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2008年4月27日 (日)

消えゆくイソコモリグモ

 イソコモリグモについては「石狩浜のイソコモリグモ」でも書きましたが、自然の海岸線がどんどん減少していくとともに生息地を奪われてきた大型のコモリグモです。

IsokomoriIsofurusu Isosuana  写真は、2センチほどの大きさの雌成体です。惚れ惚れしてしまうくらいふっくらとした大型のコモリグモです。海岸の砂浜に垂直に穴を掘って潜んでいるのですが、昼間は巣穴の入口を閉じてしまうのでほとんど見つけることができません。右端の写真が入口を閉じている巣穴です。真ん中に1ミリくらいの小さな空気穴が開いているだけなので、この下に巣穴があることはまずわからないでしょう。こんなふうに糸と砂をつかって入口をきれいに閉じてしまうなんて、すごいですよね。

 でも生息しているところにはすでに利用しなくなった古巣があることが多いので、それを見つければ生息していることが確認できます。中央の写真が入口を開けたままになっている古巣です。

 砂浜にはほかにも穴を開けている動物がいますが、イソコモリの穴は、入口部分が糸で裏打ちされているので、ほかの動物の穴と区別できるのです。穴の内側をピンセットなどでつついてみると、糸の幕があることがわかります。

 北海道でのイソコモリグモの生息調査は遅れていることもあって、海岸方面にでかけるときはなるべく海辺に寄って生息調査をしています。

 昨日は道東の海岸で調査をしたのですが、生息が確認できたのは野付半島の1箇所だけでした。サケマス漁などの漁業が盛んなこの地域では、海岸はテトラポットや堤防、番屋や漁具置き場などでかなり撹乱されて、かつてあったであろう自然の砂浜は激減しています。このために生息地はかなり限られているだけでなく、分断化・孤立化してしまっているようです。今のこっている生息地は、なんとか人為的な改変を免れてきたところといえるでしょう。

 北海道は本州と比べると自然の海岸線が多いそうですが、砂浜ではなく崖地になっていたり岩礁海岸になっているところも少なくありません。しかも海岸沿いに道路が建設されているところが多く、イソコモリグモが棲めそうなある程度の幅のある砂浜はごく限られています。人間が海岸線を改変する前と比べたら、大半の生息地が失われてしまったといえそうです。

 国のレッドリストで絶滅危惧種に指定されていますが、この先、温暖化によって海面が上昇したら、生息地が水没して絶滅の危機にたたされることが懸念されます。

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