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2010年6月23日 (水)

美蔓貯水池の欺瞞(12)一戸あたり2億3000万円の事業

 先の記事までは、美蔓貯水池の農家一戸あたりの事業費が1億5000万円だと書いてきました。これは「美蔓地区国営かんがい排水事業」の総事業費が330億円で、受益農家が215戸という数字から出したものです。この数字というのはかんがい事業と排水事業の両方が含まれているものでした。そして、排水事業はすでに終わっています。とすると、かんがい事業に限った場合、事業費はどうなるのでしょうか?

 ナキウサギふぁんくらぶが情報公開で環境調査や費用対効果等の資料を取り寄せたところ、かんがい事業(頭首工、導水管、貯水池)のみの建設費は、農家一戸あたり何と2億3000万円にもなるということがわかりました。かんがい事業と排水事業では受益者が同じというわけではありません。かんがい事業に限ってみると建設費は270億円で受益農家は116戸だったのです。かんがい事業だけだとこんな莫大な費用になるというのですから、あっけにとられてしまいました。この数字では、とても費用対効果がある、などという話にはならないでしょう。この費用は国だけが負担するのではなく、北海道や受益地の市町村も負担することになります。道民や受益者ではない町民はどう思うでしょうか?

 受益地では現在ももちろん農業が成り立っています。どう考えても「農業用水が足りなくてとてもやっていけない」という状況ではありません。それにも関わらず、農家一戸あたりに2億3000万円もの税金を投入するとは信じがたいことです。しかも、かんがい用水を使うためには農家が自前でスプリンクラーなどの設備投資もしなければならないので、116戸すべての農家が水を使うとは思えません。受益者とされている116戸の農家の実態もわからないのです。

 開発建設部はこの6月からナキウサギの生息地の下にトンネル方式(シールド工法)で導水管を通す工事をする予定になっているとのこと。しかも、この時期はナキウサギの繁殖期です。事業者は何年もナキウサギの調査を行ってきたのですが、なぜナキウサギ生息地での工事を先にやるのでしょうか? そして、何のためのナキウサギ調査だったのでしょうか? まさか、調査を請け負った森林環境リアライズのためではないでしょうね。

 これはあまりにも酷い、ということで、6月21日に日本森林生態系保護ネットワーク、十勝自然保護協会、ナキウサギふぁんくらぶの3団体が、工事の中止と凍結を求めて農林水産大臣に要望書を提出しました。

 どう考えても、工事をすることが目的の事業としか思えませんね。

つづく

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