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2011年5月28日 (土)

原発容認派の武田邦彦氏の発言は見過ごせない

 福島の原発事故が起こってからしばしばテレビに登場していた武田邦彦氏は、原子力を推進してきた原子力委員会、原子力安全委員会の委員を歴任してきた原発容認派だ。武田氏の地球温暖化問題などに関する発言には間違いも多々あり、以前から不信感を抱いていたので、このブログでも武田邦彦氏のことはまったく取り上げていない。

 ところが、原発事故が起こってからというもの、武田氏はテレビやブログで大活躍だ。東電批判や放射能に注意を呼び掛けるブログ記事は多くの人から共感が得られるようで、武田氏の発信をツイッターやブログなどで好意的に取り上げている人も多い。そんなことから、あたかも反原発派であると勘違いしている人が多いのではなかろうか。

 私は、これまでは武田氏の言うことは無視してきたが、最近の発言にはあまりに呆れたので取り上げておきたい。

 以下に武田氏の過去の発言がまとめられている。

武田邦彦氏の過去の発言を検証してみる(BLOGOS)

 上記の記事より、武田氏の発言のいくつかを引用しよう。ただし、できるだけ上記の記事も読んでいただきたい。

・大変に長い間、日本の原子力発電所は、簡単に言うと、極めて安全に運転されてきた。多分、他のエネルギー産業の中でも、統計的な数字を細かく述べることはできないんですが、最も安全なエネルギー産業の1つではなかったか。(平成19年12月25日)

・爆発しない原子力発電所というと「軽水炉」である。(平成19年4月)

・特に日本の原子力発電所は「水」を使って炉を冷やしているが、水は「核反応が進めば進むほど反応を止める方向に行く(負のボイド効果)」という特徴を持っているので、爆発させようとしても爆発しない。(平成19年4月)

・放射線の害を一言で言えば、「放射線で障害を受けることは、少ない。なかなか障害を受けることはできない」と言える。(平成21年5月)

・放射線と人体の関係を研究している人の多くが「放射線を少し浴びた方が発癌性が低い」と考えている。(平成21年5月)

・人間が放射線によって障害を受ける最低の放射線は200ミリシーベルト付近ですから。現在の200倍ぐらいに相当しますので、人間に直接的に影響が及ぶということはありません。(平成23年3月13日)

 武田氏が「安全」といっていた原子力発電所は数々の事故を起こし、隠ぺいも日常茶飯事だった。「爆発しない」といった福島の軽水炉は水素爆発で建屋がふっとび、一歩間違えば水蒸気爆発も起こしかねないところだった。今も危機的状態が続いていて、放射能汚染が拡大している。

 福島が爆発した直後に、200ミリシーベルトくらいにならないと放射線による障害を受けないと言っていた人が、広範囲の放射能汚染が現実のものとして認識されるようになってからは、しきりに放射能の危険性を説いている。彼の主張は間違いも多いし、支離滅裂だ。

 武田邦彦氏は、実にデタラメな発言をしてきた原発容認派なのだ。今も原発を擁護していることは、以下の5月20日の国会での発言でもはっきりと分かる。原発も安全であれば科学技術として採用すべきだと言っている。科学技術によって原発事故もなんとかできるかのような科学技術信奉発言もしている。一度に4基もの原発が大事故を起こし、事故処理に科学技術など何の役にも立っていないのは明白だ。それにも関わらず、いまだに「安全なら・・・」、「科学技術で・・・」などと寝ぼけたことを言って脱原発を唱えないのだから、神経を疑う。

 事故が起こってからというもの、一見まっとうなことを言っているようだが、根は原発容認なのだから騙しに近いし、明瞭な御用学者より性質が悪い。彼の発言に惑わされないように注意すべきだ、というのが私の意見だ。

**********

【5月29日 追記】

 この記事に関していろいろな意見があったが、誤解されている方もいるようなので、記事に貼り付けたYou Tubeでの武田氏の発言の一部を以下に書き起こして説明する。

・人間は空を飛ぶべきではないから飛行機はいけない、というような議論はとらないんです。もちろん人間は空を飛ぶべきじゃないかも知れません。初期の飛行機は次々と墜落しました。だけども、それがクリアされて安全な飛行機になれば飛べる。原子力発電もそうで、原子力自体をやるべきではないという議論、私はそういう考え方じゃありません。原子力発電所が社会に対して良い影響を与え、悪いことをしないというんであれば、墜落しない飛行機となるのだから、それは科学技術として採用すべき。しかし、そこのところをはっきりしておかないと、曖昧にしてことがらをやると、今度の原子力発電所の事故は、原子力発電所が必要であるから、エネルギー政策上必要であるから原子力発電所は安全だというような論理の逆転がですね、今度の事故を招き、多くの人を苦しめたんじゃないかと思います。

・科学技術は原発を造る技術だけじゃないんですよ。原発の技術ってものは原発が壊れたときに、それを速やかに除染してですね、何でもなかったかのように生活できるようにするというのも技術なんですね。これも原子力発電所をやる上においてはきわめて重要な技術なわけです。日本は科学技術立国でありますし、経済力も非常に強いのですから、世界に先駆けてですね、私は原発が爆発したら多少困るけど、きちっと住民を避難させて、速やかにそこを除染したら、除染したらというのは放射線物質を除染したら、一年以内に必ずそこで普通に住めるようになると、そういう国であるってことを示してもらいたい。それも原子力をやる上での技術のひとつじゃないかというふうに思います。

 赤字にした部分をよく読んでいただきたい。武田氏は、原発の安全性も確立されていないのに(絶対に事故が起きないなどということは誰も言えないだろう)、原子力をやめる議論はしないと言っているのだ。後半部分も、あくまでも原子力発電を続けることを前提とした発言だ。爆発したら多少困るけど、科学技術で除染して福島に住めるようにすべきだと言っている。原発が爆発したら「多少困る」という認識には呆れて物が言えない。

 そもそも科学技術できれいに除染できるのか? それが可能だったらチェルノブイリだって立ち入り禁止区域など必要ないだろう。除染のために水で洗ったなら、その放射性物質は環境へ出てしまう。仮に、除染した放射性物質をどこかに隔離できたとして、どうやって安全に処分するのだろう? 核廃棄物の処分も確立されていないのだ。原発の安全性も、放射性物質の処分も確立されていないのに、「原子力自体をやるべきではないという議論、私はそういう考え方じゃありません」と言って、脱原発の議論をすることすら逃げている。

 確かに武田氏は原発を推進してきたことを反省しているといって謝罪している。ところが、耳障りのいいことを言いながら、明らかに原発維持を堅持している原発容認派だ。いったい何を反省しているのだろう。これこそ騙しである。私は、国会でのこの発言を聞いて、黙っていられなくなった。

 また、武田氏は、都合の悪いブログ記事を何の説明もなく修正したり削除したりしているようだ。単純な誤字や脱字の修正ならもちろんそれでいいが、重要な事柄について加筆や修正あるいは削除をするのなら、その理由をきちんと説明するというのが科学者として責任ある態度だろう。

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原子力発電」カテゴリの記事

コメント

前から気がつく人は気がついてました。

御用学者の一人だからよく見かけるの本物の反原発学者はメディアに
出る事はめったにないです。
小出裕章氏を信じています。

私も、武田邦彦さんのブログを3・11後に読んで、この人は原発反対派の人なのかな?と、一瞬思いましたけど、よくよく考えれば原子力保安員の顧問ですもんね。。。

武田教授が昔から、最近のような発言をしていたなら、原子力保安員や通産省はあそこまでのん気でいられなかったはずですけどね。

「日米原子力協定」

という取り決めが、終戦直後に交わされていて、それにより資源の乏しい日本が、アメリカの軍備を後押ししつつ、核燃料を燃やす過程で生産されるプルトニウムを自国の資源として輸出する計画(いわゆるプルサーマル計画)を遂行することになった。

その呪縛がなかなか破れないんでしょうね。。。管さんが

「原子力政策そのものを根本から見直す」

って、暗に日米原子力協定の破棄を匂わせたら、自民・アメリカから相当な圧力があって、最近は言動が

「原発の存続も含めたエネルギー政策のあり方の見直し」

みたいな表現に変わってしまいましたもんね。。。

やはり、反原発、脱原発の論調が、ここのところ緩んでいるのを感じます。

ノーならノーを貫いて欲しいですね。。。

下ユル子様

コメントありがとうございました。

福島第一原発があれほどの大事故を起こして放射能を撒き散らしている中で、態度を一変させたように見えるのがこの武田邦彦氏。その実、しっかり原発を容認しているのですから、真の御用学者より始末が悪いと私は思います。

でも、善良な市民の方たちは、反省の言葉を述べ、原発に批判的な発言をしている武田氏を信じてしまうわけですね。まあ、正しいことも言っていますのでそれを評価するのは分からなくもありませんが、私は彼が心から反省しているとは決して思っていません。

状況に応じてころころ発言を変え、市民を騙し続けるような人間は、私が一番嫌いなタイプです。


 私は、今は反原発派の元原発設計者ですが、武田氏の問題点について同感です。武田邦彦氏をミスター風評被害と呼んで批判しています。
 事故前から一貫して、原子力発電の問題点を批判し、科学的に正しいことにこだわりつつ、放射線の恐がり方を指摘しているのは,故高木仁三郎さん、安斎育郎さん、野口邦和さんです。
 小出裕章さんについては、技術的にお粗末で、誇張や煽りが多すぎます。とても原子力工学を専攻している学者とは思えません。

杉山弘一様

コメントありがとうございました。

記事をいくつか読ませていただきました。

小出さんについては、私自身は誇張や煽りが多いとは思っていません。むしろ、かなり抑制して発言しているように感じられます。放射能の感受性の高い子どもを被ばくさせないように主張されていますが、それは当然のことと思います。

避難に関しては、汚染された地域に住む方たちが、自分自身でリスクを考えて判断するしかないと思います。避難したほうがしないよりリスクが低いと判断する人もいるでしょうし、逆の人もいるでしょう。人によって違います。

情報を収集したうえで、この程度のリスクなら、汚染されたところに住み続けるという判断をするのは自由です。

ただし、人間というのは「この程度のリスクなら、たぶん自分の子どもは大丈夫だろう」と思ってしまいがちです。そう思っていた方の子どもが、あとで実際に甲状腺がんや白血病になった場合、「リスクが低かったのだから運が悪かったのだ」といって納得できるでしょうか? 私はそうは思いません。「専門家の方がもっとしっかりと危険性を指摘してほしかった」と不満を持ったり悔やむのが一般の方の心理ではないでしょうか。健康被害が生じてから保障を求めても遅いのですし、恐らく東電や政府は原発事故との因果関係など簡単に認めないでしょう。

そういうことも含め、考えなければならない問題だと思います。

しかし松田師匠!!

小出さんはなんとっ!!

あの悪名高き

「幻冬舎ルネッサンス」

から本を出してしまいましたっス!!

反原発のお志はお志として別評価するとしても、被害者を多数出している悪徳出版社に利益をもたらす形になった小出教授の発言も、なんだか色あせて感じるス・・・。

下ユル子様

小出さんの本は自費出版ではなく商業出版です。そのことについては、今日の記事に書きました。自費出版を標榜する会社が密かに商業出版を企画し、その本を宣伝しているというのが実態です。幻冬舎ルネッサンスのやり方は、まるで騙しですね。

http://onigumo.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-f06b.html

通りがかりです。とても腑に落ちる指摘だったのでコメント残しておきます。

 武田氏の偏った発言に大きく影響されて動揺している人が多くて、ちょっと嫌な気持ちです。

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