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2011年2月 6日 (日)

相変わらず書店販売を謳う文芸社の広告を見て思うこと

 ここ数年、私が購読している新聞の文芸社の広告は5段1/2サイズだったのだが、つい先日は久しぶりに全5段の広告が出ていた。こういう広告を見て原稿を送る人がいるのだろうと思うと、溜め息が出てくる。

 思えば10年ほど前、いわゆる共同出版が全盛だったころは、新聞に全5段とかその半分のサイズの原稿募集の広告がしょっちゅう掲載されていた。新風舎が倒産してからは、そのような広告もかなり減少してきたのだが、しかし、悪評を浴びた出版形態がなくなったわけではない。トラブルも相変わらず発生している。

 私はもう5年ほどもインターネットでこのような商法の問題点を指摘し続けてきたが、問題点に気づかない方はまだ多いようだ。

 共同出版、協力出版などという呼称を使うのをやめ、共同出資を謳わないようになっただけで、相変わらずいくつかの出版社が同じ商法を続けている。新聞広告が以前ほど目立たなくなったのだが、近年ではブログの管理画面などに広告を出している出版社もある。ブログの書籍化を狙っているのだろう。新聞広告は中高年へのアピール効果が高いと思うが、インターネットや「公募ガイド」はどちらかというと若い人へのアピール効果があるのだろう。

 書店流通を謳っている出版形態の場合、多くの著者が自分の本は売れるだろうと勘違いしてしまうようだ。自信作であればあるほどその傾向が強いのだろう。商業出版は無理で自費出版しか方法がないということになれば、賭けてみたくなるのだ。そんな気持ちになってしまうのも、仕方がない側面がある。

 なぜなら、出版社は自社の自費出版で作家として認められた事例などをうまく利用して宣伝するからだ。そんな事例を聞かされたら「自分にもそんなチャンスがあるかも・・・」と思っても不思議ではない。もしかしてヒットしたら増刷になるだろうし、増刷の費用は出版社持ちだ。気持ちが揺らぐのも当然だろう。しかし、「書店に並ぶ」ことと「売れる」ことはまったく違う。これを勘違いしてはいけない。

 今月の文芸社の広告には、参議院議員の徳永エリさんの本が紹介されていた。「みのもんた推薦」とある。ご本人は気付かないのだろうが、広告塔として利用されているも同然だ。

 文芸社は今もローンを勧めることがあるようだが、自費出版でのローンは恐ろしい。多くの場合、本はあまり売れない。出版社から販売部数の報告があったとしても、その数字が本当かどうかを著者は確かめることができない。そして大抵の場合、初版で何百冊もの売れ残りが生じる。契約期間を過ぎたら、不良在庫は廃棄するか著者が引き取るかということになるだろう。在庫を引き取るといっても数百冊の本は段ボール何箱分にもなるから、よほど豪邸でもない限り保管場所を確保するのも大変だ。かといって自分で捌くのも困難だろう。泣く泣く廃棄処分にすることになりかねない。

 しかし、ローンはその先何年も払わなければならないのだ。200万円前後の大金を投じてもほとんど売れず、100冊程度の著者贈呈本を受け取っただけならば、何のための出版だったのだろうということになる。満足できる結果であればともかく、苦い思いを噛みしめながら、割高のローンを何年も払い続けねばならないのは地獄だろう。

 インターネットを利用していない高齢者もまだ多く、そのような方はこうした商法の問題点を知ることが難しい。褒めちぎられて、なけなしの貯金をはたいてしまったら悲惨だ。

 昔は、自費出版というのはお金に余裕がある人が、元をとれないことを承知のうえで行っていたのだ。書店流通させても売れないから、自費出版にしたのであり、非売品、私家本が基本だった。だから、ほとんど売れないということを知っていながら、書店流通を謳ってアマチュアの著者を勧誘するというのは騙し行為に近い。「売れない場合もある」「売れるとは確約できない」と説明すればいいというものではない。出版についての知識がない人に、安易に販売前提の出版形態を勧めること自体が道義的に問題なのだ。

 また、出版社に所有権のある本をつくり著者には印税しか支払わないのに、原価以上の費用を請求しているなら詐欺的だ。

 いま私が声を大にしていちばん言いたいことは、「アマチュアの方の本の大半は、流通させてもほとんど売れない」ということだ。優れた作品であっても、売れるというわけではない。本を出版したいと思っている人は、そのことを肝に銘じて欲しい。

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