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2008年1月 8日 (火)

新風舎の倒産と共同出版問題

 昨日は朝から外出していたために、新風舎が東京地裁に民事再生法の適用を申請したことは夕方遅くになってから知りました。

 新風舎が危ない状態にあるとの噂は昨年の夏ごろから耳にしていましたので、倒産を心配していましたが、とうとう現実のものとなってしまいました。これで共同出版御三家といわれた文芸社・新風舎・碧天舎のうちの二社もが倒産したことになります。

 碧天舎の倒産は、悪評が広まったというより著者負担金をライバル会社より安く設定したことが経営悪化の大きな要因になったと考えられますが、出版点数第一位まで登りつめた新風舎の場合は、昨年7月の提訴をきっかけにマスコミによる批判が集中したことで契約が激減したことが大きな要因と思われます。

 要するに、本の売上金だけで広告などの営業費を賄っているのではなく、主として著者に支払ってもらうお金で経営しているために、多くの著者を獲得できているときは潤っているのですが、ひとたび契約数が落ち込んでしまったら一気に経営が苦しくなるのです。会社の規模が大きいほど社屋の維持経費や社員の給料、印刷会社への支払いなどが行き詰ってしまうことになります。

 それにしても、共同出版という商法が複数の出版社の間で長年つづけられてきたにも関らず、近年の新風舎だけをターゲットにしたかのような批判はなんだったのでしょうか? 確かに、驚くほどの数の賞を掲げて著者の獲得に利用し、全国の書店に必ず並ぶかのような説明をしてきたようなやり方は悪質ですし、批判されてしかるべきでしょう。

 しかし、新聞もテレビも、著者を錯誤させて出版社に一方的に有利な商法へと誘い込む商法、すなわち著者を顧客にすべきではない契約内容であるにも関らず、著者を顧客にして費用もリスクも負担しないで自社の商品をつくるという共同出版の本質的問題点に言及することなしに、提訴の記者会見をもとに販売の虚偽説明の批判ばかりを展開しました。これでは同業他社に著者を誘導するだけです。

 新風舎などが行っている共同出版などと称される商法は「著者が出版費用の一部を負担する商業出版」といえるものであり、従来からの自費出版サービスとは明らかに異なるのです。それにも関らず、マスコミは相変わらずこうした商法を「自費出版」として報道しています。これでは、良心的な自費出版社にまで不信感が広まるのではないでしょうか。  きめ細かい取材のもとに問題点の本質に迫ることを放棄し、記者クラブに頼った報道しかしないマスコミの恐ろしさを今まで以上に実感しています。

 新風舎は事業の継続を模索し、契約中の書籍の制作と今まで出版した本の流通の確保に努めるとのことですから、まずは本の制作を優先するとともに、すでに出版した方たちの本も安易に処分しないことを願っています。しかし、事業の継続を表明している以上、批判をきちんと受け止めて軌道修正しない限り存続は難しいと思います。もちろん同業他社も同じです。

 大手共同出版社のうちの2社もが倒産した以上、原稿募集の広告を掲載している新聞や雑誌はこの商法の本質的な問題点をしっかりと取材・報道し、自費出版はどうあるべきかを問いただすべきでしょう。そして依然として行われている同業他社の原稿募集広告の掲載を慎むべきです。それをしない限り、新たな被害者を生み出しつづけることになります。

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