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2011年10月26日 (水)

環境省の問題だらけの汚染対処特措法パブコメ

 環境省が「放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針骨子案」等のパブリックコメントを行っていることを知ったのは2日ほど前のツイッターだった。以下がそのプレスリリースだ。  

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14327  

 これを見てまず驚いたのは、意見募集の期間がたったの10日しかないことだ。このプレスリリースが出たのが17日、そしてパブリックコメントの締め切りは26日。パブリックコメントの募集では普通は1カ月くらいの期間をとるものだが、これはいくらなんでも短すぎる。  

 このような情報を周知させるのに何日もかかるものだが、そういう余裕もまったくない。インターネット環境にある人はすぐに該当する文書の閲覧ができるが、そうではない人は資料を郵送で取り寄せるだけで数日かかってしまう。文書や資料を検討して意見を書くにも数時間は必要だろう。よほど手際がよく、飲み込みもよくて時間のある人でなければ意見を送るのは困難だ。仕事が忙しい社会人なども、そう簡単に意見の提出などできないと思う。こんな設定はあまりにも非常識で滅茶苦茶だ。  

 情報を得て、意見募集している文案と資料を閲覧したが、正直言ってこれをじっくり読んで意見をまとめていくのは思ったより簡単なことではない。放射性物質を含んだ廃棄物の処理と除染に関わることなのだが、日頃からそれなりの問題意識をもって情報収集していないと、なかなか適切な意見を書くのは難しい。  

 放射性物質を含んだ廃棄物の処理を全国各地の廃棄物処理施設で行おうという動きがあるのだから、国民一人ひとりの健康や生活に関わる重要な事柄だ。下水処理場やゴミ焼却場からでる放射性物質も、その対処法を誤れば再度環境にばら撒かれることになる。だからこそ、一般の人たちが意見を寄せやすいようなパブコメにしなければならないと思うのだが、とてもそうとは思えないのだ。このようなパブコメで、ごく一般の人たちがいったいどれほど意見を寄せるのだろうかという疑問が頭をもたげた。  

 除染に関してもっとも疑問に思ったのは、除染で対応すべき区域と避難を重視すべき区域分けをするという視点がないということだ。つまり、とにかく除染で対応しようという方針のようだ。チェルノブイリの原発事故のときは、汚染の酷い地域は立ち入り禁止にして放棄するしかなかった。事故処理のために用いられた汚染された車両なども汚染地域にまとめて集められた。福島とて恐らく同じことをしなければならないだろう。  

 除染によって対応できる区域はそれほど汚染が酷くない地域に限られるとしか思えない。また水源が汚染されてしまえば、飲料水によって内部被ばくするのだ。除染でそれなりの効果をあげられるところと、避難を優先させるところを区別したうえで前者で除染を行うべきだと思うのだが、そういうことが盛り込まれていない。  

 パブコメでは意見の該当箇所を示してそれに対する意見の要約と理由を書くように指示されているのだが、加えてほしいことがある場合にはこの方法では対応できない。仕方ないので、私は追加の意見として入れておいた。  

 瓦礫などの廃棄物処理や下水処理場の汚泥、焼却施設からの焼却灰などについても、全国に放射性物質を拡散させ、環境汚染を招きかねないお粗末な内容になっている。おそらく全国の廃棄物処理場への分散を前提にして書かれているのだろう。  

 この形式のパブコメで意見が多く寄せられるとは思えない。「骨子案」とは言っても、パブコメの際にはもっと分かりやすく簡潔にまとめた文書にできないものか。私は15項目の意見を書いて送ったが、それを書くのに数時間は要した。ツイッターなどでパブコメの情報は回っていたが、多くの人は文案を見ただけで頭が痛くなり、意見を考えるのが嫌になってしまうのではなかろうか。もしかしたら、国はそれを狙っているのかもしれない。とにかく、「はじめに結論ありき」で進められているパブコメとしか思えない。  

 ここまで書いて、このパブコメについての問題点をまとめた記事を発見した。  

汚染対処特措法の基本方針案に意見を(風のたより-いわき市議会議員 佐藤かずよし) 

 これによると「10万bq/kg以下の一般廃棄物処分場での埋立、8千bq/kg以下の広域処理を追認する悪法です。この法に基づく基本方針骨子案が今回のものです。」とのこと。こういう説明があるとなるほどと思うが、骨子案を読んだだけではこのような問題点はわからない。まるで目くらましだ。パブコメを送信する前にこの記事を読んでおけばよかった・・・。  

 これを読んで、この汚染対策特措法などの検討会が非公開で進められてきたことを知った。そして、いきなり短期間のパブコメだ。さらに驚いたことに、11月上旬にも閣議決定するというではないか。ならばいったいいつ、どんな形でパブコメの意見を取りまとめて反映させるのか? 今後のパブコメの扱いについて注視しなければならない。それにしても、環境省も地に落ちたものだ。

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