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2007年12月10日 (月)

「地ごしらえ」による伐採の怪

 えりもの森の皆伐で被告は、収穫調査を行った376本以外の伐採について、支障木として56本(18本+38本)を認定し、「地ごしらえ」として直径6センチ以上の立木を327本伐採し、合計383本を伐採したとしています。

 被告は、これらの伐採は本件売買契約に基づく伐採とは全く異なるものであると主張しています。つまり、376本の伐採や支障木の伐採とは別に「地ごしらえ」の伐採を行い、その結果、受光伐(抜き伐り)が皆伐になったというのです。

 「地ごしらえ」というのは、植林をするための準備作業で、伐採に伴って廃棄された枝葉を筋状に寄せ(措き幅という)、植林の邪魔になるササや潅木などを刈る作業のことです。

 受光伐というのは、日陰になっていた若木に光をあてて生長を促すのですから、若木は残さなければならないはずですが、それも「地ごしらえ」で伐ってしまったというのです。なんとも矛盾した話です。

 被告の主張によれば、376本の収穫木と支障木を伐採した後に、「地ごしらえ」を行って327本の立木を伐採し、それを枝葉と一緒に「措き幅」に寄せて整理したということになります。

 ところが被告は、本件での伐採の時期と「地ごしらえ」による伐採の時期を明確にしていません。

 しかし原告らの調査によれば、本件の伐採の着手は平成17年8月24日であり、また少なくとも平成17年9月3日には準備地ごしらえに着手していました。ここからいえることは、8月24日に始まった本件の伐採(176本の伐採)と9月3日から始まった準備地ごしらえは、9月3日以降は並行して行われていたということです。

 本件伐採と地ごしらえの契約主体は日高森づくり協同組合なのですが、実際には鬼頭木材が伐採と地ごしらえを行っていました。つまり、同じ鬼頭木材の職員が両方の作業を行っていたのです。

 考えただけでもわかりますが、同じ業者が、ナンバーテープやスプレーがつけられた木をまず先に伐採し、その後、残りの木を「地ごしらえ」として伐採して皆伐状態にするなどということはありえないでしょう。

 チェンソーで端から伐採し、材となる「金目の木」は搬出してして丸太にして土場に積み上げたとしか考えられないのです。このような伐採をしたら、どの丸太が収穫木でどの丸太が「地ごしらえ」による伐採木なのかを特定することなどできません。

 現に、9月24日には、本件の伐採と「地ごしらえ」による伐採が同時に行われ、材として価値のある伐採木が丸太として土場に積み上げられ搬出されたことを、十勝自然保護協会の理事が目撃し撮影していたのです。

 現場にはナンバーテープもスプレーもない大小さまざまの伐根が残されており、「地ごしらえ」で伐採したと主張しているのですが、それらの材は「措き幅」に残されていません。383本の立木が根拠もなく伐採され搬出されたことになります。

 このような伐採・搬出行為は、森林法198条の森林窃盗にあたると考えられるのです。

 道条例違反、生物多様性条約違反として始められた裁判ですが、伐採の中身を検証していくにつれ、さまざまな不正・違法疑惑や業者との癒着疑惑が浮かびあがってきました。  被告は、この裁判にあたって「住民監査請求が不受理だったので、訴訟を起こす資格がない」として本論に入ることを拒み、入口論で1年も費やしたのですが、頑なに拒んだ理由が見えてきます。

 裁判の舞台となったえりもの森の伐採には、公有林伐採の抱えるさまざまな疑惑が凝縮されているかのようです。

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