温泉と昆虫
写真はオオシオカラトンボです。北海道ではシオカラトンボはどこでもよく見かけますが、オオシオカラトンボは少ないようですね。
「蝦夷の蜻蛉」(広瀬良宏・伊藤 智著、自費出版)によると、「道東では温泉地に限られる傾向がある」とのこと。確かに、オオシオカラトンボが見られるのは、温泉の排水が流れ込んでいる水溜りなどのようです。ヤゴの生育には一定以上の水温が必要なのかも知れません。
屈斜路湖の和琴半島にはミンミンゼミが隔離分布していて、北限の生息地として知られています。ミンミンゼミは温暖な時代に北海道に広く分布していたものの、その後の寒冷化にともなって姿を消していき、地温の高い和琴半島に生残ったといわれています。この一帯は火山地帯で温泉があり、地温が高いのです。
クモにも、もしかしたら温泉と関係があるのではないかと思われる種がいます。ヒノマルコモリグモというクモです。札幌の近くにある野幌森林公園で記録されているのですが、全道的に記録があるわけではありません。野幌森林公園以外では、2箇所だけですが道東の山地で記録されていて、その両方が温泉地です。
コモリグモは地上を歩き回っている徘徊性のクモです。越冬もおそらく地中でしょう。寒冷な地域では分布と地温が関係している可能性がなきにしもあらずです。
ところが、同じコモリグモでも高山性といわれるタカネコモリグモは、地温が高くて標高の低い硫黄山(アトサヌプリ)にも生息しているのです。こちらは地温との関係ではなく、他のクモが入り込めないような厳しい環境条件がこのクモの生息と関っているのではないかと考えられます。
そういえば、温泉地にはヘビが多いなんていいますね。最近はヘビもあまり見かけない気がしますが・・・。
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