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2007年6月 8日 (金)

神秘に満ちたキタグニオニグモ

 北海道の山地には、キタグニオニグモといういかにも北国にふさわしい名前のクモがいます。それがまた美しいクモなのです! 写真はあいにくあまり綺麗に撮れていないのですが・・・。

Kitagunionigumo  クモが美しいなんていうと、変な顔をする人もいるかもしれませんが、お腹が緑色をしていて黒い斑紋があります。 えっ? クモがどこにいるかわからないって? サルオガゼの中に隠れていますよ! 真ん中で、頭を下にして(クモはふつう頭を下にして止まるのです)。

 このキタグニオニグモは、日本しか分布が知られていません。本州の亜高山帯にもいますが、本州ではかなり珍しいのです。北海道でも針葉樹林帯に生息していますが、数は多くありません。見たいと思ってもなかなか見れないクモです。

 もう25年以上前のことですが、ある原生林に動物の調査に行ったことがあります。朝、テントから出て周りを見回すと、エゾマツの枝に朝露にぬれた円い網がかかっていました。その真ん中には緑色のキタグニオニグモが・・・。 そして、霧の中を原生林に足を踏み入れると、そこここの枝先にキタグニオニグモの網がかかっているではありませんか! エメラルドグリーンのもいれば、少し濃い緑色のもいます。エゾマツの巨木の枝先に佇む小さな緑のクモは、何と神秘的なことでしょう。人の立ち入ることのない原始の森で、キタグニオニグモたちはこんな風にひっそりと生きていたのです。

 あとにも先にも、こんなにたくさんのキタグニオニグモを見たことはありません。そう、キタグニオニグモは針葉樹の原生林のクモだったのです。おそらくしばしば霧に覆われサルオガゼが枝に絡みつくような湿度の高い針葉樹林が、このクモの生まれ故郷なのでしょう。サルオガセの中に隠れると姿をくらますことができるのです。

 数年前のある晩秋のことです。知人が森に落ちていたサルオガセを拾い、持ち帰ろうと車の中に入れました。やがて、車内が暖まると、サルオガセ中から緑色のクモがもぞもぞと出てきたのです。同乗していた女性は「ひゃー! クモ!」と驚いたそうですが、クモの好きな知人はそのクモをもってきてくれました。エメラルドグリーンの美しいキタグニオニグモでした。

 エゾマツやトドマツなどの針葉樹林帯は、大雪山国立公園のあたりではふつう標高700メートルから1000メートルくらいのところに広がっていますが、今は大半のところで伐採が進み、原生状態を保っているところはほとんどありません。針葉樹林は針広混交林(針葉樹と広葉樹の入り混じる森林)よりはるかに生物相が単純になるのですが、そんな森だけに棲んでいる動物もいるのです。キタグニオニグモもそんな数少ないクモのひとつです。

 北海道が原生林で覆われていたころ、針葉樹林にはこのクモがあちこちに網を張っていたことでしょう。でも、伐採が進み、林内が乾燥化していくにしたがい、姿を消していったのではないでしょうか。

 いつの日か、キタグニオニグモがあちらにもこちらにも網を張るような原生林を取り戻すことが、原始の森を壊してきた私たち人間の責務であるように思うのです。

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