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2011年5月

2011年5月30日 (月)

安心どころか不安になる日本の食品の放射能暫定基準値

 我が家では生協の共同購入(宅配)で食品を購入している。先日の配達の折に、生協では野菜の放射線の検査を実施しているのか聞いてみた。すると「きちんとやっています。基準値以下のものしか扱っていませんから、安心です」という答えだ。もちろん、私は基準以下だからといって安心できるなんて思っていないが、この配達員の方にいろいろ言っても仕方ないので、それ以上のことは言わなかった。

 その後のことだ。配達されたレタスを料理しようと思って冷蔵庫から出して驚いた。たしか注文したのは北海道産のレタスだったのに、届いていたのは別の産地のものだったからだ。あらら、注文ミスをしたのだろうか、と思って納品書を確認してみた。

 すると、納品書には「レタス(北海道産)1玉<お詫び>天候不順で○○産を含めてお届けします」となっている。○○産というのは福島の近隣の県だ。明らかに注文ミスではなく、注文とは違う産地のものが事前になんの断りもなく届けられたのだ。

 以前も「天候不順」などの理由で違う産地のものが届くことはあったが、食品の放射能汚染が問題となっている時期に、これはないのでは・・・。店舗ならば産地を確認して購入できるが、配達の場合はそれができない。もしかしたら、今後はずっとこんな感じで、注文したのとは異なる産地の野菜が平然と届けられるのだろうかと、とても嫌な気分になった。

 放射能で汚染されてしまった土地の農家の方は本当に気の毒だが、消費者が農産物の購入に気を遣うのは当然だ。なぜなら、日本の放射能の基準は、海外に比べると信じがたいほどユルユルで、とても配達のお兄さんの「基準値以下ですから安全です」などという状況ではないからだ。以下、参照いただきたい。

世界もおどろく日本の基準値2000ベクレル

 この暫定基準というのは、政府が福島原発の事故を受けて慌てて設定したもの。この基準を上回る食品については、販売しないようにということだ。以下参照。

放射能汚染された食品の取り扱いについて(厚生労働省)

 原発のある国の国民として、汚染された作物を食べることは仕方がないという側面はあるかもしれない。しかし、その前にまだそれほど汚染されていない地域の耕作放棄地を復活させるという政策を政府は早急にとるべきだろう。このことは「耕作放棄地の活用を」にも書いた。中高年の人たちはともかく、責任のない子どもや若者には危険なものを食べさせないようにしなければならない。

 そんなわけで、今年は庭の花壇を畑にし、野菜をつくることにした。気候が厳しいところなので作れる作物は限られているが、とりあえずの自衛策だ。

 どうやら福島の原発事故による内部被ばくは、かなり深刻な状況らしい。

安全基準を超えた「内部被曝」(要精密検査)すでに4766人、異常値を示した人1193人(現代ビジネス)

2011年5月29日 (日)

容認できないトラックバックは削除します

 先日より、ココログの方に(私はチャンネル北国tvとココログの両方に同じ記事を書いている)、執拗にトラックバックを送ってくる人がいる。削除してもまた送ってくるのだ。以下がそのトラックバックを送ってくるサイトだ。

被ばくを最小限に抑えるための知識
http://naturalcube.seesaa.net/

 私は、自分とまったく違う意見を書いている記事からのトラックバックも基本的に削除するようなことはしていない。しかし、公共の利益を損なう内容のサイトからのトラックバックは容認できない。具体的に説明すると、こういうことだ。

 上記のサイトの「放射性物質からの防護対策」という記事には、「原子力発電所周辺の住民が気をつけること」としてこんなことが書いてある。

・ラジオやテレビ、市町村からの情報(広報車、防災行政無線、有線放送など)から確かな情報を入手し、うわさなどには惑わされない。

 福島の原発事故では、東電と政府が情報を隠ぺいしたり、安全・安心情報ばかり流しつづけた。マスコミもそれを受け売りした。そのために、速やかに避難せずに多くの人が被ばくしたのだ。その後も、政府は避難の基準とする放射線量を根拠も示さないまま緩和してしまった。犯罪行為にも等しい。マスコミや市町村からの情報などを信じていたのでは、身を守れないのが現実なのだ。このサイトの「注意」を信じていたなら、放射能から身を守ることなどできない。

 このような不適切な発信をしているサイトを、トラックバックとしてリンクさせておくことは許容できない。

 削除しているのに、執拗に4回もトラックバックを送ってきたので、あえて削除する理由について説明をしておく。

2011年5月28日 (土)

原発容認派の武田邦彦氏の発言は見過ごせない

 福島の原発事故が起こってからしばしばテレビに登場していた武田邦彦氏は、原子力を推進してきた原子力委員会、原子力安全委員会の委員を歴任してきた原発容認派だ。武田氏の地球温暖化問題などに関する発言には間違いも多々あり、以前から不信感を抱いていたので、このブログでも武田邦彦氏のことはまったく取り上げていない。

 ところが、原発事故が起こってからというもの、武田氏はテレビやブログで大活躍だ。東電批判や放射能に注意を呼び掛けるブログ記事は多くの人から共感が得られるようで、武田氏の発信をツイッターやブログなどで好意的に取り上げている人も多い。そんなことから、あたかも反原発派であると勘違いしている人が多いのではなかろうか。

 私は、これまでは武田氏の言うことは無視してきたが、最近の発言にはあまりに呆れたので取り上げておきたい。

 以下に武田氏の過去の発言がまとめられている。

武田邦彦氏の過去の発言を検証してみる(BLOGOS)

 上記の記事より、武田氏の発言のいくつかを引用しよう。ただし、できるだけ上記の記事も読んでいただきたい。

・大変に長い間、日本の原子力発電所は、簡単に言うと、極めて安全に運転されてきた。多分、他のエネルギー産業の中でも、統計的な数字を細かく述べることはできないんですが、最も安全なエネルギー産業の1つではなかったか。(平成19年12月25日)

・爆発しない原子力発電所というと「軽水炉」である。(平成19年4月)

・特に日本の原子力発電所は「水」を使って炉を冷やしているが、水は「核反応が進めば進むほど反応を止める方向に行く(負のボイド効果)」という特徴を持っているので、爆発させようとしても爆発しない。(平成19年4月)

・放射線の害を一言で言えば、「放射線で障害を受けることは、少ない。なかなか障害を受けることはできない」と言える。(平成21年5月)

・放射線と人体の関係を研究している人の多くが「放射線を少し浴びた方が発癌性が低い」と考えている。(平成21年5月)

・人間が放射線によって障害を受ける最低の放射線は200ミリシーベルト付近ですから。現在の200倍ぐらいに相当しますので、人間に直接的に影響が及ぶということはありません。(平成23年3月13日)

 武田氏が「安全」といっていた原子力発電所は数々の事故を起こし、隠ぺいも日常茶飯事だった。「爆発しない」といった福島の軽水炉は水素爆発で建屋がふっとび、一歩間違えば水蒸気爆発も起こしかねないところだった。今も危機的状態が続いていて、放射能汚染が拡大している。

 福島が爆発した直後に、200ミリシーベルトくらいにならないと放射線による障害を受けないと言っていた人が、広範囲の放射能汚染が現実のものとして認識されるようになってからは、しきりに放射能の危険性を説いている。彼の主張は間違いも多いし、支離滅裂だ。

 武田邦彦氏は、実にデタラメな発言をしてきた原発容認派なのだ。今も原発を擁護していることは、以下の5月20日の国会での発言でもはっきりと分かる。原発も安全であれば科学技術として採用すべきだと言っている。科学技術によって原発事故もなんとかできるかのような科学技術信奉発言もしている。一度に4基もの原発が大事故を起こし、事故処理に科学技術など何の役にも立っていないのは明白だ。それにも関わらず、いまだに「安全なら・・・」、「科学技術で・・・」などと寝ぼけたことを言って脱原発を唱えないのだから、神経を疑う。

 事故が起こってからというもの、一見まっとうなことを言っているようだが、根は原発容認なのだから騙しに近いし、明瞭な御用学者より性質が悪い。彼の発言に惑わされないように注意すべきだ、というのが私の意見だ。

**********

【5月29日 追記】

 この記事に関していろいろな意見があったが、誤解されている方もいるようなので、記事に貼り付けたYou Tubeでの武田氏の発言の一部を以下に書き起こして説明する。

・人間は空を飛ぶべきではないから飛行機はいけない、というような議論はとらないんです。もちろん人間は空を飛ぶべきじゃないかも知れません。初期の飛行機は次々と墜落しました。だけども、それがクリアされて安全な飛行機になれば飛べる。原子力発電もそうで、原子力自体をやるべきではないという議論、私はそういう考え方じゃありません。原子力発電所が社会に対して良い影響を与え、悪いことをしないというんであれば、墜落しない飛行機となるのだから、それは科学技術として採用すべき。しかし、そこのところをはっきりしておかないと、曖昧にしてことがらをやると、今度の原子力発電所の事故は、原子力発電所が必要であるから、エネルギー政策上必要であるから原子力発電所は安全だというような論理の逆転がですね、今度の事故を招き、多くの人を苦しめたんじゃないかと思います。

・科学技術は原発を造る技術だけじゃないんですよ。原発の技術ってものは原発が壊れたときに、それを速やかに除染してですね、何でもなかったかのように生活できるようにするというのも技術なんですね。これも原子力発電所をやる上においてはきわめて重要な技術なわけです。日本は科学技術立国でありますし、経済力も非常に強いのですから、世界に先駆けてですね、私は原発が爆発したら多少困るけど、きちっと住民を避難させて、速やかにそこを除染したら、除染したらというのは放射線物質を除染したら、一年以内に必ずそこで普通に住めるようになると、そういう国であるってことを示してもらいたい。それも原子力をやる上での技術のひとつじゃないかというふうに思います。

 赤字にした部分をよく読んでいただきたい。武田氏は、原発の安全性も確立されていないのに(絶対に事故が起きないなどということは誰も言えないだろう)、原子力をやめる議論はしないと言っているのだ。後半部分も、あくまでも原子力発電を続けることを前提とした発言だ。爆発したら多少困るけど、科学技術で除染して福島に住めるようにすべきだと言っている。原発が爆発したら「多少困る」という認識には呆れて物が言えない。

 そもそも科学技術できれいに除染できるのか? それが可能だったらチェルノブイリだって立ち入り禁止区域など必要ないだろう。除染のために水で洗ったなら、その放射性物質は環境へ出てしまう。仮に、除染した放射性物質をどこかに隔離できたとして、どうやって安全に処分するのだろう? 核廃棄物の処分も確立されていないのだ。原発の安全性も、放射性物質の処分も確立されていないのに、「原子力自体をやるべきではないという議論、私はそういう考え方じゃありません」と言って、脱原発の議論をすることすら逃げている。

 確かに武田氏は原発を推進してきたことを反省しているといって謝罪している。ところが、耳障りのいいことを言いながら、明らかに原発維持を堅持している原発容認派だ。いったい何を反省しているのだろう。これこそ騙しである。私は、国会でのこの発言を聞いて、黙っていられなくなった。

 また、武田氏は、都合の悪いブログ記事を何の説明もなく修正したり削除したりしているようだ。単純な誤字や脱字の修正ならもちろんそれでいいが、重要な事柄について加筆や修正あるいは削除をするのなら、その理由をきちんと説明するというのが科学者として責任ある態度だろう。

2011年5月27日 (金)

事態の深刻さがどんどん明らかに

 原発事故報道に関しては、もうテレビや新聞ではとても真実がわからない。で、頑張っているのは、やはりネットメディアと週刊誌だろう。とりわけ週刊現代(講談社)は毎週のように原発特集を組んで追求していることが、新聞広告の見出しを見ただけでわかる。週刊現代の版元である講談社の「現代ビジネス」でも、東電や政府の対応の酷さ事故の深刻さ、放射法汚染の実態を簡潔に指摘している。タイトルはかなりセンセーショナルだが、北大農場の牛乳からも微量のセシウムが検出されているのだから、「福島第一原発から1000km圏内は、大なり小なり汚染されています」というのは事実だろう。

「東京脱出」が現実になる日

 陸だけではなく、海の汚染も本当に心配だ。以下の上杉隆氏の記事をお読みいただきたい。政府や都道府県は、生物に蓄積しやすく生物濃縮されるストロンチウムを一切測定していないそうだ。

ストロンチウム90の海産物汚染に無策な日本政府。細野豪志首相補佐官の「約束」に期待したい(DIAMOND online)

 福島の事故はチェルノブイリと匹敵ないしはそれを超える汚染とまで言われるようになった。

 東電と政府が速やかに情報公開せず、御用学者が安心情報を振りまく、という原子力ムラの構図によって、福島では多くの人が被ばくしてしまったのだ。以下の田中龍作さんの記事に詳しい。これは原子力ムラによる犯罪行為ではないか。

飯館村 御用学者に振り回されたあげくに

 東電と政府は、原発事故が起きてからずっと国民を裏切り、不都合な事実の隠蔽、情報の訂正や後出し、事故や放射能汚染の過小評価にやっきになっていたのだ。しかし、こうしたあまりにも酷い対応に、内部告発も後を絶たない。以下も東電についての驚くべき告発だ。

【驚愕】元東電社員の内部告発(Qetic)

 2か月以上もたってはっきり見えてきたのは、当初の東電や政府の説明とはかけ離れた深刻な放射能汚染だ。原発大国のフランス放射線防護原子力安全研究所ですら、さらに7万人を避難させるべきだとの見解を示している。

「さらに7万人が避難すべき」、仏IRSNが福島事故の評価を更新(AFP BB News)

 私は3月12日の1号機の爆発の映像を見てから、これは相当大変なことになると直感した。今のところ最悪の事態である水蒸気爆発が起きていないのが不幸中の幸いだが、私たち日本人は大変な状況の中に置かれている。放射能汚染による健康被害、非難した被災者の補償、食べ物の心配、核のゴミの問題、先の見えない不安・・・。しかしながら最大の問題は、まだこの深刻な汚染を認識していない日本人が大勢いることだろう。

 文科省は今日、福島県内の児童生徒が今年度に受ける放射線量については「年間1ミリシーベルトを目指す」との目標を発表したそうだ。

放射性物質:工程の土壌処理、国が経費負担へ 文科省方針

 しかし、汚染の酷いところでは1ミリシーベルトなどとっくに超えているだろう。1ミリシーベルトを目指すならすぐにでも疎開させねばならない状況なのに、「年間1~20ミリシーベルト」という基準は変えようとしない。言っていることとやっていることが矛盾している。

2011年5月25日 (水)

世界から取り残される日本の原発維持姿勢

 以下の吉岡英介さんのサイトに、台湾でも稼働中の6基の原発を順次廃炉にする方針を決めたとの新聞記事が紹介されている。

台湾 脱原発へ(水は変わる 論考)

 福島原発では事故から2カ月以上たっても収束の目途を立てることすらできず、毎日放射能を出しつづけている。東北や関東の農産物は汚染され、これから日本人は汚染された農作物を食べねばならなくなるだろう。日本の食品の輸入は受け入れを拒否されている。海外からの旅行者も激減している。ところが原発事故の当事国が、未だに脱原発に舵をきれないのだ。なんと情けないことだろう。

 木下黄太さんの以下のブログ記事によると、原発事故調査委員会の委員長に起用された畑村洋太氏は専門家でもなんでもなく、「人類は原発を知り尽くしていない。だからこれからも事故は起きるだろうが、事故を克服して原発を使っていくべきだ。」と発言しているのだという。こういう人物を委員長に起用する政府は、未だに思考停止状態だ。

原発事故調査委のトップは事故後に「原発を使うべき」と主張した人物という驚き

 21日の北海道新聞に、「原子力技術維持を」というタイトルで寺島実郎氏のコメントが掲載されていた。

 寺島氏は20日に開かれた北海道政懇話会の例会で講演をし、日本は原子力の技術基盤と技術者は維持していくべきだと訴えたという。寺島氏は「原発推進派でもなければ反対派でもない。『ベストミックス』という立場だ。将来的に原発依存度を15~25%の範囲にするのが現実的だ」と話したそうだが、原発を維持するのだから原発支持派だ。

 寺島氏が原発に反対していないことは知っていたが、これほどの大惨事を起こし、日本がこれまで経験したことのない想像もできない状況になりつつある中で、このような発言をすることに驚きを禁じ得ない。事故の深刻さが分かっているのだろうか?

 寺島氏は「3月11日わたしは新幹線の中にいた。あの時、新幹線で1人の死傷者持出なかった。そんな技術に身を寄せ、私たちは生きている」とも言っている。しかし、原発がひとたび重大な事故を起こしてしまったら人の技術などで制御できないことを、福島の事故は如実に物語っている。今、現場で必死に行われている作業は、高度な技術などとはかけ離れた注水や瓦礫の撤去、汚染水の汲み出しではないか。

 原子炉の水位計は壊れていたし、1号機のベント作業も作業員の手動だったという。ロボットなどもはやほとんど役に立たないことは明らかだ。あの原発事故の前では、人の築き上げた高度の技術などほとんど役に立たなかった。

 人は自然の力にも勝てないし、ミスもする。人のつくった機械は故障もする。科学技術で原子力をコントロールしようなどというのは自然に対する冒涜ではないか。私たちは福島の事故で、技術を過信すべきではないことを身を持って学んだのだ。

 東京電力は、今日になって1号機の格納容器に直径7センチ、2号機では10センチ相当の穴が複数空いている可能性があると言い出した。相変わらずの後出しじゃんけんだ。現時点ではまだ溶融した燃料は圧力容器の下部にあるという見方を変えていないが、もう少したったら、「メルトスルーしていました」と何食わぬ顔で言うのだろうか。もはや東電や日本政府の発表をそのまま信用している国などないだろう。

東日本大震災:福島第1原発事故 1~3号機溶融 格納容器に穴の可能性(毎日新聞)

 昨日は、原子力資料情報室のライブ中継で後藤政志さんの「メルトダウン」に関する解説があった。後藤さんは、以下のようなことを話されていた。

・政府のはじめの発表は燃料棒の一部損傷だった。しかし一部損傷とメルトダウンでは全く意味が異なる。一部損傷であれば燃料棒は形を保っており、水蒸気爆発や再臨界にはならない。しかし、メルトダウンというのは最悪の事態であり、それを国民に知らせないというのは許せない。無茶苦茶なことで、神経が理解できない。炉心の溶融のシミュレーションは一番初めにやるべきことで、最悪の事態になって言うのはおかしい。日本は先進国ではない。

・燃料の溶融に至った原因、水位の落ちた原因などについて、ちゃんとした説明がない。パラメーターを調べて原因を探らなければならないのに、程遠い話しをしている。

・3号機の爆発が1号機の爆発より大きかったのは、爆発するまでのタイミングが遅くなったために水素の量が多くなったからではないかと思う。

・東電はデータがあるのに公表してこなかった。密かに解析して自分たちの状況に合うものを公表するという態度は許されない。

 もっともなことだ。

2011年5月24日 (火)

倉庫で眠る線量計

 今日、東電はようやく2号機と3号機もすっと前にメルトダウンしていたとの推定を発表した。もう、この手の発表にも驚かなくなった。東電は未だに、地震そのものによる原子炉の破損は否定しているが、4号機などは地盤沈下して傾いているのだ。おそらく建屋の基礎部分も壊れているのだろう。配管だらけの原子炉が地震によって壊れない方がむしろ不思議だ。東電はいつ認めるのだろうか? それともずっと否定しつづけるつもりなのか・・・。

 ところで、福島第一原子力発電所の作業員が線量計も持たされずに事故処理の作業をしていたとか、線量計が壊れていて被ばく線量が分からなかったなどという話しを聞いたことがある。意図的に持たせていないのだろうな、と思った。

 以下は5月19日の厚生労働委員会での福島みずほ氏の質問だ。

 実は、3月の下旬以降、米国、英国、フランス、カナダ、ロシアなどから大量の線量計が送られてきていたのだ。これらは防衛省、消防庁、東電、福島県、農水省、厚労省、安全保安院、茨城県などに配布されているという。ところが福島さんによると、成田の倉庫に1万9千個もの線量計が留め置かれているそうだ。

 武藤審議官は福島さんの質問に対して、しどろもどろの回答しかできない。はっきり答えなかったり、訂正したり。どうやら外国から送られてきた線量計が速やかに現場に届けられていないのは事実のようだし、あの答弁からはそれを知っていながら隠しているように感じられる。

 多くの人が線量計を必要としている非常事態なのに、大量の線量計が倉庫に留め置かれているということだけでも驚きだが、学校や保育園などに積極的に配布しているようでもなさそうだ。

 せっかくもらった線量計を速やかに、また広く配布しないということの裏には、放射線量を計測してもらいたくないという事情があるのではないかと勘繰ってしまう。

 作業員が限度の線量まで被ばくしてしまったら、その人はもう原発で働くことができなくなる。時間が経てば経つほど原発で働ける人がどんどん減ってくるのだ。現状の原発の維持すら困難になる可能性がある。また、線量をきちんと把握した場合、何年か経ってから被ばく線量と白血病などとの相関関係がはっきりするかもしれない。東電にとっては、どちらも都合が悪い。

 昨日の記事に書いたように、行政の発表している線量は外部被ばくに関わるガンマ線だけで、内部被ばくに関する線量は無視している。しかも地上から10メートル以上もの高さのところで測ったりしている。こうしたまやかしを続けるためにも、放射線量の測定や公表はあくまでも行政が主導権を握りたいのだろう。

2011年5月23日 (月)

参議院行政監視委員会の話しより

 今日は、参議院の行政監視委員会で小出裕章さん、後藤政志さん、石橋克彦さん、孫正義さんの4人が参考人として話をされた。この実況中継は以下の参議院のホームページに2011年5月23日の日付を入れて検索すると視聴できる。

参議院インターネット審議中継

 全部を通して聞いたわけではないが、とりわけ小出さんの話で印象に残ったことを取り上げたい。

 まず、高速増殖炉について。日本はプルトニウムを利用した核燃料サイクルの構想を練ったが、高速増殖炉は実用化できずに破綻している。『もんじゅ』だけでもすでに1兆円を使っているのに、1兆円の詐欺といえるような状態だ。1兆円の詐欺をしたら1万年の実刑に当たる。ところが誰も責任を取っていない・・・と小出さんは説明された。あのどうしようもない状態になっている「もんじゅ」に、なんと1兆円も使われていたのだ。国民の税金を何だと思っているのだろう。というか、税金だから何とも思わないのだろう。できないことが分かっていながら計画の断念を表明せずに巨額の費用を投じ続けるのは、小出さんではないが詐欺に等しい。

 福島の事故の対応については、すでにメルトダウンして溶けた燃料が格納容器の外に出ている可能性もあり、それであれば循環式の冷却は無理ではないかとも言っていた。確かに、循環式の冷却というのは燃料が格納容器の中にあることが前提だが、メルトスルーしているのであれば話しが違ってくる。東電は1号機のメルトダウンは事故の直後から分かっていたし、そうであればメルトスルーの可能性もとっくに分かっていただろう。それなのに、窒素注入や水棺などという無駄な試みをし、今は循環式の冷却装置の設置を進めている。しかし、もし格納容器の中に燃料がないのであれば、循環式で一体なにを冷やすのかということになる。東電も政府も事故が起こる前まではメルトスルーなどという事態は全く考えていなかったのだろうが、メルトスルーが進行しているのなら、今後の対処に英知を結集させなければならないだろう。

 もう一つは、情報公開に関して。小出さんは3月15日に東京で放射性物質の測定を行っている。その値は内部被ばくで1時間に約20マイクロシーベルトに相当するという、かなり驚くべき数値だ。このデータは3月18日の京大のセミナーで公表したが、所長からは公表するとパニックを煽るのでなるべく公表しないほうがいいと言われたそうだ。

 孫正義さんも言っていたが、政府による放射線量の報告はガンマ線だけだという。これだと外部被ばくだけしか対象にならない。こうしたまやかしとも言える過小な放射線量しか政府は発表しない。さらに行政はデータの公表に対して圧力をかけているようだ。そういえば新聞では各地の放射線量の一覧表を掲載し、「数値が下がってきているから心配ない」というようなことを書いていたが、その数値は公の機関の発表によるガンマ線だけのものなのだろう。内部被ばくを考慮しない政府や行政のデータで安心してはいけない。

 政府がしていることは、被ばく線量の引き上げだ。作業員の被ばく量を引き上げ、住民の避難の基準となる被ばく量を引き上げた。今までの基準を保っていたなら、福島では多くの人がそのまま住み続けることができなくなる。政府の発想は「危険だから避難してもらう」のではなく、「避難は無理だから被ばくしてもらう」ということのようだ。将来、もし被ばくによって健康被害が生じたとしても、東電や国は恐らくなんの補償もしないのだろう。原発事故との因果関係を証明するのは極めて困難だからだ。国民は、この国はそういう国なのだということを頭に入れておかねばならない。

 今後、放射能の大量放出がなければいいのだが、もし高濃度の放射能が大気中に大量放出されるようなことになれば、東北だけではなく関東もかなり汚染されかねない。政府が危険性を過小評価している以上、自分で情報を得る努力をし、自分で身を守るしかない。とりわけ、子どもたちを被ばくさせないよう最大限の努力をするのが大人の責任だろう。

 なお、参考人の方たちの話しがYouTubeに投稿されている。

小出裕章さん
http://www.youtube.com/watch?v=GASMdrWqUOY&feature=player_embedded
http://www.youtube.com/watch?v=jygNyahW1UM

石橋克彦さん
http://www.youtube.com/watch?v=dvwOIwR99rE
http://www.youtube.com/watch?v=PnRcymz-SDQ

後藤政志さん
http://www.youtube.com/watch?v=ra2_pqrFqL8
http://www.youtube.com/watch?v=S7INkuS5k6o

孫正義さん
http://www.youtube.com/watch?v=QZQS8yUhYi8 

2011年5月22日 (日)

地震で決壊した藤沼ダム

 東日本大震災では、地震と津波の被害に原発事故が重なって最悪の事態になってしまった。この地震によってダムが決壊し複数の方が亡くなられたのだが、このダム決壊のニュースは大震災の陰に埋もれてあまり知られていないようだ。

その時 何が(5)ダム決壊(須賀川) (河北新報社)

 決壊したのは福島県須賀川氏の藤沼ダム(藤沼貯水池)で、灌漑用のアースフィルダムだ。地震によってダムの堤体が崩れて死者を出したほか、田畑や家屋も被害を受けた。下流の人たちにとって、ダムの決壊などまったく頭になかったのだと思う。以下は藤沼ダムの決壊後の様子だ。

 

 私はこのブログで、地震大国、火山大国である日本では、地震や火山噴火がダムの決壊を引き起こす可能性があることを以前から指摘していたのだが、藤沼ダムの決壊によりその恐れが現実のものとなった。八ッ場ダムでは、計画当初から建設予定地の地質のもろさが指摘されているし、上流にある火山が噴火して泥流などが発生したなら、品木ダムや八ッ場ダムが決壊する可能性は否定できない。万一そのようなことが起きたならダム湖からの鉄砲水による下流域の被害は計り知れない。日本にはそのようなリスクのあるダムが多数あるだろう。

 クリーンなエネルギーだと嘘を言って推し進められてきた原発は、取り返しのつかない放射能汚染を引き起こしている。大地も海も生き物も汚染されてしまった。それだけではなく、原発は大量の海水を温めて海の生態系を乱しているのだ。温暖化にも加担している。福島第一原子力発電所の事故で、「クリーンな原発」という嘘も暴かれ、自然エネルギーや水力発電が注目されてきているようだが、ダムによる水力発電も河川を分断し、取り返しのつかない自然破壊を起こすことに変わりはない。

 原発が危険だからといって、水力発電用のダムを建設することは賛成できない。また、原発に耐用年数があるように、コンクリートにも寿命がありダムもやがて耐用年数に達するだろう。堆砂対策にも巨額の費用がかかるし、撤去にも巨額な費用がかかる。しかし、建設時にはそういったコストはほとんど考えられていないのではなかろうか。そういうダムのリスクも今のうちから考えておかねばならない。発電に水力を利用するのであれば、巨大なダムではなく流水を利用した小規模のものを考えるべきだ。幸い、日本は水の豊かな国なのだから。

 いずれにしても、今までと同じだけのエネルギーを何としてでも維持しようという思考に私はついていけない。まずは節電をもっと徹底すべきではないか。

2011年5月18日 (水)

心配な4号機

 平田オリザ氏がソウルでの講演で、低濃度汚染水の海への放出は「米の要請」と明かしたのには驚いた。

原発、汚染水放出は「米の要請」平田参与ソウルで発言(47NEWS)

 この記事によると、平田氏は「流された水は非常に低濃度で量も少ない」と釈明したそうだが、本当に「低濃度で量も少ない」と思っているのであれば、彼の認識を疑いたくなる。  この発言以上に驚いたのは、4号機の建屋のことだ。

傾きが止まらない4号機建屋の補強工事(カレイドスコープ)

 ライブカメラによる福島原発の映像は時々見ているが、4号機の建屋が傾いていることには気づかなかった。隣の3号機の建屋があまりにも酷いので、そちらの方がむしろ気になっていたのだ。しかし、もう一度よく見ると、確かに傾いているように見える。

 福島原発一体では地震で地盤沈下があったとする情報もある。

福島原発で地盤沈下(院長の独り言)

 もし建屋が基礎ごと沈下して傾いているのであれば、今後の余震などでどんな状態になるのか分からない。ただでさえ4号機の燃料プールは水漏れしていると言われているのだ。その破損が大きくなったり、傾いた建屋が倒壊したならどんなことになるのか想像もつかない。東電や政府がこういうことを隠して何食わぬ顔で記者会見をしているのであれば神経を疑う。

 倒壊の危険性があるのであれば、ただちにその事実を公表して対応策に世界の知恵を集めるべきではなかろうか。危険なことは危険だと言わないと、同じ過ちを繰り返すことになる。とはいっても、今の東電や政府にはそのような英断は期待できそうにない。

 これが事実なら、とにかく倒壊を防ぐ手立てに全力をつくすべきだ。

福島原発事故ではいろいろな専門家の意見を聞くべき

 昨日は原子力資料情報室のライブ放送で、後藤政志さんによる原子炉に関する解説を聞いた。格納容器の設計をされていた後藤さんは、原子炉の最後の砦である格納容器が壊れて気密性を失っているということだけでもとんでもない事態だという。後藤さんの話をごく簡単に要約すると以下のような内容だ。

 3基もの原子炉でメルトダウンの状況にあるが、溶融した燃料がどこにあるのか分からない。圧力容器の底が抜けて格納容器に落ちている可能性が高い。現在は1号機から3号機すべてで、注入した水が全部格納容器の外に漏れている状態である。もし不安定な状態になったら大量に放射性物質が外に出て、大気、海、地下水を汚染する。工程表などという以前に、この垂れ流し状態をどうするのかということが大事だ。政府は閉じ込め機能について甘く見過ぎている。

 燃料が格納容器の底に落ち、格納容器を突きぬけてメルトスルーといわれる状態になっていることもありえる。下のコンクリートに到達すると、コア・コンクリート反応を起こし、底を破って外に出る可能性もある。3号機は温度が上がっており安定していない。水素爆発、水蒸気爆発、再臨界なども可能性として否定できない。万一水蒸気爆発が起こったら、水素爆発の比ではなく大変な被害になる。何が起こるかわからない。ホウ酸を入れているのは再臨界を防ぐため。万一再臨界が起きたら大変なことになる。そういうことにならないよう願うしかない。今はコントロールできておらず手探り状態だ。もし大量の放射性物質が放出される事態になれば、首都圏も危ないかもしれない。燃料が冷却できていると言えるのか懸念している。3基もの原発がメルトダウンして閉じ込め機能を失っている事態は、気が狂うような状況だ。  なお、以下の「やじうまテレビ」で後藤さんが簡潔に説明している。

元原子炉設計者 福島原発のメルトスルーを示唆

 3基のメルトダウンについて、小出裕章さんのご意見は以下。

5/17火 2号機・3号機もメルトダウン?!-未知の世界

 小出さんは、再臨界の可能性はきわめて低いという見解のようだ。私は東電がいちどクロル38を検出したと発表し、後に誤りだといって取り消したことに関しては、誤りだとする方が不自然であり、やはり一時的に小さな再臨界が生じていたのではないかと思っている。だから、再臨界の可能性はあるのではないかと思う。とにかく、こうした事故は初めてこことであり、後藤さんの言われるように何が起こるのか分からないというのが実態だろう。

 このような状況になってくると、被ばくを最小限に抑えることを考えておく必要がある。これについては、安斎育郎氏による解説が以下に紹介されている。

安斎育郎:外部、内部被爆を最小限に抑える方法(Peace Philosophy Centre)

 さて、ここでちょっと気になったのが、安斎さんが以下の記述だ。

「ただし、放射線のレベルが相対的に高いこれらの地域に、日々新たに原発から高濃度の放射性物質が降り注いでいるということではなく、事故直後に起きた爆発によって周囲にばらまかれた放射性物質が地表面に降り積もり、そこからガンマ線が放出され続けていることが主要な原因です」

 実は、私も昨日までは放射線物質は爆発によって遠方まで飛散するのであり、爆発事象がなければ遠方への拡散はそれほど心配がないと思っていた。しかし、必ずしも爆発事象がなくても遠方にまで風で運ばれる可能性があることを知り、昨日の記事「現在進行形の放射能汚染」で書いた。これについて、木下黄太さんが火山学者の早川由紀夫さんのご意見を紹介している。

 「東日本のこれからのリスクをどう考えるのか」火山学者、早川由紀夫教授との対話 

 おそらく、原発問題に関わっている人の多くが、爆発事象がなければ放射性物質が遠方にまで飛散しないと考えていたのではなかろうか。しかし、早川さんの意見に耳を傾けるなら、認識を新たにしなければならないだろう。放射性物質の拡散のポイントは地上10メートルくらいの風で決まっている可能性が高い。高濃度の放射性物質の拡散が地表近くの風で説明がつくということであれば、爆発したかどうかはあまり関係がないことになる。これから夏に向かって南から北への風が吹くことも多いし、台風の季節になる。北海道も汚染される可能性がある。なお、早川由紀夫さんじはご自身のブログでチェルノブイリと福島の放射線量を比較されて図にしている。以下、ご参考まで。

フクシマとチェルノブイリの比較

 後藤さんが懸念されるように、もし再臨界とか水蒸気爆発などが起こり大量の放射性物質が放出されることになれば、放射能汚染はどんどん深刻になっていく。あまり危機感や不安を煽るようなことは言いたくはないが、今回の事故はそれだけ深刻だということを認識すべきだろう。

 世界でも初めての大惨事であり、専門家とて分からないことが多いし人によって意見もやや異なる。いろいろな専門家の意見を聞き、総合的に判断する能力が求められると思う。

2011年5月17日 (火)

現在進行形の放射能汚染

 東電の発表により、1号機では非常用復水器が地震直後から3時間にわたり止まっており、地震直後にメルトダウンが始まっていたことが分かった。東電は作業員がマニュアルに従って止めた可能性があると説明しているが、中日新聞では「津波ではなく、地震の衝撃による不具合だった可能性がある」としている。

本震直後に非常用復水器3時間停止 福島1号機(中日新聞)

 また、以下のような記事もある。

首相、格納容器破裂の危険認識して原発視察 メルトダウン直後(msn産経ニュース)

 まあ、東電も原子力安全委員会も菅首相も、地震直後から福島第一原発が爆発するかもしれないという危機的状況だと認識していたのだ。今後のことについてもまったく信用できない。東電や保安院などによるあの記者会見は何だったのだろう。我々は2カ月もの間、茶番劇のような会見を見せられ、マスコミは東電の説明を垂れ流しつづけた。メルトダウンや圧力容器・格納容器の破壊のことを隠し、無駄だと分かっているような作業をして取り繕い、作業員に被ばくをさせたのだ。

 ここにきて呆れるのは、独自に取材記事を書かないマスコミの情けない姿だ。東電や保安院、政府の説明が信用できないことなどあの会見からとっくの昔に察していただろう。ならば記者会見の内容を報じると同時に、関係者や信頼できる専門家などへの取材を積極的に行って真実はどうなのか探り報道すべきだった。マスコミの存在意義はそこにある。

 これだけの事故を起こし賠償問題も抱える東電が、今後もマスコミに大きな広告を出すことにはならないだろう。今後は広告費による買収など考えられないのだから、東電を慮ることもない。今回の原発事故に限っていうなら、テレビや新聞などより週刊誌のほうが突っ込んだ記事を書いていたのではなかろうか。

 さて、東電は1号機の早期のメルトダウンを認め、2号機3号機も同じ可能性があることも認めた。循環式の冷却装置がうまくできれば幸いだが、それがダメなら注水によって冷やすしかないだろう。ここで気になるのは、もう3基ともメルトダウンまで行ってしまったようだし、爆発も起きていないので安心している人が多いのではないかということだ。

 作家の宮崎学さんが、4号機のことについて書いている。具体的な情報がないので4号機がどのていど危険なのか分からないが、私は1号機も3号機も心配だ。

報道されない4号機の危機的状況について

 それから、以下のサイトで福島第一原発の事故で放射性物質がどのように拡散したのかについて解説している。

福島第一原発事故による放射性物質の拡散(Wikipedia)

 チェルノブイリでは大爆発によって大量の放射性物質が放出され、10日ほどで大規模な放射性物質の漏出は終わったとされているが、福島第一原発の状況はかなり異なる。私は1号機や3号機の水素爆発によって放射性物質が上空にまで舞い上げられたことにより、東北地方のみならず関東地方にまで拡散したのかと思っていた。とりわけ3号機の爆発では煙が高く上がっていたため、爆発が放射性物質を遠方に拡散させる要因であるとばかり思っていたのだ。しかし上記サイトの説明によれば、15日の2号機の圧力抑制プール爆発の以前に行ったドライベント操作や配管漏れなどで大量かつ高濃度の放射性物質が放出され、それが遠方にまで風で運ばれた可能性が高い。

 もしそうであるなら、爆発しなくてもベントや漏えいによって高濃度の放射性物質が大量に放出されれば、風下にあたる地域では遠方にまで汚染が広がることになる。福島原発の事故は現在進行形で、今も放射性物質が大気へ、海へと出ているのだ。爆発の可能性が低くなったといって安心してはいられない。常に風向きに注意して、被ばくを避ける注意を怠らないほうがいいと思う。事故から2カ月経ち、危機感や緊張感が薄れていくことがちょっと恐ろしい。

 ここまで書いたところで以下のサイトを見つけた。福島第一原発の事故について詳細に解説している。事故当初にメルトダウンし、圧力容器、格納容器が破損していたことなどは、分かる人にはとっくに分かっていたのだ。15日に2号機から漏えいやベントによって大量の放射性物質が放出されたことも、納得がいく。もちろんこの解説をどこまで信用するかは読者に判断していただきたい。

福島原発メルトダウン(Greenwood Office)

2011年5月15日 (日)

嘘だらけの東電と政府

 東電はようやく1号機の原子炉建屋の地下に大量の水が溜まっていてプール状態になっていること、そして2号機や3号機もメルトダウンしている可能性があることを認めた。おそらくずっと前からこうした推測はなされていたはずだ。東電は17日に見直した工程表を発表するとしているが、もう誤魔化しは困難と判断しその前に公表することにしたのだろう。

 今日の東電の記者会見によると、温度が上昇している3号機では冷却のための水をかなり増加させているようだ。汚染水の処理もままならない状況の中で注水量を増加させるということは、3号機はそれだけ深刻な状況なのだろう。

 木下黄太さんのブログを見たら、私とほぼ同じ感想が書かれていた。

1号機も2号機も3号機もメルトダウンしているなら、政府はウソを言い続けていたことになる

 原発1基がメルトダウンしただけでも大変なことなのに、3基が同時にメルトダウンし、大量の放射性物質を垂れ流しつづけている事態は前代未聞の大惨事だ。しかし、テレビなどのニュースしか見ていない人たちは、今もそれほど大きな危機感がないのかもしれない。それほどこの国のマスコミは危機感をもって原発の現状を伝えない。未だに多くの国民が危機感を持っていないことがとても恐ろしい。数年経ったら日本の子どもたちにも甲状腺がんや白血病などが急増するのではないかと思うと暗澹たる気持ちになるし、お花見を楽しむ気分にもなれない。

 今日の新聞報道によると、東電関係者への取材によって、震災当日の夜に1号機の原子炉建屋で高い放射線量が検出されていたことが分かったという。そして、「地震の揺れで圧力容器や配管に損傷があったかもしれない」と、津波より前に重要設備が被害を受けていた可能性を認めたそうだ。地震そのものによる配管破断の疑いについては、田中三彦さんがだいぶ前から指摘していたし、東電が地震当日のパラメーターのデータを出さないことを批判していた。やはり東電は地震そのもので原子炉が壊れたことを隠すために、地震当日の不都合なデータを隠ぺいしていたのだ。

1号機、津波前に重要設部損傷か 原子炉建屋で高線量蒸気(47NEWS)

 東電はこれまで津波による電源喪失で冷却ができなくなり爆発事故に至ったとの説明をしていたが、それも嘘になる。地震当日に分かっていたことを2カ月以上も隠して国民を欺いていたのだ。

 以下は、浜岡原発が耐震性のデータを偽装していたという告発記事だ。原発の耐震性がいかにいい加減なものであるかを証明する告発だ。浜岡原発も津波対策だけでは意味がない。東電も政府もまるで詐欺師集団だ。

浜岡原発元設計し「耐震強度データに偽装があった」と告発(livedoorニュース)

 福島原発のような事故は二度と起こしてはならない。福島原発の事故が収束までにあと何年かかるのか分からないのに、他の原発でも同じような事故が起きたら日本は壊滅状態になるだろう。日本人は住むところも食べるものもなくなる。原発が地震で壊れた以上、日本の原発はすべて停止すべきだ。小出さんの言われるように、電気が足りるとか足りないなどと言っている場合ではない。たとえ足りなくても原発を止め、不便を我慢してでも供給可能な電力で工夫してやっていくべきだ。

 ついでに、東電幹部の年収について。

東電幹部の年収7200万円 海江田さん暴露(nikkansports)

 東電幹部がこれほど高給取りだったとは・・・。庶民の感覚をはるかに超えている。東電は、原発事故で故郷も家も仕事も失い、健康まで失う可能性のある人たちのことをどう思っているのだろうか。まずは被害者の補償のために内部留保を全額出し、高額の役員報酬や給与をカットするなど当たり前だ。

2011年5月13日 (金)

水棺(冠水)というパフォーマンス

 4日ほど調査で出かけていたのだが、帰りの車のNHKラジオのニュースで1号機のメルトダウンのことを知った。すでに燃料は全露出していて全部溶け落ちているというのだ。これはメルトダウンなのに、アナウンサーはなぜかメルトダウンとは言わない。ついでに、圧力容器の温度がそれほど高くないから、燃料はある程度冷却できている、という安心に結び付くコメントを必ず入れる。少し前には、1号機の燃料は70パーセントが溶融としていたのを55パーセントへと変更したが、これらの推測は何だったのだろう。こういう恐るべきニュースを、アナウンサーが大したニュースではないかのようにさりげなく語ることの方が怖い。

 東電は恐らく、圧力容器に水がほとんど溜まっていないなどということは以前から分かっていたのだろう。建屋の中に入って水位計を調整したことで水が溜まっていないことが分かったというが、ならば2号機や3号機の水位計だって全く当てにならない。これまでずっと、水位計が壊れている可能性の高いことを察知しながら、あたかも健全であるがごとくとぼけて意味のない水位を知らせ続けていたのだ。

 こうなると、温度計や圧力計の値も本当なのかと疑いたくなる。いずれにしても、東電の発表などとことん信用できないということが明らかになった。いつまでこういった隠蔽や情報操作を続けるつもりだろうか。

 東電は、溶融した燃料はまだ圧力容器の底にある可能性が高いと言っているようだが、小出裕章さんの見方は違う。

5月12日メルトダウンだが最悪シナリオ回避 小出裕章(小出裕章(京大助教)非公式まとめ)

 小出さんは、すでに圧力容器から格納容器の底に流れ落ちているだろうと推測している。そして、燃料が格納容器に落ちているなら、爆発しなかったので最悪の事態は避けられていると語っている。ただし、今後の冷却状況によっては格納容器の底が抜ける可能性もあるようだ。メルトダウンして格納容器の底が抜ける可能性については、以前、後藤政志さんも指摘していた。

 1号機は2号機や3号機よりも状態がマシだと言われていたのだ。その1号機ですら水がほとんど溜まっていないようだから、2号機や3号機とて状況はあまり変わらないのではないだろうか。すでにメルトダウンしている可能性も高いだろう。とにかく、格納容器の中が見られないし、計器類は壊れている可能性も高いのだから、実際にはどうなっていて今後どうなるのかまったくわからない。たとえ爆発的なことが起こらなくても、格納容器の底に穴が開いたなら、大量の放射性物質が漏れ出すことになる。

 さらに、3号機と4号機の燃料プールの問題もある。3号機はかなり損傷が激しいらしいのだが、東電はその実態を明らかにしない。

政府が非公開にした福島第一原発3号機の惨状写真極秘入手(NEWSポストセブン)

 3号機も4号機も燃料プールが破損していると思われるのだが、建屋が大破してむき出しになっている燃料プールで燃料棒が露出するようなことになれば、大変なことになるのは目に見えている。まだまだ安心していられる状況ではない。

 私は1号機の水棺などはじめから無理だろうと思っていたが、今回の発表でそれは確実となった。水棺などというのは結局「努力している」という姿勢を見せ、安心させるためのパフォーマンスに過ぎなかったということだろう。

 冷却水の循環システム設置は諦めていないようだが、圧力容器と格納容器に水がほとんど溜まらないのなら、いったいどうやって水を循環させるというのだろう? 建屋の地下に漏れて溜まった汚染水を格納容器に戻すなら、漏れ出す汚染水の濃度はどんどん上がっていって建屋には近寄れなくなるだろうし、汚染水を浄化して格納容器に戻すというシステムをつくるのは、容易なことではないだろう。現に、原子炉建屋の地下は放射線濃度が高くて入れないのだ。

 東電と政府の嘘が明るみになる度に、収束への道筋は遠のいていくようだ。大気中にも地下にも海にも放射性物質が垂れ流され続けているが、それがいつ収まるのか全くわからない。事実をきちんと語らない東電の説明は、国民が自ら状況を判断するための参考になるどころか、その逆だ。

 WSPEEDIの情報の一部がようやく公開されたそうだ。拡散予測と実際の汚染は同じではないが、爆発によって関東地方もかなり汚染された可能性がある。事前に公表していれば、多くの人が外出を控えたりマスクをするなどして被ばくを軽減できたのではなかろうか。スーパーコンピューターに高額な税金を投じておきながら、パニックを理由に予測を公表しないこの国は、完全に国民をないがしろにしている。

文科省ようやくWSPEEDI予測値(広域汚染状況)の一部を公表:東京もチェルノブイリ第三区分入りが濃厚に(中鬼と大鬼のふたりごと)

2011年5月 8日 (日)

高木仁三郎さんの「核施設と非常事態」を読む

 新聞報道によると、原子力資料情報室をつくられた故高木仁三郎さんの「核施設と非常事態-地震が遺作の検証を中心に-」が話題になっているとのことだ。

「想定外」、16年前に警告 福島第1で故高木さん論文(47NEWS)

 インターネット上で読めるとのことなので、さっそく読んでみた。以下のページから論文にアクセスできる。

核施設と非常事態:地震対策の検証を中心に

 これは1995年に日本物理学会誌に掲載されたものだ。阪神大震災を教訓にして原発の安全性を見直すべきだとの提言なのだが、現実にはその指摘はまったく無視された。その理由は、原発推進者にとっては「原発は壊れない」という建前になっていたからだ。原発震災の懸念を抱いている人たちがいくら問題点を指摘したところで、「想定不適当」とか「ためにする議論」だといって無視されてきた。

 昨日の記事「原発設計者が語る地震の危険:直下型地震では必ず壊れる自信!」 で、原発設計者の菊池洋一さんの話を紹介したが、「壊れない」と言われてきた原発は、実際には地震で壊れても全く不思議ではない、というより壊れないほうが不思議といえるようなお粗末な代物だったのだ。腰の抜けるほど驚くような話しだし、これほど国民を愚弄した話しもない。高木さんの指摘はしごくまっとうだし、本当に不幸なことにその指摘はほぼそのまま現実のものとなってしまった。

 だいたい「想定外」とか「想定不適当」などという言葉を使うことは「科学」とは言い難い。科学者であれば予測を上回る地震や津波が生じる可能性も考えなければならないだろう。その地域における過去最大の地震や津波を上回る地震や津波だって、想定するのが科学だ。

 たとえば河川整備の根拠とされる基本高水でも、「150年に一度の確率の降雨」などという想定のもとに流量を計算する。しかし、それ以上の大雨が降ることだってあるのだから、その場合にどうするのかを考えなければならない。そのためには、堤防やダムに水を貯め込むのではなく「溢れさせる」という考えが必要であり、溢れた場合の被害を最小限に食い止める対策や住民の速やかな避難などが求められるのだ。「想定外の大雨だったから氾濫して被害が出た」というのは言い訳でしかない。

 ただし、原子力のような危険きわまりないものに対しては、安全性を確保できる保障がない場合は止めるという選択をするしかない。核の暴走は地球規模の汚染、取り返しのつかない被ばくという大変な危険をはらんでいるのだから、人間が制御できないような事態が予測されるなら手をだすべきではないのだ。「想定外」という言い訳を口にする御用学者は、学者という呼称を返上すべきだ。

 一部の研究者の指摘に耳を貸さず、阪神大震災での教訓を活かすことなく「原発は壊れない」という嘘を言い続けてきた末に、今の福島の惨事がある。政府も東電も、「原発は壊れない」などという妄想を捨て、「原発は壊れる」という前提のもとにエネルギー政策を考えねばならないのだが、そういう姿勢は未だに見えない。

 そういえば、「ヨウ素剤」の配布はどうなっているのだろう? レベル7という大事故となり、福島原発の周辺では高濃度の汚染が明らかになってきているのに、自治体がヨウ素剤を配布したというニュースは一向に聞かない。

2011年5月 7日 (土)

原発設計者が語る地震の危険:直下型地震では必ず壊れる自信!

 以下の岩上安身さんのサイトに、元GE技術者で福島第一原発の設計者でもある菊池洋一さんへのインタビューが紹介されている。書き起こしもあるので、お読みいただきたい。

菊池洋一氏(元GE技術者・福島第一原発設計者)2011年4月21日

 ほんとうに恐ろしいことなのだが、原発の設計者が日本の原発は「直下型地震に関しては必ず壊れる自信がある」といっているのだ。原発というのは、脆弱な部分がたくさんあるというのだ。そんなものをこの地震大国で何十年も運転してきたのだから、福島の事故は起こるべくして起きたということにほかならない。

 菅直人首相は昨日、中部電力に対して浜岡原子力発電所の全面停止を要請した。このこと自体はまっとうであり歓迎する。停止の理由は東海地震の震源域にあり、国民の安全確保のためだという。しかし、疑問が残る。

 一つは、なぜ浜岡だけなのかということ。日本の原発が大地震に耐えないことは福島第一原子力発電所で証明されたし、菊池さんをはじめ多くの方が指摘している。地震で危険なのはなにも浜岡原発だけではない。東海・東南海・南海地震が連動して大地震になる可能性も指摘されているのだ。それなら四国の伊方原発も止めなければならない。菊池さんの話にあるように、九州の川内原発は地震の巣に造られているらしい。北海道の泊原発も、近くに活断層があると言われている。日本はいつどこで大地震がおきてもおかしくないのだから、全部を止めねばならないだろう。

 もう一つの疑問は、停止の期間を「防潮堤設置など中長期対策が完了するまで」としていることだ。菊池さんも指摘しているように、地震で原子炉や格納容器、配管などが破損してしまったなら、いくら津波対策を考えても、あるいは電源対策を講じても大きな事故になり得るのだ。

 福島第一原子力発電所も、おそらく地震そのもののよる配管の破断などがあったのだろう。ところが、政府は地震そのものによる破損についてうやむやにしたままだ。

 今回の菅首相の要請は評価するが、結局は政治的な判断が働いてのことで、原発の本質的な欠陥、危険性を認識しての判断ではないと思う。

 今日、北海道文化放送(UHB)で、「どうする北海道と原子力」という番組が放送された。元東芝の格納容器設計者である後藤政志さんもゲストとして出演していた。北海道の泊原子力発電所も、福島原発の事故を受けて緊急安全対策を講じるという。たとえば、移動発電機車を高台に配備、海水ポンプ電動機の予備機を設置、水源の確保、防潮壁の建設などだ。これらに200~300億円かけるという。

 しかし、後藤さんも言っていたが、こういう対策には必ずリスクが伴う。たとえば高台に移動発電機を設置しても、高いところのほうが地震のリスクは高くなるし、配管も長くなりリスクが増す。いくら後付けの対策を講じても、完璧な対策などというのはないのだ。しかも、原発では故障や人為ミスも多い。こうした危険性を考えるなら、対策に何百億もの費用をかけるのは馬鹿げている。原発を止める選択しかない。

 番組では高橋はるみ知事の発言も紹介されていた。高橋知事は、「原子力は過渡的エネルギーだと認識しているが、脱原発は現実論としてはあり得ない。安全対策を最大限にやっていくべき」と言っていた。しかし、安全対策だけではリスクをなくすことはできない。高橋知事の頭は「はじめに原発ありき」でしかないのだろう。

 番組の最後に、北海道民へのインタビューを取り上げていたが、7割が現状維持、つまり原発は必要だという意見だったという。福島の現実を本当に理解してそんなことを言っているのだろうか? おそらく多くの人が福島の事故は「対岸の火事」であり「収束に向かっている」と思っているのだろう。自分の身に死の灰が降りかかるかもしれない、という意識が感じられない。

 3月下旬から1週間ほど東京に行った。街からネオンが消え、駅のエスカレーターが止まり、スーパーやコンビニの照明が減らされていた。でも、この程度のことはちっとも不便ではない。家庭でも職場でももっともっと節電できるはずだし、原発事故というとてつもなく恐ろしい人災、地球規模での環境破壊のことを考えれば、電気の使用量を減らすのは当たり前のことだ。

 十勝自然保護協会も、高橋知事と北海道電力に泊原発の廃止を求める声明を送付した。

泊原発の運転中止、廃止を求める声明

2011年5月 6日 (金)

グリーンピースに海底の土壌調査の許可を!

 福島第一原発で、目の前の海底の土から、通常の3万8000倍という高濃度の放射性物質が検出されたとのニュースがあった。海ではすでに相当の汚染が進んでいるのだろう。これからは魚も安心して食べられなくなりそうだ。それ以上に、漁師の生活はどうなるのだろう。

【原発】目前の海底土壌から3万倍超す放射性物質(テレビ朝日)

 4月29日よりグリーンピースが海底の土の調査を行っているのだが、政府は原発のすぐ近くでの調査許可を出していない。グリーンピースは政府に調査許可を求めるためのオンライン署名を行っている。以下のページを参照していただきたい。

日本政府にお願い「虹の戦士号に福島沖での調査許可を!」

ご協力お願い:海洋調査、菅首相は1万人の声を無視?

 民間団体に原発近海で調査をさせないというのは、なんとも不可解だ。漁業関係者への補償が気になるからだろうか? 飯館村などでも、フリーのジャーナリストらが線量計を持って調べている。原発事故のことでは、政府の発表より民間の調査のほうがよほど信頼できる。

 さて、3月14日の3号機の爆発については、「3号機の爆発の真実は?」にも書いたように、海外から「核反応」による爆発があったとの指摘がなされていた。これについて国内の専門家はどう思っているのかと気になっていたが、小出裕章さんも「たねまきジャーナル」で核暴走の可能性があることを語っている。今回の事故では、小出さんですら予測できなかった重大事が生じているようだ。

 政府はこの指摘に関して知らんふりをしているようだが、放射性物質の飛散や3号機のプールの健全性にも関わることだ。国や東電はきちんと説明する責任がある。

 今日は、3号機の原子炉の温度が上昇しているとの報道もあった。

3号機 原子炉の温度が上昇(NHKニュース)

 原子炉は、依然として綱渡り状態のようだ。

2011年5月 5日 (木)

原発作業員の被ばくの実態と飯館村の深刻な状況

 以下は2000年3月に中国新聞に掲載された、ある原発作業員の死についての連載記事だ。慢性骨髄白血病で亡くなったこの作業員の方の被ばく線量は、年間で最多の年でも9.8ミリシーベルトで、法令で定める年間被ばく限度の50ミリシーベルトを大きく下回っていたという。

被爆と人間 第三部 ある原発作業員の死
〔1〕白血病
〔2〕原子炉の下で 
〔3〕手帳は語る 
〔4〕2つの基準 

 原発は作業員の被ばくによって支えられているのだ。こんな職場が許されるのだろうか?

 今回の福島第一原子力発電所の事故では、多くの作業員が被ばくしながら過酷な作業をしている。未だに脱原発を唱えられない人は、原発作業員や家族の身になって被ばく問題を考えていただきたい。

 原発周辺は深刻な被ばく環境にある。今後、多くの人に健康被害が及ぶのかと思うと、やりきれない気持ちでいっぱいだ。飯館村がどれほど深刻な状況にあるのか、以下の森住卓さんのブログを読んでいただきたい。

福島第一原発 飯館村から
汚染されたムラ 飯館村/11件の酪農家.苦渋の決断 廃業
飯館村から 3月15日取材初日

2011年5月 4日 (水)

政府がSPEEDIによる放射能拡散予測を公開したくない理由

 政府は、3月12日に1号機のベントが難航していた際、格納容器が破損して致死量相当の被ばく量になるとの「最悪のシナリオ」を想定していたという。

福島原発、ベント難航で最悪想定 政府、大震災の翌日

 12日の爆発のあとにも、確かテレビでは御用学者が登場して安心・安全を振りまいていたし、政府も最悪のシナリオなどおくびにも出さなかった。国民は、現場がどれほど緊迫して大変な状況になっていたのかを知らされていなかったのだ。すっとぼけていた政府には言葉もない。

 昨日(5月3日)の「たねまきジャーナル」の小出さんへのインタビューがアップされている。

 SPEEDIによる放射能の拡散予測が、今ごろになって公表されたことについても話題になっている。事前に被ばくを防ぐことを目的とした予測なのに、あとで過去のデータを出してもまったく意味がない。なぜ、こんな馬鹿げたことをしているのか。政府はパニックを防ぐためだと説明しているのだが、その理由は先日内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘氏の辞意表明の文書から推測できる。この文書は以下のNHK科学文化部のブログに掲載されている。

官房参与が辞任・記者会見資料を全文掲載します

 この資料には、「原子力災害の対策は『法と正義』に則ってやっていただきたい」として、初期のプリュームのサブマージョンに基づく甲状腺の被ばくによる等価線量、とりわけ小児の甲状腺の等価線量については、その数値を20、30km圏の近傍のみならず、福島県全域、茨城県、栃木県、群馬県、他の関東、東北の全域にわたって、隠さず迅速に公開すべきである。さらに、文部科学省所管の日本原子力研究開発機構によるWSPEEDIシステム(数10kmから数1000kmの広域をカバーできるシステム)のデータを隠さず開示し、福島県、茨城県、栃木県、群馬県のみならず、関東、東北全域の、公衆の甲状腺等価線量、並びに実効線量を隠さず国民に開示すべきである」と記述している。

 そこで、今回政府が公表したSPEEDIのデータを見てみた。以下に掲載されている。

http://www.nsc.go.jp/mext_speedi/past.html

 これを見て分かったのだが、政府が公開したのは福島原発の近隣への拡散予測だけなのだ。爆発のあと、放射能は関東地方にも降り注いだ。チェルノブイリの事故でも分かっているように、放射能は風邪に乗って飛散し、数百キロ離れたところにも高濃度の汚染地帯をつくる。SPEEDIによる予測図が福島近郊だけのものしかないなどということはあり得ない。ずっと広範囲のものもつくっているはずだが、それを公開したら関東地方にまで拡散する予測結果が出ていたことがバレてしまう。だから5000枚といわれている図の一部だけを公開したのだろう。

 政府は12日には格納容器の爆発という最悪の事態を想定していたのだから、風向きによっては東京の人たちが被ばくすることも分かっていたはずだ。何せ東京都だけでも1300万人もの人が住んでいる。最悪の事態になったなら、とんでもない数の人たちが被ばくする。それだけの人を政府が責任をもって避難させるのは物理的にも金銭的にも無理だろう。格納容器爆発という最悪のシナリオや放射能の拡散予測などを公表しても、政府は被ばくに対して責任がとれないのだ。だから、「みんなで被ばくしましょう」とばかりに情報の隠蔽を決め込んだのではなかろうか?

 小佐古氏は原発を推進してきた人物であるが、さすがに政府が法律に違反してまで情報を隠蔽しようとすることに嫌気がさしたのだろうと私は思う。

 政府が一番大事なのは保身のようだ。そのためには情報の隠蔽も嘘もはばからない。国民を被ばくさせることなど、何とも思っていないのだろう。

 TBSが福島第一原子力発電所のライブカメラを公開している。原発から頻繁に蒸気が立ち上っているのがよく分かる。再臨界の可能性もあるし、まだまだ予断を許さない状況だ。なのに、政府の隠蔽体質はまったく変わらない。万一爆発しても政府はすみやかに国民に知らせるかどうかも分からない。ときどき様子をチェックしていたほうが良さそうだ。

JNN福島第一原発情報カメラ(LIVE)

2011年5月 3日 (火)

3号機の爆発の真実は?

 3月14日の3号機の爆発の映像を覚えている人は多いと思う。オレンジ色の炎が見え、黒っぽい煙が高く上がって「きのこ雲」の形になった。明らかに1号機の爆発のときとは様子が異なっていた。

 アメリカのエンジニアのアーノルド・グンダーセン氏が、福島第一原子力発電所の3号機の爆発は、水素爆発によって使用済み核燃料が高密度状態になり、連鎖反応が進んで核爆発のような事象が起きたと推測している。以下はグンターセン氏の解説動画だ。日本語の字幕も入っているのでご覧いただきたい。

http://www.universalsubtitles.org/ja/videos/2TnNJkefdfyZ/ja/72595/

 そして、以下はグンダーセン氏の話を説明したサイトだ。

3号炉の爆発は核燃料か?

 グンターセン氏は、プラントから2マイルも離れたところから多数の燃料棒の破片が見つかっているという。東電も政府もこれまでそんな説明はしていないはずだ。また、細かな龍氏のウランがハワイと米国西海岸で検出され、パウダー状のプルトニウムが検出されたという。

 プルトニウムは重いために遠くまでは飛散しないと思っていたのだが、これが事実なら福島近郊に限らず日本のかなり広い地域が汚染されてしまった可能性が高いし、きわめて深刻な事態だということだ。政府はこうした情報を当然知っているのだろう。

 上記のサイトからリンクされている井口和基さんのブログを見ると、以下のような記事があった。

福島原発3号機の大爆発は何だったのか?:水素爆発?水蒸気爆発?核爆発?

 3号機の爆発のことについては、以下の「中鬼と大鬼のふたりごと」というブログでも報じられている。

「3号機の爆発は核爆発」:クリス・バスビー教授インタビュー和訳、米国のエンジニアも核爆発説を支持

 また、井口和基さんは「ふくいちライブカメラ」の映像を解析し、福島第一原子力発電所が光っていると言っている。なんだかすごく不気味だ。

福島第一原発が今夜も光っている!:ずっと光っていたのか?

福島第一原発は昼間も光っている!?:ずっと光っていたのか?

 とにかく福島原発の事故では分からないことが多すぎる。というか、あまりにも政府が情報を出さないのだ。

4月29日の小出裕章さんの講演報告

 4月29日に明治大学アカデミーホールで開催された講演会の報告記事がJANJANBlogに掲載されていた。

1200名以上が聴き入った、小出裕章氏らの講演(三上英次)

 東電も政府も今回の事故が想定外の地震や津波、すなわち自然災害に起因すると言いたいようだが、その理由はこの記事にあるように「異常に巨大な天災地変又は社会的乱災」ということにしたいのだろう。自然災害なら事故の始末は税金で賄うのだから、電力会社のリスクを減らせる。だから、電力会社は原発が危険と分かっていても推進するのだ。しかし、もろもろの事実が分かってきた今となっては、人災であったと認めるしかないだろう。

 また、以下は小出氏の昨日の「たねまきジャーナル」の話だ。どうやら水棺作戦は失敗だったようだが、東電は水位が上がらなかった理由をうやむやにしている。きちんと説明すべきだろう。4号機の燃料プールの写真が公開されたことについても語っているが、あの写真はプールのごく一部でしかないので、全体の状態を知りたいとのこと。燃料プールが破損したうえにむき出しになっている4号機も本当に心配だ。

 4号機のプールは破損し、原子炉建屋は水浸しだ。1号機から3号機も水が漏れている。1号機ではフィルターを使って建屋内の換気をするというが、おそらく原子炉建屋の地下には汚染水が溜まっているだろうし、作業は容易ではないと思われる。原子炉の状態が悪化しないことを願うばかりだ。

2011年5月 2日 (月)

日本が原発推進という不合理で愚かな選択をしつづけた理由

 先ほど、気になっていた「マル激トーク・オン・ディマンド」の小出さんの話を聞いた。以下から視聴できるので、連休で時間のある方は聞いていただきたい。

http://www.videonews.com/on-demand/521530/001858.php

 私がとりわけ関心を持ったのは、最後の方で語られている「なぜ日本は不合理な選択をしつづけたのか」という問題だ。

 小出さんによると、米国は1974年に原子力の夢から覚めたという。74年がピークで、それ以降は計画中のものはすべてキャンセル、建設中のものもキャンセルしたという。79年のスリーマイル島の事故でさらに減り、過去30年にわたって一基の新規立地もないそうだ。アメリカではすでに原子力産業は崩壊している。ヨーロッパも、77年か78年に原子力発電に見切りをつけたという。

 60年代は世界が原子力への夢を描いていたのだが、欧米では70年代にその危険性を認識し方向転換してきたのだ。

 では、なぜ日本は今に至るまで危険を顧みず原子力発電に突っ走ったのか? 小出さんの意見は以下のようなものだ。

 日本の歴史性にあるのではないか。お上が決めたことに従うという国民性があり、国家が原子力をやると言い続けた。また、原子力産業の儲けということもある。昨年の秋のNHKの番組で言っていたことだが、日本は平和利用といいながら核兵器をつくろうとした。核兵器を持っていることは世界を支配するための条件だからだ。そのことは政府の文書にも書かれている。

 私は小出さんの意見はもっともだと思うが、それだけではないとも思う。メディアの問題だ。欧米のマスコミは政府や大企業の不祥事を暴くのが使命となっているが、日本はまったく違う。日本のマスコミは政府の発表を垂れ流しにし、大企業はマスコミに広告を出稿することで批判封じをする。国民には原発の事故も知らされなければ「原発は危険」という事実も知らせなかったのだ。むしろマスコミは「安全」ばかりをアピールしてきた。そして各地で起こされた原発裁判でも裁判所は国の肩を持った。政府と原発産業、マスコミが手を組み、裁判所まで加担しているから「原子力ムラ」の強固な壁は崩せず、国民は簡単に騙されたのだ。

 欧米が原発の危険を認識して原子力産業から手を引いていったのに、日本人だけが「原子力は危険」という世界の常識の蚊帳の外に置かれていた。もし、マスコミが原発の危険性や核兵器への転用目的について報じていたなら、政府もこれほどまで原発をゴリ押しできなかったのではなかろうか。日本のマスコミは、権力の監視ということにおいて全くというほど機能していない。そのことはずっと感じてきたが、福島の事故を目の当たりにしても姿勢の変わらないマスコミには心底情けないと思った。

 残念ながら福島の原発事故についてインターネットで情報収集している人はそれほど多くはない。だから、テレビしか見ない日本人は今も小出さんの名前すら知らない人が大半なのだろう。

 小出さんは、最後にこんなことを言っていた。

 1970年に原子力をやめさせようと思った。いつか事故が起きると思っていたが、とうとう起きてしまった。言葉がない。こういう事態なのに、まだ原子力発電が動いている。今、即刻、全部やめても電気は足りる。ただ、そんなことより、原子力はやってはいけない。日本人がそう思えないことに絶望感を持っている。

 これについては私もまったく同感だ。原子力発電所が未曾有の大事故を起こし、今も収束できずに放射能が降り注いでいるというのに、不便な生活は嫌だといって脱原発を唱えない日本人が多いのだから神経を疑う。こういう人たちは、福島の事故がどれほど深刻なものか理解していないのだろうし、アメリカですら原子力産業から手を引いていることを知らないのだろう。井の中の蛙だ。

 そして、私は電気を使って利便性を追求することに心の貧しさを感じてしまう。電化製品に頼って手も足も頭も使わない生活が楽しいのか?豊かなのか?と。

 以下は「こるとれーんtone」さんのブログで見つけた東電ソングだ。

ベントをめぐる不可解

 昨日、福島第一原子力発電所のベントに際し、現場で作業に当たっている作業員に周知しなかったという報道があった。

福島原発「ベント」周知せず着手 作業員、被ばくの危険に

 作業員にベントを知らせなかったとは信じがたいことだ。大量の放射線物質が放出されるようなベントの際は、地域住民にも知らせて避難を呼びかけるべきだ。作業員はもとよりニュースで全国報道するというのが筋ではないか。

 ところで、私がこの記事を読んで疑問に思ったのは、正確な「ベント」の時刻や回数、そして爆発との関係だ。そこで、経済産業省が発表している原子炉のパラメーター(5月1日付)を見てまたまた驚いてしまった。

 上記の記事によれば、「政府や東電が明らかにした経過によると、格納容器内の圧力の異常上昇は12日未明に判明。政府は午前3時ごろベント実施を発表して東電との協議に入り、事態が深刻な1号機で午前9時すぎ、二つの弁のうち、最初の弁の開放作業が始まった。二つ目の弁の開放着手は午前10時すぎだったが、実際に蒸気の排出が確認されたのは午後2時すぎ。データによると、午後2時20分の線量は通常の約180倍で、午後2時の線量から2倍以上に跳ね上がっていた」となっている。ベントは1号機で2回行われ、実施に排気が確認されたのが2時過ぎということになる。

 ところが、5月1日の経産省の発表では以下のようになっている。

1号機
3/12 10:17 ベント開始
      15:36 爆発音

2号機
3/13 11:00 ベント開始
3/15 00:02 ベント開始
      06:10 爆発音

3号機
3/13 08:41 ベント開始
3/14 05:20 ベント開始
      11:01 爆発音

 1号機ではベント開始が10時17分の1回しか書かれていないし、何よりも驚いたのは爆発していないと思っていた2号機でもベントのあと爆発をしていたのだ。たぶん規模が小さかったので建屋の損傷が少なかっただけなのだろう。3つの原子炉で合計5回(実際は5回以上か?)ものベントをしているのだ。そして、これらのことからわかるのは3機ともベントによって格納容器内の気体が建屋に出され、それが爆発のきっかけになったらしいということだ。爆発によって関東地方にまで放射線物質がまき散らされてしまった。

 もうひとつ不可解なことは、4号機だ。4号機の建屋もひどく損傷したのであり、爆発が起きたと思うのだが、「4Fの壁が一部損傷の確認」となっているだけで爆発という表現はどこにもない。建屋の大破の原因は何だというのだろう。説明不足も甚だしい。

 ちょっと探してみると4月23日の朝日新聞で以下のような報道があった。

「排気の遅れ、水素爆発招いた」米紙が原発事故分析

 もっと早くベントをしていたなら、これらの水素爆発は防げたかもしれない。格納容器が大破しなかったのは不幸中の幸いだったが、水素爆発によって事態が深刻化したのは確かだ。そして、以下のブログに書かれているように、建屋に排気できる装置があればベントをしても水素爆発は防げた可能性もある。

原発の水素爆発の原因は解明されたのか。日本の情報の開示はまだ遅い。ベントとは関係ないのか。こんなことでは福島をはじめ、国内の原発の対応も無駄にならないのか。建屋からのベントというか負圧でも排気できる装置は必須。 (Kumano Haruka nari)

 しかし、結局のところ福島原発が冷却剤喪失事故を起こしたのは、地震による電源の喪失(受電鉄塔の倒壊)であり、地震による配管の破断もあったのだろう。今回の事故の原因はやはり地震大国に原発を作ったということにほかならない。そして、事故後の対応のまずさが事態の悪化につながったのだ。

 ただし、地震がなくても原発事故は起こる。福島第一原発の2号機では電源喪失事故を起こしていたそうだ。今回の事故がなければ、これも隠されていたのだろう。地震がなくても原発は危険だ。地震や津波で危険性が格段に高まるということだ。

福島第一原発2号機、昨年6月にも電源喪失(読売新聞)

 参考までに、日刊ベリダの以下の記事もどうぞ。

米原子力専門家が語るフクシマ「チェルノブイリよりひどく、より悪くなる可能性がある」(グローバル・ポスト紙インタビューから) 

2011年5月 1日 (日)

「原子力ムラ」という利権構造と御用学者の作り方

 「現代ビジネス」に、原発に反対してきた京都大学原子炉実験所の研究者たちや、関係者へのインタビュー記事が掲載されている。「熊取6人組」とは、福島の原発事故に関してあちこちで発言されている現役の今中哲二さん、小出裕章さんのほか、すでに退職された海老澤徹さん、小林圭二さん、川野真治さん、そして故人となられた瀬尾健さんのことだ。

迫害され続けた京都大学の原発研究者(熊取6人組)たち

 ここで説明されているように、原発の利権構造を「原発ムラ」とか「原子力ムラ」などと称しているのだが、とりわけ御用学者と言われる人たちは、研究費欲しさから原発の安全性を主張することで「原子力ムラ」の構成員となっていた。この記事によると、原子力ムラの頂点に立つのが東京大学大学院工学系研究科のOBたちらしい。

 彼らがどうして原発擁護に走ってしまったのかといえば、つまるところ「研究費欲しさ」「お金欲しさ」ということなのだろう。原発に反対していれば研究費はもらえないが、賛成していれば潤沢な研究費がもらえるし、昇進して給料も上がる。

 こうしたことはもちろん原発に限らない。ダムなどの大型公共事業に絡む問題でも構図は同じだ。国立大学が国立大学法人になってからは、研究費の調達には大学の努力が求められるようになった。だから研究費の欲しい教員は、公共事業の環境調査を請け負っているコンサルタント会社などと癒着しがちなのだ。こういう調査は学生の論文指導にも都合がいいし、就職先の紹介もできる。事業者の主催する「検討委員会」「審議会」などの委員になることもよくある。そのような場では、当然事業者に配慮した発言をすることになる。研究費をもらってくる教員は大学にとっても有難い存在だから優遇される。こうやって研究者をどんどん囲っていくことで、御用学者ができあがるのだ。ダムなどの無駄な公共事業に明確に反対している研究者は少数派だ。

 かつて一緒に自然保護をやっていたメンバーにも、コンサルタント会社に入社して豹変してしまった人や、御用学者へと転じてしまった研究者もいる。お金で信念を捨ててしまうというのは、悲しい現実だ。

 原発に反対している立命館大学の安斎育郎さんは、アカデミックハラスメントを受けたり、電力会社の人に尾行されたとか。反対派を潰すという点では、自然保護運動もほとんど変わらない。かつて士幌高原道路の反対のために現場で抗議行動をしたとき、明らかに公安警察とおぼしき人が我々を双眼鏡で観察していた。

 世の中には、「今は原発事故を収束させることが一番大事であり、政府や東電を批判していてもしょうがない」というような発言をする人もいるようだ。しかし、私はそうは思わない。国民が支払った税金や電気代などを使って国民を騙し欺いてきた人たちが、責任を問われるのは当然だ。

 以下の「日刊サイゾー」の記事などもどうぞ。原発が「安全」だと言って推進していた人たちこそ、福島の現場に行って作業をしていただきたい。

“原発擁護”芸能人に強まる風当たり インテリ芸人・水道橋博士はどう動く?

現場放棄、東電批判を“自粛”……震災であぶり出される大手メディアの素顔 

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