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2009年12月16日 (水)

強引に造られた富村ダム

 十勝川の支流であるトムラウシ川に造られた富村ダムに大量の土砂が溜まり、北海道電力がダム湖の脇にトンネルを掘って堆砂を取り除く計画を進めていることについては「堆砂で埋まる富村ダム」でお知らせしました。

 この計画については、2007年7月に北電から十勝自然保護協会に説明があり意見を求められていました。何よりもこの地域は国立公園の特別地域であり十勝川源流部原生自然環境保全地域に隣接し、生物多様性に富むところです。このために十勝自然保護協会は同年の11月に 1.トンネル掘削の再検討 2.ダンプによる土砂の搬出の再検討(年間堆砂運搬量はダンプ18000台に相当) 3.国立公園内の土砂置き場の再検討 の三点を申し入れていたのです。

 それから2年を経過して、ようやく北海道電力が十勝自然保護協会に対して説明をしたいとの話があり、昨晩その説明会が開かれました。

 まず、配布された資料を見て驚きました。2年前に配布された資料の一部に若干の追加や修正を施しただけの文書で、結論は何も変わっていません。この2年間、何をやってきたのかといえば、専門家の意見を受けて希少猛禽類や希少植物の調査をしていたということなのです。つまり、自然保護団体に意見を聞く姿勢を見せながら、実際には計画をそのまま進めることを前提に猛禽類の調査をしていただけです。

 そして来年早々、林道の整備と橋梁の工事をするという計画案を提示してきました。要するに、今回の説明会は自然保護団体に説明したという既成事実をつくるためだったということでしょう。こうしたやり方は北海道開発局と何も変わりません。

 愕然としたのは、このダムを建設する際、環境省からダム本体以外の施設整備は許可されなかったという説明です。ダムを造った北電は、当初から将来堆砂が進行することは分かっていました。しかし、堆砂処理のための道路などの建設が許可されない状況でありながらダムを造ってしまったのです。ならば、たとえ堆砂の進行によって発電量が減少しても仕方のないことです。

 富村ダムは予測を上回る速さで堆砂が進行し、運用開始から30年足らずで堆砂量が総貯水容量の57パーセント、有効容量の41パーセントに達してしまいました。このものすごい堆砂率は、同じく堆砂で埋まってしまった二風谷ダム以上です。北電は、平成元年ころから河川管理者に堆砂対策をするよう求められていたといいます。堆砂に対する甘い予測、そして堆砂処理を無視した強引な建設によって、今になってトンネル掘削による堆砂処理という呆れた計画を立てねばならなくなったということです。

 ここでもうひとつ気になるのが環境省の対応です。北電がこのような計画を進めるということは、環境省から許可が出ることが前提でしょう。その環境省は、かつて環境保全の面から本体以外の工事を認めなかったのです。北電の行った環境調査でも絶滅危惧種に指定されている希少な猛禽類が複数確認されており、繁殖や周年の生息が確認されている種もいます。繁殖期を避けて工事をすれば影響ないということにはなりません。トンネルの掘削やダンプの往来がこれらの生物に影響を与える可能性がある以上、環境省は、このような工事を安易に認めるべきではありません。

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コメント

環境省から電力会社関連企業への天下りの有無については、あまり調べた人がいないみたいですが、気になるところです。art

はなゆー様

そのあたりのことはよく分からないですが、どうなのでしょうね。いずれにしても、自然保護団体への対応は、北電も開発局などとほとんど変わらないなあと感じました。

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