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2009年12月22日 (火)

美蔓貯水池の欺瞞(10)

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推進派吉田鹿追町長の意味不明な主張

 今日の北海道新聞には、美蔓地区国営かんがい排水事業をめぐる記事が2本掲載されていました。ひとつは全道版社会面に掲載された「かん排事業 相次ぐ逆風」という記事で、十勝自然保護協会に対する帯広開発建設部の横柄な対応や、民主党が土地改良事業費の半減を求めていることなどについて書かれています。興味深かったのは、農業予算に関してこれまでは「陳情は中川氏に電話一本でお願いしていた」という関係者の声。故中川昭一元財務相が牛耳っていたということでしょう。

 もう一つの記事は、十勝版に掲載された反対派と推進派の対論です。反対派は十勝自然保護協会会長の安藤御史さん。推進派は、促進期成会会長で鹿追町長の吉田弘志さん。この吉田さんの発言のおかしな部分を指摘しておきましょう。

 まず、水不足について。吉田氏は10年ほど前から、ボーリングして地下水をくみ上げたり、小さな貯水池を使ったりしているが、水量は少ない 」としています。しかし、私がある元鹿追町議から聞いた話では、「鹿追町では地下水で間に合っている」とのことでした。

 さらに吉田氏は「防除の時期には散水車や消防車を動員している」といいます。「防除の時期」というのですから、農薬の希釈に使う水のことでしょう。しかし、農薬希釈のための水は「かんがい用水」ではありませんから、それをかんがい事業に求めること自体が誤りです。むしろ、そんなに農薬を使っているのかと思うと、かなりゾッとします。

 もっとも唖然としたのが費用対効果についての主張です。吉田氏は「美蔓に関していえば、効果が上回っており、問題ないと考えている。過去の実績を見ても分かる。1970年度に国営畑地帯総合整備事業が始まった。69年度に17億円だった鹿追の農業生産額は08年度、150億円にまで成長した」といいます。この説明には思わずのけぞってしまいました。

 まず、費用対効果について客観的な数値を出していません。費用対効果というのは、建設によって期待できる『効果』を、建設費や維持管理費などの『費用』で割った数値で、効果が費用を上回る1.0以上にならなければ「効果がある」ことにはなりません。農家一軒あたり1億5300万円(この費用には維持管理費は入っていない)にもなる事業で「効果が上回っている」というのなら、その根拠となる費用対効果の数値を示さなければならないでしょう。

 もう一つ、1969年と2008年の農業生産額の単純な比較です。1969年といえば40年も前の話です。今の物価は当事の何倍にもなっているのですから、こんな数値を比較するのはナンセンスというもの。こじつけとしか言いようのない主張です。

 こういう根拠不明や意味不明の発言がそのまま新聞に掲載されてしまうのですから、恐ろしいというほかありません。

つづく

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