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2010年3月14日 (日)

「押し紙」という新聞業界の闇と闘う黒薮哲哉さん

 新聞の「押し紙」問題については、「地に堕ちた新聞業界」でも触れましたが、読売新聞は新聞の「押し紙」問題を果敢に追及しているジャーナリストの黒薮哲哉さんに対し、2008年2月の提訴を皮切りに3回もの裁判を起こしました。読売新聞という大マスコミがジャーナリスト個人につぎつぎと高額の訴訟を起こすこと自体が異常ですが、その内容はまさに言論封じといえるものです。一回目の裁判については黒薮さんが勝訴しています。これについては黒薮さんの以下の記事をお読みください。日本の新聞業界の実態と巨大部数の危うい関係が語られています。

ジャーナリズム企業が起こした大問題、著作権裁判を終えて 

 黒薮さんも当然のことながら、黙ってはいません。一連の裁判が言論弾圧であるとして読売新聞に対して損害賠償訴訟を提起しました。

読売「言論弾圧訴訟」にジャーナリストが反撃、5600万円損害賠償請求 

 さて、黒薮さんの著書「[新聞販売黒書]新聞があぶない」(花伝社)では、新聞の「押し紙」問題について詳述されています。この本の前書きの一部を紹介しましょう。

 「不幸なことに日本には、ジャーナリズムの灯台が数えるほどしいかない。しかも、その大半は世界に類をみない巨塔である。なかにはプロ野球の球団から放送局、出版社までを従えているものもある。

 “反映”の象徴のようにそびえる巨塔の足下には黒い影が広がる。そこは新聞記者の立ち入りが厳しく禁止された『特別地区』である。住人は四〇万人あまり。独禁法も労基法も施行されていない。時には犯罪者が身を潜める。情報産業の裏庭、いわゆる新聞販売の現場である。

 不可解な光の演出に苦情をとなえようものなら、活字や電波でデマや中傷が飛び交う。だからだれもが警戒して、自由にものが言えない。このこと自体が大問題だ」

 黒薮さんは、新聞社と販売店の闇の世界を、このように表現しています。警察や検察の闇が「裏金」であるなら、日本の新聞業界の最大の闇は「押し紙」というシステムでしょう。

 また、黒薮さんは本書のなかで新聞社と新聞販売店の間で交わされる商契約が、新聞社側に一方的に有利な内容、すなわち「片務契約」になっていると指摘しています。そして、「販売店と新聞社の間で交わされる契約書は、新聞社が法的に優越的な地位を確保するための役割を果たしている」と言います。本書を読んでいただければ、押し紙を利用したシステムが巧みに販売店を牛耳っていることがよくわかります。この本では、販売店が新聞社を提訴したものの敗訴してしまう事例が紹介されているのですが、この片務契約のために、販売店が新聞社を訴えても勝訴が困難になっているのでしょう。

 片務契約によって優位の立場にある者が相手方を支配しているという点では、フランチャイズ形式のコンビニの本部と店舗の関係、あるいは共同出版の出版社と著者の関係にも似ています。公正取引委員会は、こうした状況を是正していく責務があると思うのですが、何とも頼りない状況です。

 マスゴミと揶揄される新聞ですが、こうした闇のシステムを温存している限り、真っ向から権力者の腐敗を暴くことなどできないでしょう。黒薮さんの勝訴によって新聞社の自浄作用を期待したいところですが、読売新聞の態度を見ているととても期待できません、警察や検察の不正、マスコミの不正がまかり通り、それにメスを入れることのできない状況ほど危険なことはないと思います。

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