« カラマツの黄葉の微妙なグラデーション | トップページ | 黒木昭雄さんの自殺とジャーナリストのうつ病 »

2010年11月11日 (木)

検察の裏舞台と弁護士

 12月号の「創」は「検察の犯罪とメディアの責任」という特集で、例の村木事件に絡んで発覚した検察の証拠改ざんや隠ぺい問題を大々的に取り上げていました。

 事件の概要と問題点を分かりやすく説明しているのは、村木さんの主任弁護人を務めた弘中惇一郎弁護士の「驚くべき取り調べの実態 今こそ全面可視化を」という記事ですが、ジャーナリストの今西憲之さんの「最高検VS噴出した検察内部の暗闘」という記事は、検察の裏舞台にまで言及していてとても興味深い内容でした。

 で、今西さんの記事によると、大坪弘道被告と佐賀元明被告の事情聴取が始まった時、関西のヤメ検弁護士(検事を辞めて弁護士になった人)らがある料亭に顔を揃え、大坪被告と佐賀被告を助けられないかと相談していたとのこと。その後、最高検が強硬姿勢のため、二人が罪を認めることで書類送検にとどめる道を探っていたとも。ところが、大坪被告も佐賀被告も全面否定をしたために、最高検も逮捕せざるを得なかったということのようです。今西さんはそれについて、以下のように書いています。

 つまり、当初、最高検は二人が罪を認めれば、書類送検にとどめるという方針だったのだが、二人が頑なな態度を崩そうとしなかったため、逮捕状を突き付けるしかなかったというわけだ。

 そのようなことあがってか、関西のヤメ検弁護士らは、大坪被告や佐賀被告の弁護人として選任されなかったそうです。当初は最高検の強硬姿勢に怒り二人に救いの手を差し伸べようとしたヤメ検弁護士も、頑なに否認を貫く二人を見捨て、最高検の「トカゲの尻尾切り」を黙認したということでしょう。そして大坪被告の弁護は司法修習時代の実務の指導にあたった田宮甫弁護士が団長で他には司法修習の同期生らが選任され、佐賀被告の弁護団は同期の秋田真志弁護士らが中心となっているとのこと。

 さて、検察の裏金を公表しようとした直前に「口封じ」逮捕された三井環氏は「今こそ検察全体の責任を追及せねばならない」とのタイトルで、大坪被告や佐賀被告だけに責任をかぶせるのはおかしいと主張しています。村木事件では、検察が虚構のストーリで突き進んできたわけで、この冤罪事件の責任は検察幹部全体にあると。そして、三井氏は今度新しく出す本で、大坪被告と佐賀被告に共闘を呼びかけているそうです。

 トカゲの尻尾切りをされた大坪被告と佐賀被告はさぞかし面白くないと思いますが、ならば、大坪被告も佐賀被告も罪を認めた上で「トカゲの尻尾切り」に抗議し、検察と闘うべきではないでしょうか。全面否認というのはあまりにもみっともないし、救い難いと思うのですが。

 そんな救い難い大坪被告を弁護する田宮甫弁護士といえば、「著作権保護制度で思い出した名誉毀損裁判」にも書いたように、新風舎と並んで悪質出版商法を行ってきた文芸社と懇意にしていた弁護士です。文芸社が著者などから訴えられると、まず田宮合同法律事務所の弁護士が代理人となります。また悪質なことをやって事実上の倒産となった武富士の弁護もしていました。武富士の会社更生法適用は計画倒産ではないかとの話しもあるようですが(「武富士の不可解な会社更生法申請」参照)、それが事実であればとことん姑息な会社だと言わざるを得ません。

 弁護士といっても実にいろいろな方がいます。ジャーナリストの津田哲也氏は、ご自身のブログで悪質商法を行っている会社の弁護をしている弁護士のことなどを取り上げていますが、あの足利事件で菅家さんの弁護人として一躍有名になった佐藤博史弁護士は、悪質な商法をしている「サンラ・ワールド社」の顧問や代理人を7年も務めたとのこと。しかも、佐藤弁護士がサンラ・ワールド社から得た報酬などは約2億円にもなるそうです。冤罪を勝ち取った弁護士だからといって、英雄扱いすべきではありませんね。これについては、津田さんの以下の記事をお読みください。

『サンラ・ワールド社』元顧問の佐藤博史弁護士が「特捜検察」を斬る!〔週刊朝日〕

 悪質な商法をしている企業や、明らかに嘘をついている人の代理人を引き受ける弁護士というのは、私には理解しかねます。庶民の味方とはとうてい言えませんから。

« カラマツの黄葉の微妙なグラデーション | トップページ | 黒木昭雄さんの自殺とジャーナリストのうつ病 »

政治・社会」カテゴリの記事

コメント

罪を認めて抗議すべきとか、全面否認はみっともないなどと、本文に書かれていましたが、私は、大坪前部長、佐賀副部長は無実であると、週刊誌、テレビ、新聞報道を通して確信しました。

テレビで、佐賀副部長の業務日誌に、次席検事が、西松でピリピリしている時期なのに、そんなことを総長に言えない。なんなんだ。その女は。といった発言の趣旨の記述がなされているのを見たときに、上層部は嘘をついているのだと確信したからです。
村木事件を受け、すべてを特捜部の失態というストーリーに仕立て上げたい最高検の陰謀だと思いました。
その上、二人が否認をしているから、逮捕せざるをえなかったという、新聞記事を見たときには、心から愕然としました。否認をしているなら、真実が他にあるのだと、ストーリーを変更すべきではないかと切に思いました。
お二人は自ら進んで逮捕された。
真実を訴えるために。
全面否認は、真実と異なるからだと確信しています。
最高検は、すべて、特捜部の失態にしたかった。認めれば、逮捕しない。二人は、真実と異なるから、信念を曲げない。まさか、自ら、逮捕されるという選択肢を選ぶわけないだろう。きっと、最高検は、二人の男を軽く見ていたのだと思います。
普段は情報を流さないのに、今回の最高検のリークのサービスぶりは異常であったという記事も週刊誌で読みました。
二人が悪者のように、リークを流し続けた最高検、メディアによってそれを真に受ける国民、検察組織こそが、そのような隠蔽体質を改めることが、私は、検察の再生の一歩であると思います。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1185959/37622307

この記事へのトラックバック一覧です: 検察の裏舞台と弁護士:

« カラマツの黄葉の微妙なグラデーション | トップページ | 黒木昭雄さんの自殺とジャーナリストのうつ病 »

フォト

twitter

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

最近のトラックバック

無料ブログはココログ