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2007年8月 9日 (木)

強力な麻酔薬

 クモにはいろいろな敵がいます。餌として食べてしまう動物としては野鳥やカエル、ヘビ、ムカデなど。クモは良質の蛋白源なのです。そのほかにもハチはクモにとって非常に恐るべき敵です。クモの卵を食べるものや、クモの体そのものを食べてしまうものがいます。

 ベッコウバチの仲間は、クモを狩って麻酔させてから巣に運びこんで卵を産みつけ、幼虫がクモを食べてしまうことで知られています。林縁や庭先などで、ベッコウバチがクモ狩りをしている光景を見かけることがあります。

 7月27日のことです。庭先で、ベッコウバチの一種が重たそうにオニグモを運んでいました。写真を撮ろうと思って近づいたところ、あわてたハチがクモを落としてしまいました。

Masuisaretakumo  ベッコウバチはしばらく落としたクモを探していたようですが、そのうちあきらめて飛び去ってしまいました。やがて、麻酔されてぐったしているオニグモに、アリが群がってきました。ハチはもどってこないし、放っておくとアリが運んでしまうか、鳥に見つかって食べられてしまうでしょう。そこで、このオニグモを容器に入れて、どうなるか観察してみることにしました。

 クモは麻酔をかけられているので、死んでしまったわけではありません。このあと生き返るのか、それとも死んでしまうのか・・・。以前にも、ベッコウバチに狩られたクモを持ち帰ったことがありますが、生き返った場合と死んでしまった場合がありました。

 クモは、死んでしまうと体が硬くなり、乾燥して干からびてきます。腹部の大きなクモの場合、密封した容器などに入れておくと、腐ってきます。さて、オニグモは3日ほどの間は明らかに生きていて、刺激を与えると脚がピクピク動いたりしましたが、7月31日には動かなくなってしまいました。それでも、体は干からびずに生きているときのような状態です。

 その後、用事ができて数日間留守にしてしまったのですが、8月4日に帰宅したときも、状態はほとんど変わっていませんでした。どう見ても生きていないのですが、干からびたり腐ったりはしていないのです。7日になると、腹部にいくぶん皺ができ、生気がなくなってきたので、アルコール標本としました。この標本は、生きたクモを標本にしたときと同じように新鮮な状態です。写真は7日に標本にする前に撮ったものです。

 ということは、ハチに麻酔されてから3日間は生きており、約10日間は腐りもしなかったということです。もし、麻酔の量が少なかったら、クモは生き返ったのかも知れません。ハチの卵が何日くらいで孵化するのかはわかりませんが、ハチの幼虫がクモを食べて成長する間は、クモが腐らないようにしているのでしょう。ハチは、クモを自分の子孫の餌とするために、こんな強力な麻酔薬を開発したのですね。

 それにしても、ハチの幼虫は、麻酔されたクモを食べても、何ともないのでしょうか?

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