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2007年7月 7日 (土)

理解できない訴状

 「新風舎商法を考える会」のメンバーら4人(一人は法人)が、新風舎の虚偽の説明によって高額な費用を支払わされたとし、損害賠償を求めて裁判を起こしました。原告らが記者会見をしたために、このニュースはテレビや新聞で一斉に報道されました。

 今日、「新風舎商法を考える会」のホームページを見たところ、訴状が掲載されていました。その訴状を読んで、私は頭を抱えてしまいました。なぜって、そこにはとても理解できないことが書かれていたからです。

 訴状には、出版契約の要旨がまとめられています。そして次のように書かれているのです。

1 原告らは、被告に著作物の出版を委託し、代金を支払う(第1条)。

 新風舎の契約書の第1条は次のようなものです。

第1条 契約の前提 甲は乙に所定の代金を支払い、標記の著作物(以下本著作物という)の出版を乙に依頼する。この契約書に記されている甲の権利は、上記の支払を遅滞なく実行することによって保障される。

 新風舎は、新聞広告で「出版費用の一部(制作費)を著者が負担」としています。2006年10月7日の朝日新聞のフロントライナーで、新風舎社長の松崎義行氏を紹介していますが、この記事でも松崎氏は自ら「印刷や装丁などの制作費を著者が、販売や宣伝費などはこちらが持ちます」と明言しているのです。ですから、この「所定の代金」というのは、制作費ということになります。つまりこの条項は、著者が制作費を支払うことで、第2条以下の甲の権利が保障されるということです。

 契約書の第2条は出版権の設定について書かれています。

第2条 出版権の設定 甲は、本著作物の複製並びに頒布の権利を乙に対し設定する。これにより、乙は本著作物の出版権を占有する。

 これはどういうことかというと、出版社が本の販売収益を得ることを前提に、複製と頒布の権利(出版権)を独占するということです。出版社が自社の商品をつくってその売上金を得るためには、著者がもっている本の複製や頒布の権利を出版社に移行しなければなりません。その出版権の移行の契約なのです。出版権独占の見返りとして著者には印税が支払われ(新風舎では増刷時のみ)、一部の本の贈呈があるのです。著者が自分の本の制作や販売を、双方の合意した金額で出版社に委託する契約ではありません。

 原告らはこの契約は出版委託契約だと解釈しているようですが、新風舎は出版委託契約などとはいっていません。なぜ、原告らは出版委託契約だとしているのでしょうか?

 問題なのは契約書の第1条の書き方です。第1条の「出版を乙に依頼する」という紛らわしい表現が、出版権設定の契約であるにも関わらず、委託契約だと錯誤させてしまうようです。

 委託契約だと捉えてしまうと、負担金については「合意した金額」ということで問題にできなくなってしまいます。

 さらに、訴状では「原告らと被告との出版契約における代金には、著作物を印刷、製本する費用と、被告が宣伝、販売するための費用が含まれている」としています。新風舎の社長みずから「印刷や装丁などの制作費を著者が、販売や宣伝費はこちらが持ちます」としているのに、どうしてこんなふうに解釈してしまうのでしょうか? この矛盾を追及していないのは、とても不思議なことです。

 私には、この原告の方たちの解釈は理解できません。

 私がこれまで書いてきたように、そもそもこの共同出版商法の本質的な問題点は、出版社も費用を負担するとして自社の商品をつくる契約でありながら、出版社はなんら費用負担していないのではないかということ、そして著者を錯誤させて出版社に有利な契約を結ばせているのではないかということです。

 原告らがみずから「委託契約」であると解釈し、請求金額の矛盾点をつかず、本質的な問題点に言及しないのであれば、原告らの騙されたという主張もあまり説得力があるとは思えません。

 なんだか原告らの主張は、提携書店に棚を確保して必ず書店に並ぶシステムであれば問題ないかのように感じられてしまいます。

 私がこれまでJANJANに書いてきた問題点がまったくといっていいほど生かされていない訴状に、鬼蜘蛛おばさんはまたまた驚いたのであります!

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