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2010年9月

2010年9月30日 (木)

基本高水というまやかしを認めさせるのが先決

 本体が未着工になっているダムについて、事業を継続するか中止するかの判断基準を検討していた国交省の有識者会議は、ダムによる治水と、ダム以外の代替治水案のコスト比較を最重視するという結論になったようです。

 しかし、洪水対策をするための根拠となっている基本高水流量の問題を抜きにして治水対策を語るのは意味がありません。八ツ場ダムの基本高水流量が捏造されていたことについては「八ッ場ダムで暴かれた過大な基本高水流量」に書きましたが、こうした捏造や数字操作による過大な基本高水流量の設定があるからこそ、ダムやらダム代替案による治水事業がつくられるのです。捏造データによってつくりだされた治水事業は、それ自体が捏造ともいえるものです。基になっている捏造データ、数字操作データを質すことからやらなければ意味がありません。

 たとえば、十勝川水系河川整備計画(案)に対し、十勝自然保護協会は様々な問題点を指摘しました。この整備計画には、どうしてこんな数字が出てくるのか理解できない過大なピーク流量が示されています。こうしたことについて公聴会で意見を述べたのですが、開発局ははぐらかした回答しかしていません。開発局のはぐらかしについては、十勝自然保護協会のブログで詳述に解説しています。基本高水流量の根拠を徹底的に検証すれば、河川整備事業の大半は不要になるでしょう。

十勝川水系河川整備計画(案)に当会の意見は反映されたか(1) 

十勝川水系河川整備計画(案)に当会の意見は反映されたか(2) 

十勝川水系河川整備計画(案)に当会の意見は反映されたか(3)

十勝川水系河川整備計画(案)に当会の意見は反映されたか(4)
*この記事で基本高水の問題点を指摘しています。

十勝川水系河川整備計画(案)に当会の意見は反映されたか(5)

 基本高水流量を根本的に検証し直さない限り、根拠もあやふやなまま、堤防のかさ上げや強化、河道の直線化や掘削、河畔林の伐採などといった自然破壊を伴う治水事業に半永久的に税金を投入することになるのです。また、ダム以外による治水よりダムの方がコストが安いということになれば、民主党が待ったをかけたダム事業がまた復活ということになります。

 問題はそれだけではありません。ダムによる治水か、ダム以外の治水かという二者択一にしてしまうと、自然保護の視点が欠落してしまいます。ダムは河川生態系の破壊、河床低下や海岸の浸食など、さまざまな問題点があるのですが、コストだけで比較してダム建設を認めるなら自然保護・生態系保全の視点は無視されることになってしまうのです。だいたい、コストなんていくらでも水増しできるでしょう。

 まずは、関良基さんによって明らかにされた国交省のデータ捏造を国交省に認めさせ、基本高水というまやかしを止めさせることが先決です。まさのあつこさんのブログで、データ捏造に関する関良基さんのブログ記事を知りましたので、以下に紹介させていただきます。

八ッ場ダム建設:国交省による審議会資料捏造問題 その1 

八ッ場ダム建設:国交省による審議会資料捏造問題 その2 

八ッ場ダム建設:国交省による審議会資料捏造問題 その3 

八ッ場ダム建設:国交省による審議会資料捏造問題 その4 

八ッ場ダム建設:国交省による審議会資料捏造問題 最終回

2010年9月29日 (水)

札幌市のニセアカシア植樹の撤回を求める署名活動のお知らせ

 知人から、札幌市が駅前通りにニセアカシア100本を新たに植えるという計画に対し、ニセアカシアの植栽計画撤回と在来種の街路樹の採用を求める署名活動を行っているとの連絡をいただきました。

 ニセアカシアといえば、要注意外来生物に指定されている樹木です。つまりできる限り駆除していくべき植物なのです。しかもニセアカシアは繁殖力が旺盛で、根萌芽といって地下茎をのばして増殖する性質を持っており、一度山野に入り込むと駆除するのが極めて困難になります。こんな厄介な植物なのですが、河川敷のほか道路の法面や山野にまで入り込んできています。ニセアカシアの白い花が咲く季節になると、河川敷や里山など広く侵入してしまっている様子がよく分かり、このような事態をかねてからとても懸念していました。

 街路樹として植えるなら管理できるので問題ないと思われる方がいるかも知れません。しかし、道路付近にこぼれ落ちた種子は排雪作業によって河川敷などの雪堆積場に運ばれるなどし、あちこちに分散する可能性があります。要注意外来生物を新たに植えるなどということは生物多様性保全の面からみても止めるべきです。

 以下に、署名活動をされている方たちによる説明文を転載して紹介します。

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生物多様性にかかわる問題、ご存じですか?

要注意外来生物のニセアカシアが新たに約100本札幌駅前通りに植えられようとしています。

 ニセアカシアは北米出身のマメ科の木です。脅威的な繁殖力を持つだけでなく、根から化学物質を出して他の植物の発芽を阻害する他感作用(アレロパシー)を持ちます。伐採しても根が残っていれば増殖します。環境省は「生態系に悪影響を及ぼしうる」外来生物の1つとしてニセアカシアを要注意外来生物に指定しています。2010年北海道の外来種リスト(北海道ブルーリスト)では「北海道の生態系等へ大きな影響を及ぼしており、防除対策の必要性について検討する外来種」のカテゴリーA2に区分されています。日本生態学会は「日本の外来種の中でも特に生態系や人間活動への影響が大きい生物」ということで「日本の侵略的外来種ワースト100」に挙げています。近年は世界各地、日本各地、道内各地で、行政、市民団体、個人による駆除がすすめられています。

 札幌市と国交省は、『歴史性を重視する』という理由で2011年春、札幌駅前通りに約100本のニセアカシア(札幌市約80本・国交省の北海道開発局札幌開発建設部約20本)を新たに植えようと計画しています。

 平成22年現在、札幌市にはすでに2万5322本のニセアカシアが街路樹として植えられています。この数は公園樹や緑化樹や庭木、山林に植えられたもの、山や川で自然に繁殖(逸出帰化)しているもの他を含みませんので、実際の数は計りしれません。街に植えられているニセアカシアの種子は排雪時、河川敷や郊外の雪堆積場へ運ばれます。そこから、他のルートで繁殖しているニセアカシアの種子とともに周辺や下流へ広がっている可能性が考えられます。

 残念なことに、ニセアカシアはすでに豊平川のほぼ全域に見られます。川だけでなく、公園、放置された造成地、石狩湾新港やビーチ周辺、札幌市街地沿いの山々、雪堆積場周辺など、札幌近郊だけでもすでに繁茂している場所を挙げればキリがありません。それでも札幌市は「都心の街路樹として植えるものなので管理ができる」という説明をしています。

 そこで、札幌や石狩の市民が集まり署名を行うこととなりました。札幌市と国交省(北海道開発局札幌開発建設部)にニセアカシアの植栽計画撤回と、在来種の街路樹採用を求めています。同時に、脅威的な繁殖力をもつ外来種の問題は札幌駅前通りだけではなく、全道・全国の生物多様性に関わるものです。環境省宛てにニセアカシアの特定外来生物指定を求める署名も用意し、全部で3連となりました。特定外来生物に指定された場合、その植物を新たに植えることはできません。たくさんの方にご賛同・ご署名・周知にご協力頂ければ幸いです。

**********

 署名にご協力いただける方は、以下の署名用紙をプリントし、署名用紙に書かれている集約先にお送りください。

札幌市長への署名用紙 「sapporosityou.pdf」をダウンロード

開発局への署名用紙 「kaihatukyoku.pdf」をダウンロード

環境省への署名用紙 「kannkyousyou.pdf」をダウンロード

*追記:署名活動は2010年11月15日をもって終了いたしました。

2010年9月26日 (日)

名前ばかりの「受光伐」

 先日、石狩川源流部の違法伐採について以下の記事を書きました。

石狩川源流部盗伐調査(その1)見つけた盗伐の証拠 
石狩川源流部盗伐調査(その2)消えた「無印良品」

 ここでの伐採は、契約上では天然林受光伐が主体(一部人工林の保育伐もある)で、契約上の伐採量は4400立方メートルです。また、伐採率は小班によって異なるものの、20%から30%となっています。

 では、「受光伐」とはどんな伐採方法なのでしょうか。そして、この伐採は本当に「受光伐」といえるものなのでしょうか。

 「森林・林業・木材 基本用語の解説」(北海道林業改良普及協会)で「受光伐」を調べてみると、以下のように説明されていました。

 「漸伐作業において、予備伐、下種伐のあと、稚樹の成長を図り更新を促すために、上木をすかす伐採のこと。この後、終伐(殿伐)で最終的な収穫を行い、更新が完了する」

 漸伐については以下のような説明があります。

 「天然下種更新を前提として、成熟木を数回に分けて伐採し収穫する方法のこと。収穫と並行して天然更新が行われ、母樹の保護のもとで稚樹が育成される」

 これらを合わせると、受光伐とは「天然更新を図るために母樹の保護のもとで行われる伐採であり、稚樹の成長を図るために上木をすかす伐採」ということになります。つまり、「受光伐」だとする以上、優良な種子をつくる母樹を保護したうえで、稚樹を育成するために上木をすかす伐採が行われなければなりません。

 ところが実態は上記の記事に書いたように、母樹となる大径木を手当たり次第に伐りつくし、スカスカ状態にしまったのです。「更新を図る」どころか広大なササ原をつくりだし、更新困難地にしたようなものです。光を当てて育てているのは、ササ原というのが実態でしょう。「受光伐」などというのは名目だけで、契約と実態が乖離している施業なのです。

 また、上記の記事で指摘したように、収穫を予定していなかった木まで伐採(つまり盗伐)しているのであれば伐採率は申請より大きいことになります。スカスカになってしまうのも当然のこと。北海道森林管理局は、実際の伐採率を算出すべきです。

 大雪山国立公園の針葉樹林帯のかなりの部分が第3種特別地域になっているのですが、この地域も第3種特別地域です。第3種特別地域では伐採率の上限が定められていません(第1種特別地域では10%まで、第2種特別地域では30%までという制限があります)。幌加やタウシュベツで皆伐が行われたのも第3種特別地域だからなのです。こんなことでどうやって生物多様性の保全をするのでしょうか。

 北海道森林管理局が、大雪山・日高山脈森林生態系保護地域を、主として標高1000メートル以上の地域を中心に設定した理由はここにあるのでしょう。森林生態系保護地域としたところの大半は、特別保護地区や第1種特別地域に指定されており、もともと施業はほとんどできないのです。

2010年9月25日 (土)

森林生態系保護地域等設定委員会の意味不明の議事録

 北海道森林管理局のホームページに、9月6日に開催された第3回大雪山・日高山脈森林生態系保護地域等設定委員会の議事録が掲載されていました。

第3回設定委員会概要

 当日傍聴された方によると、委員の皆さんには意見募集に寄せられた意見が配布されたそうですので、それに対して委員の方たちがどのような意見を述べたのかと思って読んでみました。ところが、この議事録、なんだか意味がよくわかりません。

 1日時、2会場、3出席者まではわかります。4は「主な意見」となっていますので、委員の方たちから出された意見が記されているのかと思ったのですが、「(1)については、報告事項であることから、今後の説明の際の参考とする旨森林管理局より説明」という但し書きがあります。

  (1)は「森林生態系保護地域等の設定案等に関する意見募集の実施結果について(報告)」となっています。ならば、森林管理局から委員の方への報告事項なのかと思って読むと、委員の意見としか思えないものなのです。ならば、なぜ(1)が「報告事項」であると但し書きをするのでしょうか? まったくもって意味不明です。

 そもそも発言した委員の名前を入れた議事録を作成すれば、こんなわけのわからない議事録にはなりません。発言者の名前を出していれば、「報告」というのが森林管理局からの報告なのか、委員から出された意見なのかは一目瞭然です。

 有識者から意見を聞くことを目的に委員会を設置しているのであれば、誰がどのような発言をしているのかということを明らかにすべきなのです。それが委員を引き受けた方の責任でもあるでしょう。この委員会は公開で行われているのですし、発言者の名前を伏せる理由がわかりません。

 (1)は委員から出された意見と判断されますが、そうであれば「意見1の標高1,000m以下に重要な森林があるという主張についてはそのとおりだと思う」とか、「森林生態系保護地域と緑の回廊だけの議論では生物多様性を守るためには不十分であると考えており、周辺地域についても検討しながら全体を保護していくといった説明があった方がよい」、あるいは「意見4にある『“保護ゾーン”を拡張すべき』という意見は妥当と思う。森林生態系保護地域及び緑の回廊以外の別の対処でもよいので、カバー率が上がるようお願いしたい」などといった意見が出されていたことになります。

 以下のページを読んでみてください。

第3回大雪山・日高山脈森林生態系保護地域等設定委員会の概要について

  「開催の結果、設定委員会(辻井達一座長)から、設定案については妥当である旨、また、森林生態系保護地域等の一層の保護を図るため、道有林をはじめとする国有林と隣接する地域とも連携を図っていくことが重要である旨答申をいただき、3回にわたる設定委員会を閉会しました」となっています。拡大すべきだという意見が一般の方からも委員からも出ていたのに、「原案が妥当」という結論になっているのです。いったい何のための意見募集であり、委員会だったのでしょうか? やはり、はじめから林野庁に都合の良い案を通すための委員会であったとしかいいようがありません。あの案なら、林野庁はほぼこれまでどおりの施業(=略奪林業という森林破壊)ができるのですから。

 こんな意味不明の議事録を掲載したのは、委員からの意見を案に反映させなかったことを誤魔化すためではないかと思えてなりません。

【関連記事】
まやかしの国有林保護地域の拡大案 
森林生態系保護地域についての意見はどう反映されるのか
森林生態系保護地域拡大で無視されたパブリックコメント

2010年9月24日 (金)

過剰医療はなくせるのか

 9月12日の北海道新聞の「現代読書灯」というコラムで、前沢政次さんが「病院選びの前に知るべきこと」という本を紹介していました。著者は田島知郎さん。私自身はこの本を読んではいないのですが、過剰医療について前沢さんの説明を一部引用すると以下のようなことです。

 「過剰医療とは、医師が純粋に患者のための医学的判断に基づいて診断・治療をしているわけではなく、病院や診療所の収支を考えて、検査を増やしたり、高価な薬を使ったりすることを意味している。また研究目的で対象症例を増やすために新しい検査や薬を必要のない患者に強制することも少なくない。病院の収入増や研究成果を生むために高齢者が犠牲になる例もある」

 病院が検査や薬で儲けようとしているということは、多くの人がそれとなく感じていることではないでしょうか。ところが、多くの患者は医学の知識がなく、医師の決めた検査を断ることができません。医師の言うなりに検査漬けにされ、必要性の乏しい検査まで受けさせられることになります。検査をしておけばそれに越したことはないと・・・。それに、少しでも長く生きたいという想いから、必要のない治療を受けたり副作用の強い薬を使うことになりかねないのです。田島さんは、日本の医療界のシステムの問題点を告発し、解決策として日本の医療界の大改革を提案されています。

 さて、この本の著者である田島知郎さんがどのような考えを持たれているのか気になって調べたところ、以下のようなインタビュー記事が掲載されていました。

医療の第一歩は患者さんから話を聞くことから始まる

 アメリカの医療システムについて知らなかったので、驚くことがいろいろ書かれています。たとえば、医師は独立した存在で、病院から給料をもらっているわけではないから、堂々と自分の意見を主張するとか、治療方針で病院の経営者と意見が合わなければ、自分の患者さんを別の病院で治療するとか、日本では考えられないシステムになっているようです。

 驚いたのは日本の病院に設置してあるCT機器は、世界中の4分の1を占めているとのこと。また、日本では治療で患者さんが受ける放射線の被ばく量は、欧米の2倍以上にもなっているそうです。日本の検査や治療は、世界的に見るといかに過剰かを伺い知ることができます。

 皆保険制度のないアメリカの現状は、マイケル・ムーアが「シッコ」という映画で鋭く描き出しました。この映画をみて、寒々とした気持ちになったものです。しかし、どうやらアメリカの医療は評価すべきところもあるようです。とりわけ徹底的に患者さんの利益を優先するという姿勢は日本が学ばなければならないことでしょう。一方で日本では皆保険制度自体は評価されるものの、さまざまな問題を抱えて大きな歪みが生じているのです。

 田島さんの指摘されるように医療界の大改革は確かに必要なのでしょうけれど、上から変えようといっても業界と国が癒着している現状ではそう簡単に実現できるとは思えません。「言うは易く行うは難し」です。となると、患者は自分で自分の病気のことを知って、過剰な検査や治療を断り自己防衛するしかありません。患者が医師の勧める検査や治療を拒否するのは勇気と行動力が必要ですが、この国の医療界の実態を知って賢く行動することは底辺から医療界を変える第一歩になるのではないでしょうか。

 田島さんと同じくアメリカに留学され、日本のがん検診やがん治療について疑問を呈し、多数の著書のある、慶応義塾大学医学部放射線科の近藤誠さんへのインタビュー記事を紹介しておきましょう。近藤さんは適正な医療費配分システムを作ることを提唱されています。

あの人に聴く 慶応義塾大学医学部講師 近藤 誠先生(前編)

あの人に聴く 慶応義塾大学医学部講師 近藤 誠先生(後編)

2010年9月21日 (火)

石狩川源流部盗伐調査(その2)消えた「無印良品」

前回の記事
石狩川源流部盗伐調査(その1)見つけた盗伐の証拠

 19日は、北海道森林管理局が「2号物件」としている場所に入りました。森林管理局が作成した集材路の図はまるで網の目のようになっており、それだけでもかなり酷い伐採が行われたことが想像できます。

 実際に入ってみると、案の定、大径木の伐根があちこちにあり、ひょろひょろの木しか残っていないスカスカの森林が広がっていました。ナンバーテープのない伐根に交じってナンバーテープのある伐根が点在しているというような状況です。一定の区画をとって伐根の数を数えてみると、なんとテープのない伐根はテープのある伐根の2倍以上もありました。「盗伐の森」といっても過言ではないでしょう。

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 調査に参加されていたKさんは伐根をみて、「こりゃ無印良品ばかりだ」となかなかうまいことを言います。なるほど、無印(ナンバーテープがない)の伐根は高く売れるような良質の木が多いのです。残しておかなければならない優良な種子をつくる母樹が伐りつくされてしまいました。かつてはここまで酷い伐り方はしていなかったはずです。大径木がごっそり伐られた森はすっかり明るくなってしまいました。やがて林床はササで覆われて、更新困難になってしまうでしょう。大変な自然破壊です。

 昨日の「1号物件」と同じように集材路には伐根が埋められて土がかぶせられています。

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 そして、こんなふうに沢を埋めてしまったところもあります。脇にかろうじてミズバショウが残っていましたので、ここには小さな湿地があったのでしょう。それを集材路で埋めてしまったのです。土から伐根がはみ出ているのがわかりますから、下には多くの伐根が埋められているのではないでしょうか。

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 全部の伐根を埋められなかったとみえ、ころがっているものもあります。

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 この2号物件はあまりにも広いために、ごく一部しか見ることができませんでしたが、一部がこんな状態であれば、他のところも似たようなものでしょう。とんでもない数の「無印良品」が伐り出されているものと推測されます。はたして、伐られた「無印良品」はどこに行ったのでしょうか?

 大雪山国立公園の中は、とんでもない無法地帯ということでしょう。森林管理署は業者の監督責任があるのですが、きちんと監督していないことは明らかです。業者と森林管理署の共犯といえます。

 森林管理局の調査によると、この2号物件では、「土場作設の際、伐採を予定していなかった樹木25本を伐採」としているのですが、それ以外の違法な伐採は報告されていません。なぜナンバーテープのない伐根が多数あるのか、それらの木はどこに行ったのか、北海道森林管理局や森林管理署の職員に説明をしてもらわなければなりません。

 やまりんの盗伐事件、えりもの道有林での違法伐採、上ノ国のブナ林での違法伐採、大雪山国立公園の幌加・タウシュベツでの皆伐、十勝東部森林管理署管内でのナキウサギ生息地の破壊・・・。いくつもの違法伐採や自然破壊が明らかになってきているのに、未だに国立公園の保安林でこんな酷い伐採が行われているのです。森林管理署は何も反省していないということでしょう。

2010年9月20日 (月)

石狩川源流部盗伐調査(その1)見つけた盗伐の証拠

 18日と19日は、日本森林生態系保護ネットワークのメンバーが、「林野庁は違法伐採を認めたけれど」という記事の伐採現場に入り盗伐の調査を行いました。2回に分けてその様子をお知らせします。

 18日は北海道森林管理局の調査で「1号物件」としている場所の一つに入りました。ところが、先日の多雨による増水で石狩川に架けられた橋が見事に落下。

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 ここを渡らなければ現場に入れません。天然の丸木橋(倒木)によじ登って勢いよく流れる川の上を恐る恐る渡り、さらに長靴で沢を渡って難関突破。なんとか集材路にたどり着きました。

 ここでは素材販売という方法で国有林の木を伐採して販売しています。伐採に当たって、まず森林管理署の職員が収穫調査を行い、伐採する木の幹にナンバーテープをつけます。集材路の作設や伐採は業者が請け負って行います。業者はナンバーテープのついた木を伐採し、そのテープを伐根に移し替え、伐採した木の枝を払って重機で引っ張って土場に運び出します。土場に運び出された丸太は長さを切りそろえ、樹種や径級、品等などで分けて山積みにするのですが、この計測や検査などの作業も下請けの業者が行います。そして、山積みされた丸太を競売にかけるのです。

 当然のことながら、業者はナンバーテープをつけた木だけを伐らなければなりません。なお、集材路の作設や伐採の支障になる木は、支障木として森林管理署に届け出てナンバーテープをつけなければならないのです。

 さて、でこぼこで歩きにくい集材路を登っていくと、集材路がいくつにも分岐しています。そのうちの一本を奥までたどることにしました。集材路の周辺にはナンバーテープのない伐根がいくつもあり、それらにナンバーテープをつけて計測しながら進みました。集材路の下の斜面には、伐根が転がっています。

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 集材路も不自然にでこぼこになっており、ところどころ伐根が顔を出しています。どうやら、伐根や枝葉を集材路に集め、上に土をかぶせて隠しているようです。証拠隠滅か?

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 下のエゾマツを見てください。この木にはナンバーテープがついていません。2カ所にチェンソーで切れ込みを入れた跡があり、伐り出そうとしたことが分かります。でも、途中で伐るのを止めてしまいました。おそらく、少し伐ってみたら材の質が悪く、高く売れないと思って伐るのを止めたのでしょう。ナンバーテープがついている木なら、たとえ品質が悪くても伐らなければなりません。ですから、まさに盗伐をしようとした証拠といえる木ですね、これは。

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 この森林を見てください。あちこちに大径木の伐根があります。お金になりそうな木はすべて伐ってしまい、細い木しか残されていません。ここにはナンバーテープがついていない伐根がいたるところにありました。これが大雪山国立公園の心臓部ともいえる森林の実態なのです。見るもおぞましい光景です。

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 こちらは、直径が70センチほどもあるエゾマツの伐根です。さぞかし高く売れるでしょう。ナンバーテープはついていません。こういう盗伐と思われる伐根があちこちにあります。

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 北海道森林管理局は、この1号物件については区域外での伐採、つまり越境伐採が52本あったとしているだけなのです。越境していない場所にも多数のナンバーテープなしの伐根があるのに、それらの数を数えていません。不可解としかいいようがありません。森林管理局による違法伐採の調査では、手続き上のミスと過失による越境伐採を認めただけなのです。

 私たちの調査では、1本の集材路をたどっていっただけでテープのない伐根が50以上はありました。集材路は毛細血管のように枝分かれしているので、ナンバーテープのない伐根はまだまだあるはずです。これは、どう考えても盗伐としか思えません。業者が盗伐をし、森林管理署がそれを黙認しているとしか考えられないのです。

つづく

2010年9月17日 (金)

クモの糸でバイオリン演奏

 16日の北海道新聞に「クモの糸をバイオリンの弦に」という囲み記事が掲載されていました。記事には大崎茂芳さんがバイオリンを演奏している写真も出ているではありませんか。15日に北大で始まった高分子学会で、クモの糸を束ねてつくった弦を張ったバイオリンで「荒城の月」の一節を演奏されたとのこと。

 大崎茂芳さんといえば、クモの糸の研究の第一人者です。日本蜘蛛学会の大会にもよく出席されているのですが、今年の大会ではお見かけしなかったので、どうしていらっしゃるのかと思っていました。学会ではよく質問をなさって、なかなか意気軒昂な方なのです。クモの糸のバイオリンは柔らかい音色だったとのことですが、蜘蛛学会でもぜひ演奏をしてほしいと思います。

 大崎さん、クモの糸をつかってさまざまな実験をされたり、パフォーマンスをされることでも知られています。たとえば、クモの糸がとても丈夫であることを証明するために、大量のクモの糸で紐をつくり、自分がそれにぶら下がってみるなど、普通の人ではちょっと考えつかないようなことも実行されてしまいます。その写真がどこかに出ていないかと思ったら、やっぱりありました。以下の連載の2ページ目に掲載されています。

柔らかくて強いクモの糸の神秘 

 なんと19万本もの糸を集めたというのですから、気の遠くなるような話です。かと思ったら、こんどはバイオリンの弦をつくってしまわれたのです。すごい発想ですね。クモの糸をこんなふうに魅力的に紹介されている方はほかにはいないでしょう。

 ただし、クモの糸というのは蚕のように簡単に集めることができません。動物食のクモは多数飼育することも困難です。「カイコからクモの糸?」という記事に書いたように、遺伝子組み換え技術でクモの糸を多量に生産するという試みも行われているようですが、自然界にない生物を作り出してしまうことだけは賛成できません。

2010年9月16日 (木)

福田君の弁護士さん、いくらなんでも暴走ではありませんか?

 光市事件のルポ「福田君を殺して何になる」の出版をめぐる裁判については、版元のインシデンツのニュースでときどき報告されていますが、9月10日に掲載された「福田孝行被告が本サイトの記事の削除などを広島地裁へ申し立て」という記事と、9月14日に掲載された「『福田君を殺して何になる』関連訴訟、併合へ」という記事を見てたまげてしまいました。

 寺澤さんはインシデンツの7月13日のニュースで、福田君の代理人である安田好弘弁護士らが出した準備書面の福田君の健康問題に関わる記述を引用しました。福田君が胃潰瘍で血便や吐血などの症状があり、それが本の出版や裁判によるストレスに起因しているという部分です。また、7月14日のニュースでは、福田君が行った人権救済の申し立てに関する調査を、広島法務局が4月15日に中止の決定をしていたと報じました。

 ところが、これらのニュースが名誉毀損やプライバシー侵害にあたるとして記事の削除と損害賠償100万円の支払いを請求したというのです。原告(福田君)の承諾を得ないでプライバシーに関わる陳述書の内容を公開したことで精神的苦痛を受けたという主張です。

 さらに増田美智子さんが「SPA!」と「週刊女性」のインタビューに応えた記事も、名誉毀損やプライバシー侵害だとして、100万円の損害賠償を請求したとのこと。

 裁判というのは基本的に公開です。裁判でどのようなことが争われているのかを、当事者である寺澤さんや増田さん、あるいはジャーナリストなどがメディアを通じて知らせることは何の問題もないことです。むしろ、関心を寄せている人のためにも知らせていくべきことでしょう。もちろんプライバシーの侵害などがないように気をつけなければなりません。しかし、胃潰瘍で体調不良だから速やかに差し止めが認められるべきだという原告自身の主張まで、プライバシー侵害だというのはどんなものでしょうか。人権救済の申し立てに関する調査が中止されたという事実を報じたことの、どこが問題なのでしょう? 私には理解不能です。

 福田君側が、ここまで次々に削除要請やら損害賠償を求めてくるというのは、一般の人の目には異常というか暴走としか映りません。弁護団の印象を悪くするだけです。こうなると寺澤さんや増田さんに対する嫌がらせのようにしか感じられないのです。あまりにも大人げない行動ではないでしょうか。安田好弘弁護士については、私はかつてこのブログでも好意的に取り上げていたので、今回のことでは本当に落胆しました。「SPA!」や「週刊女性」の記事が名誉毀損やプライバシー侵害であると主張するなら、それらの版元にも損害賠償を求めたのでしょうか?

 現在、福田君は親族や弁護士など、ごく一部の人としか面会できません。情報がどこまで正確に伝わっているのかとても気になります。

 この福田君の裁判について、興味深い意見を書かれているジャーナリストの古川利明さんの記事を紹介しておきましょう。

三井環(元大阪高検公安部長)氏の「口封じ逮捕事件」に対する上告棄却決定を弾劾する(承前)

 なお、古川さんの記事で酒鬼薔薇少年のことが出てきますが、彼はほぼ間違いなく冤罪だと思われます。これについては、改めて書きたいと思います。

2010年9月14日 (火)

八ッ場ダムで暴かれた過大な基本高水流量

 ダム問題に取り組んでいるジャーナリストのまさのあつこさんの以下のブログ記事をお読みください。

暴かれた国交省のウソ

 八ッ場ダムの基本高水流量を算出する際の係数が、実態とはかけ離れた低い数値になっており、基本高水流量が過大だったとのこと。まさのさんも書かれていますが、簡単に説明しましょう。

 山に降った雨は、樹木や林床の植物、落ち葉、土壌などに貯留されます。そして飽和状態になった土壌の水分や、地表をそのまま流れくだった雨水は河川に流入することになります。流域が森林でおおわれていれば、飽和雨量は大きくなって、河川への流出が少なくなりますが、裸地のようなところでは飽和雨量は少なくなり、河川への流出が大きくなるのです。

 八ッ場ダムの流域は森林でおおわれています。ところが、基本高水流量を算出する際に、森林ではなくハゲ山のような過小な飽和雨量を用いていたということが分かったのです。ですから、大雨が降れば一気に河川に雨水が流出するという計算になっており、これによって基本高水流量が過大になっていたのです。

 これについては、「八ッ場ダムをストップさせる埼玉の会」のサイトに掲載されている以下の意見書で詳細に検証されています。

治水問題の意見書 

治水問題の意見2

 国交省の基本高水が過大であるという指摘は、これまでもしてきました。

開発局の過大な基本高水流量 

十勝川水系河川整備計画への意見はどうなるのか

 上記の記事に書いたような手法のほかに、このような飽和雨量の誤魔化しもしていたわけです。

2010年9月13日 (月)

森林生態系保護地域拡大で無視されたパブリックコメント

 9月7日の北海道新聞に、「大雪・日高山系の森林保護地域 国内最大に拡大へ」との大きな見出しの記事が掲載されていました。8月にパブリックコメントを行い、6日に、森林生態系保護地域等設置委員会(座長は辻井達一氏)が開かれて、北海道森林管理局の提示した原案が認められたためです。

 新聞記事を見ると、なんだか保護される森林が増えたと評価するような書き方なのですが、パブコメに寄せられた意見や委員会での意見などにはまったく言及されていません。新聞記者というのは、どうしてそういうことに注目しないのでしょうか。

 パブリックコメントには、私も意見を出しました。

森林生態系保護地域についての意見はどう反映されるのか

 その後、北海道森林管理局のホームページには、寄せられた意見とそれに対する森林官管理局の対応方針が掲載されました。

意見募集の実施結果について

 これによると、意見はたったの4通だったとのこと。3人と1団体です。私の他に、十勝自然保護協会の理事の方が意見を提出しています。また、団体というのは日本森林生態系保護ネットワークです。これしか意見が寄せられなかったというのは、寂しい限りですね。森林保全に関心を持っている方は大勢いると思うのですが、広報不足ということもあるのでしょう。

 さて、出された意見に対する森林管理局の対応方針を見て、まあ、予想はついてはいたのですが、やはり呆れてしまいました。彼らの言い訳を見ていきましょう。

【意見】設定方針として「森林生態系保護地域は、上記ポテンシャルが高いと評価された区域を踏まえるとともに、原生的な天然林の区域において、脊梁部等の高山帯から比較的標高の低い森林、あるいは、針葉樹林や広葉樹林等多様な森林生態系を包括的に保護できるように設定」するとしていたのだが、標高1000m 以上の高標高域の森林帯を指標に入れたことと1,000 ヘクタール以上の原生的天然林という1991 年の基準に拘泥したため、設定案にはほとんど反映されていない

【言い訳】対応方針では、「ポテンシャルが高いと評価された区域で、設定案に含めなかった区域については、森林現況、木材需要、地域振興頭様々な状況を踏まえながら、その他保護林の設定の可能性も含め、今後取扱いについて検討を行っていくこととしております」としています。結局、木材生産などで利用したい地域は森林生態系保護地域から除外した、ということです。保護より利用を優先し、そもそも伐採対象となるような木が生育していない高標高地を中心に森林生態系保護地域を決めているのですから、開いた口がふさがりません。

【意見】鳥類やほ乳類に限らず、その他の動物群や植物も含め、保護の対象とする希少種等の種名を明確にし、種ごとに生息・生育が期待される潜在性の高い区域を示して検討する必要があります。

【言い訳】対応方針では、「特に、森林生態系・河川生態系のアンブレラ種については、分析が可能な既存の生態情報があるクマタカ、クマゲラ、シマフクロウをその指標としております。このため、ご指摘の種を含め、個別の希少種の生息・生育区域の観点から見れば、それらが含まれていない場合は多々あると考えております」としているのですが、これはとても矛盾した説明です。なぜなら、クマタカやクマゲラ、シマフクロウが生息している森林はごくわずかしか森林生態系保護地域に入っていないのです。これらの種の生息地を保護するなら、広大な針葉樹林帯や針広混交林を含めなければなりません。そして「個別の種については、必要に応じてその他の保護林の設定や森林整備に当たっての一層の配慮を通じて、その保護に努めてまいりたいと考えております」として、逃げています。

【意見】「針葉樹林や広葉樹林等多様な森林生態系を包括的に保護できるように設定」と書かれていますが、針葉樹林や広葉樹林はほとんど含まれておらず、文章による説明と指定区域の実態が一致していません。このような矛盾した設定案は、基本的なところから見直す必要があります。

【言い訳】対応方針では、「具体的には、検討対象区域(約64 万ヘクタール)内の針葉樹林面積の約47%、同じく針広混交林面積の約9%、広葉樹林面積の約30%の区域が、森林生態系保護地域及び緑の回廊の設定区域となる見込みです」とのことですが、とても針葉樹林の半分が含まれているとは思えません。針葉樹林帯をかなり狭くとっているのではないでしょうか。基にした植生図などを示して説明してほしいものです。言葉だけでは、いくらでも誤魔化すことができます。

【意見】失われた生物多様性を回復させるために今後取り組まねばならないのは、過去の乱伐を反省し、かつての原生的な針葉樹林や針交混交林を甦らせることです。今回の拡大案は、そのような視点がまったくありません。

【言い訳】対応方針では、「森林資源の持続性の維持と生物多様性の保全を両立させるための天然林施業の検討等についても、優先的に取り組んでいくこととしております」としていますが、大雪・日高地域での具体的提案はありません。

【意見】本来、国立公園や国定公園では生態系の保全が最優先されるべきであり、伐採をすること自体が不適切です。国立公園や国定公園での伐採の是非から見直すことが必要です

【言い訳】対応方針では、「自然公園における森林施業については、風致の維持を考慮し、特別地域の区分に応じて、その制限が定められております」としていますが、結局、現状の伐採率の制限を見直すつもりはないということです。

 北海道森林管理署の「対応方針」から分かる彼らの姿勢は、意見は聞きましたが、希少種などには配慮したうえで、これまで通りの施業を行いますといっているわけです。これでは、ほとんど進歩なしです。

 やはりパブコメは形だけで、「聞きおく」だけだったということです。設定委員会とやらもお墨付きを出してもらうことが目的の委員会だったのでしょう。

2010年9月12日 (日)

カメムシ・スキャンダル

 先日、「カメムシ防除の陰にあるもの」という記事を書きましたが、9月8日の北海道新聞夕刊の「魚眼図」というコラムに、帯広畜産大学の岩佐光啓教授が「カメムシ・スキャンダル」というタイトルで、斑点米の等級選別のことを書いていました。

 これによると、2007年2月には68団体、145個人が、米の検査規格の見直しを求める要望書を農水省に出しているそうです。それから3年以上も経っているのに、農水省は動きを見せません。評論家の船瀬俊介さんは「官僚が農薬メーカー、流通業界、農協などとともに既得権益を守るため」だとして、このような構図をカメムシ・スキャンダルと呼んでいるそうです。

 「カメムシ・スキャンダル」という言葉を聞くと、なんだか「地球温暖化スキャンダル」を連想してしまうのですが、カメムシの方は地球温暖化よりずっと真実味のある話しです。

 私は先の記事で、農水省が斑点米の等級選別を廃止しないのは、流通業者と農薬会社が関わっているからだろうと書いたのですが、農家に農薬を販売しているのは農協ですから、当然農協の既得権益も絡んでいるわけです。この関係を崩すのは大変ですが、消費者が事実を知って声をあげていくしかないでしょう。

 ところで、先日ある方から斑点米についての情報をいただきました。この方はスーパーで購入した玄米の斑点米を数えたところ、三等米に該当する数の斑点米が含まれていたそうです。また、その玄米を精米すると、三等米だということは分からなくなり、食味もまったく変わらないそうです。

 玄米では三等米も普通に出回っているのでしょうか。三等米として安く買い取った米も、選別機で斑点米を取り除いて売れば、小売店は一等米と同じ値段で売れます。ここで流通業者が儲かるわけです。

 消費者は騙されていると同然です。こうしたことからも、斑点米をつくるカメムシを防除することが、いかに無駄なのかが分かります。不要な農薬によって消費者や農業従事者が健康を脅かされ、環境が汚染され、ミツバチなどにも影響を与えていることに怒りがわいてきます。

2010年9月11日 (土)

林野庁は違法伐採を認めたけれど

 昨日の夕方、北海道森林管理局が大雪山国立公園内の石狩川源流部での違法伐採 を認めて記者会見をしたとの情報が入りました。以下が北海道森林管理局のプレスリリースです。

上川中部森林管理署における森林法違反行為について

 ここは水源涵養保安林に指定されており、伐採には知事の同意を得なければなりません。知事に届け出て同意を得ていた集材路の面積は3.2ha、長さは8,025mですが、実際には8.57ha、20,239mだったとのこと。長さで12.2kmも過剰だったのです。知事の同意を得ていた土場の面積も0.41ha広かったとのことです。

 また、77本の伐採について知事の同意を得ていなかった(すなわち盗伐)としています。

 これまで林野庁は違法伐採疑惑を指摘してもなかなか認めようとしなかったのですが、今回は自ら調査をして認めたので、その点については進歩したといえるでしょう。しかし、林野庁が「原因」として述べている言い訳は、とても納得できるものではありません。

 たとえば、集材路の面積や長さが申請より過剰だったことについては、「責任施行である当該事業の請負事業者が予め森林管理署に申し出るべきであったのに、これを行わなかったことが原因と考えられます」としています。また、森林管理署の監督責任については「既に知事同意を得ていた数量について、事業発注の際に事業内容を精査したにもかかわらず、道知事への追加・変更協議を怠ったことや、一部現場における誤った指示があったことなど、その管理体制にも問題がありました」ということになっています。

 しかし、集材路は申請した長さの2.5倍にものぼるのです。業者は申請通りの集材路で作業をするべきなのです。これほどの追加が必要だというのはとても不自然です。盗伐のために勝手に集材路をつけたというのが真実ではないでしょうか。森林管理署が事業内容を精査していたなら、追加・変更を怠るというのも不自然です。ここから見えてくるのは、業者の違法行為を知りながら見逃していたという森林管理署と業者の癒着疑惑です。

 また、盗伐については「不適切な伐採」という書き方をしています。そして「請負事業者側の現場代理人と伐採作業従事者との連携不足による錯誤が原因と考えられます」としています。しかし、伐採現場では伐根にナンバーテープがついているもの(収穫木であるという証拠)とついていないものが混在していました。これはどう考えても、錯誤などというものではなく、確信犯の盗伐としか思えません。盗伐をした業者を擁護するような釈明です。こんな盗伐を見逃した森林管理署も、確信犯ではないでしょうか。自然保護団体の調査がなければ、闇に葬られてしまったのです。

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(写真はナンバーテープのない伐根)

 土場の面積なども、計測は容易です。二つの現場で集材路・土場・盗伐という違法行為が重なっていたのに、「追加・変更を怠った」とか「錯誤」では誰も素直に納得しないでしょう。

 また、集材路は約12kmも長かったのです。ここにあった木は伐採されたのですが、それらはどうなったのでしょうか? 今回の72本の違法伐採の本数にはそれはカウントされていません。つまり、とても不十分な調査報告だということです。内部調査による甘さが見え見えです。

 集材路とか土場の面積が申請より広かったなどということは、消し去ることのできない事実ですので、森林管理局としては認めざるを得なかったということでしょう。しかし、盗伐については、かなり誤魔化しているのではないかと思わざるを得ません。

 ということで、日本森林生態系保護ネットワークは再度、この現場で調査を行うことにしています。

2010年9月10日 (金)

イソコモリグモの空白地帯

 昨日の記事の続きで、道東のイソコモリグモ調査の話題です。

 春国岱のあとは、根室半島です。航空写真では北側の海岸には自然の砂浜はありそうにないために、太平洋側の友知湾から東へと海岸線をたどりました。

 友知、長節小沼、昆布盛、浜松・・・と砂浜のある海岸を見ていきました。根室半島から霧多布にかけての海岸沿いには、小規模な沼や湿原などが点在しており、とても雰囲気のいいところがいくつもあります。ひっそりとたたずむ沼沢地は私の大好きな光景です。

 さて、海岸は浸食防止のテトラポットなどがあるところも多かったのですが、イソコモリグモが生息できそうな雰囲気の砂浜はあちこちにありました。しかし、いないのです。不思議なくらい・・・(写真は浜中の海岸)。

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 11ヶ所ほど覗きましたが、霧多布までの間ではとうとう確認できませんでした。厚岸湾以西は以前調査していますが、釧路より東側では確認していません。結局、太平洋側の東端の生息地は、釧路の少し西の恋問ということになりました。

 1回の調査で生息が確認できなかったからといって、生息していないと断言することはできませんが、それにしても今回1ヶ所も確認できなかったということは、釧路以東には生息していない可能性が高いでしょう。

 野付半島や風蓮湖の砂洲に生息しているのですから、かつては浜中町や根室市にも生息していたと考えるのが自然です。とすると、かつては生息していたものが絶滅してしまったのでしょうか。これについての考察は地史なども考える必要がありそうです。

 知床半島は行っていませんが、ここは岩礁海岸なのでたぶん生息していないでしょう。これで北海道の海岸線はほぼひと巡りしました。あとは島嶼が残っています。今のところ島嶼で確認されているのは礼文島だけですが、奥尻島が一番気になるところです。今年はちょっと無理ですが、来年はなんとか行ってみたいと考えています。

2010年9月 9日 (木)

変わり果てた春国岱とイソコモリグモ

 7日から8日にかけて、道東にイソコモリグモの調査に行ってきました。7日は風蓮湖の北側の砂州(走古丹)を調査しました。ここの砂州も浸食が進んでいるのでしょう。砂浜は残ってはいるのですが、護岸化が進んできており、砂州の先端部にはテトラポットが積まれていました(写真)。イソコモリはいることはいるのですが、生息地はとぎれとぎれになっていました。このまま護岸化が進めば、生息地はどんどん狭まっていくと思われます。

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 こちらの写真は浸食によって道路が決壊してしまったところです。道は右側を迂回しています。

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 西別川の河口から砂州の先端までは約12キロあります。先端まで行って、所々で生息状況をチェックしながら戻ってきたのですが、西別川の河口にたどり着くころには、すっかり陽が傾いてうす暗くなってしまいました。一日目はこの砂州の調査で終わってしまいました。

 翌日は、風蓮湖のもうひとつの砂州である春国岱から調査をスタートです。ここは学生時代に野鳥観察で来たことがありますが、その頃の記憶とかなり変わっていました。学生の頃はイソコモリグモのことは知りませんでしたので探しもしませんでしたが、その後、ここにイソコモリグモが生息しているという情報は聞いていました。

 しかし、久々に目にした春国岱は、湿原と森林の織りなす美しい景観の中を立派な木道が我が物顔に突っ切っていました(写真)。今は壊れてしまっているものの、展望塔まであります。

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 そして海に目をやると、海岸にそってテトラポットの堤が延々と築かれているではありませんか。そのテトラポットの下には、どこか別の場所からもってきた岩石が敷き詰められています。テトラポットが沈んでしまわないようにするためでしょうか。テトラポットの堤に沿って砂利を敷き詰めた道が続いています(この道は車両通行禁止なので、調査は歩いていかねばなりません)。果たして、こんな環境でイソちゃんはいるのかと不安になってきました。

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 春国岱のエゾマツ林は、はかつての尾岱沼のトドワラのような光景が広がっていました。手前の木々が立ち枯れてきているのです。砂州は自然に形を変えるとはいうものの、三十数年の歳月は、景観まですっかり変えてしまいました。

 シギの声で気づいたのですが、今は秋の渡りのシーズンです。水辺にはシギが降り立ち、涼しげな声を響かせています。キアシシギ、アオアシシギ、トウネン、ハマシギ、チュウシャクシギなど、久しぶりにシギの姿と声を楽しみながら、まずは木道の散策です。

 ところが、立派な木道は、沼を渡る橋の先で水没していて通れません。エゾマツの立ち枯れもそうですが、この砂州は野付半島と同じように沈降しているのでしょうか。ここから海岸に出て砂利道を歩きましたが、なかなかイソコモリが棲めそうな場所がありません。

 展望台のあたりにきて、ようやくテトラポットと道路の間に、イソちゃんの棲めそうな砂浜が現れ、巣穴を見つけることができました(写真)。ここから先にはずっと生息しているのかと思い少し先まで進んでみたのですが、展望台から300メートルほどのところで生息地が途切れてしまいました。砂州の先端はそのはるか先。このあとに予定している調査地のことを考えると、この辺で調査を断念せざるを得ませんでした。ということで、砂州全体の生息状況はつかめませんでした。

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 おそらく、かつては春国岱の海岸には広くイソコモリが生息していたのではないでしょうか。しかし、今は護岸化によってかなり生息範囲が狭まってしまったように思われます。現在の生息地も、今後の環境変化によってどうなるのかわかりません。

 地盤の沈降は自然の現象としてどうすることもできませんが、海岸の人工化によって生息地が破壊されていくのは、なんとかならないものかと思わざるを得ません。

2010年9月 6日 (月)

美蔓貯水池の欺瞞(15)導水管工事による自然破壊

 昨日は、美蔓貯水池へ水を送水するための導水管工事をはじめたペンケニコロ林道に、工事の視察に行ってきました。現場の林道は鍵がかけられて、一般の人の通行が禁止になっているので、自然保護団体が北海道開発局帯広開発建設部に現地見学の申入れをしての視察です。はじめに開建から、ヘルメットを着用すること、指示に従うこと、ロープを張ってあるところは危険なので入らないこと、などの注意を受けました。

 これまでの説明からも、直径80センチの導水管を埋設する工事というのは、かなり周囲の自然の破壊などを伴う大規模な工事になるとの感触を得ていたのですが、現場を見てそれがはっきりとしました。

 まず、下の写真を見てください。取水場所です。林道とペンケニコロ川の間には植林地が広がっていたのですが、取水施設を造る場所から導水管のトンネルの出口(到達縦坑)まで、きれいさっぱり伐採され、景観が一変していました。取水施設を造るためには、迂回水路を造らなければならないために広範囲の改変が必要なのです。

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 取水施設は底生魚への配慮ということで、段差をつけない集水埋渠方式にするそうです。これは河床の下に網目状になったスクリーン菅を埋設し、浸透してきた水を取水するという方式です。魚の種名を尋ねると、絶滅危惧種だから言えないと拒否したのですが、種名の頭に「イ」のつく魚でも「オ」のつく魚でもないということでしたので、ハナカジカのことのようです。気になるのは、この川には粒子の細かい泥が堆積しているということです。伐採場所の土壌からも、川が泥を運んできていることがわかります。この泥でスクリーン菅が目詰まりを起こしてしまったら、十分な取水ができないのではないでしょうか。この方式がちゃんと機能するのかという疑問がわきます。

 この巨大な構造物は、ミニシールド工法の発進縦坑です。緑の部分が排水処理装置とのこと。ナキウサギの生息地が広範囲に存在するP2地点では、生息地の改変を回避するとの理由で、導水管はトンネル(ミニシールド工法)にしたのですが、山の中にこんなに大きな構造物をつくって工事をするのです。

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 P2地点では、3人が岩塊地に入ってナキウサギの痕跡がないかどうかの調査をしたのですが、下のようなナキウサギの噛み切った植物が発見されました。この地点は、私たちの調査でも毎回のようにナキウサギの痕跡が発見されている場所です。トンネルだからといって問題がないというならその根拠を示すべきですが、そのようなものはまったく示されていません。

P10109873

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 そればかりではありません。この林道では、重い工事車両が通行できるように既存の橋の上に橋を架ける工事をしました。「屋上屋」ならぬ「橋上橋」です。下の写真の橋のたもとの右側はナキウサギの生息地だったところですが、橋の工事で破壊してしまったのです。開建の職員はそのことには一切触れずに、残された生息地を指さして、「ここは生息地に対し林道の反対側に導水管を埋めることで改変を回避した」と説明しました。生息地そのものを破壊しておいて、「生息地の改変回避を図った」とはどういうことなのか。

P10200025

 こちらは、その下流にあるナキウサギ生息地(P3)です(林道の右側が生息地になっており、左側は川)。

P10200116

 ここでは、林道の下に導水管を埋設するのですが、林道のすぐ脇(林道の端から1メートルくらいだったでしょうか)にナキウサギが噛み切ったと思われる植物がありました。

P10200097

 ここでは林道の下を掘るために、河川の側に仮設の道路を取り付けるそうです。そのために木を伐採してしまうとのこと。そこで岩塊地の前に日よけの柵を設置するのだそうです(日よけの効果の検証など、なにもしていません)。こういう意味不明の対策も学識経験者のアドバイスなのでしょうか。

 ナキウサギの生息地の目の前で重機がうなりをあげ、大型トラックが行きかう工事をするのに、影響がないなどということは考えられません。結局、「はじめに工事ありき」で、工事を強行するために、取ってつけたような対策を講じたということでしかありません。

 さて、下の写真は何かわかりますか? 林道にそって、工事用の電線が張られたのですが、その電柱の上にT字状のものが取り付けてあります。これは、シマフクロウの生息地に取り付けられている「止まり木」です。なにやら、学識経験者の指導によって取り付けたそうですが、絶滅危惧種が生息している可能性のある地域で、このような大々的な工事をするということです。

P10200018

 この工事にお墨付きを与えた学識経験者は、ここで実際にどんな工事が行われ、どれほど自然が破壊されるのかを理解しているのでしょうか? 希少動物に影響がないなどと、胸を張って言えるのでしょうか? 現場で意見を聞きたいところです。

 それから、崩壊の危険などないところにもしっかりとロープが張ってありました。私たちをナキウサギ生息地に入れないためにロープを張ったのではないかと勘繰りたくなります。ここの調査を請け負っているコンサルタントの職員には、もちろん出入りを認めているのでしょう。

2010年9月 4日 (土)

山の中にまで拡大したハバチによるカラマツの食害

 真夏だというのに、枯れ木のようになっているカラマツの植林地がありますが、たいていはハバチの幼虫による食害です(「カラマツハラアカハバチの大発生」参照)。これまでハバチによる食害は、日高や胆振、石狩地方などに行くとよく見かけたのですが、私の住む道東では気がつきませんでした。

 ところがです。今年は道東でも食害されて葉がほとんどなくなってしまったカラマツをあちこちで見るようになりました。

 こちらは、十勝ダムからの光景ですが、山肌のカラマツ植林地が茶色になっています。

P10109291

 こちらは大雪山国立公園の十勝三股にあるカラマツ。

P10109542

 そして、こちらは同じく大雪山国立公園ですが、三国峠のさらに北側です。写真では見にくいのですが、中央付近の茶色っぽく見えるところが食害を受けたカラマツです。とうとうこんな山の中にまでハバチが侵入してしまったようです。

P10109563

 幼虫の姿を見ていないので、食害したハバチの種名はわかりませんが、カラマツハラアカハバチでしょうか。以前にも書きましたが、カラマツはハバチの食害を受けても普通は枯れることはありません。ちゃんと翌年になれば葉を出します。ところが、これまでハバチの食害を受けたことがない方の中には、枯れてしまったと思い伐採した方もいるとか。

 いままで道東で食害が見られなかったのはどうしてなのでしょうか。今年になって一気に山の中まで広がったというのも不思議です。近年の温暖化などとは関係があるのでしょうか・・・。今後、道東でのハバチの食害がどうなっていくのか注目したいと思います。

2010年9月 2日 (木)

子宮頚がんのワクチン接種への疑問

 昨日の北海道新聞の生活面に、子宮頚がんのワクチン接種のための公費の助成が道内で拡大しているという記事が掲載されていました。子宮頚がんの啓発活動をしている「ピーキャフ」という団体(代表者は医師)の活動を紹介し、ワクチンで子宮頚がんの予防が期待できるとアピールする内容です。また、公費で助成した自治体の事例などが紹介されていました。しかし、ワクチンの効果や副作用などについては説明が不十分としか思えません。

 このワクチン、一回の費用が1万5千円もかかり、しかも3回の接種が必要ということになっています。この費用にまず驚いてしまいます。記事では、啓発活動をしている団体の代表の「重篤な副作用は報告されておらず、安全性は高い」というコメントが紹介されていますが、本当にそうなのでしょうか?

 新型インフルエンザ(「インフルエンザへの対処法」参照)のときもそうでしたが、ワクチンには副作用がつきものです。効果についても十分な検証が行われなければなりません。国や道などの公費助成による接種の対象者は10代前半が中心になりそうとのことですが、こんな若い女の子たちに詳しい情報も与えずにワクチン接種を実施することに問題はないのでしょうか?

 高額な費用に助成金という組み合わせにも、なにやら製薬会社の画策を感じざるをえません。安易にワクチンを広めようという動きには、警戒が必要です。ということで、ちょっと調べてみました。すると、やはり疑問視している方たちが何人もいることがわかります。

ワクチンの勉強会に参加してきました

 この方の記事によると、1万5千円の費用のうち、ワクチン会社の原価がなんと1万2千円なのだそうです。そして、このワクチンの製造元は、新型インフルエンザと同じ、グラクソスミス・クライン社とのこと。これだけを聞いても、何か裏がありそうだとピンときます。

 日本人の場合、30~40%はこのワクチンでは効果がなく、しかも子宮頚がんの発がん性HPV(ヒトパピローマウイルス)感染者3億人のうち、がんになるのはたったの0.15%だというのです。つまり、感染しても大半の人はがんにはならないということです。ところが、この0.15%の発症率のことは新聞記事では何ら触れられていません。

 また、因果関係は明らかではないとしながら、ワクチン接種後に亡くなった事例もあるそうです。以下参照。

子宮頸がんのワクチン(Gardasil)予防接種に不安がよぎる死亡事例

 これでは、まるで人体実験ですね。また、以下のようなブログ記事もあります。

子宮頚がんワクチンはほんとうに安全なのか

 効果や副作用などのリスクを十分に説明せず、あたかも予防効果が大きいように喧伝して接種を煽るのはあまりにも問題が多すぎます。リスクを隠して公費負担を求めることも然り。しかも、新聞記事には「ワクチンで予防できるのは6、7割。打てば大丈夫と思わず、きちんと検診も受けてほしい」とのコメントも出ています。

 ワクチンは万全ではないから検診も受けろですって!? ワクチンと検診のセットとは、製薬会社と医療機関が丸儲けできるシステムです。がん検診については、以下の記事をどうぞ。

がん検診・がん治療を問う「乳がん後悔しない治療」

2010年9月 1日 (水)

クスサンが目につく今年の夏

 可憐な蝶は愛好者も多く、美しい昆虫として好まれる存在ですが、同じ仲間でも蛾はなぜか嫌われ者。私も子どもの頃はどうしても蛾が好きになれませんでした。部屋の壁などに同じ姿勢で何日もじっとしている陰気な雰囲気の蛾には、なにらや薄気味の悪さを感じて、手を出そうとは思いませんでした。

 小学生だったある日、親戚の家の庭で虫とりをしていたら、樹の茂みの中から大きなヤママユガが飛び出てきたことがあります。その大きさに興味をそそられ、怖いもの見たさで恐る恐る捕まえたことがあります。とはいっても、やはり蛾は蛾。蝶と同じように標本にしようなどとは考えもせず、ひとしきり観察したあとですぐに逃がした記憶があります。

 毛むくじゃらの太い胴体と羽毛のような触覚、謎めいた模様やひどく地味な色彩、それに翅を厚く覆う鱗粉は、手で触れることをためらわせてしまいます。蛾という昆虫は何とも秘密めいているのです。

 種名を調べようと図鑑を見ても、とても調べる気がしないほど似たような種が並んでいます。おまけに、図鑑の図は蝶のように翅が開いた状態なのに、目の前の蛾はそんなふうに翅を広げているわけではありません。なぜ止まっている状態の図が図鑑に載っていないのかと、いらだちを覚えてしまいます。標本にしようと思っても、ちょっと翅に触っただけで鱗粉が手にまとわりつき、翅の模様がかすれていきます。というわけで、これまで蛾をちゃんと調べて見ようと思ったことはほとんどありませんでした。

 でも、蛾の翅の模様をじっと見ていると、蝶とは比べものにならないくらい複雑で神秘的な模様に驚かされます。不思議なことに、子どものころ抱いた嫌悪感は今ではほとんど消え、むしろ興味深い存在です。

 ところで、今年の夏は大型の蛾であるクスサンがよく目につきます。大型のクスサンは素人でも同定がたやすい蛾です。どうやら、クスサンも例年より多く発生しているようで、少し前にノンネマイマイやマイマイガがへばりついていた街灯には、今はクスサンが翅を広げています。そして、下には鳥の餌食になってしまったとクスサンの翅が・・・。翅の目玉模様は捕食する動物を威嚇するのに役立つといいますが、果たしてどうなのでしょうか?

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 一昔前に比べ、蛾も激減したと聞きます。多くの人にとって気味が悪い存在であっても、自然の一員であることには変わりありません。嫌われ者であっても、生態系にとっては重要な位置を占めているはずです。蛾を専門に捕獲するクモもいますし、蛾に交配をしてもらう植物もあります。人知れず消えてしまうことがないようにあって欲しいものです。

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