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2008年7月16日 (水)

文芸社は何処へ?

 新風舎から事業を受けついた文芸社は、3月に破産管財人である川島弁護士を通じて、新風舎の著者の方たちにアンケートを送付しました。そのアンケートは、著者に再流通を希望するかどうかという内容でした。選択肢は1.希望する 2.条件により考えてみたい 3.希望しない というもので、1か2を選んだ方に対しては具体的な希望を聞いています。

 このアンケートを見て、気になったことがあります。それは「役務(サービスの内容及び費用)の提供」という表現を使っていることです。つまり、著者の方に対価をもってサービスを提供する契約だといっているわけです。制作や販売のサービス契約なら、本の所有権は著者のものとし、売上金を著者に支払うという契約にすべきでしょう。

 ところが、このアンケートで再流通を希望すると答えた方に送られた出版契約要目を見ると、著者の本を制作・販売するサービス(役務の提供)の契約ではなく、文芸社の商品として本をつくり売上金は文芸社が得るというものです。流通出版の印税タイプ(以前の協力出版)と変わりません。出版社の出版事業に対し著者が出版費用を出してあげるという契約が、どうして著者に対する役務の提供なのでしょうか?

 著者は文芸社に売上金をもたらすだけではなく、実費以上の出版費用を支払って利益を与え、出血大サービスをしているといえます。費用もリスクも負担せずに出版社の商品をつくるのが著者への役務の提供だとは、開いた口がふさがりません。詐欺的といえるのではないでしょうか。

 文芸社からの文書によると、このアンケートを返送した方は7000通をこえ、そのうちのおよそ75パーセントの方が再流通を希望されたようです。およそ5250人が再流通したいという意向を示したということでしょう。

 アンケートでは「再流通についての希望」だったのですが、文芸社が在庫を受け継いだわけではありませんから、実際には新風舎のデータを利用しての再出版の希望ということになります。再流通の希望といってアンケートをとりながら、再出版を提案するというのもなんだか詐欺的。はじめから再出版と書くべきだったでしょう。

 再流通を希望した人全員が再出版するわけではないでしょうけれど、こんなにジャンジャカ本の出版を呼びかけてどうするのでしょうか? 提携書店の棚に置ききれるのでしょうか? しかも、新風舎の本の多くは販売レベルに高めるような編集もしていませんでしたし、あまり売れていなかったのです。それをそのまま出版したとしても結果は見えているでしょう。

 著者に請求している金額も、データがあるにしてはかなりお高いようで・・・。印刷・製本原価にカバーの制作費・デザイン費を加えた費用の2倍以上になるのではないかと私には思えます。それに文芸社は碧天舎が倒産したとき出版直前まで進んでいた著者の本を、300部35万ほどで出版したと報じられていますが(読売ウィークリー、2008年8月13日号)、それに比べても高いようです。

 一人からいくらの利益が得られるのかはわかりませんが、仮に数百人も契約したなら事業を譲り受けるために支払った4000万円?はすぐに回収できるのではないでしょうか。

 文芸社がお金まで払って事業を譲り受けたのは、新風舎の著者を最大限に利用したかったのではないでしょうか。草思社の支援は信頼を得るためにも好都合です。文芸社は自社のPRにも著者への案内にも草思社支援を持ち出していますが、草思社のHPには文芸社の名前は見当たりません。載せたくはないでしょうね、草思社としては。

 昨年まで文芸社と新風舎が競っていた「公募ガイド」の広告は、すっかり文芸社と文芸社ビジュアルアートに占領されているようです。新聞広告も文芸社の一人勝ち。

 自費出版業者などにあれだけ批判されてきた「著者も購読者もお客さんにしてしまう商法」が「自費出版」として定着しつつあるようです。こんな商法が「自費出版」だとか「役務の提供契約」だとしてまかり通るようになれば、良心的な自費出版社や商業出版社は大変な迷惑を受けることでしょう。いえいえ、もうとっくの昔から影響を受けているでしょうね。

 文芸社は批判を省みることなく、協力出版から自費出版(流通出版)へと名称を変更して突っ走っているようですが、果たして未来は明るいのでしょうか・・・。

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