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2007年6月20日 (水)

文芸社に騙された!

(はじめて読まれる方は、カテゴリの「共同出版・自費出版」のはじめから読まれると、流れがわかります)

 私は自分の経験したおかしな出版商法を広く知ってもらうために、北海道新聞の取材に応じることにしました。そしてその記事は2002年3月4日の生活面で大きく報道されました。

 その後のことです。月刊誌「創」の2002年8月号に岩本太郎氏の「危うし!自費出版ブームと『文芸社商法』の舞台裏」という記事が掲載されたのです。これを読んで、びっくり。なぜって私が契約した出版社のことですし、そこには上記の北海道新聞の記事が引用されていたのですから。そして、その記事について文芸社の社員がこんなことをいっているのです。

 「こちらの対応が後手後手になってしまったことが先方の不安を募らせてしまったということで反省しています。5000部云々に関しては、担当者が『重版になるような展開になればそれくらいも不可能ではない』という話をしていたのだろうと思うのですが・・・・・・」

 これを読んで思わず、「えっ、なんと勝手な解釈を!」と思ってしまいました。対応が後手後手だから不安になったのではありません。ずさんな編集について説明がなかったではありませんか。質問に対して納得のいく回答をしなかったでしょ!

 さらにその記事には驚くべきことが書かれていました。

 まず、文芸社の年間の発行点数が私の契約した2001年は1617点だというのです。この大半が協力出版だとすると月平均では約140点。私にきた手紙では、あたかも一部の優れた作品だけに協力出版を提案しているかのように書かれていましたが、そうではなさそうです。

 そして、提携書店についてはこんなふうに書いてあります。「文芸社との提携書店には40冊ほどが入る同社専用のコーナーが設けられている。不況の折、書店としてもあまり売れない自費出版物のために棚を確保したくないのが本音ではないかと思うのだが、実はこの棚、文芸社側が毎月5000円~1万円程度の“テナント料”を書店に支払うことで確保しているのだ。しかも約1ヵ月を経て売れ残った分については文芸社が買い取る形をとっているため、書店にも取次にも返本によるリスクは生まれず、流通対策上からも好都合ではある」

 提携書店から棚を有料で借り、売れ残った本を買い取っている?! これなら売れそうにない素人の本だって、書店に置けるはずです。でも、もちろん著者にはそんな説明はありません。「販売の費用は出版社が出資」するのですから、この棚借りや買取の料金は本来なら文芸社が負担するはずですが、もしかしたらこれも実質的には著者が負担?! 毎日新聞の連合広告も一作品あたりのコストは微々たるものだろうとのこと。

 さらに不思議に思ったのは提携書店の数です。私には提携書店の数は500店との説明がありました。500店舗で各店50冊の棚を確保しているとしたら、500×50で25000冊の本しか置けません。1ヵ月140点の本を300店に置くなら、140×300で42000冊分の棚が必要になります。これでは一点あたり178店舗にしか置けないのです! 本当に300書店に置いていたのでしょうか? そして提携書店は本当に500店あったのでしょうか?

 そこで、私はこの「創」という雑誌に、自分の契約から解約までの経緯について投稿したのです。それが掲載されたのが2002年の11月号。その後、2003年の7月号には文芸社元スタッフによる「私が関わった『文芸社』商法の内幕」という記事が掲載されました。送られてきた原稿を読んで所見を書くアルバイトをしていた方の内部告発です。

 それによると、たとえ低レベルの作品であっても言葉巧みに褒めて、これは是非とも世に問う価値があると持ち上げるというのです。私に来た手紙もまさにそのように褒めちぎっていました。著者に送られる手紙には案内文の統一したフォーマットがあるそうです。

 そして、「実際に原稿を読み、評価を下しているのは、社内の出版業界を熟知した審査委員会などではなく、主婦を中心とする社外のアルバイト要員、『所見スタッフ』にほかならないのです」というのです。さらに「初めから組織的に消費者に事実と異なることを告げ、誤認を誘って契約を獲得することをビジネスの手法としているといえるでしょう」と書かれているではありませんか!! (筆者注:この方は著者を消費者としていますが、契約上は消費者ではありません)

 審査委員会に諮られランク付けされたとか、企画候補になったとか、委員には書店長もいるなどという説明が嘘だった、そして組織的に嘘をついているというのです。1ヵ月に140点もの本を出していたなら、契約しなかったものも含めれば相当数の応募があるはずです。これでは委員会に諮ってランクづけなどということはやっていられないでしょうね。こんなことを知っていたら、絶対に契約などしなかったでしょう。こういうのを「騙す」というのではないでしょうか。

 騙して契約させ、しかも出版社の本をつくるにも関わらず、原価ではない制作費を請求する! 騙して錯誤に陥れることを民法では詐欺といいます。そして詐欺による意思表示は無効を主張できるのです。他人を騙して錯誤させ、損害を与えたら刑法の詐欺罪にあたるのでは? この出版商法の場合は問題がないのでしょうか?

 さて、ここからは一般論です。私は共同出版という出版形態自体を否定するつもりはありません。出版社もリスク負担をして販売努力をし、著者を錯誤させるようなことをしなければいいのです。

 しかし、出版社の商品をつくるのに「販売する自費出版」との売り込みと巧みな営業トークで著者を錯誤させ、多額の費用を請求してなんらリスク負担していない出版社が多数あるのです。そして驚くべきことに、こんな出版商法が新聞や雑誌に広告を出して盛んに行われ、万単位もの人が本を出版しているのに、大きな問題とされない、いえいえ正確に言えばマスメディアは問題にしようとしないのです。 (つづく)

*この記事へのコメント 「com070620.doc」をダウンロード  

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