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2011年10月 4日 (火)

ベラルーシを視察した安藤御史医師の講演会

 10月1日に、帯広で安藤御史さん(はげあん診療所院長)による脱原発講演会「チェルノブイリ原発事故 放射能汚染地区の子供たち」があったので、その内容を報告したい。

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 人工放射能は巨大なエネルギーを持ち、生命に不可欠なDNAを瞬時に集中的に破壊する。DNAの破壊によって、発癌性、催奇形、突然変異が引き起こされる。また人工放射能は生体内で濃縮されるが、自然放射能は生体内で濃縮されない。人工放射能と生命は共存できない。原発事故における放射線障害ではとりわけ内部被曝による晩発性障害が問題になる。

 内部被曝とは、呼吸や食物を通して体内に放射性物質を取り込まれることで生じ、放射線の被害を直接うけることになるので逃れることができない。放射能核種の大部分は土壌の上層部にあるため、この層に根がある根菜やイネ科植物などは汚染されやすい。それが食物連鎖によって人に取り込まれる。低線量では生物に障害がない(閾値がある)という説は科学的に証明されていない。科学的に証明することは不可能だし、倫理的にも認められない。低線量被ばくが有害かどうかは、事実(症例報告)の積み重ねによって知ることができる。

 ゴメリ医大学長、病理学部長を務めたバンダジェフスキー氏の研究によると、低線量でも有害であり閾値はなく、人間のみならず植物や動物にも有害である。バンダジェフスキー氏は、チェルノブイリの事故で放射能汚染地となったゴメリ州の人の病状や亡くなった方の解剖をし、放射性セシウムと臓器の病変の関係を調べた。彼は低線量なら安全という政府の方針に反対したところ、1999年に、賄賂をもらって学生を入学させる組織を作ったという嫌疑で逮捕され禁固8年となったが、国際アムネスティの活動によって5年で出獄した。本人は否定しており、政治的冤罪と言われている。現在はウクライナのキエフに在住。

 バンダジェフスキー氏の動物実験と死亡例の調査により、セシウム137は人体組織、代謝を変化させ、生命維持に必要な機関や細胞に悪影響を及ぼすこと、小児や男性はセシウムを取り込みやすいことが分かった。ミンスクの子供は20Bq/kg以上のセシウム137を持ち、85%が心電図に病理的変化を有している。甲状腺がんや白血病だけではなく、心臓病が増加している。

 今年9月にベラルーシの首都ミンスク、汚染地区の小学校、放射線研究所、子供の保養のためのサナトリウム、ビタペクト製造会社、放射線測定器会社を訪問した。

 事故後7年たった1993年ではミンスクでは放射線量は正常だが、道路側溝では0.8μSv。居住禁止区域では0.9μSv以上、30キロ圏内では4.4μSv、埋め立てられたリーパ村では0.3-0.6μSv。事故後25年の今年9月では、オクチャリヨーボ村の立ち入り禁止の森林で0.36-0.27μSv。子供たちの体内被ばくは、放射能汚染地区より遥かに大きい範囲に及んでいる。

 ベラルーシが行っていることとして子供たちの保養がある。外国での保養のほか、国内にサナトリウムを建設して保養活動をしている。汚染されていないところで安全な食べ物をとるだけでも効果がある。安藤医師は、福島の子供たちのために北海道に保養施設をつくるべきだと提唱。

 ベラルーシの食品の放射線基準値は、ベビーフード37Bq/kg(以下単位同じ)、飲料水10、牛乳100、パン40、豚・鶏180、マトン500、ジャガイモ(主食)80、小麦粉60.、野菜100、果実100など。日本の暫定基準値は高すぎて危険。

 事故後に増加した病気として、甲状腺がん、肺がん、白血病、脳腫瘍、結核、ウイルス性疾患など。また先天性奇形、新生児死亡率が増加。1996年からは死亡数が出生数を超えて人工の減少が始まった。

 内部被ばくを可能な限り避けるために、子供たちのサナトリウム建設、正確な汚染地区の把握、体内放射線量の測定、食品の放射線量の測定、食品ごとの厳しい基準値の設定、調理方法の工夫、ビタペクトの服用がある。ビタペクトはリンゴジュースの搾りかすから造られる錠剤で、体内放射能を20-50%減少させる効果がある。

 最後に「真実を知らぬものはただおろかなだけだが、真実を知っているのに、それを偽りだと声だかに叫ぶのは罪である」というブレヒト著「ガリレオガリレイ」の言葉を引用し、子供たちが先に犠牲になる社会であってはならないと強調した。

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 以上が講演の内容だ。

 会場は80人ほどの参加者でいっぱいだったが、福島や千葉から避難してきている方もいた。原発から30キロほどのところから避難してきている方の話しでは、その地区の人たちは雨水が流れ込むような井戸の水を飲んでいるとのこと。政府が正確な情報を伝えず住民を被ばくさせ続けているというのはまさに犯罪行為ではないか。

 インターネットに溢れる反原発の発言や、放射線に関する情報が国によって監視され、工作員が暗躍しているし、デモに参加しただけで逮捕されるのが日本の現実だ。政府による事実の隠蔽と情報操作を見抜けなければ国民は騙され、危険から逃れることはできない。

 北海道は今のところそれほど汚染されていないとはいえ、原発事故は他人事ではない。放射能で汚染された瓦礫の持ちこみも検討されているし、泊原発や幌延がある。日本の食糧基地である北海道が汚染されたら、日本人の食糧危機はより深刻になる。原発問題は、日本人のだれもが関心を持たねばならないことだ。

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