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2011年11月

2011年11月30日 (水)

印象に残った名言をめぐって思うこと

 ツイッター上の名言と思うツイートや、本で読んだ名言フレーズを紹介している@together_meigenという方がいる。この名言の中には、ときおり思わず頷いてしまうものがある。先日、印象に残った名言に以下がある。

http://twitter.com/#!/together_meigen/status/141414621654429696
僕は人とのつき合いはその人の思想でつき合わない。そんなことしたら自分と同じ思想の人は一人もいないので友人も知人も一人もいないことになる。その人の人格でつき合うことにしている。いくら頭がよくて社会的地位があっても人格的にいただけない人とはつき合わない。(横尾忠則) 

 ツイッターでの発言を見ていると、各人の意見や思考だけではなく思想・信条や性格などまで伝わってきて興味深いものがある。そして、つくづく感じるのは、本当に一人ひとりが実にユニークな個性を持っているということだ。そんなことは当たり前なのだけれど、ツイートというのはそれがとりわけよく見えるような気がする。

 ツイートを読んでいると、多くの点で意見や感覚が一致するなあと思う人は結構いるが、100パーセント同じなどということは決してない。大筋は同じ意見であっても、必ずといっていいくらい自分とは見解が違う部分があるものだ。それがけっこう面白い。ツイッター上だけではなく、もちろん日々接している友人や知人もそうだ。意見や考え方が違うのは当たり前のことだ。だから意見や思想・信条が違うからといってその人と付き合わないということにはならない。

 しかし、今まで信頼していた人であっても、その人が人間として信頼できないことが分かったなら、付き合うのは止める。たとえば、自分の利益のために平気で嘘をついたり騙したりするタイプだ。こういう人間は一番嫌いだ。あるいは平気で人権侵害をするような人。著名だったり、まっとうなことを言っていても、セクハラ、パワハラなどをする人間とはとても付き合えない。また、あきらかに非があるのに、それを絶対に認めないで誤魔化す人なども付き合いきれない。そういう人は基本的に相手にしないことにしている。そう、「人格がいただけない人」はいくら意見が支持できても付き合う気はしない。

 たぶん自分の良心に誠実に生きている人、本音と建前の使い分けをあまりしない人、そんな人は意見が違っても信頼しあえるのだと思う。上記の名言はそのことをよく言い当てていると思う。

 もう一つ、思わずリツイートした名言が以下。

http://twitter.com/#!/together_meigen/status/140674650232467456 
人は批判ではなく期待に縛られる。期待は人前で見せている人格の延長線上にある。期待が膨らめば本当の自分を見せる事すら裏切りと取られる。嫌われるべき人になるべく早く嫌われておいた方がいい。好かれるのは結果であって目的ではない。(為末大)

 私は他人から期待されることを望まないが、他人に期待することも基本的にしない。そして何よりも「他人に良く見られたい」「嫌われたくない」とは決して思わない。他人の期待に応えるために生きているのではないし、あくまでも自分の気持ち、自分の良心を尊重して生きたいと思っているからだ。

 私はブログもツイッターも実名でやっているが、匿名で他人の批判をすることは決してしようとは思わない。社会的にある程度影響力のある人が、あまりにもいい加減な、あるいは無責任な発言をしていた場合は、名指しで批判もする。それで他人から嫌われたって構わないし、そんなことはちっとも気にならない。逆に、私を批判したいなら「どうぞご自由に」と言う。ただし、コメント欄で匿名でねちねち批判するのはお断りだ。そういうのは批判ではなく嫌がらせだ。ご自身のブログなどで正々堂々とやっていただきたい。だから「嫌われるべき人になるべく早く嫌われておいた方がいい」という言葉はとてもしっくりとくる。

 それともう一つ、ブログなどでまるで宗教の教祖のようになっている人がいる。自信たっぷりに自説を披露し、その人物をとりまく信者たちが賛同コメントを次々と入れて支持したり賞賛している。たまに反論のコメントが入ると、信者たちが寄ってたかって潰すのだ。批判的な意見は受け止めるものではなく潰すものらしい。私から見れば、とても非科学的であったりいい加減な主張をしていても、信者はその方を信じてやまないようだ。こうなるととても気持ち悪くて見ていられない。

 教祖も教祖だが、盲信している信者の人たちもどうかと思う。教祖は信者たちに期待されているという関係にあり、信者にとっては教祖の言っていることは何でも正しいのだ。信者たちは自分の頭で物事を考えたり、客観的に物事を見ることができないのだろう。そうしてしまう心の底には、教祖に嫌われたくないとか、同じ思考の人たちが群れることで安心感を得たいという思いがあるのだろう。人と意見が違っていたっていいではないか。違う意見を言って嫌われるなら、嫌う方が心が狭いと私は思う。

 「好かれるのは結果であって目的ではない」というのもまさにその通りだと思う。最近は「空気を読んで」周りの人の意見に同調することを好む人が多いようだが、私はとてもそんな息苦しいことはできない。私だったらそういう集団から出て行くか、あるいは自分の意見を言うべきときに言う。他の人と違うことを言ったら叩かれるかもしれない。でも叩かれて何が悪いんだろう。反論されて自分が間違っていたと思えば間違っていたと認めればいいし、自分が正しいと思えば貫けばいい。それが対話とか議論というものだろう。他人に合わせてまで自分を良く見せたいのなら、何のために?と思わずにいられない。自分を良く見せようと振舞っていたなら、きっといつも緊張していなければならないし、すごく疲れてしまうだろう。

 尊敬できる人間を思い浮かべたら分かることだが、そういう人は他人から好かれることを目的に行動しているわけではない。簡単には揺らがないしっかりした意志を持ち、他者への思いやりがあり、邪心がなく、真摯な姿勢で物事に取り組んでいる人ではなかろうか。だから、背伸びせず、周りを気にし過ぎず、自分自身に誠実に振舞っていればいいのだと思う。

2011年11月28日 (月)

矢ヶ崎克馬さんが語る内部被曝の話

 原発事故で本当に恐ろしいのは内部被ばくだ。もちろん大量の放射線を浴びたら外部被ばくであっても命に関わるが、内部被ばくは長年にわたってじわじわと体を蝕んでいく。枝野元官房長官が「ただちに影響ありません」と繰り返したのは、内部被ばくの影響はただちに現れないということ。そして原発推進派がもっとも隠しておきたいのが内部被ばくによる健康被害だろう。

 日本中に放射能が拡散した今、内部被ばくの専門家である矢ヶ崎克馬さんの話に耳を傾け、真摯に受け止める必要がある。その矢ヶ崎さんの講演会での話を守田敏也さんが書き起こしして下さった。非常に重要な指摘が多々ある。多くの人に読んでいただき、また広めて欲しい。

子どもたちを放射能から守るために・・・矢ヶ崎さん講演録(1) 
子どもたちを放射能から守るために・・・矢ヶ崎さん講演録(2) 
子どもたちを放射能から守るために・・・矢ヶ崎さん講演録(3) 
子どもたちを放射能から守るために・・・矢ヶ崎さん講演録(4) 

 十分に理解するためには守田さんの書き起こしを通して読んでいただきたいが、以下に要点を箇条書きに書きとめておきたい。

・原爆投下やアメリカの核戦略のために内部被曝が隠され続けてきた。
・低線量被曝の記録が隠蔽され、事実が切り捨てられてきた。
・福島ではホールボディカウンターの検出限界を高く設定することで現実を無視しようとしている。
・市民と科学者が力を合わせないと健康が守れない。
・東京の子どもたちに鼻血、口内炎、気管支炎、下痢等の症状が出ており、尿からセシウムが出ているのが現実。症例については以下を参照。

必見!町田からのこどもたちの健康被害?報告。・・・大人の症例もあり。
・放射線によって分子が切断され、ダイレクトに機能破壊すると脱毛や紫斑、下痢、出血などの急性症状が出る。
・免疫力の低下が起き、感染症などの死亡率が高くなる。これについては以下を参照。

マイコプラズマなど感染症が増加・・・被曝の影響では?
・ストレスや病気をもつ高齢者も影響を受けるので、誰もが被曝を避ける必要がある。
・DNAが放射線を浴びて切断されることで、晩発性のガンを引き起こしたり、遺伝的影響が出る。
・内部被曝は、放射性物質の埃を肺の中に吸い込むことと、水や食べ物として取り込むことで生じる。
・放射能の埃は大きいものでも1000分の1ミリメートルと非常に小さい。内部被曝では体内から放射線が出るので、外部被曝より多くの放射線を浴びることになる。
・α線は45ミリ程度、β線は1メートルほどしか飛ばないので、これらが体外にあるときは1メートル以上離れていれば放射線は届かず、γ線だけが問題になる。
・α線やβ線を出す放射性物質が体内にあれば分子切断をするために外部被曝より非常に深刻な影響を与える。
・セシウムはβ線しか出さないが、β線を出すとバリウムに変化しこれがγ線を出す。つまりβ線とγ線の両者が放出される(放射平衡という)。セシウム137の放射線はγ線だという人がいるが、内部被曝の場合はβ線を考えなければ被曝量をつかめない。
・内部被曝をまじめに考えている科学者集団は、内部被曝は外部被曝の700倍の実効線量があると考えている。ヨウ素1000万分の1ミリグラムが1週間体内にあれば、1シーベルトの被曝になる。
・毎秒1万本の放射線が体に突き刺さることが1年間続いて、やっと1ミリシーベルトになる。この巨大な被曝量がICRPの定める平常時の許容量。
・放射能の害はストレスなどと相乗効果をあらわすので、タバコによるガンなどと比較するのは誤り。
・広島では原爆が落とされたあとに台風がきて被曝地が洗い流された。そのあとの放射線量を測り、はじめからこれしかなかったと誤魔化した。
・ICRPの基準は、被曝による分子切断が高密度に起こっていても、臓器全体として平均化することで被曝の実態を隠している。
・汚染のない食品を供給することが被曝を免れる基本。休耕地を利用して食料の大増産をしていかねばならない。
・移住すべき汚染レベルなのか、除染すべきレベルなのかを長期的な視点で見極めることが大事。
・国民の被曝を回避するよう、市民が要求していかなければならない。

 御用学者たちがいかにいい加減なことを言っているかが分かる。彼らは自分たちの利益のために国民を被曝させることを選んだのだ。今は日本中に汚染された食べ物が当たり前のように流通している。このようななかで、私たちはできる限り被曝をさける努力をし、汚染のない食べ物を流通させるように働きかけていかなければならないということなのだ。

 なお、今回の福島の事故による被ばくでは鼻血や下痢などの急性症状が出ることは考えられないという方がいる。医師の中にもそのようなことを言っている方がいるようだ。しかし、矢ヶ崎さんのお話からは被曝によって鼻血や下痢が生じることがよく分かる。医師や学者の言っていることは正しいだろうと何でも信じてしまうのは禁物だ。

2011年11月27日 (日)

パニックという言い訳の裏にあるもの

 3.11の大震災以来、「パニック」という言葉をどれだけ聞いただろうか。1号機の水素爆発のあと、テレビはライブカメラの建屋の上部が吹っ飛んだ映像を流していた。それなのに政府は爆発という事実の説明を何時間も渋っていた。テレビには御用学者が登場して「格納容器は健全です」という嘘を繰り返していた。

 放射能の拡散予測のために導入されたSPEEDIの計算結果も、速やかに国民に公表されることはなかった。肝心なときに全く役に立たなかったが、これは意図的に出されなかっただけだ。

 爆発が一回にとどまらず相次いだのに、対応はまったく同じだった。この結果、政府やマスコミの報道を信じた多くの住民が被ばくをさける対応をとれずに被ばくした。それらの言い訳としてしきりに使われたのは「パニックを防ぐため」だ。

 さらに、放射能の危険を指摘する人たちに対しては「不安を煽る」と言い、「不安によるストレス」を持ち出して批判する。「パニック」と「不安を煽る」は原発推進派の言い訳に必ず登場する。

 しかし、災害に見舞われれば誰でもパニック状態になるものだ。地震であれ、津波であれ、台風であれ、洪水であれ、人為的な事故であれ、平穏な日常を瞬時に覆すような災害はいずれも人々の気を動転させパニックを引き起こす。津波による被害者を出さないために大地震があれば津波警報を出すし、日本に台風が向かってくればやはり警告を発する。洪水や土砂崩れが予測されればやはり避難勧告を出す。そのときにパニックなどという言い訳は通用しない。人命が先だからだ。

 ところが原発事故はどうだろう? 地震によってすでに放射能が漏れだしていたことを東電の関係者は知っていたのだ。だから社員の家族はさっさと避難した。このときに枝野元官房長官も放射能漏れはないと繰り返して国民を騙していた。福島のテレビ局も爆発の瞬間を捉えていた。それなのに事実を速やかに報道して避難を呼びかけることをしなかった。地元自治体もフクイチの深刻な事態やSPEEDIの情報を知っていた

1号機水素爆発-住民には知らせず逃げた町議会の人々(Urban Prepper)

 事実を速やかに伝え、放射能拡散予測を伝え、適切な避難を呼びかけなかったために人々が被ばくした。原発事故そのものも人災だが、防ごうと思えば防げた被ばくを防げなかったのも人災だ。そして、その度に持ちだされた言い訳が「パニック」だ。天災ではパニックを理由に避難勧告を躊躇することなど決してない。ところが人災となった途端にパニックという言い訳が登場する。

 もちろん突然災害がふりかかったらパニックは生じる。避難のために皆が自家用車で逃げたなら、道路は渋滞して大混乱になるだろう。だから津波で避難するときも、自家用車は利用しないように呼びかけている。パニックまで想定するのが防災なのだ。

 放射能漏れがあったなら速やかに事実を知らせ、ヨウ素剤を飲ませる(本来なら原発周辺の住民にはあらかじめ配布しておくべき)、窓を閉めマスクを着用する、拡散予測を参考に住民をすみやかに避難させる・・・こういったことが、原発事故の防災として想定されていなければならなかったのだ。政府は自分たちの無防備さを隠すために嘘をつき、パニックという言葉で騙しているにすぎない。安全神話を振りまき、防災をおろそかにして住民を被ばくさせた者たちの責任は重い。

 さて、北海道大学の森谷武男さんはご自身のホームページで大地震の予測を公表したのだが、最近になって当該記事が閉鎖されてしまった。その理由が以下の北大地震科学研究観測センターのホームページに掲載されている。  

最近のインターネット上のニュース・週刊誌等の報道に関して

 「将来の地震の直前予測につながる基礎的データを蓄積し研究を進めている段階であり、現在のデータから巨大地震の発生時期やその大きさを科学的に予測できる段階にはありません」「個人的見解とはいえ、現時点で科学的な根拠の薄い地震予測情報が公表され、特に東日本大震災の被災者のみなさまには、いたずらに不安を煽ってしまうような状況を生み出したことにつきまして、お詫び申し上げます」というのが予測情報を封印した理由だ。

 森谷さんはこれまでの研究により大地震と地震エコーに相関性があることを見出していた。そして、ご自身の観測結果から近い将来に非常に大きな地震が起きる可能性が高いと判断したからこそ、根拠となるグラフを示して予測の公表に踏み切ったのだろう。「科学的な根拠が薄い」とする根拠は何なのか? 森谷さんがあえて予測を公表した背景には、自らの研究を3.11の被害の軽減に役立てることができなかったという後悔の念があるに違いない。

 「個人的見解」を持ち出すのもおかしな話だ。森谷さんはご自身のホームページで「1995年に串田嘉男氏によって 経験的に発見された地震前兆現象について考察し,電気通信大学,東京学芸大学,千葉大学の先駆的な観測を参考にしながら,より科学的に発展にさせるために,2002年度から本学理学研究科 地震火山観測研究センターで研究を始めた.」と書いている。つまり、これは森谷さんの私的な趣味のような研究ではなく、北大の地震火山観測センターでの研究なのだ。大学として認めた見解なら公表してもよいが、個人レベルの見解を公開してはいけないなどということになれば、公の機関に所属する研究者は自説の公表すらできなくなる。自説を公表できないなら研究者などやっていられない。まったく馬鹿げた理屈だ。

 そして気になるのが「特に東日本大震災の被災者のみなさまには、いたずらに不安を煽ってしまうような状況を生み出した」という記述だ。東日本大震災の被災者の方たちは、事前に適切な予測や警告があれば、もっと被害を軽減できたのではないか? 再度同じような大地震や大津波の可能性があるなら、再び被害にあわないためにも予測や警告は意味がある。そんな大地震は起きてほしくない、と被災者の誰しもが思うだろうが、天災は気持ちでどうにかなるものではない。ここにも不安やパニックにつけこんだ言い訳がある。

 私はこの閉鎖をめぐって、北大に何らかの圧力がかかったのではないかと思えてならない。その理由が「不安を煽る」だ。まったく馬鹿らしい。いったい何のために地震予測の研究をしているのだろう? 予測によって被害を軽減させるためではないのか? 予測が当たらなかったことによる被害より、予測を隠し対策を怠ったことによる被害のほうがよほど深刻で取り返しがつかない。

 私は、森谷さんの地震エコーが3.11の地震の前兆を捉えていたことを知って、防災に役立てなかったことを本当に残念に思った。予測はあくまでも予測であって、不確実なものだ。不確実だからといって秘密にしていたなら同じ轍を踏むことになりかねない。たとえ不確実であっても、知らせて防災対策をとることに意味がある。

 地震学者の島村英紀さんの書いた以下の記事を読んでほしい。

地震学者・今村明恒の悲運

 関東大震災の前に、近いうちに東京で地震が起き火災被害が甚大になることを予測し、防災対策を具体的に訴えた今村明恒氏の警告が歪曲されて広がり、防災に役立たなかった事例を取り上げている。

 冷静な警告と防災の呼びかけを正しく報じず、扇動的な記事を書いて不安を煽ったのはマスコミだ。その不安を鎮めるために帝国大学の大森房吉は自説をねじ曲げて火消しに努めた。その結果、今村氏の警告は活かされることなく予測が的中したのだ。

 私は今回の北大地震科学研究観測センターの記事を読み、このことがすぐに頭に浮かんだ。今回、森谷さんは自らの見解をご自身のホームページで公表された。マスコミも森谷さんの見解を報道したが、決して歪曲して不安を煽ったわけではない。森谷さんの見解をそのまま伝え、記事によっては疑問視するコメントも載せている。だから北大が火消しに努める必要などないのだ。

研究者「12月から1月、第2の東日本大震災が東北を襲う!」 (NEWSポストセブン)

大震災“的中”の博士「関東近海でM9」と警告!その恐るべき根拠(産経新聞)

 島村さんは「地震学者・今村明恒の悲運」の冒頭で以下のように書いている。

 地震の予知は現代でも難しい。日本では半世紀以上前から国家プロジェクトとして思考錯誤が続いているが、今回の東日本大震災に至るまで、一度も成功したことがない。
 しかし、たとえ地震予知ができなくても、来るべき地震の規模と、被害の大きさを予測し、それに備えるよう警告するのは、地震学者の大事な役目のはずである。

 地震学者としての大事な役目を実行すれば、サイトの閉鎖を余儀なくされるというのがこの国の実態だ。「パニック」「不安を煽る」という言葉の陰に隠れているものを見落としてはならない。

2011年11月25日 (金)

チェルノブイリの被害に学ぶ

 今日は、ロシアのアレクセイ・ヤブロコフ博士らがまとめたチェルノブイリ原発事故の被害のレポートを紹介したい。ウェブサイトは以下。ここで暫定訳を随時公開している。

チェルノブイリ被害実態レポート翻訳プロジェクト

 この報告書では、チェルノブイリの事故による犠牲者数は少なくとも98万5000人と見積もっている。国連やIAEAによる「直接的な死者は50人、最終的な死者は4000人」という数値とはけた違いの被害者数だ。原子力を推進する者たちが過小評価をすることで危険性を曖昧にしていることが浮かび上がってくる。

 訳はまだ一部しか公開されていないが、大変重要な指摘がなされている。

 まず、以下の「前書き」をお読みいただきたい。

前書き

 ここからいくつか重要な部分を引用したい。

立場が両極端に分かれてしまったために、低線量被曝(訳注2)が引き起こす放射線学・放射線生物学的現象について、客観的かつ包括的な研究を系統立てて行い、それによって起こりうる悪影響を予測し、その悪影響から可能な限り住民を守るための適切な対策をとる代わりに、原子力推進派は実際の放射性物質の放出量や放射線量、被害を受けた人々の罹病率に関するデータを統制し始めた。

放射線被曝に関連する疾患が明らかに増加して隠しきれなくなると、国を挙げて怖がった結果こうなったと説明して片づけようとした。それと同時に、現代の放射線生物学の概念のいくつかが突如変更された。

 福島の事故でも、放出された放射性物質の量を過小評価し、御用学者が安全アピールをし、放射能を怖がることによるストレスの弊害を持ち出して批判派をけん制しようとしている。チェルノブイリ事故で原発推進派がとったことと変わらない。おそらく日本でも今後顕在化するであろう健康被害について、マスコミは実態を積極的に報道しないだろう。

 チェルノブイリの場合、事故から20年を迎えた頃には何百万人もの人々の健康状態が悪化していたという。ガンだけではなく、様々な病気が増加していることが以下から裏付けられる。

また、年とともに(放射線に起因すると考えられる)非悪性疾患(訳注16)が増加して、チェルノブイリ大惨事の被害を受けた地域の子どもの罹病率全体が高くなり、「実質的に健康と言える子ども」の割合が減り続けている。たとえばウクライナのキエフでは、メルトダウン前は90パーセントの子どもが健康とみなされていたが、現在その数字は20パーセントである。ウクライナ領内のポレーシェの一部では、健康と言えるような子どもは存在せず、事実上すべての年齢層で罹病率が上がっている。

 放射能の影響でガンになる確率は非常に低いのだから、気にしていても仕方ないという人がいる。しかし、問題はガンだけではない。内部被曝の影響は深刻であり、低線量であってもさまざまな疾患を引き起こす。平均寿命が短くなるだけではなく、何世代にわたって影響を及ぼすのが放射能なのだ。

 また、放射能の影響は事故後数年してから顕著になる。日本では大変な汚染地域であっても除染することで人を住み続けさせようとしているが、被曝者を増やそうとしているだけだ。チェルノブイリから何も学ばない日本は、愚かでしかない。

 以下では、体内に入ってしまった放射性物質の除去について述べられている。

チェルノブイリの放射性核種を除去する

 放射性核種を減らすものとして、以下のようなものを挙げている。

被曝に対する抵抗力を高める補助食品を用いることで、身体が持っている自然免疫力を刺激することも有効だ。フリーラジカル(訳注6)の生成を妨げる、このような補助食品には、抗酸化性のビタミンAとC、微量元素のヨウ素(I)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、セレン(Se)、コバルト(Co)がある。これらの補助食品は被曝による有機物質の酸化(脂質過酸化反応)を防止する。免疫を刺激する栄養補助食品は各種あり、たとえば小麦などの植物のもやし、海藻(たとえばスピルリナ)、松葉、菌糸体などが挙げられる。

 また、カリウムやルビジウムはセシウムが体内に取り込まれるのを阻害し、カルシウムはストロンチウムの摂取を阻害するという。

 とりわけ、種々のビタミンを含むペクチン製剤であるビタペクトは、投与試験によって体内に蓄積した放射性核種の排泄を促すのに効果的であると報告されている。

 クリス・バズビー氏が避難したくてもできない子どもたちなどに対し、サプリメントの摂取を勧めるのもこのような理由からだ。

 被曝による影響を低減させることはできないと主張する人がいる。たとえば杉山弘一氏は「リンゴペクチンは放射能に効かない」という記事で、リンゴペクチンの効果を否定しているが、このビタペクトの投与試験についてどう考えているのだろうか。チェルノブイリ事故でのこうした報告にも当たらずデマだと決めけるのは、あまりにも安易だと言わざるを得ない。結局、杉山氏は「被曝を軽減する妙薬など原理的にありません」という思い込みが先に立っているのだろう。なにをもって「原理的にない」などと断言できるのか、私には理解不能だ。

 放射線被曝は、よく言われる甲状腺ガンや白血病以外にも様々な病気を引き起こすのだが、腎臓、膀胱、尿路などのほかに卵巣や精巣にも様々な影響を与えるという。

尿生殖路の疾患と生殖障害

 ウクライナでは事故後8年から10年で、避難者や汚染地区の住民に自然流産や妊娠中毒症、早産、その他の異常の発生頻度が有意に増加したという。こうした影響は次世代へと続いていくと思われる。こうして人口の低下が生じるのだ。

 福島の事故は、大爆発を起こして一気に放射性物質が飛び散ったチェルノブイリとは違うという人がいる。しかし、ガンダーセン氏の指摘するように関東地方でもホットパーティクルが相当量到達しているし、最近では都内からもストロンチウムが確認された。以下のような指摘もあり、チェルノブイリより影響が小さいなどと言える確証は今のところない。

http://www.twitlonger.com/show/cp4918 

 安心情報に惑わされずに、各自気をつけてほしいと思う。

2011年11月24日 (木)

地震学者らが警告する茨城沖・房総沖の大地震

 3.11の悪夢のような地震・津波災害、そして福島第一原発の大事故は日本中に「原発震災」の恐ろしさを実感させた。あれから8カ月以上が経過したが、複数の地震学者が日本ではいつ大地震が起きてもおかしくないと言い、とりわけ茨城・房総沖での巨大地震に警告を発している。

 以下は地震学者島村英紀氏のホームページに掲載された週刊現代の記事。

「まもなく大地震が来る」 

 日本は太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレート、北米プレートという4つのプレートの境界にある。プレートは動いているのだから、大地震は必ず定期的に襲ってくる。3月11日の地震は太平洋プレートが北米プレートの下に沈み込んでいるところで起きた海溝型の地震だ。しかし、3月11日の地震では茨城沖から房総沖にかけの地域は動いていない。ここには力が加わり続けていて、いつ動いてもおかしくないと言われている。以下の木村政昭さんのサイトでも、この地域では2012年プラスマイナス3年のうちに地震が起こる可能性が高いと指摘している。

http://web.mac.com/kimura65/Site2/Home.html 

 ここでの地震が最近になって現実味を帯びて語られるようになった。「巨大地震を警戒せねばならない時代になった」でも書いたように、北大の森谷武男さんがVHF地震エコーの観測から東北地方南部沖から関東地方沖でマグニチュードの大きい地震が発生する可能性があると警告している。時期としては12月から2012年1月ころではないかと推測している。森谷さんの地震エコーのデータが最近更新されているので参照いただきたい。

http://nanako.sci.hokudai.ac.jp/~moriya/M99.htm 

 このグラフから地震エコーの継続時間が徐々に短くなってきているのがわかる。3月11日の東北地方太平洋沖地震のときにも、これが短くなってから地震が発生している。  また11月10日に「くるぞーくん掲示板」で宇田進一氏が警告を発している。総説の部分を以下に転載しておきたい。

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1. 総説:

 地震の発生を予測するということが、これほど切なくつらいものだとは思いませんでした。またも大津波が、それも前回(3.11)に倍するかもしれない大津波が発生するなどと発信するのは非常につらいものがあります。皆さん!生き残ってください。津波に負けないでください。3.11の時よりもはるかに高さと距離を稼いで逃げてください。介護の必要のある方々は海岸地方から予め逃げていてください。足腰の丈夫な人は、足で逃げてください。足腰の弱い人は自転車で逃げてください。自動車でみんなが逃げると渋滞に巻き込まれます。やむを得ず自動車で逃げる場合は、渋滞しないように交通整理が必要となるでしょう。あるいは事前に自動車避難許可証のようなものが必要でしょうか。今回は、アウターライズといって日本海溝より外側(アウター)の海底の隆起している部分(ライズ)で発生します。想定している断層から海岸までは3百数10kmありますので、地震発生から、津波到達まで3,11の時よりは少しだけ時間に余裕があると思われますので、パニックにならないように落ち着いて、行動してください。地震は昼間に発生するとは限りません。夜間に発生する場合は、照明が必要となります。

 津波の高さが2倍以上かもしれないという根拠は、マグニチュードが最悪9.2と考えられること、3.11の時に発生した断層は低角度の逆断層でしたが、今回予測している断層は、高角度の正断層なので、断層の(高さの)落差が、3.11の時のおそらく2倍以上になるだろうということです。

 太平洋戦争で300万人もの命を失ってなおかつ、日本中が焼け野原の状態から日本は立ち直りました。しかし、もしも再び、原子力発電所が大事故を起こせば、日本の復興はかなり困難になります。

 原子力発電所関係者は、巨大地震の発生を待たないで、予め対処してください。どうかお願いします。

 10/29に再び、予測震源域に約8時間、動かない雲が発生しました。最初は今年の4月1日でした(4/3の予測情報参照)。これは予測震源域からのガスの大量噴出を意味します。

 1993年7月12日の北海道南西沖地震(M7.8、奥尻島が大被害を受けた地震)の11日前に、後に余震域となる領域から大量の高温のガスが噴出し上空に雲を形成しました。この雲の型と余震域の平面分布が、まるで指紋を照合するようにぴったりと一致していました。(2002年合同大会講演予稿集参照)。

 今回の予測震源域からの第1回目の4月1日のガスの噴出を知った時は、北海道南西沖地震が11日後に発生しているため、非常に緊張しました。幸いにもこの時は発生しませんでした。しかし、今回が2回目であることを考えれば、非常に緊張を強いられます。

 この断層の北西端はN39.3, E145.7で、三陸はるか沖です。ここから南南西方向(S15°W)に約500km延びています。その終端は房総半島はるか東方沖となります。

 北大の森谷先生のえりも観測点での89.9MHzの地震エコーは、3.11以前とほぼ同等の値が現在観測されており、再度巨大地震の発生を見ると報告されています。これは3月以来提示し続けている、私どもの大気重力波その他の観測による予測と同じで、十分な注意が必要です。グラフ(地震エコーの一日あたりの継続時間(分)の変化)の最新情報は以下をご覧ください。なお再度巨大地震が発生する可能性があるという見解は北海道大学としての見解ではなく、森谷先生の個人的な見解ですので、十分注意して引用してください。
http://nanako.sci.hokudai.ac.jp/~moriya/index.htm 

 最悪M9.2と予測されるアウターライズ地震の発生時期について検討してきましたが、直前信号と思われる現象が出現してきています。

1)京都観測点で現在進行している逆ラジオの振り切れるほどのデータが約3ヶ月近く継続していましたが、9月20日から終息気味となっています。
http://www.eonet.ne.jp/~ossoft/noise.html#k4 

2)また非常に敏感な観測点である伊勢観測点での直前信号(断定は出来ませんが)と思われる高まりが継続しています。

3)岐阜大学の割石温泉のラドンが9月、10月、11月の上弦の月前後で高まりを示していません。
 また根尾谷断層上の福井県大野市和泉の平成の湯観測点のラドン値が、9月28日から9月30日に3.11大震災前の値より大きな値が観測された後、増減を繰り返していましたが、11/8に急降下しました。注意深くWATCHする必要があります。

http://lll.physics.gifu-u.ac.jp/~radon/mapselect.html 

4)そもそもマグニチュードに関しては非常に正確な大気重力波によって最悪 M9.2を想定しているわけですが、3.11の前兆は何時始まったのかを時系列をさかのぼって確かめなければなりません。しかし膨大なデータ量なので、検討に非常に時間を要します。当初M8程度のアウターライズ地震も想定しましたが、もう既に6か月経過しており、M8ならば、既に発生しているはずで、発生を見ないという事はM9クラスの可能性が高くなったと言えるでしょう。
 膨大なデータをすべて照査する事はマンパワー不足で出来ません。間引いたデータでの検討もまだ終了していませんが、現時点では1年以上前から発生していた可能性があります。しかし2010年2月27日にチリ沖でM8.8が発生しており、これより前は両者の前兆の区別が出来ません。

5) 再度海水干退現象が直前に起きるのだろうか?

6) その他様々な、例えば温泉の急激な変化などのような宏観異常現象が発生するのだろうか?

7) 想定している震源域で、直前には中小地震が頻発する可能性があると度々述べていますが、発生が継続している様に見受けられます(Hi-net参照)。

8) 余震域より離れている地域では、予測より少し遅れて発生する傾向が出ています。地域別予測を参照してくだ さい。
 3.11の大震災の前には約3ヶ月前よりこのような傾向があり、2010年12月以来この現象について述べておりました。

9) 京都観測点の地電流の値が乱高下していますが、急降下時に注意してください。

10)大気重力波の波長が通常10km程度のところ、このところ約2倍程度となってきており、発生が近いことを示しています。もっとも個別の中小地震でもこのような現象は見られます。

11) 11月の上弦(11月03日)前後では発生しませんでした。しかし、上記のように切迫性が認められるので、1年以上先の話ではなく、半年以内には発生するものと思われ、警戒が必要です。特に各月の上弦前後では注意してください。

 12月は2日が上弦です。5)、6)については皆様からの情報をお待ちしています。

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 また、以下のサイトでも大気中のラドン濃度の変化などによって茨城・房総沖での大地震を予測している。ここでも森谷さんとほぼ同じ予測をしている。

http://www.tochiginokenkyusha.com/ikase8/ikase8f3.html 

 思えば、戦後生まれの私の世代は大地震の少ない時代に生きてきた。私の父は子どものころ関東大震災で被災し、あちこちで火の手のあがる中、上野の不忍池で一晩を明かしたという。信州の諏訪に住んでいた叔母は、昭和19年の東南海地震の大きな揺れの恐怖が忘れられないという。しかし、その頃の東京は今のような高層ビルなどなかった。100年も経たないうちに都市はコンクリートの高層ビルの街へと大きく変わってしまった。東京湾の埋め立て地もどんどん広がり、多くのビルが建ち、多くの人が住んでいる。

 こうした大都市に大地震や大津波がどれほどの被害をもたらすのか、想像もつかない。今さらながら、地震大国にこのような大都市を建設してきたのは間違いであったのではないかと思えてならない。所詮、自然の力には人間は太刀打ちなどできないのだ。

 いつ発生するかわからないだけで、日本は必ず巨大地震に襲われる運命にある。茨城沖・房総沖での大地震、それに以前から言われている東海・東南海・南海地震もそれほど遠くない未来に起きるだろう。直下型地震もあるだろう。一部の研究者などがインターネットで地震エコーやラドン濃度などの観測による地震予測を公表するようになったのも、少しでも被害を少なくしたいという切なる思いからだと思う。彼らの警告に注意深く耳を傾ける必要がありそうだ。

 国土交通省は、地震災害を想定した首都機能バックアップを検討し始めたようだ。国も首都圏が大きな被害を受ける地震の発生を想定しているということだ。恐らく、原発震災も頭に入れているのだろう。

首都機能バックアップ検討へ(NHK)

 「備えあれば憂いなし」というが、3.11のことを思いだして準備を進めておいがほうがよいと思う。とりわけ茨城・房総沖の場合は大津波が懸念されている。自力で避難できない方は事前に安全なところに移動するくらいの用心をしてほしい。とにかく、地震や津波で命を落とす方が一人でも少ないことを願うしかない。

 そして、原発の状況にも気をつけてもらいたい。これからの巨大地震は地震と津波被害だけでは済まない。まさに「原発震災」の時代になったのだ。今や、日本に安心できるところはない。

2011年11月23日 (水)

放射能汚染シミュレーションと早川由紀夫氏の指摘

 11月15日に、福島第一原発から放出された放射性物質による土壌汚染についてのシミュレーションが公表された。このシミュレーションでは北海道もかなり汚染されていることを示している。しかし、私はこのシミュレーションが公表される前に、北海道が独自に行った土壌調査ではそれほど大きな汚染は確認されていないことを、道のホームページを見て知っていた。

 だから、このシミュレーションを見たときに「この予測はどこまで実態に合っているのだろうか?」と疑問をもった。そんなときに目にしたのが群馬大の早川由紀夫氏のツイッター(http://twitter.com/#!/hayakawayukio)だ。早川氏の主張に賛同し、そのいくつかをリツイートした。早川さんの一連のツイートは以下に早川さんご自身がまとめている。

http://togetter.com/li/215492 

 そして、この問題について早川氏がブログで意見を書いている。とても的を射た主張だと思う。

PNAS安成ほか論文の社会的問題点 

 実際の測定値が自分たちの行ったシミュレーションの値よりずっと小さいことを知りながら、西日本や北海道の汚染が深刻であることを示すシミュレーションを公表したことに問題がある。この図を見て北海道も汚染されてしまったと信じてしまった人も多かったのではなかろうか。しかし、現時点では北海道による調査でも、市民による調査でも北海道ではそれほど高い汚染は確認されていない。とんだ風評被害を生みかねないシミュレーションだったのだ。

 福島の原発事故では実害と風評被害がごちゃまぜになってしまった。先日の福島市大波地区のコメから暫定基準値を超えるセシウムが検出された件も、農家の自主検査によって分かったのだ。国は福島のコメの検査を終えて10月には安全宣言を出していた。自主検査がなければ流通してしまっただろう。食品のきめ細かい検査をして測定値を表示しないので、実害と風評被害が区別できないのだ。

 そもそも放射能の拡散シミュレーションというのは事前に予測して危険を知らせることに意味がある。今回のような事実と異なるシミュレーションをマスコミがあたかも事実であるかのように報道することは、真の風評被害を生むことになりかねない。事故が起きて汚染されてしまった後なのだから、事実かどうかわからないシミュレーションよりも実際に土壌を採取して測定した方がよほど意味がある。

 早川さんも「シミュレーションとは、いくつかの仮定を置いてつくった式のなかに観測データを入れて計算して結果を得る手法だ。得られた結果は事実ではない。過去の事実を再現して、それがどんな仕組みで生じたかを探ったり、未来の出来事がどうなるか予想するときにもちいる手法だ」と指摘している。すでに汚染されて何か月も経っている以上、実際に汚染を測定して公表するほうがよほど理にかなっている。なぜあのシミュレーションを公表したのか不可解だ。

 しかも、このシミュレーションは不思議なことに3月20日から1カ月間のものだ。大量に放射性物質が放出された3月中旬のデータを入れていない。なぜそんな中途半端なデータを使ったのだろうか? 福島周辺の高濃度に汚染された地域と、福島からある程度離れた地域の汚染の差を小さく見せるためだったのだろうかと勘繰ってしまう。

 もちろん私はシミュレーションを否定するつもりはない。SPEEDIによる福島原発周辺のシミュレーションの中にはかなり実態を反映していたものもあったと思う。しかし、シミュレーションはあくまでも机上の計算であり実際の汚染は測定しなければ分からない。もっともこれも事後に公表されたのだから避難にはまったく活かせなかった。巨額の税金を投入しておきながら何も活かせなかったし、使い方によっては風評被害を起こしかねない。

 河川管理(洪水による水位の変化や水害のハザードマップなど)にもシミュレーションが用いられる。ちょっと数字をいじれば、河川管理者に都合のいい結果を導き出すこともできる。ダムなどさほど効果がないのに、ダムが必要だと結論づけることすらできる。国土交通省は実際にそうやってダムが必要だという根拠にしてきた。だから、根拠となる数値や計算式を示せといっても、決して出そうとしない。シミュレーションとはそういうものなのだ。シミュレーションは利害関係のない人が適切に扱う必要性がある。

2011年11月22日 (火)

内部被ばくの影響を理解していない人が多いのでは

 院長先生の以下の記事をまず紹介したい。

環境放射能を外部被曝とすり替えるデマ

 しょっちゅうレントゲンを撮っている整形外科のお医者さんですら、外部被ばくと内部被ばくの危険性の違いが分かっていない方がいるらしい。自然放射能と人工放射能の違いが分からない人もいるようだし、空間線量がたいしたことないから大丈夫だと思っている人も多いようだ。そういう方は以下の記事も読んでいただきたい。

内部被曝-その評価と治療方法

放射能と人体(3)核の本質-内部被曝

放射能と人体(4)内部被曝と外部被曝

 内部被ばくではペトカウ効果というメカニズムが知られている。低線量でも深刻な健康被害を及ぼすという。これについては以下を参照していただきたい。

内部被曝とペトカウ効果。医師肥田舜太郎さん講演「58年間ヒバクシャを診てきた」、レイモンド・カーヴァー「癌患者になった郵便配達夫」

【震災】原発>米国の低線量内部被曝~ペトカウ効果~

福島原発事故のさなかに-本書の概略と意義(抜粋)

 低線量被ばくや内部被ばくの危険性を訴える人たちを批判する人がいる。そのような方たちは必ずといっていいほど「放射能を恐れることによるストレス」を持ち出す。しかし、彼らは病気になったときのストレスについてはまず言及しない。上記の「福島原発事故のさなかに・・・」の中から一部を以下に引用しておこう。

  最近多くの一般市民も不安を抱き始めている。この不安はまさに根拠のある不安である。確かに“ただちに”健康に害はないかもしれない。しかし、放射線の本当の恐怖は、内部被曝によって後から生じる晩発性影響である。内部被曝は外部被曝と違った作用で、長期間人体を損傷し続ける。
  おそらく今後、健康障害が地域住民から出てきたら、チェルノブイリでそうであったように、「体の具合が悪くなるのは、放射能を恐れ過ぎてのストレスからくるものだ」と、心配しすぎる当人が悪いかのような言い方をする専門家が出てくるのだろう。これについては以下の4つの点を想起する必要がある。
  まず、そもそもストレスを起こさせるような原発事故という人災を起こさせた責任がどこにあるのかということ、2番目に精神的ストレスによっても本書のテーマである活性酸素の生成により、身体的健康障害につながること、そして3番目に放射線影響のひとつとして、特に発達中の脳には精神・神経系の障害を引き起こす作用があること、である。そして4番目には、実際に身体的な障害が生じ、それが精神的ストレスとなるという現象が大いにあり得るということである。チェルノブイリでも、実際は身体的なものが主で、精神的なものは従であるのに、原発事故の影響をなるべく少なく見せようと、精神的なもののみとした専門家が数多くいたのではなかろうか。子供の甲状腺ガン以外にガンが発生していないという理論には無理がある。

 福島第一原発の爆発によって放射性セシウムだけではなく様々な核種の放射性物質が微粒子となって拡散された。セシウム汚染されているところには、他の核種もあると考えたほうがいい。それが風で舞いあがれば呼吸によって体内に取り込まれる。汚染された食品からも放射性物質が取り込まれる。それらは長年にわたって体をむしばむのだ。

 福島原発事故よる内部被ばくがどのくらいの人にどんな健康被害をもたらすのかは誰にも分からない。しかし、広島・長崎の原爆、チェルノブイリの原発事故、核実験による放射能汚染などの経験から推測できるのは決して楽観視できるようなものではない。

 福島はもちろんのこと、東北や関東の比較的高濃度に汚染されたところでは健康被害が起きてもおかしくないし、それ以外のところでも起きる可能性はある。少しでも被害者を減らすには、汚染されたところから遠ざかる、放射能を体内に取り入れないような対策をとる、被ばくの影響を低減させる効果があるとされているサプリメントなどを試す、くらいしか方法はない。

 国は福島の人たちを避難させるのではなく、除染して住民を戻すことを優先するようだ。しかし、それについては以下のような話しもある。

福島県が子供たちを非難させない本当の理由 

 国や地方自治体を頼っていたなら健康は守れないだろう。あとは個人個人がおかしな言説に騙されないように気をつけて判断するしかない。肥田舜太郎氏や矢ヶ崎克馬氏、クリス・バズビー氏らを「危険を煽る」といって批判する人がいるが、誰の見解が信頼に足るものなのか自分自身で考え判断してほしい。

2011年11月21日 (月)

統一教会も関わっていた司法書士による個人情報不正取得事件

 やや日刊カルト新聞にこんな記事が掲載された。

個人情報不正入手で逮捕の司法書士、統一教会“別働隊”の“白い旅団”にも関与か

警察官らの戸籍不正取得で司法書士らが逮捕、私の告訴は不起訴」でお知らせした行政書士による事件だが、どうやら背後には統一教会や暴力団の影がちらついているらしい。カルト問題について報じている「やや日刊カルト新聞」もこの司法書士をマークしていたという。

 今回の個人情報の不正取得事件には間に複数の興信所や調査会社、探偵事務所などが関わっておりちょっと複雑な様相だ。はじめに報じられた記事では暴力団との関係が示唆されていた。しかし、それ以外にも統一教会との関係が浮上してきた。「白い旅団」なる団体が統一教会問題に取り組んでいる人物の個人情報を不正取得していると思われるのだ。その不正取得をしたとされるのが今回逮捕された佐藤隆司法書士。カルト団体に都合の悪い人物の監視や嫌がらせが目的だと考えられる。しかも、不正を隠すために細工をしていたらしい。

 そもそも司法書士や行政書士が他人の戸籍や住民票を不正取得する理由は、依頼者があり、収入が得られるからだ。依頼者は個人情報を知りたい人物の調査を興信所や探偵社に依頼し、それらの調査会社が司法書士や行政書士などに対価を払って依頼するという構図がある。基本的に共謀なのだ。違法行為までして個人情報を手に入れたいというのは、そもそも依頼者に後ろ暗いところがあるからだろう。

 まっとうな会社や団体なら、批判に対しても正々堂々と対処すればいいわけで、不正行為をしてまで情報収集をするのは批判されたら困る事情があるのだろう。批判者を監視したり嫌がらせをすることを目的に不正行為を働くのは許されない。

 さて、私の個人情報不正取得事件も構図はまったく変わらない。文芸社という悪質商法を行っている出版社が、その出版形態や手法を批判する私の調査を興信所に依頼したものと考えられる。そして、興信所から依頼を受けた行政書士が不正取得を行ったのだ。つまり、批判者対策のために違法行為が行われたと推測される。

 文芸社が「松田の言っていることは事実無根」「なんらやましいことはない」と主張するのなら、正々堂々と言論で反論すればいいではないか。ところが、文芸社は私の書いたJANJANの記事をめぐってインターネット新聞社に内容証明郵便を送って恫喝したり、私の個人情報を不正取得することしかしないのだ。しかも、私のブログ記事の削除要請という不可解な事件まで起きた。削除要請をした人物は特定できないものの、文芸社と関係している可能性がきわめて高い。こうした行為は、文芸社がうしろめたい商法をしていると認めているようなものだ。

 「やや日」の記者にも、個人情報を聞き出す目的の電話があったというが、私の戸籍の不正取得があった少しあとに、私のところにも不審なメールや電話が相次いだ。おそらく興信所の人物だろう。不審なメールや電話は一般的に恐怖感を抱かせるのであり、内容によっては脅迫ともなりかねない。

怪電話 サラ金、それとも? 

 行政書士や司法書士による職務上請求書を利用した不正行為は後を絶たないのに、発覚が困難だ。簡単に発覚しないからこそ、こうした不正行為がまかり通っているのだろう。ところが、私の事例のように証拠をつかんでも、捜査機関はまじめに捜査しようとしない。不正取得の陰に後ろ暗いことがあると推測できるのに、まじめに捜査しようとしないのは職務怠慢としか言いようがない。

 司法書士や行政書士が興信所などと連携して不正を行っている場合、不正取得が一件のみとは考えにくい。今回の司法書士の事例でも1万件の余罪があると言われている。私の個人情報を不正取得した金坂滋行政書士とて、一件しか関わっていないと考えるほうが不自然だ。不正取得の構図は捜査機関がきちんと調べないかぎり明らかにできないのだ。城東警察署も東京地検特捜部も猛省してもらいたい。

 それにしても、個人情報の不正取得が簡単にできてしまう職務上請求書は廃止すべきだ。被害者は不正取得を知ることは極めて困難だし、告訴してもまともに捜査もされないのでは被害者はたまったものではない。職務上請求書が不正取得を蔓延させる温床ともなっているのだから真剣に見直しをしてもらいたい。

【関連記事】
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行政書士による個人情報不正取得事件の中間報告
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2011年11月20日 (日)

瓦礫の受け入れ拒否はエゴで、被ばくを恐れるのは愚かか?

 津波被害で生じた東北地方の瓦礫の受け入れを拒否する動きがあちこちである。福島のみならず宮城も岩手も放射能汚染されている以上、瓦礫も汚染されている。それを燃やしたなら大気中に放射性物質が拡散される。たとえ放射能の汚染レベルが基準値以下であっても、大量に燃やしたなら基準値など意味はない。また焼却灰には放射性物質が濃縮される。そのようなものを埋め立てたなら、新たな汚染が引き起こされる懸念が拭えない。瓦礫受け入れは今以上に放射能汚染を拡大させることになる。多くの人が反対するのは当たり前のことだ。

 ところが、瓦礫の受け入れ拒否をしている人はエゴイストだと批判している人がいる。元原発プラント技術者の杉山弘一氏だ。

群馬にもエゴイストがいた 

 杉山氏は、群馬県の沼田よりはるかに放射能による汚染レベルが低い場所の瓦礫を怖がるのは知的怠慢であり身勝手であると批判する。

 震災がれきの受け入れに関しては西日本が消極的であるとの報道があった。福島の原発事故で日本中どころか世界中に放射能が拡散された。とはいうものの、西日本や北海道の汚染は東北や関東に比べたらかなり少ない。これらの地域は今後、日本の食糧を担っていかなければならない重要な場所だ。また、原発災害を受けた人たちの避難場所にもなっている。そういう場所がこれ以上汚染されないようにするのは、原発事故で避難している人たちや日本人全体のことを考えたら当然のことだ。

 ある程度汚染されてしまった関東地方であっても、そこに大勢の人が住んでいる以上、さらに汚染してもいいということには到底ならない。放射能をこれ以上拡散させないようにするためには、汚染されたものを分散させるのではなく、集中させて処分するしかない。

 チェルノブイリ原発事故でもそうであったように、福島原発周辺の高濃度汚染地域はこの先しばらくの間は立入禁止にするしかない。汚染されたものはそのような場所に集め、放射性物質を飛散させないような対策を講じるしかないだろう。ところがこの国はそれとは反対のことばかりやる。放射能瓦礫を全国に拡散させ、警戒区域に指定されている大熊町では除染効果を検証するモデル事業をやるというのだ。狂っているとしか言いようがない。

 瓦礫の処理に関しては、もちろんいろいろな意見があるのは分かる。しかし、放射能の拡散を阻止したいという人たちをエゴだと決めつけ、アホだと罵るのはどうなのか。杉山氏は放射能に対して能天気だとしか思えないのだが、彼の書いている以下の記事をよむと合点がいく。

避難することのリスク
本当の反原発をしてきた学者
守るべきものは何か。

 杉山氏は放射能汚染による危険性を指摘する小出裕章氏などを過大評価だといって批判している。また、内部被ばくが外部被ばくよりはるかに危険だとする矢ヶ崎克馬氏の主張や、低線量被ばくがガン以外の様々な疾病を引き起こすと主張するクリス・バズビー氏の意見、ホットパーティクルの危険性を指摘するアー二ー・ガンダーセン氏の意見などはまったく信用していないらしいことが伺える。

 バズビー氏に対しては「放射線リスクの過大評価の権化、教祖様」「詐欺師」だとまで言い放っている(以下のコメント欄参照)。

放射線リスクの過大評価はやめよう 

 バズビー氏に対する批判があるのは知っているし、彼の主張を100パーセント鵜呑みにすべきではないとは思う(これはバズビー氏に限ったことではなく、誰にでも当てまはる)。しかし、福島の事故のもたらした健康被害の結果が出ていない時点で、どうして「過大評価の権化」とか「詐欺師」などと批判できるのだろうか。過大評価だと批判するなら、福島の事故による健康被害の実態が明らかになってからにすべきだろう。チェルノブイリの場合、25年経った今ですら放射能の影響で亡くなる方が後を絶たないというから、健康被害の全容はまだ把握できないのだ。

 サプリメントを勧めるバズビー氏を詐欺師というのなら、サプリメントが効果ないことや、バズビー氏がそれで不当な利益を得ていることを証明する必要があるだろう。私にしてみれば、ニセ科学を標榜して被ばくの過小評価をする菊池誠氏や杉山弘一氏のほうがよほど教祖様に見える。

 真理は論理で証明されるのではなく事実から証明されるのだ。杉山氏のような主張は、政府や御用学者の言っていることとさほど変わらない。

 最近はこのような方を「エア御用」というらしい。「原発業界御用学者リスト@ウィキ」によると、エア御用とは以下のような人のことを指すようだ。

科学者の中に、不十分な知識に基づいて事象を判断し、安全を不適切に強調する人がいる。また、科学の外側にあるリスクをきちんと見積もれないままに、「科学的知識」だけに基づいて安全を不適切に強調する人がいる。 「不十分な知識」に基づいて、科学の外側のリスクも無視して、安全を不適切に強調する人がいる。専門外のことに口を出し、「放射能の健康被害を気にするのは愚者」「気にしなくて良いレベル」を繰り返す人々である。放射能との因果関係が不明な事柄に関し「放射能は無関係」と繰り返す。 今、避難対象地域以外の住民であっても、外部被ばくや内部被ばくがわれわれの健康にとって致命的となる可能性(リスク)が大きく存在しているのに、エア御用の方々は、それを他のあらゆるリスクと比較して小さく見せようとし、無視させようと努力している。 避難をしたい人が、避難したくなくなるように強要している。

 放射能による被害を過小評価している人として、菊池誠氏や片瀬久美子氏がいる。原子力産業とは縁がなく本人が本心でそう考えているのなら「御用」という用語は不適切だと思うが、低線量被ばく、内部被ばくを過小評価する杉山氏もまさにこういう方たちと変わらないと私は思う。

 まあ、どんな意見であれ個人の意見を尊重することは大事だ。菊池氏や杉山氏が自分の意見を発信するのは自由だ。しかし、チェルノブイリの事例からも低線量被ばくが危険である可能性が高いのに、その事実を見ようともせずに安全であるかのような意見を主張するのは無責任だと思う。間違っていた場合、責任がとれないではないか。安易に過小評価して安心意見をふりまくことは被害を助長しかねない。それに、自分と異なる意見であるからといって「知的怠慢」だと見下す姿勢は支持できない。

 私はブログでクリス・バズビー氏やアー二―・ガンダーセン氏などの話を紹介してきたし、放射能の危険性について自分が信頼できると思う情報を紹介してきた。健康被害が起きてからでは遅いのであり、少しでも危険性に気づいてできる限りの対処をしてほしいと思うからだ。自分や家族の健康は自分で守るしかないし、今の日本ではそうすることでしか個々の命は守れない。そのためには事実に基づいた情報がなければならない。

 もちろん、それらの情報をどのように受け止めどう行動するかは個人個人の判断によるしかない。たとえば避難を考える場合も、避難することのリスクとしないことのリスクを考えて個人個人が判断するしかない。だから私は自分の意見を主張はするが、強要するつもりは毛頭ない。

 杉山氏は、結局のところ関東地方などでは被ばくリスクは大きくはなく、気にし過ぎることのほうが弊害があると言いたいようだ。言いかえるなら、「病気になる確率は低いのだから、病気になったら運が悪かったと思え」と言っているようなものだ。原発を推進してきた電力会社や政府によってもたらされた被害を、「運が悪い」で誰が納得するだろう。防ごうと思えば防げた被害を「運が悪い」で誰が納得するだろうか。

 彼の発言はチェルノブイリ原発事故の経験を踏まえているとは思えない。事故の被災者が被ばくによる病気でどれほど辛く苦しい状態を強いられたのか少しでも理解しているなら、過小評価を喧伝するのではなく、チェルノブイリが示す事実を知らせ被害者を減らすような言動をとるというのが普通の感覚だと思う。取り返しのつかなくなる前に情報を提供することにこそ意味があるのだ。

 チェルノブイリの原発事故を経験したベラルーシの子どもたちの作文集「わたしたちの涙で雪だるまが溶けた」を読んでほしいと思う。子どもたちだけではなく、多くの大人が様々な病気で亡くなっている。深刻な被害を受けた人たちの心の叫びを受け止めたなら、安全側に偏った主張など安易にできないと私は思う。

2011年11月18日 (金)

大詰めを迎えたサホロスキー場拡張問題

 加森観光がサホロ岳の北斜面にスキー場を拡張しようとしている件について何回か記事にしてきたが(前回の記事はこちら)、その許認可が大詰めを迎えている。北海道が特定開発行為の許可を出し、地主である林野庁が許可を出せば、この冬から予定地の伐採が始まることになる。

 しかし、これまでも指摘してきたように、このスキー場予定地にはナキウサギの生息地があるのだ。加森観光は森林環境リアライズというコンサルト会社に環境調査を委託しているのだが、森林環境リアライズは報告書に虚偽の記載をしてナキウサギの生息情報を隠蔽した。都合が悪いことを隠すために嘘をついたということになる。報告書には「生息および生息痕跡の確認はなかった」と記述されているが、平気で嘘をつく会社の報告書が信ぴょう性があると思う人はいないだろう。このスキーコース予定地周辺のナキウサギ生息地については、利害関係のない第三者がきちんと調査する必要があるだろう。

 希少動物の保護を巡って、自然保護団体が北海道と林野庁に何度も申入れをしているのだが、どちらも誠実な対応をする様子がない。北海道は地域住民が報告書の開示請求をしたら、黒塗りだらけのものを出したのだ。開示請求者が不服申し立てをして開示された資料によって、北海道自身がナキウサギの生息に関する情報を市民に隠蔽したことが分かった。とんでもない扱いだ。

 また、自然保護団体が北海道に希少動物の保護を訴えれば、地主である林野庁が許可しなければ道も許可できないと言い、森林管理署に保護を訴えれば希少生物に関する許認可の権限は北海道にあると言う。互いに責任を押し付けあっているのが現状だ。

 そこで、11月15日に再度、十勝自然保護協会のメンバーが十勝西部森林管理署東大雪支署を訪問し、話し合いをしてきた。署長の説明を要約すると以下のような話しになる。

 国有林の使用許可基準ではコースの幅、保護樹帯、コース間の樹林帯などについての基準などはあるが、動植物の個別の種についての基準はない。したがって、ナキウサギのことで林野庁が加森観光を指導することは難しい。ナキウサギに関しては道の条例アセスの中で判断することになるので、加森観光が道庁とナキウサギのことでやりとりしていると思う。道の許可が出たら加森はこちらに申請にくるはずだが、まだ来ていない。

 要は林野庁の許認可においては動植物の保護の基準がないから、申請されたら許可せざるを得ないという。典型的なお役人答弁だ。自分たちの管理する森林の生物多様性の保護のために努力するという積極性が全くなく、北海道まかせという態度だ。生物多様性国家戦略の方針に逆行することを平然と言うのだから呆れてしまう。

 一方、北海道は許認可にあたって道条例のアセスの際に出された知事の付帯意見をクリアしなければならない。その付帯意見とは、「エゾナキウサギについては、事業予定地域周辺にその供給源となる生息地のある可能性があるため、今後も調査を実施するとともに、その生息地に影響を与えることのないよう努力すること」というものだ。

 だから、ナキウサギの生息地一帯が保護されなければ許可できないことになる。コース予定地やその周辺にはナキウサギの生息地があるのだから、このままでは許可できないはずだ。

 それ以外にも、絶滅危惧種のシマフクロウが近くに生息しているという情報も地域住民からもたらされている。こちらは環境省も関わってくる問題だ。環境省はどう考えているのだろう。

 このような希少動物の生息情報がある以上、北海道は業者の環境調査に頼るのではなく、自らしっかりとした情報収集や調査が必要だろう。そのようなこともせずに北海道が許可を出したなら、希少動物の保護も、生物多様性保全も無視したことになる。

 スキー場やゴルフ場開発などという大規模な開発事業は大きな自然破壊を招く。日本の自然はこれらの開発で大きく痛めつけられてきた。そもそもバブルの崩壊以来、スキー場はどこも利用者が大幅に減っていて経営難だし、閉鎖されたところもある。サホロスキー場も同じで、利用者は減り続けている。こんな状況のなかで新たにコースを増設するのは非常に不可解であり、中国などの海外資本への転売も考えられるのだ。経営が破たんしたなら、この地域の自然はどうなるか分からない。許認可を出す北海道と林野庁の責任は重い。

 北海道は加森観光の経営するベア・マウンテンの開業に際して、実に杜撰な許可を出した経緯がある。フェンスの一部に、クマが容易に通り抜けられる大きな空隙があったのに許可してしまったのだ。フェンスに沿って歩いて周れば気がつかないほうがおかしい重大な欠陥を見落としていたことになる。まともな検査をしなかったのは明らかだ。オープン後に自然保護団体がこの空隙を見つけたのだから、あまりにお粗末だ。後年、この部分から野生のクマがフェンス内部(二重になったフェンスの間)に入りこむという事件が起きた。いかにいい加減な許認可がなされているのかわかるというものだ。

危ういフェンス・ヒグマ放牧施設「ベア・マウンテン」

北海道ヒグマ放牧施設「ベア・マウンテン」は条例違反か

 北海道には許認可に際し、二度とこのような条例違反がないよう求めたい。

2011年11月17日 (木)

福島の子どもたちを守るためにさらなる行動を

 先日、福島の子どもたちを救うための署名を呼び掛けていたAvaazから以下のメールが送られてきた。なんと、3日間で12万もの署名が集まり総理に届けられたという。これもインターネットを駆使した結果だろう。それにしても、短期間でこれだけの署名が集められるということに、救われる思いだ。悲観的な情報ばかり流れる中にあっても、行動することの意味を実感させられる。私自身、北海道の片田舎に住んでいて都市でのデモやイベントにはほとんど参加できないが、Avaazのアンケートには回答した。このメールも多くの人に広めてほしいと思う。

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日本在住の皆様へ,

すばらしい結果です!わずか3日間で12万もの人々が団結し、福島の子供たちを救うため抗議の声を上げました。そして先週金曜日、私たちのメッセージは日本の非政府組織グリーン・アクションによって総理大臣に届けられました。大きな第一歩を踏み出しましたが、道のりはまだまだ先です。

政府は未だに、緊急避難支援を実施しません。その間にも、人々は日一日と放射能にさらされ続け、それは現在そして今後何十年にもわたり、深刻な健康被害を助長していくのです。今なお高レベル汚染地区に閉じ込められ、そこからの避難を切望している福島市の子供たちや渡利の住民にとって、最後の希望の源は人々の力です。

先週、すばらしいことが起こりました。日本中の12万もの人々が団結し、福島の人々と協力しあって抗議し、政府に対して彼らを守るため行動するよう要求したのです。私たちはすばやくキャンペーン活動を主催しましたが、簡単に解散したりはしません。今後数週間のうちに、政治集会やイベント、抗議デモ、マスコミの報道、その他様々なことがあるでしょう。油断することなく、私たちの声が聞き届けられるよう行動しなければなりません。そこで、次に私たちが何をすべきか決めるため、調査質問を短くまとめました。下をクリックして、次に取るべき行動を一緒に決めましょう:

http://www.avaaz.org/jp/japan_reportback_and_poll/?vl

8ヶ月間もの間すべては安全だと言い続けてきた政府にとって、福島周辺の事態がどれだけ深刻か認めるのは、容易なことではないでしょう。しかし私たちは事実がまったく逆であることを、すべてが安全ではないということを知っています。そして今、大勢の日本の人々が抗議の声を上げていけば、こういった政治家による言葉のあやを断ち切り、人々を救い復興に向かって進んでいくことができるのです。

日本を復興へ導くためには、これまでにない規模の人々による運動が必要です。何十万もの人々を動員し、すばやく効率的に反応し、メディアや世論、政治討論を形作るような運動です。今、福島の母親と子供たちを支援することで、私たち一人一人がその一歩を踏み出しているのです。

すべきことは山のようにありますが、まず互いの存在に感謝しあい、未来への基礎を築きましょう。この投票は、私たちの今後の行動に直接影響します。またAvaazは、オンライン上で投票結果を公表します。時間をとって、短い質問に答えてください:

http://www.avaaz.org/jp/japan_reportback_and_poll/?vl 

希望を込めて

Luis, Emma, Mia, Iain, Kya, およびAvaazチーム一同より

PS: 嘆願書受け渡しの写真はこちらから:
http://www.flickr.com/photos/avaaz/sets/72157627977899457/

 

2011年11月16日 (水)

地球温暖化問題を忘れてはならない

 福島の原発事故以来、地球温暖化問題はすっかり置き去りにされた感がある。原発の停止や廃炉を求める以上、原発以外のエネルギー供給が必要だから、しばらくの間はある程度火力発電に頼るのも致し方ない。しかし、だからといって温暖化問題がどうでもいいということにはならない。私たちが新たなエネルギーへの転換を迫られているのは、多くの人が認めるところだろう。

 原発事故の前から、地球温暖化防止のために電力会社に二酸化炭素の削減を求める公害調停「シロクマ公害調停」を起こそうという活動が提案されていた。クライメットJだ。

Climate-J

 そのクライメットJは、2カ月前の9月16日に、東京の公害等調整委員会に公害調停を提出した。

シロクマ、東電など電力会社を訴える、初のCO2公害調停(alternas)

公害調停:NGOが申し立て ホッキョクグマと連名で(毎日新聞)

 この申請は、温室効果ガスの排出を公害ガスの排出とみて、電力会社10社と電源開発を相手にしている。まずはこの委員会で、温室効果ガスが公害に該当するかどうかの審査を行うことになる。9月16日の第一次申請人は、日本人76人および環境系の3団体、韓国人32人だ。さらに申請人を募っている。なお、クライメットJの発足の経緯やクライメットJが主張する「気候的正義」、請求の趣旨などについては以下の説明をお読みいただきたい。

http://climate-j.org/pdf/Interview.pdf 

 さて、福島の原発事故の深刻さがどんどん明らかになってきているが、こうした中で「地球温暖化」自体がデマだとか陰謀だという声も散見される。原発を推進する者たつくりだしたデマであり陰謀だというのだ。だから、こういう記事を書いたなら必ずといっていいくらい反論をする人がいると思う。私は気候の専門家ではないので、地球温暖化問題について分かりやすく説明している「海の研究者」さんのブログをここで紹介しておきたい。

頭を冷やすのは誰か?
地球は温暖化している
気温が上がって二酸化炭素が増えたのではない
太陽活動だけでは地球温暖化は説明できない
再・太陽活動だけでは地球温暖化は説明できない
地球温暖化は自然現象なのか? 
1940~70年ごろのプチ寒冷化の原因は? 

 私は、いわゆる温暖化懐疑論者や否定論者の主張よりこちらの説明の方がずっと説得力があると思っている。また、海の研究者さんは地震についてもいろいろ興味深い記事を書かれており、人工地震についても説明している。陰謀論に傾いている方は是非お読みいただけたらと思う。

巨大地震は某国の陰謀? 

 インターネットで様々な情報が得られるようになった昨今、私たちはどの情報が正しいのか、あるいは信頼できるのかということを自分自身で見極めることがとても重要になってきた。とりわけ陰謀論に関しては慎重な判断が必要だと思う。

2011年11月14日 (月)

泊原発廃炉訴訟の記念講演会

 昨日13日は、泊原発廃炉訴訟提訴記念講演会が札幌で開かれた。この訴訟は612人もが原告となって11日に提訴されたものだ。私も講演会に参加したかったが、遠方ということもありUSTREAMで放映されたものを視聴した。作家の池澤夏樹さん、北大名誉教授の小野有五さん、弁護士の市川守弘さんの講演の内容をメモしたので紹介したい。

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「昔、原発というものがあった」池澤夏樹さん

 核エネルギーを持った社会は滅びるという仮説があった。核エネルギーは桁違いに大きい。今までのエネルギーとは7ケタ違う。万一事故が起こったときに非常に大きな事故になる。コントロールは人間の倫理観。しかし人の倫理観は高まっていない。そういう人間たちが大きなエネルギーを手にした。

 かつては人間の破壊も自然によって回復していたが、最近はそれができなくなっている。ひとつが放射性廃棄物。自然界にないものを作ってそれに頼っていく。先のわからないままに次々と新しいものができてくる。放射性廃棄物を保存しなければならないのにコンクリートの寿命は150年しかない。原子炉の中で熱を出している物質は消えない。福島は燃料が溶けて炉の下にまで落ちている状態だ。熱と大量の放射性物質を出し続ける。

 1990年、好奇心にかられて東海村に行った。人類は、核兵器を持ったほうが強いと、核の競争を始めた。その結果、地球の人類を何回も殺せるほどの核兵器を持ってしまった。1952年、アイゼンハワー大統領が核の平和利用を宣言した。それ以来、核エネルギーをいろいろなものに使おうとした。船に乗せるが、うまくいかない。今は実用化されているのは軍艦だけ。軍艦の場合は安全度が低くてもいい。それで、発電を考えた。最初は楽観的で、コストが安くなると言っていた。しかし、それも危ないことがスリーマイル、チェルノブイリの事故で分かった。しかし関係者はあの事故は例外だと言った。そのために東海村に見学に行った。

 原発の安全についてのパンフレットでは安全性を強調しているが、こんなに安全を強調するのは怪しいと思った。もともと爆弾。しかし一度安全といってしまうと自縄自縛になる。最初に結論を宣言してしまうと自縄自縛になる。ひたすら嘘を言い続けていなければならなくなる。

 東京電力は想定外の津波がきたからといった。しかし800年前に大きな津波はきている。津波で壊れたと言ったが本当にそうなのか。地震だけで壊れたのではないか。これは相当信ぴょう性がある。原子炉には無数の配管が通っている。その配管が揺すぶられて壊れないか、大丈夫だと言えるか。配管まで含めた状態をイメージしなければいけない。

 飛行機も新幹線も安全だと言えるか。人間の技術では事故の抜け道をふさぎきれない。人間の手に負えない。だから「昔、原発があった」と言いたい。おととい、福島原発の近くまで行ってきた。道路封鎖していた。20キロ圏の中は使い物にならない。今の日本の政府、指導者たちにはとても核エネルギーは任せられない。原発は確実に利権。

 北海道は風力で電気がつくれる。太陽光も地熱発電も、ほかの新しいエネルギーもあるだろう。というと自然エネルギーなどあてにならないと反論がくる。子どものころ自動車を持っている人などいなかった。だから自家用車という言葉があった。みんなが自動車を持つようになって、高速道路ができた。自動車が身近になるまで20年もなかった。その気になれば、短い間でもできる。低周波や渡り鳥の問題ももちろん考えなければならないが。発電、送電を別々にもできる。そっちに持っていけば「昔、原発というものがあった」ということになる。

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「子どもたちのために、北海道の未来のために、泊原発を止めよう!」小野有五さん

 北海道は重要な食糧基地。避難してきている人もいる。北海道を汚染させてはならない。 自身と津波だけなら復興できる。しかし福島は放射能で汚染された。除染は汚染を別の場所に移すだけ。巨額をかけたスピーディはまったく公表されなかった。放射性物質は原発の北西部のほか関東や一関、北海道にも来ている。福一の位置に泊原発を置くと、札幌は泊原発から70キロとなり、福島市と同じことが札幌市で起きることになる。

 チェルノブイリと福島は同じではないと言われるが、福島はチェルノブイリより悪いかもしれない。チェルノブイリは1基だけだが福島は4基、8カ月たっても冷温停止できていない。永久にできない。海洋汚染もある。世界中が3.11以降新しい時代にはいった。明治の三陸沖地震も大勢の人が亡くなっている。昭和の津波でも。田老町では高さ10メートル、延長2460メートルの防潮堤を作った。人間は土木的な対応をしようとしてきた。しかし、先人の教えを守って高台に移住した村は被害がなかった。地球科学の津波の調査結果を尊重すべきだった。超巨大津波は4、500年に一回はくる。

 津波の波高と遡上高は違う。10メートルの津波が38メートルまで遡上する。地震の原因はプレート運動。世界で地震が起きる場所は限られている。プレートの境目で地震が起きる。4つのプレートがぶつかっているのは日本だけ。こういうところには原発はつくってはいけない。太平洋プレートの動きが一番早い。巨大地震はプレートの境界で起こる。プレートが重なっているのは静岡県で、浜岡原発がもっとも危険。80年代までは日本海側は安全だと思われていた。しかし日本海中部地震によってそれが覆された。日本海側にもプレートの境界があり、30メートルの津波が起きた。日本海の海底に断層崖がある。日本海は浅いところで地震が起きている。大きな地震は20世紀後半から増えている。千島でも同じ傾向がある。北電はお金をかけて海底の調査をしているが、泊原発から30キロ圏内では活北電の調査では断層が示されておらず不可解。こうしたことは泊だけではない。

 三浦半島には大正1923ベンチ、元禄ベンチなど地震のたびに隆起してできた地形がある。地震で持ちあがったのだ。神威岬も同じ。

 東洋大の渡辺さんは、音波探査によって泊原発の近くの活断層を指摘している。長さ60~70キロ。地震は断層の長さに比例するのでM7.5くらいの地震がおきるだろう。泊原発は断層がすぐ近くにある。耐震性は大丈夫か。

 北電はなかなか断層を認めない。ようやく認めた断増は101キロでM8.2。大間原発も地震で持ちあがってきたところにある。原発より命が大事。原発が事故を起こしたらおしまい。力を集めて泊原発を廃炉にしたい。

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「泊原発廃炉訴訟について」市川守弘さん

 おととい提訴をした。原告数は612名。7月7日に立ちあげた「泊原発の廃炉をめざす会」は1800名になった。

 訴状で求めたのは泊1号、2号の停止と3号機の営業運転の中止。それらを二度と使えないように廃炉にすることを求めている。廃炉を求めるのは今回が初めて。裁判では人格権に基づいて運転の中止と廃炉にすることを求めている。人格権とは「私が私である」ということ。「私が生きていく」ことが北電によって侵害される、という訴訟。訴状は多くの人に配布するために印刷することにした。裁判の中身の報告は随時行っていきたい。

 なぜ訴訟を起こしたのか。今まで自然保護関係の市民運動をやってきた。行政相手に質問や要望を出してきた。行政にとってはそれらの書面はたいしたことはない。抗議書などは、警察はそもそも受け取らない。正しく答えようとしないことがしばしばある。しかし、裁判の場で正式に質問(求釈明)をすると相手側は答えなければならない。下手な答えを出せない。裁判では同じ土俵で回答する義務がある。活断層を認めるのか、認めないのか、認めないのならなぜ認めないのかを北電は回答する義務がある。裁判を通していろいろな事実を明らかにして市民にオープンにしていきたい。

 書面なども裁判所が出すように言うし、裁判では黒塗りもなかなかできない。いろいろな情報を市民が入手できる。裁判は市民運動とともに起こすことに大きな意味がある。裁判だけであれば法廷内だけのできごとになってしまう。リアルタイムで得た情報を広めていきたい。「これが廃炉をめざす会」という市民運動とともに訴訟を起こす意味。

 原発をとめるには訴訟だけでは無理だと思っている。玄海原発4号機が再開しようとしている。政府は原発を輸出しようとしている。津波対策をとって再開しようとしている。依然、国策として進められている。政・官・財・学が原発を推進している。ひとつひとつの声を束ねて大きな声にしていくことが大事。国策に対しては、一人でも多くの市民の力が必要。裁判とともに事実を明らかにし、大きな市民運動を広げていく。そうすると政治家も市民の声を無視できなくなる。難しいが官僚も変えていかなければならない。東京大学は官僚養成大学。官僚制度に立ち向かっているのが市民社会のあるべき姿。

 きのうまで知らない人が隣に住んでいる。今まで知らなかった人が原告として名前を連ねている。こうした繋がりをもっともっと広げて、原発を北海道から、日本から追い出してしまおう。一緒に活動しましょう。闘いましょう。

2011年11月13日 (日)

日本人は放射能汚染を自覚して行動しなければならない

 木下黄太さんのブログに、矢ヶ崎克馬さんと五十嵐敬喜さんのレクチャーの内容が転載されている。是非お読みいただきたい。

きのうの文京区民センターでのシンポジウムについて

 首都圏の人たちは全員被ばくしているのであり、福島の人たちはもっと被ばくしている。そして、この国では内部被ばくの危険性が隠されている。ECRRによると、内部被ばくは外部被ばくの600倍の影響があるとしているのだから、かなり深刻な問題だ。尿に含まれている量の最低150倍のセシウムが体内にあると考えられるそうだ。また、高齢者が放射線の影響をあまり受けないという主張が誤りであるとの指摘をされている。子どもはもちろんのこと、大人だって危険だ。

 これを読むと、日本の原発の危機管理がいかに杜撰であり、大事故に対して適切な対応がほとんどできていなかったことがよくわかる。さらに、今に至って内部被ばくの危険性を伝えず、ゆるゆるの食品の暫定基準値もそのままだ。これほど酷い国もなかなかないだろう。

 署名TVでは、放射能瓦礫の受け入れ反対や子どもたちを被ばくから守るための署名が複数行われている。何もできないとあきらめないで、一人ひとりがこういう活動に参加していくことが大事だと思う。

大阪府がれき受け入れ反対の署名
http://www.shomei.tv/project-1866.html 

緊急署名 瓦礫受け入れやめて@大阪
http://www.shomei.tv/project-1865.html 

『子どもたちを放射能から守る署名』
http://www.shomei.tv/project-1863.html 

 そういえば先日紹介したAVAAの署名は短期間で10万を超える署名が集まった。このサイトでは署名をするとメールが届き、署名の呼びかけを拡散しやすいシステムになっている。インターネットの利便性をうまく活用すれば、署名も効果的に集めることができる。こういうシステムは見習うべきだろう。

 http://www.avaaz.org/jp/save_the_fukushima_children_1/?tta 

2011年11月12日 (土)

警察官らの戸籍不正取得で司法書士らが逮捕、私の告訴は不起訴

 今日、戸籍の不正取得で司法書士らが逮捕されたというニュースがあった。一番詳しく報じているネット記事は中日新聞だ。

戸籍不正取得1万件か 司法書士ら5人逮捕

 この記事がいつまで閲覧できるか分からないので、以下に内容を張っておく。

 司法書士の特権を悪用して警官らの戸籍謄本などを不正取得したとして、愛知県警捜査4課などは11日、偽造有印私文書行使、戸籍法違反(不正請求)などの疑いで、東京都千代田区にあるプライム総合法務事務所の代表奈須賢二(51)=東京都中野区、司法書士佐藤隆(50)=東京都練馬区=の両容疑者ら5人を逮捕した。
 5人は、全国で3年前から少なくとも約1万件の個人情報を違法入手していたとみられ、暴力団捜査を担当する県警幹部も含まれていた。資金のやりとりに暴力団周辺企業も浮上、暴力団の資金源や犯罪の温床になっていた可能性がある。県警は総務、法務両省に被害調査を要請する。
 ほかに逮捕されたのは、探偵会社「ガルエージェンシー東名横浜」代表粟野貞和(62)=横浜市青葉区、元弁護士長谷川豊司(48)=東京都世田谷区、グラフィックデザイナー杉山雅典(54)=京都府八幡市=の3容疑者。
 容疑では、5人は昨年3~7月、司法書士の職権で認められている「職務上請求書」を偽造し、虚偽の申請内容で、名古屋市内の女性=当時(47)=ら7人の戸籍謄本などを取得したとされる。
 司法書士は請求書を自治体に郵送すれば、本人が知らないまま戸籍謄本や住民票を取得できる。粟野容疑者が個人情報を求める依頼者を集めて奈須容疑者に持ち込み、司法書士の佐藤容疑者名で申請していたとみられる。佐藤容疑者は一部を否認、4人は認めている。
 県警によると女性が被害を受けた脅迫事件の捜査過程で、プライムが女性や親族らの戸籍謄本などを取り、この情報が別の探偵会社を通じて加害者の男=当時(61)=に伝わっていたことが分かり、不正取得が発覚した。
 捜査関係者によると、被害者の7人中、2人は愛知県警の警官で、このうち1人は指定暴力団山口組弘道会などを捜査する捜査幹部。弘道会幹部と親しい風俗グループ代表佐藤義徳被告(54)=詐欺罪などで公判中=の周辺を内偵中、家族に危害を加えるような内容の電話が自宅にあり、個人情報が漏れた疑いが持たれていた。佐藤被告は今年4月、弘道会ナンバー2の竹内照明被告(51)=詐欺罪で公判中=とともに逮捕された。

 私自身が同じ戸籍の不正取得被害者であるため、この記事に関心を持たざるを得ない。私の場合は司法書士ではなく行政書士なのだが、虚偽の「職務上請求書」を使って戸籍を取得したという方法は変わらない。戸籍の取得に探偵会社が関わっているところも私の事例と同じだ。こうした不正取得は以前から知られているのに、一向になくなる気配がない。

 この記事を読んで私が注目したのは、警察が刑事事件として捜査に乗り出したということだ。もちろん、違法行為の疑惑があるのだから警察が捜査するのは当然だ。なぜ注目したのかというと、私の場合は被害者の私が刑事告訴したにも関わらず、警察も検察もまったく動こうとしなかったということだ。何と対照的であり不公平なのだろう。

 この愛知県の事例は、警察が脅迫事件の捜査過程で発覚したという。そして被害者7人のうち2人が警察官だった。警察官が被害者であったこと、そして暴力団が絡んでいることからすぐに警察が捜査に動いたということなのではなかろうか。

 同じように戸籍を不正取得された私にとって、こうした立場や背景の違いだけで捜査が行われないというのは不当としか言いようがない。背景がどうであろうと被害者にとっては被害の重さは変わらないのだから。それに私の戸籍の不正取得をした行政書士が、他にも不正取得をしている可能性だってあるではないか。私の事例一件しか関わっていないと考えるほうがむしろ不自然だ。

 私の戸籍当方不正取得については以下の記事に書いたが、刑事告訴がその後どう扱われたのかまで報じていなかった。今回の逮捕のニュースをきっかけに、いかに警察や検察がいい加減で怠慢かを説明しておきたい。

行政書士が私の個人情報を不正に取得していたことが判明!
告訴状を送った警察署の速やかなる対応
行政書士による個人情報不正取得事件の中間報告

 私の戸籍を不正に取得したのは金坂滋という東京都行政書士会所属の行政書士だ。この行政書士は私の母の生年月日なども知っており、母の住民票の不正取得の疑惑もある。またこの不正取得に関しては興信所も共犯といえる。そこで7月28日付で金坂行政書士の事務所所在地の管轄警察署である城東警察署に告訴状を送付した。しかし「告訴状を送った警察署の速やかなる対応」に書いたように、城東警察署は訳のわからない理由をつけて受理を拒否したのだ。そこで私は告訴状の宛先を東京地検特捜部に変更して7月30日に速達で発送した。

 東京地検はもちろんそれを受理した。つまり城東警察署の受理の拒否は不適切であったことがはっきりした。しかし、地検はなんと8月10日付で不起訴の処分通知書を送付してきたのだ。その処分通知書の内容は以下。

**********

                         東京地方検察庁

                          検察官 検事 森 裕樹

貴殿から平成23年7月30日付けで告訴のあった次の被疑事件は、下記のとおり処分したので通知します。

              記

1被疑者 金坂滋、不詳
2罪名 戸籍法違反、住民基本台帳法違反、戸籍法違反教唆、住民基本台帳法違反教唆
3事件番号 平成23年検第24215、24216号
4処分年月日 平成23年8月10日
5処分区分 不起訴

**********

 証拠も添付しているのになぜ不起訴なのか? これでは不起訴の理由がまったく分からない。公訴を提起しない処分の場合は刑事訴訟法第261条に基づいて理由の説明を求めることができる。そこで14日付で森裕樹検察官に理由説明を求める請求書を送付した(告訴状は東京地検直告班に送付したが、通知書は検察官の個人名で来る)。以下がその文面(被疑者名や事件番号等は省略)。

**********

 私が平成23年7月30日付で告訴した下記の告訴事件について、貴職から8月10日付、刑事訴訟法第260条前段に基づく処分通知書を受け取りました。
 あれだけ明白な証拠物を添付しているにもかかわらず、まったく不公正なご処分と受け止めています。
 さて、処分通知書によりますと、処分内容は不起訴とのみ記載されておりますが、処分理由にはまったく言及されておりません。そこで私は、刑訴法第261条に基づき、被告訴人それぞれにつき、起訴猶予等いかなる種類の不起訴であるか、また、「起訴猶予」の場合は具体的理由を、「嫌疑不十分」あるいは「嫌疑なし」の場合は、どのような捜査の結果そのような結論になったのかを詳細に説明して下さいますよう求めます。書面にて速やかにご回答ください。

**********

 森検察官からは8月16日付で不起訴処分理由告知書(東地特捜第624号)が送られてきた。内容は以下。

**********

 貴殿の請求による下記のとおり告知します。

              記

 貴殿から平成23年7月30日付けで告訴のあった金坂滋、不詳に対する戸籍法違反、住民基本台帳法違反、戸籍法違反教唆、住民基本台帳法教唆被疑事件の不起訴処分の理由は、次のとおりです。

(不起訴処分の理由)
 嫌疑不十分

     平成23年検第24215,24516号

**********

 私は『被告訴人それぞれにつき、起訴猶予等いかなる種類の不起訴であるか、また、「起訴猶予」の場合は具体的理由を、「嫌疑不十分」あるいは「嫌疑なし」の場合は、どのような捜査の結果そのような結論になったのかを詳細に説明して下さいますよう求めます。』としていた。これには理由がある。単に「不起訴の理由を説明してください」としただけでは「起訴猶予」または「嫌疑不十分」、「嫌疑なし」のいずれかしか書かれないだろうことは過去の経験から容易に予測できたからだ。しかし、具体的な説明を求めても「嫌疑不十分」の一言のみというお粗末な回答だった。「嫌疑不十分」だけでは、どう考えても「理由の説明」とは程遠い。理由というからには、なぜ嫌疑不十分なのかまで書くべきだ。

 そもそも本人が証拠を添付して不正取得だとしているのに、「嫌疑不十分による不起訴」などというのは常識的に考えても無茶苦茶な話だ。しかも告訴状が届いてから時効まで25日ほどあったのに、たったの10日で不起訴処分にしてしまったのだ。まともな捜査をしたとは到底思えない。たとえば軽微な犯罪だから、あるいは被疑者が反省しているから「起訴猶予」という判断ならまだ分からなくもない。だから起訴猶予になる可能性はあると思っていた。しかし、いくらなんでも嫌疑不十分はないだろう。これではまるで私が虚偽の告訴をしたと言っているに等しい。

 誰がどう考えても刑法に違反することをしているのに、捜査機関がこんないい加減な対応をするというのはもはや法治国家とは言えない。

 ところが同じ違法行為であっても被害者が警察官であり、背景に暴力団が関与している疑いが浮上したなら逮捕して全国ニュースにもなるというのだから、著しく公平性に欠くではないか。しかし、これがこの国の実態なのだ。そして、こんないい加減なことがまかり通っているから、いつまでも類似した違法行為が後を絶たないのだ。

 ところで行政書士の懲戒処分(行政処分)を求めた東京都からは、10月下旬にようやく「これから調査をします」との電話があった。私が東京都所定の懲戒処分請求書を送付したのが8月3日なのだが、調査の開始まで3カ月近くもかかるとは・・・。とにかく東京都はしっかり調査してほしい。

 なお、検察の不起訴処分の理由説明については以下のサイトでも類似した事例が紹介されており、改善を求める意見が書かれている。しごく当然のことだ。この上脇さんの記事にある検察の通知書と私への通知書は文面がほぼ同じであり、検察の書面が型にはまったものであることがよく分かる。

刑事告発の不起訴処分の不十分な理由説明は改善されるべきだ!(上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場)

2011年11月11日 (金)

放射能に対する危機感がない東京

 2日から7日まで東京に行ってきたが、東京の人たちは原発事故すらもう過去の出来事であるかのように危機感が薄れているように思われ、そのことに危機感を感じてしまった。

 しかし、それも無理はないのかもしれない。東京に行っている間は、私の情報源もテレビだけだった。そのテレビではもちろん原発のニュースがないわけではないが、相変わらずの大本営発表だからもとより信用できない。現実は戦争のような状態なのに、テレビときたら性懲りもなくくだらないバラエティー番組やグルメ番組を垂れ流している。これでは危機感など持ちようがない。そういう人が大多数だと、多少意識のある人も危機感が薄れてしまうだろう。

 ちょうど私が東京に行っていたとき、東京都が放射能瓦礫を運んできてその焼却や埋め立てが始められた。瓦礫を焼却したなら空間線量が上がるに違いないのだが、テレビではそれについての信頼できる情報が得られないのだ。家に帰ってからインターネットを見て、瓦礫の問題を再認識するという次第だ。以下の情報が事実なら、東京都もマスコミも情報隠蔽して市民を騙しているということだ。

東京都に搬入された「被曝ガレキ」の汚染度が凄い!(低気温のエクスタシーbyはなゆー)

放射能ガレキに関する東京都発表とNHK報道に関する疑惑について(酒焼け☆わんわん)

 焼却灰によるセシウム汚染について群馬大の早川由紀夫氏が地図を公表しているが、この地図を見ると東北以上に関東の汚染が酷いことがわかる。人口が多い都市では当然ゴミも焼却量も多いわけで、セシウムに汚染された大量の灰が生み出されているのだ。

焼却灰のセシウムマップ(早川由紀夫の火山ブログ)

 東京の八王子でもごみ焼却灰から高濃度の放射性セシウムが確認されている。八王子市は国の埋立基準の8000ベクレル以下だとしているが、そういう問題ではなかろう。そもそも基準値が高すぎるし、基準値以下だとしても量が多ければ基準値など意味がない。もはや東京も十分に危険な状態なのだ。

ごみ焼却灰等の放射線濃度測定結果について〈10月31日更新〉(八王子市)

 さらに大量の瓦礫の焼却で空気中のセシウムは増えるに違いない。関東ではきっちりとした放射能対策をしない限り被ばくの影響が避けられない状況だ。ところが東京ではマスクをしている人がほとんどいない。要するに、情報がないために全くといっていいほど危機感がないのだ。こういうことを発信しないマスコミは犯罪的だ。  今やインターネットで原発事故や放射能、地震のことなどの情報を集めている人と、そうではない人とでは意識や危機感に雲泥の差ができてしまっている。そして前者はどちらかといえば一部であり、後者が圧倒的に多い。

 東京の汚染がいかに深刻であるかは、ガンダーセンの以下の動画でも語られている。日本人は福島の原発事故ですでに内部被ばくをしているのだが、ゴミや瓦礫の焼却でさらに汚染を拡大させているのだ。

 この動画のガンダーセン氏の言葉を以下にいくつか引用したい。

「東京(東日本)、特に福島県で、癌が統計的に意味をなす程度の増加を起こして行くのに十分量の放射性物質を、個々の人々が吸引した事です」

「計画的避難区域を10マイル(16km)とするのが間違いであるという事です。明らかに、被害は東京まで広がっています。私たちや緊急時避難計画と退避について、原子力規制委員会NRCがアメリカで採用している10マイル(16km)、そしてフクシマ事故で日本が採用した12マイル(20km)の距離を超える区域に、見直す必要があります。」

「カルトフェン教授の報告書のデータは、市民の皆さん、農業従事者、科学者、ブロガーから寄せられたものです。個人の方々の尽力であり、政府のものではありません。もし、私たちが今回の情報を得るために政府に頼っていたとしたら、決して得ることは出来なかったと思います。」

 これから日本人は何としても内部被ばくを避ける努力をしなければならないだろう。福島応援などといって福島産の野菜を食べることがどんなに危険なことか。東京都の瓦礫受け入れなども信じがたい暴挙だ。

 クリス・バスビー氏は少しでも放射性物質の体内侵入を防止するために、カルシウムやマグネシウムの摂取を勧めている。被ばくしたと思う方は参考にしていただきたい。

 なお以下のような情報もある。

スピルリナ(奴らは見ている)

2011年11月10日 (木)

節電を続けない不思議

 今年は3月下旬、7月中旬、そして11月初旬に東京に行った。3月の下旬に行ったときは計画停電がようやく取りやめられた頃で、夜の街はネオンが消え、駅のエスカレーターの多くも止まり、電車も間引き運転。スーパーやコンビニ、電車の照明も減らされていた。当然のことだろうと思ったし、その程度の節電では特に不便に思うこともなかった。

 7月は冷房をかなり制限しているのではないかと思っていたが、これは予想が外れた。冷房の温度は今までとそれほど変わらず、寒いくらいのビルもあって呆れてしまった。あれほど夏は電力不足になると騒がれていたのに拍子抜けがした。

 そして原発事故からおよそ8カ月たった東京は、ほぼ震災前の状態に戻っていた。駅のエスカレーターは人が少なくても運転しているし、照明も一部の場所を除いて大方のところで以前と変わらぬ明るさになっていた。駅の切符の自動販売機の一部が節電のために休止されていたが、スイカなどのICカードが普及した昨今では切符の販売機はガラガラで、並んで切符を買わなければならないようなことはない。節電というより、そもそも必要ないものを止めているにすぎない。

 8割の原発が止まっている中で、相変わらず電力不足を口実に原発の再稼働を求める声があるが、「原発がなければ電気が足りなくなる」というのが原発を維持するための口実であったことは明白だ。休止していた火力発電所をフル稼働させているとしても、これほどあっさり節電を止めてしまうというのはどういう感覚をしているのだろう。無駄な電気の使用をできる限り控え、原発のみならず火力発電も減らしていくべきなのに・・・。

 節電はやろうと思えばもっともっとできるはずだ。あの街中に林立する自動販売機など、まっさきに撤去していくべきだろう。飲み物など、コンビニや駅の売店でも買えるのだから。数年前に北欧に行ったが、飲み物の自販機などまず見かけなかった。飲み物はお店で売っているのだから必要ないし、自販機は景観も壊してしまう。それに、今は性能のいい携帯用ポットもたくさんあるのだから、自分で好きな飲み物を入れて持ち歩いた方がペットボトルや缶の削減になる。

 以下のサイトによると、全国の自販機の年間電力消費量は46kWhで、飲料用自販機だけで原発一基分だそうだ。その自販機を削減できない理由が業界団体の反対だというのだから終わっている。

自動販売機削減はなぜ検討しない(千葉県自然保護連合)

 業界ではあくまでも消費電力を抑える対策をして自販機を維持したいようだが、業界より国民の立場で物事を決めるべきだ。そもそも自販機などなくても消費者はそれほど不便ではないし、我慢できないようなことでは決してない。危険な原発と自販機のない生活を天秤にかけたら、原発を選ぶ人などほとんどいないのではないか。

 ひるがえって北海道はどうなのか。北海道の場合、電力消費が最大になるのは12月だという。そして泊原発では3基のうち2基が停止している。それなのに原発事故を契機に積極的に節電を実施している気配はまったくといっていいくらいない。節電しなくても電力は足りるということが分かっているからだろう。節電をしたなら泊の全ての原発の運転が止まっても問題ないとしか思えない。

 福島の原発事故で多くの日本人が湯水のように電気を使ってきたことを反省したのではなかったのか? ならば、なぜ企業は節電を続けようとしないのか。一人ひとりが節電を心がけることは言うまでもないが、無駄な電気を使いつづけている企業は何なのかと思う。

 一昨年に仙台から盛岡まで東北新幹線に乗ったのだが、土曜日だというのにガラガラだった。利便性ばかりを追求した結果、一部の区間でガラガラの電車を走らせつづけているのが新幹線だ。単に日本全国を高速車両で結べばいいというものではないだろう。なぜそこまで早く移動しなければならないのか? 何か発想が狂ってきているとしか思えない。

 原発事故や地球温暖化が叫ばれているのに、いまだにエネルギーの無駄づかいを続けたいという人たちの神経を疑いたくなる。利便性の追求の先に人類の幸福があるとはとても思えない。

2011年11月 9日 (水)

福島の子どもたちを守るための署名をお願いします

 AVAAZチームから以下のメールが届いた。一人でも多くの方にこの署名を知らせていただきたい。転載・転送大歓迎。

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日本在住の皆様へ

今現在、福島市とその付近では、数千人の地元住民が、高レベル汚染地区に閉じ込められています。黒い雨が空から降り、地元の農作物は汚染され、津波によって住む場所をなくした家族やその子供達は避難することもできません。それでも政府は彼らを助けることを拒んでいます。

そこで福島の女性たちが動きだしました。日本中から数百人のサポーターが集まり福島の子供たちが避難するための支援を野田総理大臣に求めるため、東京の経済産業省前に座り込み、訴えています。私たちも彼女達と供に訴えることができます。

これは事実上、彼らの命をかけた行動です。放射能汚染の真只中にいる子供達には、時間がありません。プレッシャーを感じ始め、日本政府は48時間後に緊急会議を開催する予定です。福島の母と子供たちをサポートしよう!子供達の健康と未来のために嘆願書に署名し、家族や友人に転送してください。署名が2万に到達すれば、野田総理大臣に直接届けられます。

http://www.avaaz.org/jp/save_the_fukushima_children_1/?tta 

我が国は今、選択すべき時にある。家族の価値観を大切にし、全ての子供たちの未来のために国家を再建していくか、困難に直面する人々に対して、このまま見て見ぬ振りを続け見捨てるか。福島に住む家族には一刻の猶予もない。日々大量の放射能を浴び、深刻な健康被害のリスクを高めている。

長期的な放射線被曝は、今日の子供たちだけでなく、その子供たちの子供たちまで、何世代にもわたって悲惨な影響をもたらす。チェルノブイリの事故後、旧ソ連は現在日本で問題となっている地域よりもはるかに低い放射能汚染地区の住人も避難させた。放射能で汚染された地域に取り残された福島市の子供たちは、自主避難に対する政府の援助無しに、この健康を脅かす深刻な状況から抜け出すことはできない。それにもかかわらず、日本政府は汚染レベルが、25年前のチェルノブイリ事故後に旧ソビエト政府が強制避難地区に設定した基準の4倍に達するまで、避難地区の対象としない。

何万もの日本人が力を合わせてこの状況に警報を鳴らせば、情勢を変え多くの家族に希望をもたらすことができる。日本の皆で共に抗議の声を上げ、野田総理大臣に国の信用に関わる問題であることを示し、立ち上がって人々の命を救うよう説得しよう。 緊急会議は二日後に開催されます-- 今すぐ嘆願書にあなたの署名を!ご家族やお友人にこのメールを転送してください。

http://www.avaaz.org/jp/save_the_fukushima_children_1/?tta 

3月11日、大地震に見舞われた日本は、今もまだその破壊の規模を受け入れようとしている。しかしこの荒廃の中に、国家再建のチャンスがある。私たちの国は今までにないほど団結し、日本のすべての人々のために、よりよい国にしていこうと行動し始めている。今こそ日本の子供たちとその子供たちの子供たちのために、健全な未来の土台を作っていこう。

希望を込めて

Luis, Dalia, Iain, Antonia, Carol, Emma, Ricken, Diego,その他Avaazチーム一同より

詳細情報:

女性達の反核デモ。
http://www.nipponnews.net/news/womens-anti-nuke-demonstration 

フェースブックページ 福島女性たちの座り込み。
http://ja-jp.facebook.com/notes/namida-project/fukushima-womens-sit-in/214560515280077 

特集ワイド:女たちの脱原発 座り込み集会ルポ (毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20111102dde012040025000c.html 

全国女たちの座り込み! (市民社会フォーラム)
http://civilesociety.jugem.jp/?eid=11124 

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AVAAZについて

Avaaz.orgは世界の人々の声や価値観が政策決定に反映されるよう世界規模でキャンペーンを行う非営利団体です(Avaazは様々な言語で「声」を意味します)。Avaazは政府や企業から一切資金援助を受けず、ロンドン、リオデジャネイロ、ニューヨーク、パリ、ワシントンDC、そしてジュネーブを拠点とするスタッフにより運営されています。 +1 888 922 8229

2011年11月 8日 (火)

柚木修さんと鳥仲間

 数日間東京に行ってきたのだが、6日に「柚木修さんを偲ぶ会」があり参加してきた。柚木修さんは子どもの頃から野鳥に興味を持ち、大学在学中から野鳥の観察、保護活動などに関わってきたナチュラリストだ。大学卒業後は日本野鳥の会に勤務して調査や保護活動に関わり、野鳥の会を退職した後もずっと自然に関わる仕事をしてきた。2002年には対馬に住みついてツシマヤマネコの保護に取り組んでいたのだが、2010年1月25日に59歳の若さで急逝された。

 柚木さんは若い頃から多くの方と交流があり、有志によって3月に「偲ぶ会」が企画されたのだが東日本大震災のために延期になっていた。今回、参加された方は約90名。彼の人懐こさと世話好きな性格が大勢の友人を結び付けていたのだ。私にとっては本当に久しぶりにお会いできた方たちが何人かいて、とても懐かしいひとときを過ごした。

 私が柚木さんと初めて出会ったのは千葉県の新浜だ。大学に入学して間もない頃、同じ大学の鳥友だちと二人で新浜に野鳥を見にでかけた。私は中学生の頃から野鳥に興味を持っていたが、それまでは山野の鳥ばかりみていて干潟や水辺の鳥は全くといっていいほど分からなかった。一緒に行った友だちも似たような状態。そんな二人がプロミナー(望遠鏡)をかついで水鳥の観察にのこのことでかけたのだ。

 当時の新浜は駅前の道をしばらく歩くと荒涼とした埋め立て地が広がっていて、水たまりにはバンが泳ぎ、埋め立て地にはコアジサシが舞っていた。御猟場の横の干潟もシギ・チドリが群れ、格好の観察場所だった。しかし、シギ・チの識別は難しい。それに今のようなカラーで分かりやすい図鑑もなかった。日本鳥類保護連盟の白黒図鑑が頼りなのだが、望遠鏡を使っても遠方で陽炎に揺らぐ野鳥を識別するのは至難の業だ。そんな私たちの姿を見つけ、親切に鳥の名前を教えてくれたのが柚木さんだった。

 それ以来、日本野鳥の会や多摩川の自然を守る会で活動を共にし、一年間は職場も共にした。私にとっては忘れられない水辺の鳥の先輩であり、自然保護の仲間であり、良き上司でもあった。驚いたことに、友人のRさんも柚木さんとの初めての出会いが新浜だったことをこの日のスピーチで知った。

 参加された方の中で面識のある方はおよそ三分の一の30人くらいだったと思う。30年ほど前に北海道に移住してしまった私にとっては、ほんとうに久しぶりの方もいらして学生の頃の記憶が少しずつ蘇ってきた。思い返せば、あの頃は野鳥や自然保護のことを中心に生活が回っていて、土日はほとんど家にいることがなかった。ほんとうに沢山の鳥仲間に囲まれていたのだ。

 遠く北海道で暮らしていても柚木さんが対馬で暮らしているという話が風の便りに伝わってきており、時間がとれるようになったら会いに行きたいと思っていたので、対馬に会いにいけなかったのは残念でならない。しかし、こんな同窓会のような集いの場が持てたのも柚木さんの人柄ゆえだろう。ご冥福をお祈りしたい。

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