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2011年8月22日 (月)

政府はWSPEEDIによる拡散予測を公表せよ

 東京電力は8月17日に、7月26日から8月12日に福島第一原発から放出された放射性物質の量が「最大で毎時2億ベクレル」と発表し、事故直後に比べて1000万分の一に減少したとしている。しかし、この数値は信ぴょう性がない。なぜなら、クリス・バズビー氏はロシアの国際放送で、今も毎時10兆ベクレルの放出が続いていると言っているからだ。

バズビー博士「いまなお10兆ベクレル/時もの巨大放出続く」(大沼安史の個人新聞)

 どうして東電発表とこれほど大きな差があるのか?

 英国で放送された福島第一原発で働く作業員への匿名インタビューで、「例えば、汚染水浄化装置から汚染水が漏出していたことがあった時も、その事実はプレスには公表されましたが、実際に漏れ出した汚染水の量は公表されたもの以上のものでした」という作業員の話しがある。

フクシマの作業員への匿名インタビュー(・・・just wondering)

 東電は漏出した汚染水の量も少なめに発表しているのだ。だから、福一から放出されている放射性物質の量にしても、東電が実際より少ない数値を公表することはまったく不思議ではない。政府の過小評価は事故からずっと続いている。それにしても、この作業員の証言は現場がどんな大変な状況になっているかを物語っている。東電は作業員がマスコミ関係者と接触して現場の情報が漏れないよう、口止めに必死になっているのだ。

 今月の19日ころには各地で空中の放射線量が上昇している。札幌では16日から17日にかけて高めになった。たしかに爆発のあった3月に比べたなら減っているのだろうけれど、いまでも福一から放射性物質が飛んできているし、その量も決して安定していないようだ。

 気になるのが、風向きなどによる放射能の拡散方向だ。それにしても疑問なのが、政府がWSPEEDIによる拡散予測を出さないということだ。

 日本では、SPEEDIによる拡散予測のシステムがある。これが福島第一原発の事故のときに公表されず、住民の避難に役立たなかったのは周知の事実だ。以下はウォール・ストリート・ジャーナルの記事。

不吉な放射能拡散予測-住民批判に生かせなかった日本政府 

 SPEEDIによる予測は今でも行われており、以下の文部科学省のページの「単位量(1ベクレル)放出を仮定した予測計算結果」から見ることができる。

緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)等による計算結果 

 しかし、ここの表示されているのは過去のデータであり、今日や明日の予測ではない。しかも予測範囲が狭くて、福島県周辺のことしか分からない。

 SPEEDIは、放射能がどのように拡散するのか予測して、避難に役立てるためのシステムだったはずだ。過去の予測を発表しても何の意味もないだろう。馬鹿にしているという他にない。

 で、広域での拡散予測ができるのはWSPEEDIの方なのだが、こちらは5月になってようやく一部が公開されただけだ。その予測によって福島周辺のみならず、東北から関東にかけての広域での汚染が明らかになった。ところが、その後の予測は公表されていないようだ。まさか、WSPEEDIでの予測をやっていないというわけではあるまい。

 こんな具合だから、多くの人はドイツ気象局やオーストリア気象局、ノルウェー気象局などがインターネットで公表していた拡散予測を頼りにしていたのだが、それらも終了してきており、今見られるのはスイス気象局くらいだろうか。

http://www.meteocentrale.ch/en/weather/weather-extra/weather-in-japan.html 

 本来、このようなシミュレーションは当然のことならが事故を起こした当事国がきちんとやるべきことだ。ところが、この国の政府は、一向に広域の拡散予測を公表しようとしない。スーパーコンピューターに多額の税金を投じておきながら、まったく信じられない事態だ。国民は予測をもとに警戒したり、避難について判断することすらできない。そのうえニュースでは東電による過小評価の数値しか出てこない。自国民を見殺しにしているという状態だ。おそらく「放出量が減っている」、「予測は実際の拡散とは異なるので誤解を招く」とか「パニックになる」などの理由で公表しないのだろうが、これほど国民を馬鹿にした言い訳もない。

 政府は、すでに非常時を脱したとでも思っているのだろうか? 福一からの放射能の放出が続いている限り、そんなことはとても言えないはずだ。そもそも、4号機の建屋は傾いているし、あの使用済み燃料のプールは水漏れしているということだったが、その水漏れがどうなっているのかも報道がないではないか。ネット上では再爆発の可能性があるという話しも聞かれる。危機的状況はまったく変わっていない。

 とにかく東電や政府の発表をそのまま信じてはいけない。東電と政府の考えていることは、いかに事実を隠ぺいし、事故を過小評価し、国民を騙すかということだ。東電や政府が隠そうとしていることを見抜く力をつけないと、この国では生き延びることはできないのかもしれない。

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