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2009年6月16日 (火)

いそうでいないイソコモリグモ

 12日から13日にかけては、オホーツク海側の斜里から紋別にかけて海岸線をたどってイソコモリグモの生息可能なところをチェックし、15日は太平洋側の白糠から浦幌十勝川までの間を調査しました。先の道北と十勝の調査と合わせ、北海道の大きな生息地はだいたい見たことになります。

 これまでの経験から、イソコモリグモが生息できる海岸の環境がだいたいつかめるようになってきました。イソちゃんが生息するためには、砂浜があればいいというわけではありません。まばらに海浜植物が生育する砂浜が必要なのです。砂丘が浸食されて段丘化し、段丘のすぐ下まで波に洗われるようなところには生息できません。海浜植物帯は広いほうがいいのですが、線状にしか分布していなくても生息は可能です。

 ところが「ここなら生息できる」と思える環境でも、実際に探してみると巣穴がまったく確認できない場所もあるのです。15日に調査したところでは、浦幌十勝川の左岸と馬主来(パシュクル)沼の海岸がそうです。これらの場所は前回の調査でも巣穴が確認できませんでしたから、「見落とし」というより「生息していない」といえそうです。では、なぜいないのでしょうか?

Dscn5017  浦幌十勝川では、砂浜からかなり内陸に古いテトラポットが砂に埋もれていました。馬主来沼の海岸は、過去の地形図では段丘状になっていたことがわかりますし、半ば砂に埋もれたブロックが入っています(写真)。ということは、かつての海岸線は今より内陸側だったのではないかと思い当たったのです。そこで古い航空写真を見てみると、確かに海岸線が大きく動いていることがわかりました。これらの場所では、かつて陸側に後退した海岸線が、今では前進しているのです。浸食によって生息適地がなくなり絶滅してしまった海岸に、何らかの要因で砂が堆積してふたたび生息可能な状態になったといえそうです。近隣の生息地からは川や崖によって隔離されているために、分散してくることができないのでしょう。

 生息適地があるから生息している可能性が高いとはいえないようです。海岸線の変化に伴う絶滅を考慮しなければならないということです。

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