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2008年11月29日 (土)

泡瀬干潟とヤマトウシオグモ

 11月19日、沖縄の泡瀬干潟の埋め立て事業に関して住民らが公金支出など支出の差し止めを求めた訴訟の判決がありました。全面勝訴ではありませんでしたが、那覇地裁は経済的合理性がないとして支出は違法であるとしました。自然破壊を止めるための裁判で勝訴するのは日本ではなかなか大変なのですが、この判決は画期的といえるでしょう。

 私は行ったことがないのですが、泡瀬干潟には絶滅危惧種に掲載されている種が多数生息していてきわめて生物の多様性に富んでいる上、渡り鳥の生息地として貴重な干潟です。

 クモの研究者にとってはヤマトウシオグモの密度が高いところとして知られています。そもそもこのクモはとても少ないクモなので、「密度が高い」といっても干潟のあちこちにいるというわけではありません。ここでヤマトウシオグモを探した谷川明男さんによると、「3人で2時間探して6頭発見であったから、平均すれば一人で1時間探して1頭見つかるという割合」(2002年、KISHIDAIA 78号)なのだそうです。しかも、この日はとびきり多く発見できた日だとか。一日探しても見つからない日もあるそうで、それくらい個体数の少ないクモなのです。

 「干潟にクモがいるの?」と思われる方がいるでしょうね。ヤマトウシオグモというのは、実は満潮時には海水に没してしまうような潮干帯の岩の窪みなどに生息しているとても変わり者のクモなのです。泡瀬干潟では、干潟にころがっているサンゴのかけらに生息しているそうです。

 満潮の時にはどうしているかというと、糸でつくった住居の中に潜んでいます。住居の中までは海水が入ってこないのですね。なにもわざわざこんなところに棲まなくても・・・と思うのですが、変わり者はどこの世界にもいるんですね。

 ところで、2001年の9月はじめに、私は伊豆諸島の式根島に出かけました。式根島は小さな火山島で岩礁海岸に囲まれているのですが、ところどころに砂浜があって海水浴場になっています。そんな湾の波打ち際を歩いていると、1頭の見慣れないクモを見つけました。「イソタナグモかな?」と思いつつとりあえず採集し、他にもいないかとしばらくあたりを探してみましたが、結局その1頭だけしか見つけられませんでした。

 さて、家に帰って調べたら、なんとそれがヤマトウシオグモだったのです。それまでこのクモの北限は和歌山県とされていたのですが、それより北の伊豆諸島にも生息していたのです。式根島にいるのですから、おそらく近隣の島にも生息しているのでしょう。思いもかけぬ収穫でした。しかし、とても個体数が少ないことから考えるなら、このクモにめぐり合えたのは幸運なのでしょうね。

 それにしても、このクモは陸地から遠く離れた伊豆諸島にいつから棲んでいるのでしょうか? 恐らくかなり古い時代からではないでしょうか。島に棲む生物の起源はとても興味深いものがあります。

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