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2011年5月25日 (水)

世界から取り残される日本の原発維持姿勢

 以下の吉岡英介さんのサイトに、台湾でも稼働中の6基の原発を順次廃炉にする方針を決めたとの新聞記事が紹介されている。

台湾 脱原発へ(水は変わる 論考)

 福島原発では事故から2カ月以上たっても収束の目途を立てることすらできず、毎日放射能を出しつづけている。東北や関東の農産物は汚染され、これから日本人は汚染された農作物を食べねばならなくなるだろう。日本の食品の輸入は受け入れを拒否されている。海外からの旅行者も激減している。ところが原発事故の当事国が、未だに脱原発に舵をきれないのだ。なんと情けないことだろう。

 木下黄太さんの以下のブログ記事によると、原発事故調査委員会の委員長に起用された畑村洋太氏は専門家でもなんでもなく、「人類は原発を知り尽くしていない。だからこれからも事故は起きるだろうが、事故を克服して原発を使っていくべきだ。」と発言しているのだという。こういう人物を委員長に起用する政府は、未だに思考停止状態だ。

原発事故調査委のトップは事故後に「原発を使うべき」と主張した人物という驚き

 21日の北海道新聞に、「原子力技術維持を」というタイトルで寺島実郎氏のコメントが掲載されていた。

 寺島氏は20日に開かれた北海道政懇話会の例会で講演をし、日本は原子力の技術基盤と技術者は維持していくべきだと訴えたという。寺島氏は「原発推進派でもなければ反対派でもない。『ベストミックス』という立場だ。将来的に原発依存度を15~25%の範囲にするのが現実的だ」と話したそうだが、原発を維持するのだから原発支持派だ。

 寺島氏が原発に反対していないことは知っていたが、これほどの大惨事を起こし、日本がこれまで経験したことのない想像もできない状況になりつつある中で、このような発言をすることに驚きを禁じ得ない。事故の深刻さが分かっているのだろうか?

 寺島氏は「3月11日わたしは新幹線の中にいた。あの時、新幹線で1人の死傷者持出なかった。そんな技術に身を寄せ、私たちは生きている」とも言っている。しかし、原発がひとたび重大な事故を起こしてしまったら人の技術などで制御できないことを、福島の事故は如実に物語っている。今、現場で必死に行われている作業は、高度な技術などとはかけ離れた注水や瓦礫の撤去、汚染水の汲み出しではないか。

 原子炉の水位計は壊れていたし、1号機のベント作業も作業員の手動だったという。ロボットなどもはやほとんど役に立たないことは明らかだ。あの原発事故の前では、人の築き上げた高度の技術などほとんど役に立たなかった。

 人は自然の力にも勝てないし、ミスもする。人のつくった機械は故障もする。科学技術で原子力をコントロールしようなどというのは自然に対する冒涜ではないか。私たちは福島の事故で、技術を過信すべきではないことを身を持って学んだのだ。

 東京電力は、今日になって1号機の格納容器に直径7センチ、2号機では10センチ相当の穴が複数空いている可能性があると言い出した。相変わらずの後出しじゃんけんだ。現時点ではまだ溶融した燃料は圧力容器の下部にあるという見方を変えていないが、もう少したったら、「メルトスルーしていました」と何食わぬ顔で言うのだろうか。もはや東電や日本政府の発表をそのまま信用している国などないだろう。

東日本大震災:福島第1原発事故 1~3号機溶融 格納容器に穴の可能性(毎日新聞)

 昨日は、原子力資料情報室のライブ中継で後藤政志さんの「メルトダウン」に関する解説があった。後藤さんは、以下のようなことを話されていた。

・政府のはじめの発表は燃料棒の一部損傷だった。しかし一部損傷とメルトダウンでは全く意味が異なる。一部損傷であれば燃料棒は形を保っており、水蒸気爆発や再臨界にはならない。しかし、メルトダウンというのは最悪の事態であり、それを国民に知らせないというのは許せない。無茶苦茶なことで、神経が理解できない。炉心の溶融のシミュレーションは一番初めにやるべきことで、最悪の事態になって言うのはおかしい。日本は先進国ではない。

・燃料の溶融に至った原因、水位の落ちた原因などについて、ちゃんとした説明がない。パラメーターを調べて原因を探らなければならないのに、程遠い話しをしている。

・3号機の爆発が1号機の爆発より大きかったのは、爆発するまでのタイミングが遅くなったために水素の量が多くなったからではないかと思う。

・東電はデータがあるのに公表してこなかった。密かに解析して自分たちの状況に合うものを公表するという態度は許されない。

 もっともなことだ。

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