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2007年9月20日 (木)

無残! 国立公園の森林

 9月に入ってから、東京に行ったり札幌に行ったりと慌しくしていましたが、久しぶりに2日間かけて国有林の伐採現場の視察に行ってきました。

 以前にも「国立公園で木を伐る日本の恥」という記事を書きましたが、今回も国立公園で行われている酷い伐採の実態をまざまざと見せつけられました。

 大雪山国立公園の東部、十勝三股や幌加周辺の森林は、もはや原生林の面影はありません。かつてはエゾマツやトドマツなどの大径木が茂りうっそうとした森だったのですが、今は建材として使えるような大径木はほとんど伐り尽くされてしまい、材として価値のあるような木がほとんどない状態なのです。わずかに残されているミズナラなどの巨木は、幹の中が中空になるなどして、材として利用できないものばかりです。度重なる伐採によって、今では細い木ばかりの貧弱な森林になり果てています。

Horokakaibatsu  また、近年は頻繁に台風による風倒木の被害が発生しています。台風がきたからといって、森の木が一様に倒れるわけではありません。集中的に被害を受けるところと、ほとんど被害のないところがあります。多くの木が倒れたところでは風倒木処理が行われるのですが、その「風倒木処理」の名目で「皆伐」すら行われています。そのあまりにもひどい惨状に、怒りがこみ上げてきました。

 国立公園の中なのですから、倒れずに残っていた立木はそのまま残しておくべきでしょう。ところが倒れなかった木も伐ってしまうのです。重機を使った作業の邪魔になるからでしょうか。皆伐してしまうと、木の種子が供給されないのでやがてはササが茂り、森林の復元が困難になります。倒れなかった木を残し、倒木をそのままにしておけば、やがてその倒木を苗床にして木が育つこともできるのですが、倒木処理はその苗床を取り除いてしまうのです。林野庁は植林するといいますが、植林はいろいろな樹種で構成されている天然林を単一の人工林に変えることにほかなりません。

 また、ブルドーザーで山肌にジグザグに作業道を刻み表土を撹乱するので、土壌がむき出しになり、そこから大量の土砂が沢に流れ込みます。このようなところでは、雨が降るたびに雨水の流路ができ、どんどん浸食されていきます。これは風倒木処理というより、山の地形を変えてしまう「山壊し」です。ところが、森と山を壊して得られる収入は微々たるものなのです。

 表土を剥ぎ取った作業道から、大量の土砂が川に流れ込むために、川には砂防ダムが造られることになります。ところが砂防ダムは魚の生息地を分断し、川床の低下を引き起こし、河川の生態系を破壊してしまうのです。発電用のダムに土砂が堆積すれば、その土砂を取り除かなければなりませんが、それには膨大な経費がかかることになります。山を破壊した結果、ダムの建設で儲けるのは土建屋さんでしょう。そして、そのしわ寄せはすべて国民にまわってくるのです。ダムの建設費は税金ですし、発電用のダムの維持経費は、電気の消費者の負担になるのですから。また、伐採で森林の保水力が低下し、洪水や土砂崩れなどで被害を受けるのも国民です。

 国民の目にほとんど触れることのない山の中、しかも国立公園の中でどんなことが行われているのか、私たちはもっと目を向けなければならないのではないでしょうか。

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