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2009年5月26日 (火)

十勝の海岸とイソコモリグモ(その1)

 24日から25日にかけて、十勝の海岸部にイソコモリグモの調査に出かけました。十勝川河口から南には長節(ちょうぶし)湖、湧洞沼、生花苗(おいかまない)沼、ホロカヤントウ沼という湖沼群があります。ここ2年ほどの調査によってイソコモリグモが生息できる海岸の状況がつかめてきたので、今回は生息可能地の把握を目的に、長節湖から南下して広尾の手前まで海岸線をたどりました。

Tyoubusiminami  この写真は長節沼の少し南の海岸です。傾いているトラックが放置されている場所は、かつて道があったところです。このトラックや番屋とおぼしき建物が崩れ落ちるのも時間の問題でしょう。丘陵の縁が浸食でどんどん削られて崖状になり、砂浜との間に大きな段差ができています。このような形状になってしまうと、高波をかぶらないまばらな海浜植物帯が消失してしまうので、イソコモリグモは生息できなくなります。

Tyoubusiminamigogan  少し南にいくと、部分的ですがテトラポットが並べられていました。「これ以上の浸食は放置できない」ということなのでしょう。こうなるとイソちゃんの生息は絶望的です。崖状になったところからこのような護岸をしていくのでしょう。

Horokayantou  ホロカヤントウ沼に行って驚きました。この建物の看板には消えかかった字で「砂浜キャンプ場」と書かれているのですが、ここにはもうキャンプ場として使えるような砂浜はなくなっていました。キャンプ場は廃止され、建物の際まで波に洗われてもうじき傾きそうです。キャンプ場の施設を造ったときには安全なところに建てているはずですが、砂浜がどんどん後退し、今では波打ち際が迫っているのです。右端の電柱もいつまでもつでしょうか?

Horokayantoukogan  ホロカヤントウ沼と海の間に取り残された植物帯にはイソコモリグモの巣穴が10個以上確認できましたが、ここはもはや中洲のように孤立した生息地です。このまま海岸浸食が進めば、手前の砂浜部分で海と湖がつながってしまうでしょう。それを防ぐために護岸工事をしたなら、イソコモリの生息地は破壊されます。イソコモリにとっては、どちらにしても危機的です。

 今のところ湧洞沼や生花苗沼の海岸はそれほど段丘化が進んでいないので、密度は低いもののイソコモリが生息しています。しかし長節湖では海岸の段丘化が進みつつあり、キャンプ場周辺はすでに護岸化されています。キャンプ場周辺には細々と生息しているものの、人による踏みつけも激しく、かなり危うい状態です。浸食による段丘化や護岸化がさらに進めば、湖沼群一帯の生息地も安泰ではなくなるでしょう。

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