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2009年10月28日 (水)

美蔓貯水池の欺瞞(1)

 民主党が無駄な公共事業の見なおしを行っていますが、十勝ではどう考えても必要とは思えない「美蔓地区かんがい排水事業」(旧美蔓ダム)の工事が進められています。この事業は、十勝地方西部の鹿追、清水、音更、芽室の4町にまたがる美蔓地区の農家にかんがい用水を供給するものです。排水工事は完了しているのですが、問題は昨年から着工されているかんがい事業。地元の十勝自然保護協会は、かれこれ4年以上前からこの事業に疑問を呈してきたのですが、開発局は自然保護団体の抗議も無視して去年から着工しました。そして、最近になってようやく北海道新聞でもこの事業について取り上げるようになりました。そこで、何回かに分けてこの事業のおかしさを浮き彫りにしたいと思います。

 私がこの事業のことを知ったのは、2005年の春です。新得町のパンケニコロベツ林道とペンケニコロベツ林道が世界ラリー選手権に使われるとのことで、私たち自然保護団体は林道に調査に行きました。このあたり一帯にはシマフクロウやクマタカ、ナキウサギといった希少動物が生息しているのですが、そのようなところでラリー競技を行ったら森林に生息する動物を脅かすだけではなく、自然環境に大きな負荷を与えます。とりわけ林道のすぐ脇に生息するナキウサギへの影響は重大です。そこで動植物の調査に入ったのです。

 その調査の際、ナキウサギ生息地に測量杭があるのを見つけました。そういえば、ペンケニコロ川に美蔓ダムというダム計画があったという話を耳にしたことがありましたが、その計画は頓挫したものと思っていたのです。しかし、その測量杭を見て、美蔓ダムの計画がまだ生きていて、これから工事を始めるのではないかと思い至りました。そこで、私は北海道開発局の出先機関である帯広開発建設部に電話をして問い合わせ、その悪い予感が当たっていたことを知ったのです。

 私たちは美蔓ダムなるものの計画がどんなものなのかまったく知りませんでしたので、十勝自然保護協会として帯広開発建設部に説明を求めることにしました。そして2005年6月30日に第一回の話し合いが行われました。これを皮切りに、今年の2月まで10回にわたって話し合いが行われることになったのです。

 まず、第1回の話し合いで、「2005農業事業概要」というパンフレットを渡されました。その地図にはペンケニコロ川に「美蔓ダム」が書き込まれていました。そして開建からはペンケニコロ川にダムをつくる計画だったが、今はダムではなく頭首工(取水堰)への変更を検討していると説明されました。ダムはやめて取水堰にし、受益地の近くにため池をつくって導水管でため池に水を送る方式に変更するというのです。受益面積や受益者が減ったというのが変更の理由です。ただし、これはまだ確定していないので公にしないようにと言われました。口止めということでしょう。

 ところで、このかんがい事業の受益地は然別川水系にあります。ならば然別川から水を引いてくるのが筋というもの。ところが取水堰をつくるペンケニコロ川は十勝川の支流です。そこで、私たちが然別川水系から水を取るべきだと指摘すると、然別川は水が少ないので無理だと説明されました。あとから分かったことですが、北海道電力が発電のために然別川の水を堰き止め、導水管で十勝川に送水していたのです。水系を無視した送水によって川の生態系はめちゃめちゃにされており、かんがい用水も確保できない川になっていたのです。

 こうして帯広開建との話し合いがはじめられたのですが、だいぶ後になって帯広開建は私たちに重要な事実を隠していたことがわかりました。(つづく

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