メノコツチハンミョウという不思議な昆虫
27日に置戸町にナキウサギの調査に出かけたのだが、そこでメノコツチハンミョウを見かけた。ハンミョウという名前がついているが、いわゆる「ミチオシエ」と言われているハンミョウとは別のグループ(科)だ。
北海道には4種のツチハンミョウが生息しているが、秋に成虫が出現するのはこのメノコツチハンミョウだけだ。交尾しているペアの近くに2頭の雄がいた。一度に4頭も見たのは初めてだ。フェロモンに誘引されたのだろうか。
こちらはペア。雄の触角の形態が面白い。
こちらは雄。
このツチハンミョウという昆虫は、見た通りの不思議な外観で、翅は退化していてもちろん飛ぶことはできない。そしてハナバチに寄生するという実に変わった生活史を持っている昆虫なのだ。
メノコツチハンミョウの場合、成虫は秋に出現して交尾し、地中に産卵して死んでしまう。春に生まれた幼虫は花の上によじ登って、そこでハナバチが来るのを待つのだ。ハナバチが来るとその体毛にしがみついてハナバチの体に乗り移る。乗り移ったハナバチが雌であればそのままハナバチの巣に移動することができるのだが、雄の場合は交尾のときに雌のハナバチに乗り移るのだ。そうやってハナバチの巣に運ばれると、ハナバチの卵や蜜・花粉などを食べて成長するという変わった生活史を持っている。
しかし、花を訪れる昆虫はハナバチばかりではない。むしろハナバチに乗り移れるのは運がいいということになるのだろう。ハナバチ以外の昆虫に乗り移ってしまった場合は成虫になることはできない。うまくハナバチの巣に侵入できる可能性が低いためか、ツチハンミョウの雌は数千個もの卵を産むそうだ。
成虫まで生き延びられるチャンスは少ないかわり、うまくハナバチの巣に侵入できればあとは楽をして成虫になれるというわけだ。
メノコというのはアイヌ語で「女性」という意味なのだが、産卵のために大きな腹部を持つ雌が目立つのでこのような和名がつけられたのだろうか?
ちなみにカンタリジンという毒を持つので注意が必要だ。機敏に動けない昆虫だけに、こうやって身を守っているのだろう。
« 島村英紀さんの指摘する原子力産業と地球温暖化問題 | トップページ | 年1ミリシーベルトでも健康被害がでる »
「昆虫」カテゴリの記事
- ハンノキハムシ(2022.11.02)
- クロマルケシキスイ(2022.10.28)
- クロオオハナカミキリ(2022.10.25)
- クロアオカミキリモドキ(2022.10.24)
- クリイロジョウカイ(2022.10.21)
コメント