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2008年2月14日 (木)

懸念される被害者の新たな出版

 新風舎の保全管理人弁護士は、本もできなければお金も戻らない被害者を出さないために、債権をそのままの状態にしながら事業譲渡の交渉をされているようです。

 そのような状況のなかで、未刊の本のデータを所持していた外部編集者の方がそのデータを著者に渡したいと考え、ブログなどで共同出版を批判しているある自費出版社の方に相談を持ちかけたところ、その自費出版社の方は新風舎の未刊や既刊の著者を集める行為をはじめました。そして現在、連絡のとれたある未刊の被害者の本の出版作業を進めています。

 毎日のようにブログで状況を報告されているようですが、私は正直なところ背筋が寒くなる思いをしています。

 外部編集者の方はもちろん著者のことを想って善意でこのような申し出をしたのでしょう。また、それに応じた著者の方も、親切な行為として受け止めて喜んでいるのだと思います。

 しかし、現時点では制作途中のDTPデータも、印刷会社の版下も新風舎の資産といえます。いくら善意の行為であっても、そのようなデータを利用して勝手に出版してしまう行為は法に抵触すると思われ、大変懸念されることです。

 外部編集者の方や著者の方はこのことに気づいていないのでしょうか? 外部編集者や著者にも責任のあることです。テレビの取材予定まで入っているとのことですが、法に抵触するような行為をさも被害者の救済行為であるかのようにマスコミで喧伝してしまうことになればあまりにも不適切であり、とても気がかりです。

 こともあろうに、編集者と著者の橋渡しをしているのは長年出版業界にいた方です。その方は、新風舎の本の所有権は著者にあると主張し、本のデータの所有権も外部編集者や印刷会社にあると主張されているようですが、このような主張は私のような業界関係者ではなくても理解に苦しみます。

 ネットで新風舎の著者の方たちを集め、既刊の本も印刷会社にあるデータを利用して再度印刷・流通することを考えているようですが、現時点では複製権や頒布権は新風舎にあり、著者や印刷会社にはありません。また、新たに流通させる場合は、流通や保管などの諸経費は著者に負担してもらうことになると思われます。これでは新風舎の被害者を利用した事業と捉えられても仕方ありません。

 本の所有権については「目を覚ましてほしい所有権問題」に書いたとおりですし、DTPデータや版下も印刷会社は預かって所持しているだけであり、出版社に所有権があると解釈すべきだと思います。しかも、現在は外部編集者も印刷会社も債権者であり、その方たちの所持しているデータなどは保全管理人の管理下にある資産です。

 被害者の救済であり、制作はボランティアだといっていますが、そうやって安く制作したり流通させることが本当に著者のためなのでしょうか? 私はとても疑問に思います。

 いろいろな出版社がアマチュアの方の本の出版を手がけています。昨日の記事「良心的な出版社とは?」にも書いたように、著者の方たちはどんな出版社が良心的であるのか、何のために出版をするのか、販売することだけが出版の目的なのか、じっくりと考えて判断されることを願っています。

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