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2007年9月26日 (水)

不思議なオニグモの寄生バエ

 今年も9月の下旬になってしまいました。実は「今年の9月こそは!」と思っていたことがあったのですが、9月は東京に行ったり、札幌に行ったり、野外調査に出かけたりと外出続きで、今年も断念です。

 というのは、オニグモに寄生するハエの観察のことなのです。ちょうど8月から9月にかけて、この不思議なハエが現れるのです。

111601  軒先などに大きな円網を張るオニグモは、夏から秋にかけて産卵します。8月下旬から9月ごろ、網を張っている産卵前のオニグモのまわりを黄色い小さなハエが飛んでいることがあるのですが、よく見るとオニグモの腹部表面に卵を産んでいるのです。オニグモなどに寄生するオニグモヤドリキモグリバエです。

 オニグモの腹部に卵を産み付けるなら、幼虫がクモの体にもぐりこんで、クモを食べて育ち、寄生されたクモは死んでしまうというのが一般的な寄生方法です。ところが、このハエの成虫はオニグモを食べてしまうわけではありません。卵を産み付けられたオニグモを飼育していると、その後クモが産卵をするのですが、不思議なことにその卵のう(卵塊を糸でくるんだもの)からハエが孵化するのです。卵のうを開いてみると、ハエの蛹の抜け殻が見つかります。つまり、ハエの幼虫はクモの卵を食べて育つのです。

 クモの卵に寄生するハチやハエはいくつか知られていますが、それらはふつうクモの卵のうの表面に直接卵を産みます。ところが、このオニグモヤドリキモグリバエは、卵のうではなく、クモのお腹に産卵するという不思議な方法をとっています。

 それでは、ハエの幼虫はクモの腹部からどのようにして、しっかりと糸でくるまれたオニグモの卵のうの中に移動するのでしょうか? その移動方法は二つ考えられます。一つはオニグモが産卵するときに、ハエの幼虫がクモの腹部表面を伝って卵塊の中にもぐりこむ方法です。もう一つは、孵化したハエの幼虫がクモの体内に入り込み、卵塊と一緒に産卵されるという方法です。

 たぶん前者の方らしいということまでわかってきているのですが、それならクモの産卵を観察すれば、ハエの幼虫が卵塊に入り込む様子がわかりそうです。ところが、クモはいつ産卵するかわかりませんし、産卵はふつう夜中なのです。昨年は一度だけ産卵を観察したのですが、そのときは幼虫の移動は確認できませんでした。結局、そのオニグモの卵のうからは残念ながらハエが孵化しなかったのです。

 それで、今年こそ!と思っていたのですが、今年は外出続きでオニグモの飼育どころではありませんでした。この観察はまた来年に持ち越しです。

 でも、不思議ですよね。クモは産卵をするとすぐに卵のうに糸をかけて包んでしまうのです。ですから、ハエの幼虫が卵のうに入り込めるのは産卵中の限られた時間しかありません。昨年の観察例では、産卵時間は6分ほどでした。ハエの幼虫は、そのタイミングをどうやって知るのでしょうか? それとも卵のうを包んでいる糸の間を通り抜けて卵塊に到達するのでしょうか?

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