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2011年11月25日 (金)

チェルノブイリの被害に学ぶ

 今日は、ロシアのアレクセイ・ヤブロコフ博士らがまとめたチェルノブイリ原発事故の被害のレポートを紹介したい。ウェブサイトは以下。ここで暫定訳を随時公開している。

チェルノブイリ被害実態レポート翻訳プロジェクト

 この報告書では、チェルノブイリの事故による犠牲者数は少なくとも98万5000人と見積もっている。国連やIAEAによる「直接的な死者は50人、最終的な死者は4000人」という数値とはけた違いの被害者数だ。原子力を推進する者たちが過小評価をすることで危険性を曖昧にしていることが浮かび上がってくる。

 訳はまだ一部しか公開されていないが、大変重要な指摘がなされている。

 まず、以下の「前書き」をお読みいただきたい。

前書き

 ここからいくつか重要な部分を引用したい。

立場が両極端に分かれてしまったために、低線量被曝(訳注2)が引き起こす放射線学・放射線生物学的現象について、客観的かつ包括的な研究を系統立てて行い、それによって起こりうる悪影響を予測し、その悪影響から可能な限り住民を守るための適切な対策をとる代わりに、原子力推進派は実際の放射性物質の放出量や放射線量、被害を受けた人々の罹病率に関するデータを統制し始めた。

放射線被曝に関連する疾患が明らかに増加して隠しきれなくなると、国を挙げて怖がった結果こうなったと説明して片づけようとした。それと同時に、現代の放射線生物学の概念のいくつかが突如変更された。

 福島の事故でも、放出された放射性物質の量を過小評価し、御用学者が安全アピールをし、放射能を怖がることによるストレスの弊害を持ち出して批判派をけん制しようとしている。チェルノブイリ事故で原発推進派がとったことと変わらない。おそらく日本でも今後顕在化するであろう健康被害について、マスコミは実態を積極的に報道しないだろう。

 チェルノブイリの場合、事故から20年を迎えた頃には何百万人もの人々の健康状態が悪化していたという。ガンだけではなく、様々な病気が増加していることが以下から裏付けられる。

また、年とともに(放射線に起因すると考えられる)非悪性疾患(訳注16)が増加して、チェルノブイリ大惨事の被害を受けた地域の子どもの罹病率全体が高くなり、「実質的に健康と言える子ども」の割合が減り続けている。たとえばウクライナのキエフでは、メルトダウン前は90パーセントの子どもが健康とみなされていたが、現在その数字は20パーセントである。ウクライナ領内のポレーシェの一部では、健康と言えるような子どもは存在せず、事実上すべての年齢層で罹病率が上がっている。

 放射能の影響でガンになる確率は非常に低いのだから、気にしていても仕方ないという人がいる。しかし、問題はガンだけではない。内部被曝の影響は深刻であり、低線量であってもさまざまな疾患を引き起こす。平均寿命が短くなるだけではなく、何世代にわたって影響を及ぼすのが放射能なのだ。

 また、放射能の影響は事故後数年してから顕著になる。日本では大変な汚染地域であっても除染することで人を住み続けさせようとしているが、被曝者を増やそうとしているだけだ。チェルノブイリから何も学ばない日本は、愚かでしかない。

 以下では、体内に入ってしまった放射性物質の除去について述べられている。

チェルノブイリの放射性核種を除去する

 放射性核種を減らすものとして、以下のようなものを挙げている。

被曝に対する抵抗力を高める補助食品を用いることで、身体が持っている自然免疫力を刺激することも有効だ。フリーラジカル(訳注6)の生成を妨げる、このような補助食品には、抗酸化性のビタミンAとC、微量元素のヨウ素(I)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、セレン(Se)、コバルト(Co)がある。これらの補助食品は被曝による有機物質の酸化(脂質過酸化反応)を防止する。免疫を刺激する栄養補助食品は各種あり、たとえば小麦などの植物のもやし、海藻(たとえばスピルリナ)、松葉、菌糸体などが挙げられる。

 また、カリウムやルビジウムはセシウムが体内に取り込まれるのを阻害し、カルシウムはストロンチウムの摂取を阻害するという。

 とりわけ、種々のビタミンを含むペクチン製剤であるビタペクトは、投与試験によって体内に蓄積した放射性核種の排泄を促すのに効果的であると報告されている。

 クリス・バズビー氏が避難したくてもできない子どもたちなどに対し、サプリメントの摂取を勧めるのもこのような理由からだ。

 被曝による影響を低減させることはできないと主張する人がいる。たとえば杉山弘一氏は「リンゴペクチンは放射能に効かない」という記事で、リンゴペクチンの効果を否定しているが、このビタペクトの投与試験についてどう考えているのだろうか。チェルノブイリ事故でのこうした報告にも当たらずデマだと決めけるのは、あまりにも安易だと言わざるを得ない。結局、杉山氏は「被曝を軽減する妙薬など原理的にありません」という思い込みが先に立っているのだろう。なにをもって「原理的にない」などと断言できるのか、私には理解不能だ。

 放射線被曝は、よく言われる甲状腺ガンや白血病以外にも様々な病気を引き起こすのだが、腎臓、膀胱、尿路などのほかに卵巣や精巣にも様々な影響を与えるという。

尿生殖路の疾患と生殖障害

 ウクライナでは事故後8年から10年で、避難者や汚染地区の住民に自然流産や妊娠中毒症、早産、その他の異常の発生頻度が有意に増加したという。こうした影響は次世代へと続いていくと思われる。こうして人口の低下が生じるのだ。

 福島の事故は、大爆発を起こして一気に放射性物質が飛び散ったチェルノブイリとは違うという人がいる。しかし、ガンダーセン氏の指摘するように関東地方でもホットパーティクルが相当量到達しているし、最近では都内からもストロンチウムが確認された。以下のような指摘もあり、チェルノブイリより影響が小さいなどと言える確証は今のところない。

http://www.twitlonger.com/show/cp4918 

 安心情報に惑わされずに、各自気をつけてほしいと思う。

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