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2010年2月16日 (火)

国母和宏選手の服装問題に思う

 スノーボード・ハーフパイプのオリンピック日本代表である国母和宏選手の服装が批判を浴びましたが、国母選手の所属する東海大学札幌校が応援会を中止したとのニュースを聞き、大学の対応にいささか呆れました。

 国母選手が選手団のユニホームでネクタイを緩め、ジャケットの裾からシャツを出し、ズボンを腰まで下げていたことの評価は人それぞれでしょう。「だらしがない」という見方もあれば「かっこいい」という意見もあると思います。とくに、若い人たちには意図的に崩した格好をするのは、それほど違和感のあることではないかもしれません。

 国母選手の服装は、統一感を重視するユニホームの集団行動では、やはりふさわしい格好だとは思いません。しかし、彼にとってはおそらくそのような感覚がなかったのでしょう。ハーフパイプの選手たちの間では、ズボンを腰まで下げるような着方が当たり前のようです。彼らにとっては、あのような着方こそ格好がいいのですし、ユニホーム感覚なのかもしれません。国母選手は、それを頭から否定されたことに納得のできないものがあり、記者会見(私は見ていないのですが)の態度にその気持ちが出たのではないかという気がしました。

 しかし、どう考えても「服装問題」と「オリンピックへの参加」は別のことです。開会式への参加まで止めさせる必要があったのでしょうか。ユニホームや集団行動についてきちんと話し合いをしたうえで、ルールを守るという条件で参加させてよかったのではないかと思います。ところが東海大学は応援会まで中止しました。世間の風当たりを気にしたのか、厳格さを求めたのか分かりませんが、物事の本質を取り違えたような大人げない対応です。

 個人的な意見を言うなら、私はあのような着方は好きではありません。ズボンを腰まで下げたり、穴のあいたボロボロのジーンズをはいたり、あるいはリュックサックの肩ひもを伸ばして背負ったり…。こうした若者の姿はどうしても好感を持てません。もっとも、どんな着方をするかは個人の自由の範疇ですし、他者をひどく不快にさせなければとやかく言うつもりもありません。しかし、彼らの服装が個性的であるとは決して思いません。

 彼らが好んでそのような格好をするのは、おそらく仲間意識からくるのでしょう。以前流行った女子高生のルーズソックスのようなものです。心から格好がいいとか、自分に似合うと思ってやっているのではなく、仲間同士の連帯感を意識しているのではないでしょうか。

 おしゃれとは何でしょうか? 私はファッションというものにトンと興味がないのですが、たとえばブランドものの服を着たり、流行っている格好をすることが「おしゃれ」ではないはずです。また、個性的な服装というのも決して他人と違う奇抜な格好をすることではありません。服装は、個人の感性の現れです。本当におしゃれな人は、ブランドや流行にとらわれず、自分にとってしっくりとくる色やデザインの服をさりげなく身につけるのではないでしょうか。そういう着こなしは、不思議なことに他者が見ても違和感がありません。人の内面から醸し出されるものが、身につけるものにも自然に反映され、心地よさを感じさせるのでしょう。

 サハリンや北欧に旅行したときも、センスのいい服装をしている人たちが多いと感じました。日本人は自分に合った服装でおしゃれを楽しむことより、他者の視線や評価を意識しすぎているのかも知れません。厳冬期のミニスカートやホットパンツ姿も、寒さから身を守るという衣服の機能を無視した装いであり、雪景色には不釣り合いとしか映りません。単に流行に乗っただけの服装には、心地よさを感じないものです。

 ユニホームならユニホームとしてふさわしい着方があります。個性的な服装を楽しむのはいいのですが、それは私服でやればいいことです。今回の彼の服装や態度に関しては、一般の人たちからの苦情や批判が殺到したからといって一方的に処罰的な対応をするのではなく、もっと本人と話しをしてルールを理解してもらう必要があったのではないかと感じました。なんとも後味の悪さが残りました。

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いやいやいやいやいやいやいやいや充電完了っつーワケではないんですがwwてゆーか前回のブログで「オツムが暇なんかなぁ」って、マジで落ち込んでうむむむむむむむむむむむむむむってちょいと哲学の旅に(笑)つかツイッターやりはじめたらなんか、ブログとツイッター(つぶやか... [続きを読む]

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