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2009年7月 9日 (木)

高山に侵入する外来植物

 大雪山で手軽に高山帯のお花畑を楽しめるところといえば、「姿見の池」周辺でしょう。旭岳ロープウェイで一気に標高1600メートルまで行くことができます。駅から足を踏み出せば、目の前に広大な高山帯の光景が広がり、足元には可憐な高山植物が咲き誇っています。

 ところが最近はここにもアキタブキやセイヨウタンポポが侵入してきているのです。たしか3年ほど前に行ったときに、ロープウェイの駅の裏にアキタブキが茂っているのを目にしました。高山帯に本来なかった植物が高山帯に定着してしまったのです。アキダブキもセイヨウタンポポもキク科の植物で、風散布によって種子を遠くに飛ばしますから、できるだけ早く除去する必要があります。

P1000441  標津岳では標高680メートルのあたりの登山道脇に、外来種のコウリンタンポポの群落がありました(写真)。コウリンタンポポも繁殖力が旺盛ですから、そのままにしていたら登山道沿いにどんどん広がってしまうでしょう。西別岳では、登山者にセイヨウタンポポを除去して持ち帰ってもらうよう、登山口にポリ袋が用意されていました。登山者が多い山ではどうしても外来種が持ち込まれてしまうのです。ただし、タンポポは地上部だけ採っても枯れませんから、根絶させるのは大変なことです。

 一方、大雪山の「姿見の池」は動植物の採取が厳しく規制されている国立公園の特別保護地区であり、天然記念物にも指定されているところなのです。外来種だからといって、一般の人が勝手に除去するわけにはいきません。管理者である環境省は早期に徹底的な駆除を実施すべきです。環境省も外来種駆除に関しては法にがんじがらめになるのではなく、ある程度の融通性を持たせて駆除対策を強化すべきではないでしょうか。

 もっとも入り込んでしまった外来種を駆除するというのは最後の手段。入りこまないよう防止することこそ大切です。姿見の池に関しては、数年前にロープウェイの架け替えをしたときに、ゴンドラを大型化して定員を増やしてしまいました。6月から10月までの間、何と定員101人のゴンドラが15分間隔で運行されていますから、夏の観光シーズンなどは人だらけになります。人の入り込みが多くなればなるほど、外来種の種子が運ばれる確率が高くなるのです。保護の面から考えるなら、高山帯への人の入り込みを安易に増やすようなことは不適切だったとしか思えません。環境省は、国立公園は「保護と利用」の両面あると強調しますが、利用より保護を優先すべきことは言うまでもないでしょう。

 知人から聞いた話なのですが、日本の米軍基地では在来種の保護のためにセイヨウタンポポなど外来種を徹底的に駆除しているそうです。外来種をどこにでもはびこらせている日本人の感覚は、おそらく先進国の中では相当遅れているのではないでしょうか。

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