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2009年12月17日 (木)

クライメートゲート事件とマスコミ

 14日の北海道新聞夕刊に「改ざん疑惑裏づけなし 温暖化データ問題」という小さな記事が掲載されていました。

 11月にイギリスのイーストアングリア大気研究所(CRU)のサーバーに何物かが不正侵入してメールなどのデータが盗まれ、それがインターネット上に流出したという事件がありました。科学者らのメールのやりとりから、科学者がデータを改ざんして温暖化の人為説を強調したという疑惑がもたれたのです。CRUはIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の中心的な研究機関であることから、二酸化炭素の増加は主に人類による化石燃料の使用にあるとしたIPCCの報告書の信憑性に発展しました。これはクライメートゲート事件と名づけられ議論が渦巻いているようです。

 14日の新聞記事は、AP通信が流出した科学者のメール約千通を精査したところ、科学的な知見がゆがめられたという主張を裏付けるものではなかったという記事です。

 ところが、翌15日の北海道新聞夕刊の科学欄に、このクライメートゲート事件を大きく取り上げた「『CO2原因』揺らぐ信頼」と題する記事が掲載されました。この記事では流出したメールに改ざんや歪曲の跡があったことを指摘し、いわゆる懐疑論者といわれる赤祖父俊一氏のコメントを大きく取り上げています。赤祖父氏は、そのコメントの中で「IPCC報告が科学者として恥ずべき行為により創作されたことがはっきりした」、「科学史上最大のスキャンダル」、「もともと日本のマスコミのほとんどがIPCCを妄信し、CO2を削減しなければ大災害が起きる、いや北極圏では起きていると、誤報を繰り返してきた」とまで発言しています。

 おやまあ・・・これだけで「誤報」と断言されてしまうのはどんなものでしょうか? このような書き方は、まるでIPCCの全否定のように受け取れますが、今回の事件というのはそこまで言えるような状況ではありません。

 この二つの記事を読んだ一般読者は、いったいどちらの記事が信用できるのか理解に苦しむのではないでしょうか。

 科学者によるデータの改ざんや歪曲があったのなら、もちろんそれは信憑性に関わる大きな問題です。事実関係についてしっかり調査がなされ、歪曲や捏造などがあるなら訂正されなければなりません。しかし、このクライメートゲート事件、暴露されたメール等の内容がどこまでIPCCの報告書の結論に影響するのかについて検証される必要があります。もっともCOP15を目前に控えた時期に、不法行為によってメールが盗まれインターネット上に公開されたということ自体、不可解としかいいようがありませんが。マスコミがこの事件を取り上げるのはいいのですが、「科学」欄の記事であるにも関わらず、懐疑論者のコメントしか載せなかったことが不思議でなりません。

 インターネット上ではこの事件についてさまざまな意見があるようですが、北海道新聞のこの記事だけで温暖化人為説そのものに疑問を抱いた方は、以下の一連の記事もぜひ目を通していただき、ご自身で判断していただきたいと思います。

過去1000年の気候変動の虚実

 私個人としては、この一連の記事の中で紹介されていた縄文海進についての日本第四紀学会の記事は大変興味深いものでした。

 それから、温暖化論について書いているとても面白いブログを見つけました。私は懐疑論には懐疑的なのですが、懐疑論者あるいは懐疑論を信じている方にとっては面白いどころか頭に血が上るかもしれません・・・。まあ、どちらを信じるかは個人の自由ですが。

温暖化の気持ち 

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