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2008年1月30日 (水)

北海道の永久凍土

 先日「温暖化と永久凍土」という講演会を聞く機会がありました。講師は北海道大学低温科学研究所の澤田結基さんです。そこで、講演会でのお話しを織り交ぜながら、永久凍土についての話題を何回かに分けて書いてみたいと思います。

 永久凍土といえば、シベリアやアラスカなど北極圏に近い地域にしかないと思っている方がいるかもしれませんが、日本にもあります。富士山が有名ですが、北海道には何箇所もあるのです。

 シベリアやアラスカ、カナダなどでは広範囲に連続して永久凍土が広がっていますが、このようなものを連続的永久凍土といいます。その南側には条件のよいところが永久凍土になっている不連続的永久凍土とよばれる一帯があります。さらにその南側になると、非常に条件のよいところにだけ永久凍土が存在する地帯があり、このような永久凍土を点在的永久凍土と呼んでいます。

 日本にあるのは、もちろん点在的永久凍土です。そして、日本の永久凍土は最も南に位置しているのです。

 北海道では大雪山の高山帯に永久凍土がありますが、実は高山帯だけにあるわけではありません。東大雪の十勝三股や幌加、然別湖の周辺など、標高がおよそ600メートルから800メートルほどの山地にも永久凍土があるのです。ちょっと驚きませんか?

 このような山地帯の永久凍土がどうなっているのか、見てみたいですよね。でも、もちろん凍っているのは地下ですから、現場に行っても「凍土」を直接見ることはできません。永久凍土があるところはアカエゾマツなどの針葉樹林が覆っていて、林床にミズゴケやハナゴケ(地衣類)が厚く生えていたり、イソツツジ、ガンコウラン、コケモモなどが一面に覆っていたりします。そうです、ここではタイガやツンドラと同じような光景が見られるのです。北海道で、北極圏の気分が味わえます。

 永久凍土のあるところでは、地表に近い部分は冬には凍っていても夏には融けてしまいます。この部分は融けたり凍ったりを繰り返しているので活動層と呼ばれています。その下にある年間を通じて0度以下の部分が永久凍土です。「凍土」といっても凍っているのは必ずしも土だけではなく、岩屑や氷だったりするのです。

 東大雪の場合、岩屑や岩塊があるところに永久凍土が見られます。夏には岩の隙間から冷風が吹き出していて「風穴」になっています。暑い夏でも、ここにいるととても気持ちがいいのですが、調子にのって長時間いると体が冷え切ってしまうのでご用心!

 風穴からの冷風が暖かい大気に触れると結露を生じて湿度が高くなり、ミズゴケやハナゴケが生育できるのです。そして、このマット状の苔や地衣類が断熱材となって、地下の凍土を融けにくくしています。うまい具合になっているのですね。

 北海道の山に登っていて、林床にこんな光景が現れたら、そこには永久凍土があるかも知れません。そして、そんなところにはたいていナキウサギが棲んでいます。運がよければキチッ、キチッ、というナキウサギの声が聞かれるかも知れませんよ。

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