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2008年6月18日 (水)

民有林に税金投入?

 北海道でも森林環境税を導入すべく準備が進められています。環境問題が喫緊の課題である以上、対策を講じるために税金を導入するというのはわかります。でも、北海道の森林環境税の場合、民有林の間伐や植樹などに当てるそうです。手入れされていない民有林に税金投入となれば、首を傾げざるを得ません。

 北海道では民有林に限らず、国有林でも道有林でも手入れされずに放置されている人工林がいたるところにあります。本来、人工林は良質な木材を生産することを目的に下草刈りや除間伐、枝打ちといった手入れをしていくものです。それが手入れされずに放置されてしまったのはなぜなのでしょうか?

 北海道の林業は、元手がタダの天然林から木を伐り出すことから始まりました。天然林に分け入り、価値の高い大径木から順に伐られていったのです。1954年の洞爺丸台風では大きな風倒被害があったのですが、その処理と称して奥地まで伐採の手が伸び、健全な木まで伐り出したのです。「老齢過熟木を伐って若木を育てる」との名目で、天然林伐採が続けられました。でも、そんな略奪林業も長く続くはずはありません。

 天然林の資源が乏しくなると、カラマツなどの造林が盛んになりました。しかし、本州から移入されたカラマツは北海道の気候に合わず、病害虫に悩まされたのです。しかも間伐などの手入れを怠ったために優良な材の生産に結びつきませんでした。そこ追い討ちをかけたのが安い外材の輸入です。こうして北海道の林業は衰退していったのです。

 天然資源の枯渇と造林の失敗で林野庁は膨大な赤字を抱え、天然林はボロボロになり、人工林は手入れもされず放置されたのです。

 間伐を怠ったために生長できず、商品価値が低くなってしまった手遅れの造林地が山のようにあります。こんな状況では人工林の手入れをしたところで収益が期待できないということです。採算がとれるかどうかわからない造林地に誰がお金を投入して手入れをするでしょうか? それは国有林であろうが、民有林であろうが同じです。こうした状況を踏まえ方向転換することなく民有林の手入れに税金を投入したところで、先は見えています。

 このような状況をつくり出したのは、国の林業政策の失敗によるところが大きいといえます。そのツケをなぜ道民が払わなくてはならないのでしょうか? しかも、個人の所有物である民有林に道民の税金を使うということに道民の理解が得られるのでしょうか?

 日本は自国の森林を破壊したうえに、熱帯林など海外の森林破壊にも加担してきました。その反省なしに「環境問題」を振りかざして市民に負担を強いるのは賛成できません。

 「植樹、植樹」と木を植えることだけを唱えるのではなく、環境保全や木材生産のあり方を考えて、どのような森林をつくりどう管理していくのかというビジョンを明確にしなければならないでしょう。

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