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2010年2月23日 (火)

ネットでの匿名問題に思う(その2)

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ネットでの匿名問題に思う(その1) 

 私は、匿名でブログなどを書くことを否定するつもりは全くありません。たとえば仕事との関係でどうしても実名では書けないという方もいるでしょう。内部告発を目的としたサイトであれば、やはり実名を晒すことは困難です。また、単に趣味的な内容のブログであればあえて実名を出す必要性もないでしょう。実名で書くか、匿名で書くかは、基本的にはそれらのことを勘案して本人が判断することです。

 しかし、上記のような理由がなく、かつ社会的な問題や批判的な意見を書く場合はできる限り名前や所属を明らかにするほうが望ましいと思います。ところが、日本では不思議なことに一般の市民は「匿名が当たり前」という感覚が普通のようです。実名(芸名やペンネームも含む)でブログを書いている人といえば、芸能人やスポーツ選手などの著名人、ジャーナリスト、弁護士、議員、作家など、名前を出すこと自体が大きな意味をもっている方が大多数です。しかし、だからといって一般の市民は実名を出す必要がないということにはなりません。日本では、なぜ実名ブログが普及しないのでしょうか。

 私がブログを開設するに当たりとても不可解に思ったのが、ニックネームを登録するようになっていたことです。「実名で書くかニックネームで書くかを自分で決めて登録してください」と説明されていれば納得できますが、どうやらニックネームが基本なのです。実名で書くことにデメリットがあるのは事実としても、これではまるでブログ運営会社による匿名の押し付けです。しかし、そもそもブログというのは公開されることが前提です。公の場での発言に責任を持つのは当然のこと。新聞の投書などでも特別の事情がない限り名前を出すのが原則です。それにも関わらず、ブログの登録時に匿名が当たり前の設定になっているというのはおかしいとしか思えません。

 匿名で書くことのメリットとして「安全性」ということが言われます。確かにさまざまな事情により、身の安全性を重視して匿名にするのは分かります。しかし、「安全性」の上にあぐらをかいてしまうと、言論の責任が曖昧になりかねません。現実に、匿名ブログと実名ブログでは、一般的に後者の方が明らかに責任を意識した書き方がなされていると感じます。もちろん匿名ブログがいい加減ということではありませんが、匿名ブログには「言いたい放題」という感覚で書かれた記事や品のない記事もしばしば見受けられます。当然、誹謗中傷や名誉棄損といった問題も生じやすくなります。公の場で自分の意見を主張するということは、自分の言論に責任を負うことにほかなりません。ならば、できるかぎり堂々と意見すべきではないでしょうか。「安全」を重視すればするほど、責任問題はおざなりにされます。

 また、匿名による情報操作の問題があります。たとえば私は共同出版や自費出版に関する問題点や批判的な意見を多数書いています。ところが悪質出版社の名前で検索すると、悪質なことをやっている会社を、あたかも問題のない会社であるかのように紹介している匿名サイトが複数出てくるのです。その出版社の関係者が意図的に作っているのではないかと疑われます。そうであれば匿名を利用した悪質商法への誘導であり、極めて問題な情報操作ですが、一般の人にはそれを見分けることが困難です。そのサイトが信頼できるかどうかを判断する際、サイト管理者が特定できるかどうかは重要なポイントになります。

 匿名掲示板などもそうですが、インターネットでは匿名による情報操作がいくらでも可能ということになりかねません。そうした卑劣な行為を締め出すためにも、ブロガーはできる限り個人を特定できるような情報をある程度出すことが望ましいのではないでしょうか。

 私はブログを始めるときに、匿名で書くことは考えませんでした。著名人でもない一市民の私が名前や所属を公開していることの最大の理由は、責任の所在の明確化です。名前と所属を明らかにすることで、個人を特定することができるからです。また私は自然に関する記事も書いていますが、自然科学に関する話題も基本的に著者名を明らかにすべきだと考えています。論文はもとより科学読み物や科学エッセイでは著者名は非常に重要なものだからです。どこの誰が書いたものかわからず著者に問い合わせもできないのであれば、興味も信頼性も薄れます。

 また、自分のブログの「お気に入り」に入れるサイトについては、原則として管理人を特定できるものに限っています。もちろん、匿名ブログでも内容が充実しているもや信頼できるものは多数あります。しかし、どこの誰であるかを示して自分の言論に責任を負っているということは評価すべきことです。

 匿名で書くか、実名で書くかという問題は、情報を発信する側が「匿名による安全性」と「実名による責任」のどちらを選ぶのか、また情報を入手する側が「発信者のわからない情報」と「発信者のわかる情報」のどちらを信頼するのか、ということになるのではないでしょうか。

 それ以外の問題としては、いわゆる匿名による「嫌がらせ」や「荒し」、名誉棄損などの問題がありますが、これについては次回に書きたいと思います。

つづく

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