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2011年2月14日 (月)

家事労働も立派な仕事

 先日の北海道新聞「生活欄」に、「強まる専業主夫志向」という記事が掲載されていた。若い男性に専業主夫志向が強まっており、妻が働いて家計を支え、夫が家事や子育てに専念する事例が増加しているという。

 記事で紹介されているある男性は、主夫の仕事を「楽な仕事と見下していたところがあったが、半端な気持ちではできないと痛感しています」と言っている。掃除、洗濯、炊事、育児といった人間の基本的生活を支える家事というのは、きちんとこなしたらなかなか大変な仕事だ。しかも炊事や育児は基本的に休みがない。こういうことは経験のない男性にはわからない人も多いだろう。

 もちろん社会で働いて家族の生活のために収入を得ることも大変なことだ。責任も大きいし、嫌だからといって簡単に休むわけにもいかない。要は、どちらも生きていくためには必要で大変な仕事だということだ。だから夫婦のどちらかが家事・育児に専念するという家庭内分担はまったくおかしなことではない。

 私の子どもの頃は、既婚女性の大半は専業主婦だった。男は外で働き、女は家事・育児という分担が当たり前のこととして大きな疑問も持たれなかったし、それで世の中は回っていた。家事が嫌いでも、我慢してこなしていた女性もいただろう。

 しかし、そういうスタイルは収入のない妻が夫に従わねばならない状況をつくりだしやすい。「誰に食わせてもらっているのか」と威張る男性も多いのだ。女性は就職しても「結婚を機会に辞める」のが当たり前になるし、職場では男性と同じように扱われない。いわゆる「腰かけ」としか見てくれない。かくして大黒柱が男で家事は女というスタイルが男尊女卑の構図をつくりだしてきたともいえるのではないか。

 女性だって社会の一員として働きたい、自分の特技や知識を生かしたいと思うのは当然だ。男性と同じように収入を得て、経済的に自立したいと思うのも当然だし、男尊女卑の世界を変え、男女平等を叫ぶのも当然だろう。

 かくして女性の社会進出が進み、共働きの家庭が増えた。職種によっては男性と同じ待遇・給料という職場もあり女性が経済的に自立できるようにはなった。しかし、まだまだ女性の賃金は低いし、結婚や出産を機に退職せざるを得ない場合も多い。職場ではセクハラやパワハラもあるだろう。どうみても男女平等にはなっていない。

 共働き世帯が増えて、家事はどうなっただろう。昔に比べて便利な家電製品が増えたから楽になってきたことはたしかだが、家事や育児の負担は圧倒的に女性にかかっている。しかし、仕事も家事も完璧にこなすなど不可能に近い。結局、家事にかける時間は少なくなる。食事も自分で作るより外食や出来た食品を買うことが増え、子どもと過ごす時間も減る。金銭的には不自由がなくても、時間的にゆとりのある生活はできない。それは決して豊かな暮らしではない。

 家事は人が精神的にゆとりを持って豊かに生きるためには、欠くことのできない大切な仕事なのだ。家事や育児を家政婦や保育士に依頼したら、高額な賃金を支払わねばならない。ところが、主婦・主夫は賃金がない。労働に対する対価がないことが専業主婦を見下してしまうことにもつながるのだ。だから、男性が専業主夫として家事や育児を担当してみるというのは、とても意味のあることだと思う。そのことで、家事の大切さや大変さを身を持って知ることができるのだから。

 地球は大変な数の人間を抱えてしまった。しかし人間の使えるエネルギーは有限だし、環境問題や温暖化を考えるなら、今後は経済成長路線をとることにはならない。物をどんどん作って消費する時代ではないから、ワーキングシェアをしてつつましく暮らすしかないだろう。創意工夫で経済的な生活を送ることが求められる。食べるものだって、経済的にも健康にも手作りが一番だ。人間が生きていくうえで欠かせない衣食住にかかわる家事こそ見直されるようになるのではなかろうか。家事を楽しめるということは、実は豊かな生活なのだと思う。

 私は女性が社会に出て働き経済的に自立することを否定するつもりは毛頭ないが、かといって経済的に自立していない専業主婦・専業主夫を見下すこともおかしいと思う。問題なのは、共働きをしてもなお、生活に困窮する貧困層が増えてしまったという現実だ。賃金格差、富の偏りをなくし、家事・育児を楽しめるような社会が理想的だと思う。

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