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2007年9月 1日 (土)

火山とクモ

Esann  恵山の「賽の河原」は、ガンコウランとエゾイソツツジの大群落。これほどのガンコウランの群落を見たのははじめてです。そこには、まるで北極圏に来たかのような荒涼とした光景が展開されていました。

 道東の硫黄山(アトサヌプリ)も標高が200メートルほどですが、ハイマツとエゾイソツツジ、ガンコウランの大群落があります。これらの植物は火山から噴出する硫化水素や酸性土壌に耐性があるため、このような厳しい環境にも生育できるのです。また、火山地帯や高山帯だけではなく、酸性の強い湿地にも生育することができます。

 大規模な火山活動があれば、その地域の生物は死滅してしまいます。その後、周囲から徐々に動植物が侵入してくることになります。ですから、新しい火山ほど、生物の種類が限られてしまいます。

 恵山にはハイマツがほとんどありません。ハイマツは野鳥に種子を運んでもらわなければ侵入できないために、まだこの山で勢力を拡大することができないのでしょう。一方、ガンコウランは大きな実をたくさんつけていました。そして、荒涼とした岩礫地にどんどん侵入しています。野鳥などがせっせと種を運び、勢力を拡大しているのでしょう。

 ところで、私の興味はどちらかといえば植物よりクモです。恵山火山の活動は約4~5万年前に始まり、現在の溶岩ドームは約8000年前に形成されたといわれていますから、今の恵山は氷期以降にできた非常に新しい火山です。

 寒冷な氷期には海水面が低下し、北海道は大陸と陸続きになって北からさまざまな生物が北海道にも南下したといわれています。ですから最後の火山活動が氷期の前あるいは氷期の火山であれば、北方起源のクモが生息している可能性が高いのですが、氷期以降の新しい火山では、周囲から高山性のクモが侵入できない限り、生息している可能性が低いのです。それで、どのようなクモが生息しているのか、とても興味がありました。とりわけ、似たような環境の硫黄山に生息しているタカネコモリグモがいるのかどうか・・・。

 先日の恵山の調査では、残念ながらタカネコモリグモをはじめとした高山性のクモは、まったく確認できませんでした。確認できたのは、平地にも生息しているウヅキコモリグモやモリコモリグモ、ヤミイロカニグモ、マミジロハエトリなど。これらのクモは麓から分布を広げたのでしょう。

 1回の調査だけでははっきりとしたことは言えないのですが、恵山の近くにはタカネコモリグモが生息できそうな山はほとんどありませんから、ここにはタカネコモリは侵入していない可能性が高いのではないかと思います。

 クモの分布と火山の関係は、じっくり調べたら面白いと考えているのですが・・・。

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