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2007年8月14日 (火)

「緑のオーナー制度」で、林野庁の責任は?

 林野庁が1984年から98年にかけて出資を募ってきた「緑のオーナー制度」が元本割れとなり、批判の声が高まっています。大規模林道(緑資源幹線林道)といい、東北や北海道の違法伐採といい、林野行政は呆れることばかり・・・。

 「緑のオーナー制度」は、国有林育成のために出資を募り、契約満了時に伐採の収益金を受け取る制度。ところが、収益どころか大半の出資者が元本割れしていることが明らかになりました。一口50万円の出資金のうち、戻ってきたのは半分以下という人もいます。しかも、林野庁は契約時に元本割れのリスクを説明しなかったというのです。

 元本割れの理由は、「木材価格の低迷」とされています。確かに、木材価格が低迷しているのは事実ですが、原因は本当にそれだけなのでしょうか?

 独立採算制の林野庁は1990年代には3兆8000億円もの赤字を生み出しました。1997年にはその赤字のうち、2兆8000億円を一般会計から補填し、残りの借金1兆円を土地の売却と木材の販売によって自力で返済するとしたのです。ところが、その1兆円の借金は減るどころかさらに膨れあがってしまいました。赤字補填のために全国各地の森林が伐採されていますが、焼け石に水の状況です。こんな赤字の状況で、「緑のオーナー制度」がうまくいくはずはありません。

 林野庁がなぜ独立採算制でやってきたのかといえば、天然林からの略奪ともいえる伐採をしてきたからです。とりわけ北海道では天然林の伐採が大きな割合を占めており、今でも人工林だけではなく、天然林での酷い伐採が続けられています。

 天然林伐採というのは、自然に生えている木を「択伐」と称して間引いていくものです。林野庁は、天然林施業を「老齢過熟木を間引くことで、若木に光をあてて育てる」、「木が生長した分だけ伐採するから、森林の樹木の体積(蓄積量)は変わらない」と正当化し、うそぶいてきました。

 実態は、価格の高い大径木ばかりを狙い、短い周期で伐りつづけてきたのです。こうして育てることにお金をかけなくてもすむ「タダの木」の略奪で収益を得られた時代は潤っていたのですが、こんな伐り方をしていたらやがて資源は枯渇します。北海道の天然林は国立公園の中でさえボロボロ、スカスカの状態になってしまったのです。

 北海道の多くの天然林では、こうした伐採によって太い木がほとんどなくなってしまい、今はなんとか建材になりそうな直径30cm程度の木にまで手をだしています。それに追い討ちをかけるように、風倒木処理の名目で、皆伐までするようになりました。

 林野庁は、そのような財政状況のなかで「緑のオーナー制度」をはじめ、出資を募ったのです。財政状況から考えれば、たとえ木材価格の低迷がなくても、収益を得ることは困難であり、単なる資金集めだったと言われても仕方ないのではないでしょうか。

 朝日新聞では、「緑のオーナー制度」を「まるで原野商法」と批判しましたが、リスクの説明もせず甘い勧誘をしたのであれば、詐欺まがいと言われても当然でしょう。

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