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2009年11月14日 (土)

美蔓貯水池の欺瞞(6)

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 11日付けの北海道新聞十勝版に「頭首工建設地 ペンケニコロ川に」という記事が掲載されました。その記事によると、開発局がダム(後に頭首工に変更)の建設地をペンケニコロ川に決めたのは「取水の安定性と経済性を考慮した結果」だったそうです。この件については「美蔓貯水池の欺瞞(2)」でも書きましたが、十勝自然保護協会に対して行った、環境調査と費用面でペンケニコロ川を選定したという説明が虚偽であったことを認めたといえるでしょう。帯広開発建設部は、環境は重視していなかったといえます。

信憑性を問われるナキウサギ論文

 ペンケニコロ川の導水管工事は、この一帯に生息する動植物にさまざまな影響を及ぼすことが懸念されます。工事に伴う生息地破壊や猛禽類などへの影響、水量の減少に伴う河川生態系への影響などです。こうした影響の中でも、もっとも直接的な影響を受ける動物はナキウサギです。私たち自然保護団体は、何度もペンケニコロ林道でナキウサギ調査を行い、林道沿いに数箇所の生息地があることを確認してきました。一方、開発局もコンサルタント会社に環境調査を委託し、ナキウサギ調査を行っていました。

 開発局も導水管の埋設工事がナキウサギの生息地を直撃することを認識しているので調査せざるを得ないのです。ナキウサギふぁんくらぶは情報開示請求を行って、開発局の行った調査報告などの資料を入手していました。

 私たちは今年の夏になってから、開発局の調査報告とは別に、導水管の埋設地で行ったナキウサギ調査の論文があることを知りました。「大雪山系低標高域におけるエゾナキウサギによる小規模岩塊地の利用」(「森林野生動物研究会誌」34号)という論文で、著者は帯広畜産大学の学生、教官、開発局の調査を行っているコンサルタント会社職員です。論文の内容から、コンサルタントの調査とデータを共有していることがわかります。ところが、その論文のデータをよく調べると、開発局の調査報告書のデータと食い違っているのです。

 問題となるナキウサギ生息地は林道沿いにあります。導水管は基本的には林道に沿って埋設されるのですが、林道がカーブしているところなどでは一部ショートカットされており、それによってナキウサギ生息地を回避している場所もあります。しかし、ナキウサギの生息地とぶつかってしまうところもあるのです。上記の論文では、導水管とナキウサギ生息地がぶつかってしまう場所(P4)でナキウサギの痕跡がなかったとなっているですが、開発局の調査報告書ではその場所で多数の痕跡を確認していました。不可解としかいいようがありませんし、論文の信憑性が問われる問題です。

 そこで、十勝自然保護協会とナキウサギふぁんくらぶは連名で以下のような質問書を開発局に送付しました。

美蔓地区のナキウサギ調査で質問書を送付 

 この質問については、帯広開発建設部が自然保護団体に説明をすることになっています。(つづく

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