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2011年9月 6日 (火)

福一から20キロ圏内の被ばく遺体に関するコメント

 「福一から20キロ圏内の被ばく遺体は何を意味するのか?」という記事(チャンネル北国tvのブログ記事)のコメント欄に数人の方から投稿があった。9月5日に、9月4日18:28に投稿された「チロル」さんから、以下のコメントをメールでいただいた。入力禁止の語句が含まれているというメッセージが出て投稿できないとのことだったので、そのメッセージをここで紹介したい。

*****

松田さん
クンちゃんさん

まず、この議論の基となった共同通信の記事(http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011033101000278.html)をよく読んでいただきたいです。

読めば分かるとおり、「大熊町内に数百~千体の遺体が残されているようだ。」とは、ひと言も書かれていません。「福島第一原発から20km圏内に数百~千体の遺体があるようだ」と報じています。
そして、その20km圏内の中に町の一部が含まれている大熊町内において発見された遺体から高い放射線量を測定した。~高い放射線量を測定したというニュースですので、松田さんが当初から主張しておられる「大熊町は津波による大きな被害は受けていそうにない。地震そのものによって数百人から千人もの方が亡くなるということも考えられない。となると 急性放射能障害で亡くなった可能性も…」という旨の意見は、そもそものスタート地点から この記事を読み違えているように思われますので、説得力を大きく欠いてしまっています。

また、
>仙台の若林区で200人から300人の遺体が見つかったという記事は、3月12日に配信されています。それなのに、なぜ大熊町での遺体発見の報道は3月下旬なのか?
↑松田さんのこの疑問に関しても、私は素直に受け取る事ができません。
仙台の若林区で見つかった200~300人というのは、荒浜という一町内の海岸で一度に見つかったご遺体の数です。
特定の町内に打ち上げられた遺体の総数を地上で数えるのと、半径20kmという広い範囲に点在する遺体を上空の自衛隊のヘリからひとつひとつ数えるのと、どちらがより時間がかかるかは、 容易に想像が付くはずです。
今回の原発事故による政府の一連の対応のせいで、公的機関は信用できない。という心理が 私の心の奥底でも働いていますので、諸々の情報をハナから疑ってかかる気持ちは十分に解ります。
しかし、見つかった遺体の数は似ていたとしても、その結果を報告するに至るまでの状況は、各被災地によってまちまちなのです。そのことを考慮する必要があります。

松田さんも クンちゃんさんも
>なぜ、続報がないのか
>その遺体はその後どうなったのか?
とおっしゃっていますが、福島第一原発の周囲 半径20km圏内および大熊町での遺体収容についての続報は、私の場合は4月と5月にNHKの報道で耳にする機会がありましたし、検索すれば幾つかの報道にも行き当たりますので、どうぞご自身で情報を集めてみてください。
以下に私が見つけた続報を数点貼っておきます。

10キロ圏内で本格的な捜索 10遺体発見(2011年4月15日 日テレNEWS24 )
http://www.news24.jp/articles/2011/04/15/07180968.html 

東日本大震災 大熊町を初捜索、2人の遺体収容 福島(2011年5月1日 産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110501/fks11050101470000-n1.htm 

5月18日(水)現在の安否情報登録人数 及びコールセンターの終了について(2011年05月18日・25日 大熊町役場 臨時サイト)
http://www.town.okuma.fukushima.jp/anpi.html#20110525 

捜索を阻む原発事故「妻と娘はどこに」もどかしさ募らせる大熊町の木村紀夫さん(2011年5月25日 産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110525/dst11052521500027-n1.htm 

[PDF] 継続する行方不明者の捜索活動(2011年8月 警察庁)
http://www.npa.go.jp/archive/keibi/biki/katudou/110811_sousakukatudou.pdf 

以上、長々と失礼致しました。

*****

 ここまでが、チロルさんのメッセージで、以下は私の補足だ。

 チロルさんがおっしゃる通り、数百から千体の遺体というのは大熊町だけのことではなく、福島第一原発から20キロ圏内の地域のことを指している。では、その地域で報告されている死者数はどうなっているのか? 以下のサイトに8月14日現在の福島県災害対策本部による市町村別の死者数が出ている。現在はこの数はさらに増えていると思う。

http://www.isobesatoshi.com/data/sisya-eastjapan.html 

 20キロ圏内に入っており、海岸部をもつ市町村の死者数は南相馬市633人、楢原町11人、富岡町19人、大熊町74人、双葉町29人、浪江町142人で、合計908人になる。ただし、南相馬市と楢原町の場合は20キロ圏内に含まれるのは一部の地域だ。つまり、20キロ圏内での死者数が数百人であり、その方たちの多くが津波によって亡くなった可能性が高いことは否定できない。

 しかし、一方で津波とは関係のない死者の数がどの程度なのかは、これらの情報からはまったく分からない。共同通信の記事にある被ばく遺体については、きわめて高濃度に汚染された場所のものと考えられ、しかも病死とされている。

 それは、「院長さん」の以下のツイッターでの発言から裏付けられる。

http://twitter.com/#!/onodekita/status/110614191668334592
大熊町の死亡症例の場所 http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1072/20110520_01.htm によると原発の南5-6km。 http://onodekita.sblo.jp/article/46986461.html の地図(9)続く

http://twitter.com/#!/onodekita/status/110614429300817921
5/25に5778万Bq/m2という考えられない汚染が発見されたところだと思われる。事故当日のヨウ素を考えると考えられない被曝だと思われる。

http://twitter.com/#!/onodekita/status/110624316097441792
http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1072/20110520_01.htm 5日後の4月1日、機動隊員や検視官、放射線計測班らが再び大熊町の現場に入った。外気から遮断して安置していたため、遺体の放射線量は下がり、除染の必要はなくなっていた。南相馬市に搬送。外傷はなく、病死と診断された。相当短半減期核種被爆の証拠

 津波や地震以外の理由で亡くなった方がどのくらいいるのか? 大熊町で発見された被ばく遺体の死因は解剖などで特定されなかったのか? このような方は他にはいなかったのか? この方の被ばくは死因と関係がないと言えるのか? という疑問はいまだに残るのだ。

【9月8日追記】 

「院長さん」がこの問題に関して以下の記事を掲載した。大熊町の被ばく遺体が発見された場所と、その区域の放射線量を提示し、「10時間で1Sv/hr 24時間で 2.4Sv/hr 致死量が 7Sv-10Svと言われています。3日ほどで到達したとしても、不思議はありません。」とコメントをしている。

福島原発事故後の不審な病死(80万アクセス) 

 また、「チロル」さんが紹介している以下の警察庁のサイトによると、8月現在で福島県の20キロ圏内の遺体収容数は、10キロ圏内186体、10~20キロ圏内170体で、合計356体だ。

http://www.npa.go.jp/archive/keibi/biki/katudou/110811_sousakukatudou.pdf 

 警察は津波被害のあった沿岸部を中心に捜索しているとのことなので、これらの多くは津波による死者の可能性が高い。共同通信の「数百~千体」という記述から確認された遺体の数は千に近いというイメージがあるが、収容された遺体数はそれとは程遠い。この差は何なのか? 津波被害がない場所の死者数はどうなっているのだろうか?

 私は、共同通信の記者は、大熊町の遺体が津波の被害がない場所にあったことを知っていた可能性が高いと考えている。大熊町の被ばく遺体がどこにあったのか、そして数百~千の遺体がどこにあったのか何ら言及していないことから考えると、やはり重要なことが隠されているという疑惑を持たざるを得ない。

 私が共同通信の記事を読んで疑問に思ったのはまさにこうしたことなのだが、チロルさんのコメントは揚げ足取りをして話しを逸らせているように感じられるのだ。

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コメント

ご紹介ありがとうございます。

。外気から遮断して安置していたため、遺体の放射線量は下がり、除染の必要はなくなっていた。南相馬市に搬送。外傷はなく、病死と診断された。

ですね。ポイントは
・外傷がないのだから、津波などではない。
・7日足らずで10000cpmをはるかに超える汚染が除染必要ないレベルに落ちていた。

 恐ろしい話です。

小野様

コメントありがとうございます。院長先生ご本人ですね!

先の急性白血病で亡くなった作業員の方といい、この大熊町の病死とされる方といい、死因と放射能の関連性が曖昧にされているのが非常に問題だと思います。

一般の方が入れない警戒区域では、津波以外で亡くなった方がいても死因を特定しないまま葬られているのではないでしょうか。

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