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2007年9月 3日 (月)

石狩浜のイソコモリグモ

 恵山の帰りに、石狩川河口部の石狩浜に寄ってきました。石狩浜といえば海水浴場として有名なところですが、クモに関心のある人にとっては「イソコモリグモ」の発見された場所として忘れられないところです。ここで採集された標本に基づいて新種記載されたのです。今は「イソコモリグモ」という名前ですが、かつては採集地の地名をとって「イシカリコモリグモ」と呼ばれていたのです。

 イソコモリグモは、北海道と本州でのみ生息が知られているクモで、海岸の砂浜に穴を掘って生活している大型のコモリグモです。砂浜ならどこにでもいるというわけではなく、海浜植物群落がある砂浜に生息しています。夜に巣穴から出て虫を捕まえるのですが、昼間は巣穴にこもっていて姿を見せません。

Isokomorisuana  イソコモリグモの巣穴(写真)は、内側を糸で裏打ちされているので、他の動物の穴と区別できます。ところが、昼間は巣穴の入口を上手に閉じていることが多いので、そうなるとまず見つけることができません。このクモは関心がなければ、簡単に見つけることができないのです。

 日本の海岸は、開発や護岸工事、道路建設などによって自然状態のところは非常に少なくなってしまいました。それとともにイソコモリグモの生息地も破壊され分断化されていったのです。さらに近年ではダムによって土砂が河口に運ばれなくなり、砂浜が痩せてきています。こうしたこともイソコモリグモの生息地の減少につながるのではないかと懸念されます。そんな状況ですから、国のレッドリスト(絶滅の恐れのある野生動植物のリスト)にも掲載されています。

 石狩浜では、最近まで海岸砂丘に車が乗り入れて海浜植物群落を破壊していました。もちろんイソコモリグモも大きな影響を受けたのです。その後、石狩市が海浜植物の保護に乗り出し、今では車が自由に入れないようになっています。「石狩浜海浜植物保護センター」という施設があり、ここでは海浜に生息する生物などが紹介されていましたが、残念ながらイソコモリグモのことはまったく書かれていませんでした。たぶん地元の人たちはこのクモのことを知らないのでしょう。北海道のレッドリストではクモは対象外ですから、行政もまったく知らず、関心がないのだと思います。

 北海道では、いくつかのイソコモリグモの生息地が知られていますが、それらは開発や道路建設から免れているところです。過去には砂浜のある海岸一帯に生息していたのかもしれませんが、今は護岸工事や道路建設などで生息地が分断されてしまいました。個々の生息地が小さくなってしまえば、絶滅の可能性が増大します。

 石狩浜一帯は、残された貴重な生息地なのですが、これ以上破壊されることがないようにと願わずにはいられません。

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