隠された事実
藤原新也氏のブログで、NHKの「日本巡礼」の案内があったのを思い出し、昨日は珍しく朝からテレビのスイッチを入れました。番組の最後に、京都の丹後半島にある伊根湾の舟屋群の写真を撮影する藤原新也氏が紹介されました。
海に口を開けるように一階が船の格納庫になっている木造の舟屋が、伊根湾をとり囲むようにびっしりと並ぶ光景は、半世紀ほど前に引き戻されたかのような懐かしさを漂わせています。伊根湾の入り口にある無人島の青島には巨木が茂り、漁師たちが大漁を祈願する神社が祀られています。
その映像から伝わっているのは、高波から伊根湾を守っている青島を大切にし、昔からの漁を守りつづけている漁師たちの姿でした。
この美しい伊根湾の舟屋群は、先月の北海道新聞の日曜版にも紹介されており、日本にもまだこんな営みが残っていたのだと、その写真に見入ったものです。
ところが、「日本巡礼」が放送されたあとの藤原氏のブログを読んで、私は正直、騙されたような気分になりました。
NHKの映像からも、北海道新聞の写真からも、船屋には人々の生活が感じられたのですが、藤原氏によると現在でも漁をしているのは数件だけとのこと。考えてみれば、それは当然なのかもしれませんが、その事実は意図的に隠されているのです。しかも、聖なる島であるかのように描きだされていた青島に、漁師が大量のゴミを廃棄しているなどとは、誰が想像するでしょうか・・・。
NHKも北海道新聞も、決して嘘を伝えているわけではないのですが、マイナーな部分を意図的にカットし、美しいところ、見せたいところだけを取り上げているのです。報じる側が負の部分を隠してしまうことで、見る側には良い印象しか伝わってきません。
マイナーな部分を隠し一面しか報道しないことは、時として視聴者を錯覚に落としいれ、誤解を招くことになるのです。制作者側は、そのことをどれほど意識して番組づくりをしているのでしょうか? マスコミは一面しか伝えないということを、常に意識しなければならないのだと痛切に感じさせられました。
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