまう大津波は脅威に違いない。茨城県に隔離分布するイソコモリグモは度重なる大津波から逃れ、ひっそりと生き延びてきたと思えてならない。

 かつては大津波で生息地が消失することがあっても、長い時間をかけて近隣の生息地から移動してきた個体によって分布を広げることもあったのだろう。しかし、人間が自然の砂浜を破壊し、コンクリート護岸だらけにしてしまった今、イソコモリグモの生息地は大きく分断されてしまった。こうなってしまうと移動能力の小さい生きものは滅びていくしかないのだろう。クモにとって自然の脅威以上に恐ろしいのは人間なのだ。

2012年1月 4日 (水)

北海道東方沖で大きな地震の可能性

 地震、火山研究者の塩井宏幸さんが北海道東方沖での地震について警告している。

http://twitter.com/#!/maguro_kumazo/status/154382154523086848
地理院の「最新の地殻変動情報」が12/4~12/17の2週分について1/3に更新されました。はじめに道東の地殻変動をチェックしたところ、東西変動が12月に入って東方偏位成分の増大が始まっている可能性があります。
http://homepage2.nifty.com/h-shioi/Earthquake/EastHokkaidoGPS_EW_Movement111217.png 

http://twitter.com/#!/maguro_kumazo/status/154382327609434113
増大とはいってもノイズレベルを超えるものではないのですが、道東に限って同期して発生していることは意味があると考えます。下記のグラフにはありませんが、十勝地方の大樹まで同様の傾向が見られます。2004年11月29日発生の釧路沖地震M7.1と東北地方太平洋沖地震前に注目して下さい。

http://twitter.com/#!/maguro_kumazo/status/154382442361393152
2004年釧路沖の時は約1ヶ月前から、東北地方太平洋沖では約1ヶ月半前から東方偏位成分の増大~加速が発生しています。このような変動はおそらくプレート境界での先行スベリモデルでは説明不可能なため無視され続けていると思われますが、先行変動と言うべき現象は明瞭にとらえられているのです。

http://twitter.com/#!/maguro_kumazo/status/154382535676264448
今回の道東での東方偏位成分の増大については次回の12/24までのデータで加速傾向が見られた場合、プレート境界の大規模地震につながる可能性は極めて高くなりますが、過去の例から見るとこの1週間の間に発生してしまうかもしれません。

http://twitter.com/#!/maguro_kumazo/status/154382651090927616
もし次回の更新で加速がとらえられ、かつ、まだ対応する地震が発生していない場合、巨大地震につながる可能性もあります。根室半島より東方のデータがないので確定的ではありませんが、浦河沖~三陸北部までが「同時に」連動する超巨大地震につながる可能性は低いと考えられます。

http://twitter.com/#!/maguro_kumazo/status/154390547031789569
道東の地殻変動については地理院のGPS迅速解が利用できれば現時点で大規模地震発生が切迫しているか判断できるでしょう。そのような立場の方がこのツイートを読まれているかどうかは判りませんが、情報拡散していただければ届くかもしれません。皆さん、よろしくお願いします。

 アー二ー・ガンダーセン氏によると、原発事故直後に高濃度セシウム2,000キロメートル沖合まで流れたと言う。海の汚染は凄まじい。

ガンダーセン氏が、太平洋の福島原発放射能の影響を語る。 (「新しい時代を作るのは老人ではない。」

 ふたたび巨大地震で日本列島が津波に襲われるとしたら、こんどは汚染津波が押し寄せると考えたほうがいい。海岸地域に住んでいる方は、大地震がきたならとにかく避難して欲しい。

無視できない汚染瓦礫問題

 放射能汚染された震災瓦礫の処理に一番に手を挙げたのが東京都だったが、汚染瓦礫を燃やすことで放射性セシウムが大気に拡散していることは間違いないようだ。以下の新井哉さんの記事をお読みいただきたい。

「汚染がれき」焼却、清掃工場から放射性物質を放出か(新井哉の危機管理・国民保護ブログ)

 環境省はバグフィルターで放射性物質を取り除けるとしていたが、それは誤りだ。パブコメでも多くの人が意見を言っていたのに、それらも無視したのだ。国民に嘘の説明をして汚染瓦礫の拡散を主導した環境省の責任は重い。

 新井氏によると、焼却によってガス化したセシウムは微粒子のため、N95などの高性能マスクすら通り抜けてしまうという。これでは周辺住民は被ばくの防ぎようがない。

「高線量」足立区で汚染がれき焼却(新井哉の危機管理・国民保護ブログ)

 さらに、東京の汚染瓦礫処理の問題では、天下り団体の財団法人東京都環境整備公社が東京都から巨額の運転資金を得るとのこと。瓦礫処理利権といえる構図が浮かび上がってきた。

東京「汚染がれき」処理、「利権」優先か(新井哉の危機管理・国民保護ブログ)

 汚染瓦礫処理は喫緊の問題であり民主的に進めなくてもいいという声もある。しかし、強引に進めれば周辺住民の被ばくや環境汚染を助長させるのみならず、利権の構図を認めることにもなる。独裁的に進めていいということには到底ならない。

2012年1月 3日 (火)

新しい年のはじめに思うこと

 新しい年が明けた。地震や津波で家族や親戚、友人などを失った方、津波で家や財産をなくしてしまった方、原発事故で避難を余儀なくされている方、健康を損ねている方たちはどんな気持ちで新しい年を迎えたのだろう。とても「おめでとう」などという気分ではないと思うし私自身もそんな気持ちになれないので、新年の挨拶は省略したい。

 元旦から鳥島付近を震源とする大きな地震があった。その地震の影響なのか、福島第一原発の4号機の燃料プールに隣接するスキマサージタンクの水位が通常より早く減少していると報じられた。何とも落ちつかない年の始まりだ。

 この年末年始、ツイッターでは「ぬまゆ」さんのブログが話題になっていた。南相馬市に住む女性がご自身の体調について綴っているのだが、健康だった歯がボロボロになって顎に激痛が襲い、髪が束になって抜け、足の爪が外れるなど、その症状は信じがたいほど衝撃的だ。以下が「ぬまゆ」さんのブログ。

ぬまゆのブログ

 「ぬまゆ」さんの症状の原因が放射能であると断言はできない。しかし、私は彼女の姿が、チェルノブイリの事故で被ばくした方たちと重なった。もちろん福島に住んでいるすべての方が「ぬまゆ」さんのような症状になるわけではないが、チェルノブイリの悲劇が始まっているとしか思えない。

 福島には今も多くの子どもたちが住んでいると思うと、心が痛む。政府はなぜ住民を避難させないのか? あのNHKですら、ICRPの嘘を暴いたではないか。日本政府の対応が旧ソ連以下だと思うとほんとうに情けなく腹立たしい。

 いただいた年賀状の多くが、いつもと変わらない内容だった。震災や原発事故のことに触れている年賀状はごくわずかだ。お正月だからと意識して不幸なできごとに触れていないのならいいのだが、危機感がほとんどないという人が多いのであれば、そのことの方が恐ろしい。

 この国はいつどこで大地震が起こり原発事故が起こってもおかしくないことを3.11の地震は知らしめた。今、国内の原発の多くが止まっている。何としてでも稼働させてはならない。原発のない社会をつくることこそ、これほどの大事故・大惨事を起こした日本人の責務だと思う。以下は原子力資料情報室の年頭の挨拶だ。多くの方に読んでいただきたい。

制御不能から希望へむかって

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