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2011年10月18日 (火)

北電泊原発のヤラセ問題を甘く見てはいけない

 北海道の泊原発3号機のプルサーマル計画をめぐるヤラセ問題で、北海道電力の佐藤佳孝社長は昨日ようやく謝罪をしてプルサーマル計画を当面延期するとし、役員の処分を発表した。

 これで北電が反省したなどと思うのはもちろん甘い。

 北電は1999年に泊原発3号機建設の意見聴取会で賛成意見を多数派工作したことが発覚し、再発防止策を示していたのだ。それにも関わらず今年の8月になってから、2008年に「北電泊原発3号機のプルサーマル計画」に関する道主催のシンポで社員にヤラセを指示し、2000年3月にも泊3号機増設に関してヤラセが行われていたことが発覚した。さらに、経産省主催シンポでも社員が動員によるヤラセが発覚したのだ。反省などしていないからこそ、何回も同じことを繰り返してきたのだ。

 市民からの意見聴取などは形だけで、「はじめにプルサーマルありき」だったということは明白だ。原発の推進もプルサーマルの推進も、すべてはじめから決まっており、国と地方自治体と電力会社が一体となって反対意見を無理矢理封じて強引に進めてきたというのが実態だ。「無理を通せば道理引っ込む」というやつだ。

 今日の北海道新聞の記事によると、佐藤社長は「会見冒頭では頭を下げたが、謝罪の言葉や再発防止策は用意した紙を早口で読み上げただけだった」という。しかも、記者団が「モラルを欠いた企業に原発を運転する資格があるのか」と問うと、佐藤社長は「(原発は)われわれの資産。外部から『責任あるか』という議論は違う」と開き直り、「会社の設備を維持管理するのは当たり前。資格のあるなしでやることなのか」と言い放ったそうだ。

 道民から電気代を払ってもらっている独占企業の社長が言う言葉だろうか。北電の資産といっても元々は道民の電気代ではないか。電力会社は公益事業者であり倒産の心配もない。水増しした電気料金をつかって原発の安全神話という虚構をつくりあげ市民を騙してきた。原発を稼働する電力会社は、お客さんからお金をだまし取って悪徳商法を続ける詐欺会社とほとんど変わらない。謝罪の記者会見で社長がこういう傲慢な態度を見せるということは、所詮、謝罪など形だけということなのだろう。それもそのはず、辞意も示さず、処分もいたって軽い。

 また、記者から「仮に社長がやらせを止められる立場だったら、どう対処していたか」と問われ、「(私なら)メールを出すことはやめろと言った」そうだ。なんとも白々しい発言ではないか。

 北電ではヤラセが常態化していたのである。社長が何も知らなかったわけはないだろう。記者会見ではプルサーマル計画を「一度立ち止まって整理したい」と言ったそうだが、これも延期という意味であり凍結や中止ではない。ヤラセが発覚して批判を浴びた以上、延期と言わざるを得なかったのだろうし、現在定期点検中の1、2号機の再稼働を優先させるためでもあったのだろう。

 高橋はるみ知事は同じく17日に北電の役員やOBからの政治献金を辞退する方針を決めたそうだ。この献金問題はずっと前から指摘されていたのに、いままでは開き直っていた。知事もヤラセ問題を知っていて容認していたとしか思えず、今回の社長の記者会見に対応してしぶしぶ献金の辞退を決めたのだろう。北電も酷いが、知事も酷い。

 高橋知事が泊3号機の営業運転再開を認めたのは8月17日だ。ヤラセ問題が次々と明らかになったのはそのすぐ後からだ。ヤラセ問題の発覚がもう少し早ければ高橋知事の判断にも大きな影響があっただろう。このタイミングに何らかの意図的操作はなかったのだろうか? もはや道民の多くは原発に否定的あるいは懐疑的だろうし、北電の信用も地に落ちた。原発推進に邁進してきた北電の責任はもとより、知事の責任も限りなく重い。

 ところで、このようなヤラセによる賛成工作は原発に限ったことではない。大型公共事業などの説明会などでは日常茶飯事だ。士幌高原道路の説明会や大規模林道の説明会のときもそうだったし、十勝川の河川整備計画の公聴会もそうだった。あきらかに利害関係者に動員がかけられていたし、依頼されて賛成意見を述べているとしか思えない人も一人や二人ではない。ヤラセ問題を原発だけのものと捉えるのは大間違いであり、日本に巣食う悪しき習慣だ。

 この国では原発に限らず、国策として進められてきたことのほぼすべてにヤラセ問題があるといっても過言ではないだろう。国民はもういい加減に騙されることから目を覚まさなければならない。

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