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2007年11月 6日 (火)

「クマの道」に「人の道」を計画した環境省

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 環境省は長距離自然歩道という歩道整備を行っているのですが、2001年に、北海道にもこの長距離自然歩道を計画していることが報道されました。計画策定するのは環境省ですが、事業は北海道が行い、国が補助金を出すというものです。そして、2002年には、クマさんの通り道になっている、例の糠平から十勝三股間の旧国鉄士幌線跡地がその候補地に選ばれたのです。

 自然歩道といえば聞こえはいいのですが、糠平と十勝三股間の線路跡地をいったい誰が歩くというのでしょうか? 公共交通機関もないような山の中に長距離の歩道をつくっても、歩く人などほとんどいないでしょう。利用者が不在なのですね。はじめに「歩道ありき」なのです。しかも、幌加から十勝三股の間はクマさんが歩きまわっているのです。

 イギリスにはフットパスと呼ばれる歩道があります。この歩道は人々が自然の中を歩いて楽しむ権利を主張してできたもので、あくまでも人が歩いてできた道なのです。街と街を結んでいて、誰もが手軽に利用できます。

 そこで十勝自然保護協会は、環境省が北海道自然歩道を計画するにあたって、自然保護団体と意見交換をするように求めました。ところが、環境省は「専門家を交えた検討会を設置している」「計画策定前にパブリックコメントをする」「北海道が地元の団体から意見聴取をしている・・・」といって逃げたのです。でも北海道は、歩道整備を求めている団体の意見しか聞いていないのです。

 環境省の募集したパブリックコメントには、もちろん意見を提出しましたよ。でも、そのまま策定されてしまいました。  その後、新聞報道で明らかになったその計画の全容は「ちょっと待って!」といいたくなるような中身でした。なぜなら、その路線の大半が既存の道に看板をつけるだけのような計画だったのです。その整備費は10年間で28億円です!  こうして事業がはじまったので、こんどは事業主体である北海道に、ヒグマの道に歩道をつくるなどということはきわめて危険で問題があることを指摘しました。そのときになって、北海道ははじめてことの重大さに気づいたようで、かなり困った様子でした。そりゃそうでしょ。もしクマとの接触事故が起きたら、クマの道に歩道をつくった責任だって問われることになるでしょうから。

 自然保護団体の意見を無視せずに対応していたら、このようなことにはならなかったはずです。お役所というのは、どうしてこんな対応しかしないのでしょうか?

 ちなみに、これまでの経験でいうと、環境省というのは自然保護団体への対応を無視したり拒否したりと、非常に鷹揚な態度をとることが多いのです。それに対し、北海道開発局(国土交通省)や土木現業所(北海道)のほうが、はるかに誠実な対応をします。つまり、説明会を要請すればきちんと開催するのが普通です。

 環境保全に率先して取り組まなければならない環境省がこんな態度なのですから、困ったものですね。(つづく

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